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2019.12.27

編集部コラム「みんなキラキラ」
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攻め(?)のアンダーハンド

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毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第22回「みんなキラキラ(向永拓史)

 これを書いているのはクリスマス。街がキラキラしていますが、今年も私にはまったく関係のないこと。

〝キラキラ〟といえば、今年はたくさんの選手たちが輝きを放ちました。特に中学、高校時代から取材をしてきた選手たちが活躍するのはうれしいものです。

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 ドーハ世界選手権に出場したサニブラウン・アブデル・ハキーム選手、山下潤選手、橋岡優輝選手、江島雅紀選手、北口榛花選手、藤井菜々子選手や、大学長距離で活躍する髙松智美ムセンビ選手も、そういった選手たちです。
第1期ダイヤモンドアスリート認定式の様子です

 彼らの共通点といえば「日本陸連ダイヤモンドアスリート」。日本陸連が東京五輪に向けて世界で活躍が期待される選手、そして〝国際人〟として将来スポーツ界のリーダーとなる人材育成を目指した制度で、2015年からスタートしました。

 英会話やリーダシッププログラム、海外遠征といった支援が充実し、選手たちもそれに応えてジュニア世代から国際舞台で活躍している選手も多いです。ダイヤモンドアスリートは中高生たちの〝あこがれ〟の存在になっています。

 11月には、2019-20ダイヤモンドアスリート認定式が行われ、新たに男子短距離の鵜澤飛羽選手(築館高校)、男子走幅跳・ハードルの藤原孝輝選手(洛南高校)が選出されました。これからのさらなる活躍が楽しみです。

 世界選手権組見ると「やっぱりすごい」と思います。それは、選手のポテンシャル、努力、成長度合いはもちろん、選出する側の〝見る目〟の確かさもあらためて実感します。

 ただ、輝かしい結果を残している選手もいれば、思うような活躍ができずにいる選手もいます。もちろん、それは仕方のないこと。陸上競技に限らず、全員がうまくいくはずがありません。

 先ほど挙げた選手の他に、どんな選手がダイヤモンドアスリートに選ばれていたか覚えていらっしゃるでしょうか。修了生を少しだけ紹介したいと思います。

[第1期]
 男子短距離の犬塚渉選手は現在順大の4年生。度重なるケガに泣かされ、1年間まったく試合に出られない時期もありました。それでも、地道に練習を積み、走れば確実に存在感を発揮します。卒業後も競技を続けると聞いていますので、完全復活が楽しみです。
犬塚渉選手

 400mが専門の北川貴理選手は順大を卒業して富士通で競技をしています。16年リオ五輪には4×400mリレー代表として出場した彼もまた、大学生活後半はコーナーを走る際に足に痛みが走るなど、なかなか思うような結果を残せずにいました。少しずつ持ち前の後半の強さも戻ってきましたし、あとは高校時代のように100m・200mのスピード感覚が戻れば、必ず復活するはずです。
北川貴理選手

 男子400mハードルの岩本武選手は、Gloria-AC所属で、地元京都に戻って競技を続けています。彼もケガに苦しんだ1人。ただ、400mのスピードが復活し、今年9月には50秒84の自己ベストをマークしました。高校時代からその潜在能力は高く評価されていた選手で、まだまだ成長途上です。

 筑波大1年で早くも15年世界選手権の走高跳で代表入りした平松祐司選手。現在は「辰野」で働きながら母校・西城陽高でトレーニングを積んでいます。2年時以降、故障に苦しみ、一度心身をリセットするために試合から離れた時期もありました。まだ踏み切りに恐怖心が残っていると話していましたが、しっかり練習を積めば戻れるという感覚が出てきたようです。

 走幅跳の佐久間滉洸大選手は横浜リテラ所属。以前、Web特別記事でも紹介しましたが、現在は小池祐貴選手や竹田一平選手たちと同じ、臼井淳一コーチに師事しています。活況の走幅跳に加わる日が楽しみです。

 やり投の池川博史選手は筑波大の3年生。タイトルに届かず苦しんでいますが、学生の大会では必ず入賞に食い込んでいます。なんといっても身長194cmのサイズが魅力。いつ爆発してもおかしくありません。余談ですが、私と同じ〝ひろし〟なので、応援しています。
池川博史選手

 女子100mハードルの藤森菜那選手は明大4年生となった今年、ようやく力を発揮しました。もともと手脚が長く、身体をうまく使えるようになれば結果が出るだろうと誰もが思っていた存在。藤森選手は、大学2年より先に〝修了〟しています。選手・陸連どちらとも提案した上でのことと聞いています。プレッシャーやプログラムへの対応に苦労したようですが、「今は陸上が楽しい」と笑顔で優勝争いしている姿を見ると感動します。

[第3期、第5期]
 この年は女子やり投の長麻尋選手のみ新規認定でした。現在国士大に所属し、11月に修了式を終えました。環境の変化や腰のケガなどあり、大学1、2年シーズンはなかなか活躍する姿は見られませんでしたが、国士大の選手はいつも大学後半で一気に記録を更新します。現在はケガもなく順調とのこと。表情も明るく、来年はやってくれそうです。
長麻尋選手

 同時期に修了生となったのは宮本大輔選手と井本佳伸選手。宮本選手は東洋大で、関東インカレ連覇など活躍していますが、今年の秋シーズンはケガで走りの感覚が少し崩れていました。井本選手もケガが多いですが、世界リレーのマイル予選で快走した姿は〝さすが!〟と誰もが唸りました。先日の修了式では、どちらも来シーズンの活躍を誓っていました。彼らなら、大丈夫。
第1回ダイヤモンドアスリート認定式は、U19合宿の日に行われました

 ダイヤモンドアスリート認定が始まった2015年当時。賛否両論ありました。

 正直、私も疑問を投げかけた1人です。失礼を承知で「あの選手が選ばれていないのはなぜでしょうか」「すでに活躍している選手が多いが、どういった基準なのでしょうか」「発表の仕方に問題はないでしょうか」と取材しました。

 1期の発表は、U19オリンピック育成競技者の合宿のタイミングで行われました。ズラリと前に並び発表される一方、同じ部屋には高校トップ選手たちがたくさん。みな、取材してきた選手たちです。「ダイヤモンド」と「その他」というふうに映り、胸が張り裂けそうでした。

 でも、その時の挨拶で山崎一彦先生はこうおっしゃいました。

「僕がもし高校生だったら選ばれていない。それでもオリンピックに3度出場できた。ダイヤモンドアスリートが将来を約束されたわけではないし、これまで以上に活躍してほしい。選ばれなかった選手も、誰もがタレントになれる可能性がある。悔しさを糧に成長してほしい」

 当時のオリンピック育成競技者は、今季の社会人1年目となる年代の選手たちが中心でした。ドーハ世界選手権に出場した多田修平選手、白石黄良々選手、やり投で80mを超えた崎山雄太選手も同年代ですが、インターハイも勝っておらず、育成競技者にも選出されていません。
白石黄良々選手

崎山雄太選手

 1学年下ですが、400mハードルで代表入りした豊田将樹選手も育成競技者でしたが、ダイヤモンドアスリートではありません。

 女子円盤投で日本記録を出して世界選手権に出場した郡菜々佳選手、七種競技で日本歴代2位を持つヘンプヒル恵選手も、育成競技者でした。

 選ばれた側、選ばれなかった側、どちらにも、いろいろな感情、葛藤があったと思います。実際、何人かの選手にあとになってからその時の思いを聞いたことあります。

 ただ、私としては、ダイヤモンドアスリートであっても、そうでなくても、取材する時に何か変わるわけではありません。もちろん、活躍している選手を取材することが必然的に多くなるのですが。
同時期のU19オリンピック育成競技者の集合写真

 山崎先生が言うように、選ばれたから皆が順調にいくわけでもないし、選ばれなかったからあきらめる必要はありません。それを、選手のみんなが、己と戦い、努力し、這いつくばりながら教えてくれています。輝くタイミングは人それぞれ。〝その時〟がくれば、きっと輝けます。

 私には、将来が期待されるような選手を見極める力はありません。国際舞台で活躍する選手も、悪戦苦闘しながら成長する選手も、違う道を自ら選んでいく選手も、キラキラと輝いている。みんなダイヤモンドなんです。

 こんなことを書いていたら、クリスマスが終わりました。今年もまったくキラキラすることがありませんでした。いつになったら輝けるのでしょうか……。

 タイミングは人それぞれ、と言っておきながら、まったく説得力がありません。いいんです。取材してきた多くのダイヤモンドから、いつもたくさんのプレゼントもらっていますから。(と強がっておきます)

 それではみなさん、よいお年をお迎えください。いよいよ東京五輪イヤー。来年もよろしくお願いいたします。

向永拓史(むかえ・ひろし)
月刊陸上競技編集部 新米編集部員
1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg(全盛期のマラドーナと同じ)、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。趣味は一人カラオケで、自己ベストは8時間。

編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
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編集部コラム第14回「初陣」(船越)
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編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。 編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。 暇つぶし程度にご覧ください!

第22回「みんなキラキラ(向永拓史)

 これを書いているのはクリスマス。街がキラキラしていますが、今年も私にはまったく関係のないこと。 〝キラキラ〟といえば、今年はたくさんの選手たちが輝きを放ちました。特に中学、高校時代から取材をしてきた選手たちが活躍するのはうれしいものです。  ドーハ世界選手権に出場したサニブラウン・アブデル・ハキーム選手、山下潤選手、橋岡優輝選手、江島雅紀選手、北口榛花選手、藤井菜々子選手や、大学長距離で活躍する髙松智美ムセンビ選手も、そういった選手たちです。 第1期ダイヤモンドアスリート認定式の様子です  彼らの共通点といえば「日本陸連ダイヤモンドアスリート」。日本陸連が東京五輪に向けて世界で活躍が期待される選手、そして〝国際人〟として将来スポーツ界のリーダーとなる人材育成を目指した制度で、2015年からスタートしました。  英会話やリーダシッププログラム、海外遠征といった支援が充実し、選手たちもそれに応えてジュニア世代から国際舞台で活躍している選手も多いです。ダイヤモンドアスリートは中高生たちの〝あこがれ〟の存在になっています。  11月には、2019-20ダイヤモンドアスリート認定式が行われ、新たに男子短距離の鵜澤飛羽選手(築館高校)、男子走幅跳・ハードルの藤原孝輝選手(洛南高校)が選出されました。これからのさらなる活躍が楽しみです。  世界選手権組見ると「やっぱりすごい」と思います。それは、選手のポテンシャル、努力、成長度合いはもちろん、選出する側の〝見る目〟の確かさもあらためて実感します。  ただ、輝かしい結果を残している選手もいれば、思うような活躍ができずにいる選手もいます。もちろん、それは仕方のないこと。陸上競技に限らず、全員がうまくいくはずがありません。  先ほど挙げた選手の他に、どんな選手がダイヤモンドアスリートに選ばれていたか覚えていらっしゃるでしょうか。修了生を少しだけ紹介したいと思います。 [第1期]  男子短距離の犬塚渉選手は現在順大の4年生。度重なるケガに泣かされ、1年間まったく試合に出られない時期もありました。それでも、地道に練習を積み、走れば確実に存在感を発揮します。卒業後も競技を続けると聞いていますので、完全復活が楽しみです。 犬塚渉選手  400mが専門の北川貴理選手は順大を卒業して富士通で競技をしています。16年リオ五輪には4×400mリレー代表として出場した彼もまた、大学生活後半はコーナーを走る際に足に痛みが走るなど、なかなか思うような結果を残せずにいました。少しずつ持ち前の後半の強さも戻ってきましたし、あとは高校時代のように100m・200mのスピード感覚が戻れば、必ず復活するはずです。 北川貴理選手  男子400mハードルの岩本武選手は、Gloria-AC所属で、地元京都に戻って競技を続けています。彼もケガに苦しんだ1人。ただ、400mのスピードが復活し、今年9月には50秒84の自己ベストをマークしました。高校時代からその潜在能力は高く評価されていた選手で、まだまだ成長途上です。  筑波大1年で早くも15年世界選手権の走高跳で代表入りした平松祐司選手。現在は「辰野」で働きながら母校・西城陽高でトレーニングを積んでいます。2年時以降、故障に苦しみ、一度心身をリセットするために試合から離れた時期もありました。まだ踏み切りに恐怖心が残っていると話していましたが、しっかり練習を積めば戻れるという感覚が出てきたようです。  走幅跳の佐久間滉洸大選手は横浜リテラ所属。以前、Web特別記事でも紹介しましたが、現在は小池祐貴選手や竹田一平選手たちと同じ、臼井淳一コーチに師事しています。活況の走幅跳に加わる日が楽しみです。  やり投の池川博史選手は筑波大の3年生。タイトルに届かず苦しんでいますが、学生の大会では必ず入賞に食い込んでいます。なんといっても身長194cmのサイズが魅力。いつ爆発してもおかしくありません。余談ですが、私と同じ〝ひろし〟なので、応援しています。 池川博史選手  女子100mハードルの藤森菜那選手は明大4年生となった今年、ようやく力を発揮しました。もともと手脚が長く、身体をうまく使えるようになれば結果が出るだろうと誰もが思っていた存在。藤森選手は、大学2年より先に〝修了〟しています。選手・陸連どちらとも提案した上でのことと聞いています。プレッシャーやプログラムへの対応に苦労したようですが、「今は陸上が楽しい」と笑顔で優勝争いしている姿を見ると感動します。 [第3期、第5期]  この年は女子やり投の長麻尋選手のみ新規認定でした。現在国士大に所属し、11月に修了式を終えました。環境の変化や腰のケガなどあり、大学1、2年シーズンはなかなか活躍する姿は見られませんでしたが、国士大の選手はいつも大学後半で一気に記録を更新します。現在はケガもなく順調とのこと。表情も明るく、来年はやってくれそうです。 長麻尋選手  同時期に修了生となったのは宮本大輔選手と井本佳伸選手。宮本選手は東洋大で、関東インカレ連覇など活躍していますが、今年の秋シーズンはケガで走りの感覚が少し崩れていました。井本選手もケガが多いですが、世界リレーのマイル予選で快走した姿は〝さすが!〟と誰もが唸りました。先日の修了式では、どちらも来シーズンの活躍を誓っていました。彼らなら、大丈夫。 第1回ダイヤモンドアスリート認定式は、U19合宿の日に行われました  ダイヤモンドアスリート認定が始まった2015年当時。賛否両論ありました。  正直、私も疑問を投げかけた1人です。失礼を承知で「あの選手が選ばれていないのはなぜでしょうか」「すでに活躍している選手が多いが、どういった基準なのでしょうか」「発表の仕方に問題はないでしょうか」と取材しました。  1期の発表は、U19オリンピック育成競技者の合宿のタイミングで行われました。ズラリと前に並び発表される一方、同じ部屋には高校トップ選手たちがたくさん。みな、取材してきた選手たちです。「ダイヤモンド」と「その他」というふうに映り、胸が張り裂けそうでした。  でも、その時の挨拶で山崎一彦先生はこうおっしゃいました。 「僕がもし高校生だったら選ばれていない。それでもオリンピックに3度出場できた。ダイヤモンドアスリートが将来を約束されたわけではないし、これまで以上に活躍してほしい。選ばれなかった選手も、誰もがタレントになれる可能性がある。悔しさを糧に成長してほしい」  当時のオリンピック育成競技者は、今季の社会人1年目となる年代の選手たちが中心でした。ドーハ世界選手権に出場した多田修平選手、白石黄良々選手、やり投で80mを超えた崎山雄太選手も同年代ですが、インターハイも勝っておらず、育成競技者にも選出されていません。 白石黄良々選手 崎山雄太選手  1学年下ですが、400mハードルで代表入りした豊田将樹選手も育成競技者でしたが、ダイヤモンドアスリートではありません。  女子円盤投で日本記録を出して世界選手権に出場した郡菜々佳選手、七種競技で日本歴代2位を持つヘンプヒル恵選手も、育成競技者でした。  選ばれた側、選ばれなかった側、どちらにも、いろいろな感情、葛藤があったと思います。実際、何人かの選手にあとになってからその時の思いを聞いたことあります。  ただ、私としては、ダイヤモンドアスリートであっても、そうでなくても、取材する時に何か変わるわけではありません。もちろん、活躍している選手を取材することが必然的に多くなるのですが。 同時期のU19オリンピック育成競技者の集合写真  山崎先生が言うように、選ばれたから皆が順調にいくわけでもないし、選ばれなかったからあきらめる必要はありません。それを、選手のみんなが、己と戦い、努力し、這いつくばりながら教えてくれています。輝くタイミングは人それぞれ。〝その時〟がくれば、きっと輝けます。  私には、将来が期待されるような選手を見極める力はありません。国際舞台で活躍する選手も、悪戦苦闘しながら成長する選手も、違う道を自ら選んでいく選手も、キラキラと輝いている。みんなダイヤモンドなんです。  こんなことを書いていたら、クリスマスが終わりました。今年もまったくキラキラすることがありませんでした。いつになったら輝けるのでしょうか……。  タイミングは人それぞれ、と言っておきながら、まったく説得力がありません。いいんです。取材してきた多くのダイヤモンドから、いつもたくさんのプレゼントもらっていますから。(と強がっておきます)  それではみなさん、よいお年をお迎えください。いよいよ東京五輪イヤー。来年もよろしくお願いいたします。
向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg(全盛期のマラドーナと同じ)、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。趣味は一人カラオケで、自己ベストは8時間。
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