2023.01.27
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム🔥
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第181回「広島にて……」(松永貴允)
1月22日の全国都道府県対抗男子駅伝に行ってきました。
3年ぶりの開催でしたが、私にとっても3年ぶり3回目の取材! 駅伝ドリームマッチのような大会なので、年間さまざまある中でも好きな大会の1つです。
結果は月陸Onlineでも既報のとおり、長野県チームの3年ぶり連覇で幕を閉じました。
特に3区間すべてで区間新が出た高校生に勢いがあり、大会を盛り上げてくれましたね。他にも見どころがたくさんありましたが、個人的に気になったトピックスをまとめてみました。
①やっぱり長野は強かった
優勝回数2位の兵庫(5回)に差を広げる9度目のV。1区から2位につけ、中盤で先頭に立ち、引き離す。王者として見事な勝ちっぷりでした。
なかでも1区、4区、5区の高校生3人が区間2位、1位、1位(いずれも区間新)と圧倒的な走りを見せ、頂点を手繰り寄せました。5区(8.5km)の吉岡大翔選手(佐久長聖高)がマークした23分52秒は、5km換算で14分02秒。後半ペースアップしていたことを考えると、「そのまま10km27分台で走れてしまうのでは?」と思ってしまいます。5000m高校記録(13分22秒99)保持者の強さが際立ちました。
そして、何と言ってもアンカー・上野裕一郎選手(セントポールクラブ)に注目が集まりました。立大の男子駅伝監督として箱根駅伝の55年ぶり出場に導いた指導者でありながら、最長区間を区間12位で走ってしまう驚異の37歳。しかも、上野選手は2005年、09年、17年にも優勝のフィニッシュテープを切っており、個人での優勝回数も6度目となりました。
昨年4月と10月に「監督として」取材させてもらった方にこんな激走を見せられると、不思議な感覚に陥ります……。
※長野県チームの高校生が「上野さん」ではなく、「上野監督」と呼んでいたのが、おもしろかったです。
②岡山県、意外にも入賞は2度目
全国高校駅伝強豪校の倉敷高を中心に、中学生も強い印象のある岡山県ですが、今回の5位が過去最高成績。意外にもこれが2度目の入賞でした。
前回の入賞は2003年の7位。過去25大会の平均順位は「26.08位」(47都道府県中26位)で、2017年から20年も27位、24位、20位、29位と苦戦していました。監督として率いる倉敷高の新雅弘先生がレース後に「一般、高校生、中学生の3つをそろえるのが大変だった。これで胸を張って岡山へ帰れます」と安堵していたのが印象的でした。
③今回も3区と7区の区間記録は破られず
至近数大会は中高生区間で区間新が続出し、今大会では高校生区間の区間記録が一新されました。
ところが、今大会も大学生・社会人区間である3区と7区だけは更新に至りませんでした。
7区(13km)は大島健太さん(高知・くろしお通信)が2004年に樹立した37分09秒。20年に10000mで日本記録を樹立した相澤晃選手ですら、同年の大会で37分10秒とわずかに届かなかったことから、19年前の記録がいかに偉大かがわかります。
3区はその翌年に、同じくろしお通信所属の大森輝和さん(高知)が出した23分26秒が18年間破られていません。それまでの区間記録が前年に自身が樹立した23分52秒だったため、当時の大幅区間新でした。5km換算で13分47秒というハイレベルな壁は、シューズ革命が起きた現代でも選手たちの前に立ちはだかっています。
④レジェンド岡本 38歳になっても衰え知らず
通算出場18回、「ミスター男子駅伝」こと38歳の岡本直己選手(中国電力)。今大会も鳥取県チームの3区で10人を抜き去り、自身の持つ通算最多ごぼう抜き人数を「133人」としました。
3年前も35歳で3区を区間2位で走っていましたが、さすがに38歳になったら……と少しでも衰えを疑った私が恥ずかしいです。
ちなみに岡本選手は昨年1月の大阪ハーフで1時間1分25秒、2月の大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会で2時間8分04秒と、いずれも自己新をマークしています。5月で39歳を迎える岡本選手の2023年に注目です!
⑤7区区間賞は神奈川大・山﨑諒介選手!
最長区間(13km)を制したのは37分26秒で走った神奈川大4年の山﨑諒介選手(佐賀)でした。10000m27分台選手を多数抑えての区間トップに、山崎選手自身も「まさかこんなタイムで走ってしまうなんて……」と驚きを隠せないほど。それもそのはず。山﨑選手は3年時に箱根駅伝5区で区間7位という成績を収めてはいるものの、全国大会レベルでの実績はほとんどありませんでした。
昨年は10月の箱根駅伝予選会でチームが敗退してしまうなど悔しい1年を過ごしましたが、大学生活最後の大舞台で結果を残しました。
過去に7区で区間賞を獲得した選手には、前述の相澤選手や設楽悠太選手、竹澤健介選手、佐藤悠基選手ら世界に飛び立った名選手がずらり。実業団で競技を続ける山﨑選手の今後に目が離せません!
⑥ご当地グルメがなくても大盛況だった「駅伝ふるさとひろば」
都道府県駅伝といえば、スタート地点の近くにある「駅伝ふるさとひろば」が名物コーナーとなっています。今回は感染症対策の一環で、会場内で飲食ができるグルメ販売・提供が中止となりましたが、代わりに各地の名産品や特産品が持ち帰りできるように工夫されていました。
* * * * * * * * * * * * * * * *
個人的には広島ラーメンも広島焼きも食べたし、豪華なツーショットも撮影できたし、満足、満足!
豪華ツーショットの正体ですか?
まだ秘密です!
雑誌を読んで確認してください!
松永貴允(まつなが・たかよし) 月刊陸上競技編集部 1991年生まれ。171cm、★kg、東京都三鷹市出身。小学生時代はプロを夢見る野球少年だったが、6年生の時に世界陸上パリ大会をテレビで観て陸上競技に興味を持ち、中学・高校と陸上部(長距離)に所属する。5000mの自己ベストは15分43秒67(2009年9月の日体大長距離競技会)。大学ではラクロス部の主将を務め、その後、紆余曲折を経て2015年からライターとして活動。2018年9月より月陸編集部員に転身した。飯塚翔太選手や大迫傑選手らと同い年の〝プラチナ世代〟でもある。 |
第181回「広島にて……」(松永貴允)
1月22日の全国都道府県対抗男子駅伝に行ってきました。 3年ぶりの開催でしたが、私にとっても3年ぶり3回目の取材! 駅伝ドリームマッチのような大会なので、年間さまざまある中でも好きな大会の1つです。 [caption id="attachment_91733" align="alignnone" width="800"] コロナ禍で2年間中止だった都道府県対抗男子駅伝が戻ってきました![/caption] 結果は月陸Onlineでも既報のとおり、長野県チームの3年ぶり連覇で幕を閉じました。 https://www.rikujyokyogi.co.jp/archives/91400 特に3区間すべてで区間新が出た高校生に勢いがあり、大会を盛り上げてくれましたね。他にも見どころがたくさんありましたが、個人的に気になったトピックスをまとめてみました。 ①やっぱり長野は強かった 優勝回数2位の兵庫(5回)に差を広げる9度目のV。1区から2位につけ、中盤で先頭に立ち、引き離す。王者として見事な勝ちっぷりでした。 なかでも1区、4区、5区の高校生3人が区間2位、1位、1位(いずれも区間新)と圧倒的な走りを見せ、頂点を手繰り寄せました。5区(8.5km)の吉岡大翔選手(佐久長聖高)がマークした23分52秒は、5km換算で14分02秒。後半ペースアップしていたことを考えると、「そのまま10km27分台で走れてしまうのでは?」と思ってしまいます。5000m高校記録(13分22秒99)保持者の強さが際立ちました。 そして、何と言ってもアンカー・上野裕一郎選手(セントポールクラブ)に注目が集まりました。立大の男子駅伝監督として箱根駅伝の55年ぶり出場に導いた指導者でありながら、最長区間を区間12位で走ってしまう驚異の37歳。しかも、上野選手は2005年、09年、17年にも優勝のフィニッシュテープを切っており、個人での優勝回数も6度目となりました。 [caption id="attachment_91734" align="alignnone" width="800"] 自身4度目の優勝テープを切った長野のアンカー・上野裕一郎選手[/caption] 昨年4月と10月に「監督として」取材させてもらった方にこんな激走を見せられると、不思議な感覚に陥ります……。 ※長野県チームの高校生が「上野さん」ではなく、「上野監督」と呼んでいたのが、おもしろかったです。 ②岡山県、意外にも入賞は2度目 全国高校駅伝強豪校の倉敷高を中心に、中学生も強い印象のある岡山県ですが、今回の5位が過去最高成績。意外にもこれが2度目の入賞でした。 前回の入賞は2003年の7位。過去25大会の平均順位は「26.08位」(47都道府県中26位)で、2017年から20年も27位、24位、20位、29位と苦戦していました。監督として率いる倉敷高の新雅弘先生がレース後に「一般、高校生、中学生の3つをそろえるのが大変だった。これで胸を張って岡山へ帰れます」と安堵していたのが印象的でした。 ③今回も3区と7区の区間記録は破られず 至近数大会は中高生区間で区間新が続出し、今大会では高校生区間の区間記録が一新されました。 ところが、今大会も大学生・社会人区間である3区と7区だけは更新に至りませんでした。 7区(13km)は大島健太さん(高知・くろしお通信)が2004年に樹立した37分09秒。20年に10000mで日本記録を樹立した相澤晃選手ですら、同年の大会で37分10秒とわずかに届かなかったことから、19年前の記録がいかに偉大かがわかります。 3区はその翌年に、同じくろしお通信所属の大森輝和さん(高知)が出した23分26秒が18年間破られていません。それまでの区間記録が前年に自身が樹立した23分52秒だったため、当時の大幅区間新でした。5km換算で13分47秒というハイレベルな壁は、シューズ革命が起きた現代でも選手たちの前に立ちはだかっています。 ④レジェンド岡本 38歳になっても衰え知らず 通算出場18回、「ミスター男子駅伝」こと38歳の岡本直己選手(中国電力)。今大会も鳥取県チームの3区で10人を抜き去り、自身の持つ通算最多ごぼう抜き人数を「133人」としました。 3年前も35歳で3区を区間2位で走っていましたが、さすがに38歳になったら……と少しでも衰えを疑った私が恥ずかしいです。 ちなみに岡本選手は昨年1月の大阪ハーフで1時間1分25秒、2月の大阪マラソン・びわ湖毎日マラソン統合大会で2時間8分04秒と、いずれも自己新をマークしています。5月で39歳を迎える岡本選手の2023年に注目です! ⑤7区区間賞は神奈川大・山﨑諒介選手! 最長区間(13km)を制したのは37分26秒で走った神奈川大4年の山﨑諒介選手(佐賀)でした。10000m27分台選手を多数抑えての区間トップに、山崎選手自身も「まさかこんなタイムで走ってしまうなんて……」と驚きを隠せないほど。それもそのはず。山﨑選手は3年時に箱根駅伝5区で区間7位という成績を収めてはいるものの、全国大会レベルでの実績はほとんどありませんでした。 昨年は10月の箱根駅伝予選会でチームが敗退してしまうなど悔しい1年を過ごしましたが、大学生活最後の大舞台で結果を残しました。 過去に7区で区間賞を獲得した選手には、前述の相澤選手や設楽悠太選手、竹澤健介選手、佐藤悠基選手ら世界に飛び立った名選手がずらり。実業団で競技を続ける山﨑選手の今後に目が離せません! ⑥ご当地グルメがなくても大盛況だった「駅伝ふるさとひろば」 都道府県駅伝といえば、スタート地点の近くにある「駅伝ふるさとひろば」が名物コーナーとなっています。今回は感染症対策の一環で、会場内で飲食ができるグルメ販売・提供が中止となりましたが、代わりに各地の名産品や特産品が持ち帰りできるように工夫されていました。 * * * * * * * * * * * * * * * * 個人的には広島ラーメンも広島焼きも食べたし、豪華なツーショットも撮影できたし、満足、満足! 豪華ツーショットの正体ですか? まだ秘密です! 雑誌を読んで確認してください!松永貴允(まつなが・たかよし) 月刊陸上競技編集部 1991年生まれ。171cm、★kg、東京都三鷹市出身。小学生時代はプロを夢見る野球少年だったが、6年生の時に世界陸上パリ大会をテレビで観て陸上競技に興味を持ち、中学・高校と陸上部(長距離)に所属する。5000mの自己ベストは15分43秒67(2009年9月の日体大長距離競技会)。大学ではラクロス部の主将を務め、その後、紆余曲折を経て2015年からライターとして活動。2018年9月より月陸編集部員に転身した。飯塚翔太選手や大迫傑選手らと同い年の〝プラチナ世代〟でもある。 |
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