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2019.08.02

編集部コラム「あんな選手を目指しなさい」
編集部コラム「あんな選手を目指しなさい」

今年のやり投日本選手権での石山選手と北口選手。もう立派なオトナですね(そらそうか)

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★月陸編集部★

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毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第2回「あんな選手を目指しなさい(向永拓史)

 編集部の連載コラム。2回目は新参者の向永拓史が僭越ながら担当させていただきます。

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 いよいよ沖縄インターハイが間近に迫ってきました。そこで、インターハイにまつわるこんなエピソードを。

 2013年の大分インターハイ。朝から火傷しそうなほど熱くなった椅子に座り、汗だくになるほど日差しが強かったのを覚えています。

 ある女子投てきの選手が、先生と一緒に競技を観戦していると、先生からこんな言葉をかけられたといいます。

「彼は3種目に挑戦している。あんな選手を目指しなさい」

〝あんな選手〟は、前年になんと1年生で男子砲丸投優勝し、大分インターハイも制して連覇。全中砲丸投で優勝している彼ですが、高校入学時から「将来はやり投で世界を目指す」と決意していました。それでも、砲丸投、円盤投にも積極的に取り組んでいたのです。

 翌年、彼は砲丸投で史上2人目のインターハイ3連覇を達成し、円盤投は高校新記録(当時)で優勝、やり投は2位。強力なライバルたちと切磋琢磨しながら、すさまじい成績を残しました。

「あんな選手を目指しなさい」

 彼が〝2.9冠〟を果たした14年山梨インターハイで、「あんな選手」を目指した彼女は、砲丸投・円盤投・やり投の3種目で全国に出場。やり投では2年生優勝を果たしました。

 さらに、高校3年生になった翌年。彼女はやり投で世界ユース選手権優勝、インターハイ連覇、高校新記録……。これだけの実績を残すまでに成長したのですが、インターハイには、前年同様に砲丸投・円盤投にも出場し、砲丸投では6位に入賞しています。

 もう、2人が誰のことかおわかりですか?

 男子やり投の石山歩選手(ティラド)と女子やり投の北口榛花選手(日大)のことです。

インターハイの円盤投にも出場していた石山選手と北口選手。今ではレアですね

 それぞれの恩師である、石井田茂夫先生と松橋昌巳先生の指導で共通していたのが、物を飛ばす基本(特に砲丸投)と体力、そして身体を思っているように動かすという、「基礎・土台」の部分を大切にするところです。

 もしかすると、種目を絞っていたらインターハイでとんでもない記録が出ていたかもしれません。それでも、2人は3種目に挑んでいったのです。中高生の間は、なるべくいろいろな種目にチャレンジすることが大切だというのも、2人の先生に共通している部分でした。

「あんな選手を目指しなさい」

 3年生の時の北口選手をスタンドから見ながら、先生からそんな声をかけられていた選手がいるかもしれませんね。

 その後は……手術を経験しながら79m44まで記録を伸ばしている石山選手、苦境を乗り越えて64m36の日本記録保持者になった北口選手。どちらも日本トップクラスへと成長しました。

 2人の実績はもちろん、どれだけ強くなろうと、いつどこで会っても変わらない人柄、逆境に負けない強さ、そして人間性も含めて、「あんな選手になってほしいな」と、勝手ながら思います。

今年のやり投日本選手権での石山選手と北口選手。もう立派なオトナですね(そらそうか)

 インターハイって、仲間たちと一緒に戦う、永遠の憧れであり、最高の思い出になる一生モノの大舞台。であると同時に、さらに高い場所を目指すための〝通過点〟であり〝挑戦の場〟なんだと証明している気がします。

「あんな選手を目指しなさい」

 沖縄でもそんなふうに目標とされる選手が登場して、彼ら彼女らにあこがれた後輩たちがまた背中を追って……。

 やっぱり、インターハイっていいなぁ。

向永拓史(むかえ・ひろし)
月刊陸上競技編集部 新米編集部員
1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg(全盛期のマラドーナと同じ)、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれてしまう。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。趣味は一人カラオケで、自己ベストは8時間。

 
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川雅生)

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。 暇つぶし程度にご覧ください!

第2回「あんな選手を目指しなさい(向永拓史)

 編集部の連載コラム。2回目は新参者の向永拓史が僭越ながら担当させていただきます。  いよいよ沖縄インターハイが間近に迫ってきました。そこで、インターハイにまつわるこんなエピソードを。  2013年の大分インターハイ。朝から火傷しそうなほど熱くなった椅子に座り、汗だくになるほど日差しが強かったのを覚えています。  ある女子投てきの選手が、先生と一緒に競技を観戦していると、先生からこんな言葉をかけられたといいます。 「彼は3種目に挑戦している。あんな選手を目指しなさい」 〝あんな選手〟は、前年になんと1年生で男子砲丸投優勝し、大分インターハイも制して連覇。全中砲丸投で優勝している彼ですが、高校入学時から「将来はやり投で世界を目指す」と決意していました。それでも、砲丸投、円盤投にも積極的に取り組んでいたのです。  翌年、彼は砲丸投で史上2人目のインターハイ3連覇を達成し、円盤投は高校新記録(当時)で優勝、やり投は2位。強力なライバルたちと切磋琢磨しながら、すさまじい成績を残しました。 「あんな選手を目指しなさい」  彼が〝2.9冠〟を果たした14年山梨インターハイで、「あんな選手」を目指した彼女は、砲丸投・円盤投・やり投の3種目で全国に出場。やり投では2年生優勝を果たしました。  さらに、高校3年生になった翌年。彼女はやり投で世界ユース選手権優勝、インターハイ連覇、高校新記録……。これだけの実績を残すまでに成長したのですが、インターハイには、前年同様に砲丸投・円盤投にも出場し、砲丸投では6位に入賞しています。  もう、2人が誰のことかおわかりですか?  男子やり投の石山歩選手(ティラド)と女子やり投の北口榛花選手(日大)のことです。 [caption id="attachment_3920" align="aligncenter" width="300"] インターハイの円盤投にも出場していた石山選手と北口選手。今ではレアですね[/caption]  それぞれの恩師である、石井田茂夫先生と松橋昌巳先生の指導で共通していたのが、物を飛ばす基本(特に砲丸投)と体力、そして身体を思っているように動かすという、「基礎・土台」の部分を大切にするところです。  もしかすると、種目を絞っていたらインターハイでとんでもない記録が出ていたかもしれません。それでも、2人は3種目に挑んでいったのです。中高生の間は、なるべくいろいろな種目にチャレンジすることが大切だというのも、2人の先生に共通している部分でした。 「あんな選手を目指しなさい」  3年生の時の北口選手をスタンドから見ながら、先生からそんな声をかけられていた選手がいるかもしれませんね。  その後は……手術を経験しながら79m44まで記録を伸ばしている石山選手、苦境を乗り越えて64m36の日本記録保持者になった北口選手。どちらも日本トップクラスへと成長しました。  2人の実績はもちろん、どれだけ強くなろうと、いつどこで会っても変わらない人柄、逆境に負けない強さ、そして人間性も含めて、「あんな選手になってほしいな」と、勝手ながら思います。 [caption id="attachment_3919" align="aligncenter" width="300"] 今年のやり投日本選手権での石山選手と北口選手。もう立派なオトナですね(そらそうか)[/caption]  インターハイって、仲間たちと一緒に戦う、永遠の憧れであり、最高の思い出になる一生モノの大舞台。であると同時に、さらに高い場所を目指すための〝通過点〟であり〝挑戦の場〟なんだと証明している気がします。 「あんな選手を目指しなさい」  沖縄でもそんなふうに目標とされる選手が登場して、彼ら彼女らにあこがれた後輩たちがまた背中を追って……。  やっぱり、インターハイっていいなぁ。
向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg(全盛期のマラドーナと同じ)、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれてしまう。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。趣味は一人カラオケで、自己ベストは8時間。
  編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川雅生)

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