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2020.04.24

編集部コラム「何も咲かない寒い日は……」
編集部コラム「何も咲かない寒い日は……」

毎週金曜日更新!?

★月陸編集部★

攻め(?)のアンダーハンド

リレーコラム🔥

毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上 敦)

例年この時期なら、日本グランプリシリーズが始まって、月陸編集部でも結果を見ながら、「あーだ、こーだ」と雑談混じりでさまざまな会話が飛び交っている頃です。

私自身は昨年から高校生を主に担当することになって、1年前は日体大長距離競技会男子1500mでクレイ・アーロン竜波選手(相洋・神奈川)を取材したり、その翌週は千葉の支部大会で野田市の競技場に出かけて、110mハードルの村竹ラシッド選手(松戸国際・千葉)に話を聞いていました。

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しかし、この春は大会取材に出ていません。このブログもアパートのちっさい自室で書いています。

日本陸連が6月末までの競技会の自粛を各関係団体に要請し、競技会は軒並み中止・延期となっています。当たり前に感じていた競技場で選手が躍動する姿、応援の歓声が、何だかとても愛おしく思える今日このごろです。

報道によると、全国45の都道府県の県立学校で、休校措置や在宅教育への切り替えを決めたとのことです。大半の私立校も県立校と同様の措置を取っています。休校期間中は部活動もできません。

陸上競技場も利用できなくなり、みなさんは自宅の中や近所で身体を動かしていることでしょう。そして、学校から出た学習課題にも取り組む毎日だろうと思います。

私が今の中・高校生ならどんな毎日を送っているだろうかと考える時があります。

生来の怠け者なので、おそらく誰も見張っていない環境では自堕落な生活を送っていたと思います。ですので、スポーツにせよ、勉強にせよ、1人で粘り強く続けている人には尊敬の念があります。

そんな私ですが、大人になってから感銘を受けた言葉を紹介したいと思います。

まずは、
「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。 やがて大きな花が咲く」

シドニー五輪女子マラソンの金メダリスト・高橋尚子さんがインタビューなどでよく話していた言葉です。陸上界なら知っている人も多いと思います。

イメージで思い浮かぶかと思いますが、うまくいかない時でも、地道に努力していれば、やがてその努力が報われて、大きな成果を得るという意味です。

元大手電機メーカー幹部の著書にあったそうですが、山梨学大・上田誠仁監督も教え子に説いていました。その中には高橋さんの県岐阜商高時代の恩師・中澤正仁先生もいて、高橋さんも教わったということです。

少なくともあと2ヵ月は試合もない上、日頃の活動も制限される中で、モチベーションを保つのは難しいですが、自分ができることを続けてほしいです。


地道に練習を重ねてシドニー五輪で〝大きな花〟を咲かせた高橋尚子さん 

そして、もう1つが
「野村-野球=0」

これは裏の意味を読み取ることがポイントです。ちなみに「野村引く野球イコールゼロ」と読みます。

プロ野球で選手・監督の両方で活躍し、2月に亡くなった野村克也さんの言葉です。野村さんは「自分から野球を取ったら取り柄がない」と自嘲気味で使うことも多く、いろんな著書を通じて、「こうなってはいけない」とも伝えています。

プロ野球選手の大半は現役期間が短く、引退後もコーチなどでその業界にとどまる人も少ないです。それだけに「現役を終えた後のこともしっかり考えて日々生きなさい」という意味でしょう。

私の高校時代、勉強をなおざりに陸上漬けの毎日を送り、終わった途端はまったくの抜け殻。案の定、大学受験に失敗して予備校行きとなりました。

今、自宅にずっといる毎日で、身体を動かしつつ、課題をこなしつつ、将来も見据えて何が必要かを前向きに考えてほしいと思います。

普段のトレーニング以上に、この1日1日の取り組み方が、後になって大きな差になると思います。失敗した人間が言うのも変ですが。そして、もちろん健康には気をつけましょう。

井上 敦(いのうえ あつし)
1978年8月生まれ。新潟市江南区出身。横越中→新潟明訓高→某大学(陸上界では有名だが、陸上部に入っていないので匿名)。月刊陸上競技編集部には2015年6月中旬から在籍。中学で最初は100mを始めたものの、その年の東京世界選手権でファイナリストとなった高野進選手に憧れて400mに転向。しかし、県大会に進めなかったうえに、中3秋の駅伝で区間賞獲得や県大会に出場したことでまたまた転向を決意。高校では1500mをメイン種目に2年時の県新人大会で6位入ったのが最高。

編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)

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第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上 敦)

例年この時期なら、日本グランプリシリーズが始まって、月陸編集部でも結果を見ながら、「あーだ、こーだ」と雑談混じりでさまざまな会話が飛び交っている頃です。 私自身は昨年から高校生を主に担当することになって、1年前は日体大長距離競技会男子1500mでクレイ・アーロン竜波選手(相洋・神奈川)を取材したり、その翌週は千葉の支部大会で野田市の競技場に出かけて、110mハードルの村竹ラシッド選手(松戸国際・千葉)に話を聞いていました。 しかし、この春は大会取材に出ていません。このブログもアパートのちっさい自室で書いています。 日本陸連が6月末までの競技会の自粛を各関係団体に要請し、競技会は軒並み中止・延期となっています。当たり前に感じていた競技場で選手が躍動する姿、応援の歓声が、何だかとても愛おしく思える今日このごろです。 報道によると、全国45の都道府県の県立学校で、休校措置や在宅教育への切り替えを決めたとのことです。大半の私立校も県立校と同様の措置を取っています。休校期間中は部活動もできません。 陸上競技場も利用できなくなり、みなさんは自宅の中や近所で身体を動かしていることでしょう。そして、学校から出た学習課題にも取り組む毎日だろうと思います。 私が今の中・高校生ならどんな毎日を送っているだろうかと考える時があります。 生来の怠け者なので、おそらく誰も見張っていない環境では自堕落な生活を送っていたと思います。ですので、スポーツにせよ、勉強にせよ、1人で粘り強く続けている人には尊敬の念があります。 そんな私ですが、大人になってから感銘を受けた言葉を紹介したいと思います。 まずは、 「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。 やがて大きな花が咲く」 シドニー五輪女子マラソンの金メダリスト・高橋尚子さんがインタビューなどでよく話していた言葉です。陸上界なら知っている人も多いと思います。 イメージで思い浮かぶかと思いますが、うまくいかない時でも、地道に努力していれば、やがてその努力が報われて、大きな成果を得るという意味です。 元大手電機メーカー幹部の著書にあったそうですが、山梨学大・上田誠仁監督も教え子に説いていました。その中には高橋さんの県岐阜商高時代の恩師・中澤正仁先生もいて、高橋さんも教わったということです。 少なくともあと2ヵ月は試合もない上、日頃の活動も制限される中で、モチベーションを保つのは難しいですが、自分ができることを続けてほしいです。 地道に練習を重ねてシドニー五輪で〝大きな花〟を咲かせた高橋尚子さん  そして、もう1つが 「野村-野球=0」 これは裏の意味を読み取ることがポイントです。ちなみに「野村引く野球イコールゼロ」と読みます。 プロ野球で選手・監督の両方で活躍し、2月に亡くなった野村克也さんの言葉です。野村さんは「自分から野球を取ったら取り柄がない」と自嘲気味で使うことも多く、いろんな著書を通じて、「こうなってはいけない」とも伝えています。 プロ野球選手の大半は現役期間が短く、引退後もコーチなどでその業界にとどまる人も少ないです。それだけに「現役を終えた後のこともしっかり考えて日々生きなさい」という意味でしょう。 私の高校時代、勉強をなおざりに陸上漬けの毎日を送り、終わった途端はまったくの抜け殻。案の定、大学受験に失敗して予備校行きとなりました。 今、自宅にずっといる毎日で、身体を動かしつつ、課題をこなしつつ、将来も見据えて何が必要かを前向きに考えてほしいと思います。 普段のトレーニング以上に、この1日1日の取り組み方が、後になって大きな差になると思います。失敗した人間が言うのも変ですが。そして、もちろん健康には気をつけましょう。
井上 敦(いのうえ あつし) 1978年8月生まれ。新潟市江南区出身。横越中→新潟明訓高→某大学(陸上界では有名だが、陸上部に入っていないので匿名)。月刊陸上競技編集部には2015年6月中旬から在籍。中学で最初は100mを始めたものの、その年の東京世界選手権でファイナリストとなった高野進選手に憧れて400mに転向。しかし、県大会に進めなかったうえに、中3秋の駅伝で区間賞獲得や県大会に出場したことでまたまた転向を決意。高校では1500mをメイン種目に2年時の県新人大会で6位入ったのが最高。
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