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編集部コラム「特別な存在」

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暇つぶし程度にご覧ください!

第108回特別な存在(山本慎一郎)

 東京オリンピックが終わって10日あまりが過ぎました。大会がずいぶん前だったような、やっぱりつい最近のような、不思議な感覚が残りながら毎日を過ごしています。

 今回、月陸編集部の取材枠は「1」だったので、私は会社のテレビやネット配信で東京五輪を見ていました。

 開催期間中も会社から数kmしか離れていない国立競技場が会場になっているという実感がなく、それでいてモニターを見ると世界中のアスリートたちが戦っているので、何だか夢の中にいるようでした(ちなみに、柔道が行われた日本武道館は数kmどころか徒歩圏内です)。

 今回、陸上競技は三浦龍司選手(順大)が3000m障害で、田中希実選手(豊田自動織機TC)が女子1500mで入賞するなど、これまでの日本人では考えられないような活躍を見せました。中距離種目で日本人が世界トップレベルの選手を相手に堂々渡り合う姿は昭和世代の月陸編集部にはあまりにも衝撃的で、その光景が余計に東京五輪の“非日常感”を加速させたのかもしれません(ちなみに春先には田中選手を取材させていただいており、どんな練習をしているかをこちらの記事で少し紹介しています)。

 一方で、大会の前にはマラソンの大迫傑選手(Nike)が「東京五輪をラストレースにする」と事実上の引退宣言をして話題になりました。大迫選手には初マラソンの時から毎回レース数日後にはナイキさんを通じて取材の機会をいただいており、話を聞くたびに東京五輪へのビジョンや想いが明確になっているのを感じていたので、「あぁ、やっぱりこれが最後なのか」と私のほうもいろいろな感情が湧いてきました。

 ただ、ここで引退することはある程度予想もできましたが、大会を前にしてここまではっきり発表したことには驚きました。記者会見などの場ではなく、自分のSNSを使って公表するところが大迫選手らしいなとも思いました。

 大迫選手のすごさはみなさんがそれぞれに感じられていることがあると思いますが、私にとって大迫選手が特別だと思うのは、常に「大迫選手が出るレースは全部見たい」と思わせるだけの魅力があったことです。それは私だけではなく、おそらく日本の長距離関係者の多くが同様に大迫選手の走りや言動に注目していたのではないでしょうか。

 私が初めて大迫選手と接触したのは高2の春で、それから13年ほどの付き合いとなりました。もちろん、取材する機会はそれほど多いわけではなかったので、大迫選手のほうが私のことを認識しているかどうかはわかりませんが、偉大な選手の成長の足跡をリアルタイムで見られたのは幸せでした。

大迫選手(前列右)と初めて接触したのは2008年5月の日体大長距離競技会。この時は佐久長聖高のエースだった村澤明伸選手(現・SGホールディングスグループ、前列中央)が5000mで13分台に突入しました

 個別インタビューをさせていただいた2010年8月の早大・深川合宿で「自分たちがやっている練習は間違っているんじゃないか」と、世界と戦う方法を真剣に考えていて圧倒されたのが懐かしく思い出されます。個人的な本音としては走っている姿をもっと見たかったですが、次のステージでの活躍を期待しています。ありがとうございました。

早大の北海道・深川合宿で同期の志方文典選手(右)と


当時から練習はチームとは別メニュー。合宿終盤にもかかわらず3kmを8分32秒で駆け抜ける姿に驚愕しました(月陸2010年10月号に当時の特集があります)

山本慎一郎(やまもとしんいちろう)
月刊陸上競技 編集部(兼企画営業部)企画課長
1983年1月生まれ。福島県いわき市出身。160cm、47kg(ピーク時)。植田中→磐城高→福島大→法大卒。中学では1学年下の村上康則(2010年日本選手権1500m覇者)と一緒に駅伝を走り、その才能を間近で見て挫折。懲りずに高校で都大路、大学で箱根駅伝を目指すも、いずれも未達に終わる。引退するタイミングを逸して現在も市民ランナーとして活動中。シューズマニアの一面も持ち、月陸Onlineでは「シューズレポ」を連載中。

編集部コラム第107回「オリンピックの価値」(向永)
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