2021.02.12
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム🔥
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第81回「〝きっかけ〟の提供を」(井上 敦)
金曜深夜の更新で恐縮です。
ここ最近、東京五輪に関するさまざまなニュースに接し、正直心が重い日々です。
当サイトのニュースリンク集を日々更新していますが、リンク先となる各メディアとも、陸上関係のニュースはサッカーや野球とは区別されて、「スポーツ」や「一般スポーツ」といったカテゴリーに入ります。その中には五輪に関するニュースも含まれ、昨今のさまざまな出来事が「見出し」となります。それを眺めながらため息も…。明るいニュースが出るなら大歓迎ですが、2021年の夏はどうなるのでしょうか。
元日、この2021年を迎えて、ふと思ったのは「もう30年」。私自身が陸上を本格的に始めたのは中学に入学した1991年です。この年は夏に東京世界選手権が行われました。大観衆が国立競技場を埋め尽くし、カール・ルイス(米国)の劇的な男子100m世界新や、男子走幅跳のルイスとマーク・パウエル(米国)によるハイレベルバトル、日本勢では男子マラソンで谷口浩美の金メダルや、男子400mでは高野進の決勝進出など、大いに盛り上がりました。
東京世界選手権男子走幅跳決勝で満員の観客を前に跳躍するカール・ルイス。この詳細な競技内容も後で知りました・・・
実は当時の私が、彼らの活躍のほとんどを知ったのが、大会が終わった後でした。テレビで生中継していましたが、その中継を見た記憶があまりありません。ただ夏休み中の部活でチームメイトや先輩が「カール・ルイスがすごかった」と話していたのを覚えているだけです。
終わった後に知ったというのは、陸上専門誌の存在です。中学校の図書館に並んであった専門誌の世界選手権の記事を読んで、選手の活躍ぶりを活字や写真で追いかけていました。気がついたら、雑誌に書いてあった文章中の記録や通過タイムも覚えていたりして、マニアックなぐらい読み込んでいました。そして、「ちゃんとテレビを見ておけばよかった」とちょっぴり後悔もしました。
今では男子ショートスプリント、特に4×100mリレーで世界のトップを争うレベルですが、当時はロングスプリント。というか、高野選手。とんでもない体格の外国人選手相手に立ち向かう姿は、当時短距離だった私も魅了された1人でした。練習を続けて記録が面白いように伸びていったこともありますが、トップ選手を知ったことも、競技そのものにのめり込むをようになっていったと思います。
そもそも、小学校では学年一を争うぐらい運動が苦手で、「中学ではせめて足だけでも早くなりたい」というのが陸上部に入った理由です。別に競技自体に特別の興味はありませんでした。それがまさか、30年後に陸上雑誌の編集部で仕事をしているとは……。世の中不思議なものです。
弊社にはインターハイ優勝者がいたり、大学まで陸上を経験した人もいますが、私みたいな高校までの競技経験で、さして実績もない人間がこのギョーカイに今いるのも、30年前のことが端緒でした。
当時とは違って、現在はいろんなメディアが増えて、陸上競技だけに限らずさまざまな情報と触れる機会が膨大になりました。その中で子供たちが陸上により興味を持ってもらうには、やはり大きなコンテンツが必要だと思います。
人の命が関わる状況というのは重々承知しています。こういう仕事をしながらも、私自身もすごく悩んでいます。それでも、与えられた機会なので、今の子供たちが未来の陸上界を紡ぐ〝きっかけ〟となるものを何とか見せてほしいと思っています。
井上 敦(いのうえ あつし) 1978年8月生まれ。新潟市江南区出身。横越中→新潟明訓高→某大学(陸上では有名だが、陸上部に入っていないので匿名)。月刊陸上競技編集部には2015年6月中旬から在籍。中学で最初は100mを始めたものの、その年の東京世界選手権でファイナリストとなった高野進選手に憧れて400mに転向。しかし、県大会に進めなかったうえに、中3秋の駅伝で区間賞獲得や県大会出場でまたまた転向を決意。高校では中距離をメインに、2年時の県新人大会1500mで6位入ったのが最高成績。 |
編集部コラム第80回「一番アツい夏」(山本)
編集部コラム第79回「前向きな言葉という魔法」(向永)
編集部コラム第78回「自分なりの『答え』を探す」(小川)
編集部コラム第77回「カメラマンの箱根駅伝」(船越)
編集部コラム第76回「専門誌記者の箱根駅伝」(松永)
編集部コラム第75回「データで見る箱根駅伝当日エントリー変更」(大久保)
編集部コラム第74回「2020年を振り返って」(井上)
編集部コラム第73回「プレッシャーとの向き合い方」(山本)
編集部コラム第72回「陸上競技のイメージを変えたい」(向永)
編集部コラム第71回「2020年ラストスパート!!」(小川)
編集部コラム第70回「理不尽なこと」(船越)
編集部コラム第69回「這い上がる」(松永)
編集部コラム第68回「都道府県対抗 男子十種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第67回「都大路も高速レースの予感」(井上)
編集部コラム第66回「陸上競技を続けると……?」(山本)
編集部コラム第65回「強い選手の共通点?パート2」(向永)
編集部コラム第64回「2020年シーズンはまだこれから!!」(小川)
編集部コラム第63回「質と量」(船越)
編集部コラム第62回「たかが2cm、されど2cm」(松永)
編集部コラム第61回「都道府県対抗 女子七種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第60回「キソの大切さ」(井上)
編集部コラム第59回「思い込みを捨てる」(山本)
編集部コラム第58回「それ、ドーピングだよ」(向永)
編集部コラム第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」(小川)
編集部コラム第56回「魔法の言葉」(船越)
編集部コラム第55回「月陸ってどんな雑誌?」(松永)
編集部コラム第54回「インターハイ種目別学校対抗(女子編)」(大久保)
編集部コラム第53回「明確なビジョン」(井上)
編集部コラム第52回「人間性を磨く」(山本)
編集部コラム第51回「指が痛い。」(向永)
編集部コラム第50回「温故知新」(小川)
編集部コラム第49回「対面取材」(船越)
編集部コラム第48回「日本選手権優勝者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第47回「インターハイ種目別学校対抗(男子編)」(大久保)
編集部コラム第46回「月陸に自分が載った」(井上)
編集部コラム第45回「陸上競技と関わり続ける」(山本)
編集部コラム第44回「逃げるとどうなる?」(向永)
編集部コラム第43回「成長のヒント」(小川)
編集部コラム第42回「日本実業団記録」(大久保)
編集部コラム第41回「思い出の2016年長野全中」(松永)
編集部コラム第40回「葛藤」(船越)
編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
第81回「〝きっかけ〟の提供を」(井上 敦)
金曜深夜の更新で恐縮です。 ここ最近、東京五輪に関するさまざまなニュースに接し、正直心が重い日々です。 当サイトのニュースリンク集を日々更新していますが、リンク先となる各メディアとも、陸上関係のニュースはサッカーや野球とは区別されて、「スポーツ」や「一般スポーツ」といったカテゴリーに入ります。その中には五輪に関するニュースも含まれ、昨今のさまざまな出来事が「見出し」となります。それを眺めながらため息も…。明るいニュースが出るなら大歓迎ですが、2021年の夏はどうなるのでしょうか。 元日、この2021年を迎えて、ふと思ったのは「もう30年」。私自身が陸上を本格的に始めたのは中学に入学した1991年です。この年は夏に東京世界選手権が行われました。大観衆が国立競技場を埋め尽くし、カール・ルイス(米国)の劇的な男子100m世界新や、男子走幅跳のルイスとマーク・パウエル(米国)によるハイレベルバトル、日本勢では男子マラソンで谷口浩美の金メダルや、男子400mでは高野進の決勝進出など、大いに盛り上がりました。 東京世界選手権男子走幅跳決勝で満員の観客を前に跳躍するカール・ルイス。この詳細な競技内容も後で知りました・・・ 実は当時の私が、彼らの活躍のほとんどを知ったのが、大会が終わった後でした。テレビで生中継していましたが、その中継を見た記憶があまりありません。ただ夏休み中の部活でチームメイトや先輩が「カール・ルイスがすごかった」と話していたのを覚えているだけです。 終わった後に知ったというのは、陸上専門誌の存在です。中学校の図書館に並んであった専門誌の世界選手権の記事を読んで、選手の活躍ぶりを活字や写真で追いかけていました。気がついたら、雑誌に書いてあった文章中の記録や通過タイムも覚えていたりして、マニアックなぐらい読み込んでいました。そして、「ちゃんとテレビを見ておけばよかった」とちょっぴり後悔もしました。 今では男子ショートスプリント、特に4×100mリレーで世界のトップを争うレベルですが、当時はロングスプリント。というか、高野選手。とんでもない体格の外国人選手相手に立ち向かう姿は、当時短距離だった私も魅了された1人でした。練習を続けて記録が面白いように伸びていったこともありますが、トップ選手を知ったことも、競技そのものにのめり込むをようになっていったと思います。 そもそも、小学校では学年一を争うぐらい運動が苦手で、「中学ではせめて足だけでも早くなりたい」というのが陸上部に入った理由です。別に競技自体に特別の興味はありませんでした。それがまさか、30年後に陸上雑誌の編集部で仕事をしているとは……。世の中不思議なものです。 弊社にはインターハイ優勝者がいたり、大学まで陸上を経験した人もいますが、私みたいな高校までの競技経験で、さして実績もない人間がこのギョーカイに今いるのも、30年前のことが端緒でした。 当時とは違って、現在はいろんなメディアが増えて、陸上競技だけに限らずさまざまな情報と触れる機会が膨大になりました。その中で子供たちが陸上により興味を持ってもらうには、やはり大きなコンテンツが必要だと思います。 人の命が関わる状況というのは重々承知しています。こういう仕事をしながらも、私自身もすごく悩んでいます。それでも、与えられた機会なので、今の子供たちが未来の陸上界を紡ぐ〝きっかけ〟となるものを何とか見せてほしいと思っています。井上 敦(いのうえ あつし) 1978年8月生まれ。新潟市江南区出身。横越中→新潟明訓高→某大学(陸上では有名だが、陸上部に入っていないので匿名)。月刊陸上競技編集部には2015年6月中旬から在籍。中学で最初は100mを始めたものの、その年の東京世界選手権でファイナリストとなった高野進選手に憧れて400mに転向。しかし、県大会に進めなかったうえに、中3秋の駅伝で区間賞獲得や県大会出場でまたまた転向を決意。高校では中距離をメインに、2年時の県新人大会1500mで6位入ったのが最高成績。 |
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