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編集部コラム「エゴイスト」

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第91回「エゴイスト(船越陽一郎)

エゴイストとは、利己主義者のこと。他人のこうむる不利益を省みず、自らの利益だけを求めて行動する人のこと。

ウィキペディアで調べたらこんな意味がでました。これだけ聞くとあまり感じのいい言葉ではありませんね。

ただ、私個人の見解としては、勝負事においては必要な要素だと思っています。

エゴイストと聞くと、高校時代にラグビーをしていた時の同級生のことをいつも思い出します。彼のことはEくんとしておきます。彼の存在は中学生の時から知っていました。なぜなら、ひとり飛抜けた存在だったからです。そんな彼と同じ高校のチームメイトとなってその凄さを目の当たりにしたことにより、

「こいつには勝てないな……」

そんな感情が芽生える様になりました。Eくんは1年生からレギュラーとなり、ガンガン試合に出ていました。かたや私はベンチに入ることすらない応援団の一人。だからと言って、別に妬ましいだとか悔しいだとかの感情も湧かない程の差があり、もう別次元の人間だと思っていました。

また、彼は強烈な個性の持ち主でもありました。レギュラーであることを鼻にかけるということは一切ないのですが、自分の意見を曲げない人でした。一言で言えば超面倒くさいヤツです。

こんなことがありました。毎年1年生だけで作る学年ジャージなるものがありました。それは3年間使うジャージですので、なるだけかっこいいものを作りたいというのが1年生全員の総意でした。先生が候補となるデザインを2つに絞って持って来てくれました。1つはフランス国旗をモチーフにした様な青白赤のトリコロールカラーのジャージ。もう一つは、真黄色に胸の辺りに赤でVのラインが入ったジャージ。

そのデザインを見た1年生のほとんどが一瞬でトリコロールのジャージを選択したに違いないのですが、たった一人 Eくんだけが真黄色のダッサイどう見たってゴレンジャーに出てくるキレンジャー(10代&20代の方々は知らないかもしれませんが……)にしか見えないジャージに興味を持ってしまいました。ほぼEくん以外の全員がトリコロールのほうがいいという意見だったのですが、そのEくんは異常なほどにゴネるゴネる。1年生は全員で40人近くいましたが、なんと全員Eくんに根負けしてしまい、結局キレンジャージャージに決まってしまいました。夏合宿などで1年生同士の練習試合で使うのですが、15人揃うとダサさが増すという恐ろしいジャージ。なぜEくんはこれを推したのだろう?

とにかく自分の意見を曲げないのです。ちょこちょこ「生意気だ」と先輩にもこづかれたりとかもあったようです。

でも、自分たちが3年生となり私自身もレギュラーとなった時にこんなに頼れる人間が他にいないというのも事実でした。とにかく気が強いのです。喧嘩っ早いとか、誰に対しても大きな態度をとるとかそういうことではなく、たとえば試合中にどういう不利な状況に陥いようとも決して弱気にならないのです。

ラグビーをしていない方にはわかりにくいかもしれませんが、ラグビーはすぐに試合が止まります。けれども、稀にぜんぜん止まらない時があります。フェーズを重ねていけばいくほど本当にきついです。その息が上がっている際に相手チームに自分たちの後ろへキックを蹴り込まれるという瞬間があります。本当にゾッとする瞬間です。

急いでボールのもとへ行きますが、間違いなく相手チームの選手が追ってきています。相手チームも絶対きついはずです。でも、前に走ることと後ろに戻ることでは全く気持ちの持ち方が違います。私ならその状況下ではボールを拾うことを諦め、足でボールを外に蹴り出します。だいたいの選手は同じ判断をするのではと思います。なぜなら、安易な方法ではありますが、一番安全な策だからです。

しかし、Eくんは違います。そんな危機的状況下であろうとも、カウンターを狙っていきます。自分の体力がほぼ無くなっているだとか、ここで捕まって相手チームにボールを奪われたらどうしようだとか 彼の頭の中には一切ないのです。どういう状況だろうと常に攻撃に転じます。いつもいつもビックリさせられます。

でも、いつも最悪の事態になることはありません。その行動はチームを思っての行動なのか、単なる自分勝手の判断なのかはわかりませんが、そんなことはどうでもいい気がします。だって彼は結果的にチームを救っているのだから。

彼が自分の後ろにいてくれるだけで、どんなに頼もしく感じたことでしょうか。私が持ち合わせていないものを彼は持ち合わせていたのです。

今思えば、妬ましいだとか悔しいだとかの感情も湧かない程の差があり、もう“別次元の人間”に、心のどこかで憧れていたように思えます。

傲慢さも、馬鹿さも、突き抜けてしまえばそれは短所ではなくなるのではないでしょうか。むしろ、誰にもマネ出来ない強烈な武器なのかもしれませんね。

ただ、ほどほどにしないと嫌われちゃいますけどね(笑)。

船越陽一郎(ふなこし・よういちろう)
月刊陸上競技写真部/1974年12月生まれ、172cm、○0kg、福岡県春日市出身
小学生の時に身体が弱く 喘息持ちだったため、鍛えるためにラグビーを始め「走れば治る」が口癖のドSのコーチに肉体改造される。大学までラグビーを続けるも卒業と同時に引退。何を思ったか社会人でボクシングを始める。戦績 3戦3敗(3KO負け) 秘密兵器の左フックを編み出すも、秘密のまま引退。なんじゃかんじゃあって現在に至る。。

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