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編集部コラム「お別れのあいさつ」

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★月陸編集部★

攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム
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編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
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第114回「お別れのあいさつ(向永拓史)


またこの季節がやってきた。日本インカレ、全日本実業団で何度も言うことになる言葉。「お疲れさまでした」。今年もたくさんの選手が現役を引退。競技を続けるにしても一線を退くことになりました。寂しいし、残念。でも、そればかり言うと、せっかく次に進もうと決心した選手たちの後ろ髪を引いてしまう感じになって、それはそれでどうなんだろうって。去年に比べると「お別れのあいさつ」ができたほう。うれしいやら、寂しいやら。

陸上競技はプロスポーツじゃない。だから、誰にでも門戸が開かれている代わりに、生計を立てるのは簡単ではない。本当に競技だけで生活できているのはほんのごく一部。比較的長距離ランナー、駅伝選手には多いかもしれませんが、トラック&フィールドになると……。それはそれは、一握りです。

陸上の選手寿命は、たぶん短い。いくつか理由はあるんだろうけど。身体一つで戦う種目なだけに、肉体のちょっとした衰えがパフォーマンスに直結します。サッカーだと、足は遅くなっても頭を使ってカバー…ということもできます。54歳で現役を続けるサッカーのカズ選手は、「トータルで100になればいい」とどこかのインタビューで話していたことがあります。

もちろん、陸上選手にも当てはまるのでしょうが、やはりフィジルカル面が最も影響するだけに、普通に考えればどんな選手でも、遅くとも、30歳過ぎにはピークから下降傾向にあるのは間違いないはず。野球選手だと、やっと一軍に定着する選手もいるくらいの年齢です。競馬の騎手だとまだまだ若手。難しいです。

あと、陸上選手って結構、潔癖だなって思うことがあります。つまり、「高いレベルでないと意味がない」のだと。エンジョイで続ければいいのにな、と思うこともあるけど、きっとそれじゃ面白くないんですよね。やるなら真剣に。真剣にできない、強度の高い練習ができない。それなら続けたくない。これもまた美学ですね。

こういう競技だからこそ、澤野大地選手、村上幸史選手(あえてまだ“選手”と書かせてください!)が40歳を超えてなお、自らを高め、引退の場として「日本一決定戦」の舞台に立てることが、本当に奇跡的なことで、かつ、そのために若い頃から経験してきたであろう想像を絶する努力と逆境に打ち勝ってきた信念に、ただただ、尊敬。

めいっぱいやり切った。そういう選手もいるでしょう。でも、たぶん、おそらく、澤野選手や村上選手、そして他にも競技場を去った多くのレジェンド選手は、それだけのことを成し遂げてなお「もっとやりたかった」「もっとできた」という思いもあるんだろうな、と。むしろ、突き詰めようとすればするほど、つかみどころがなくなるというか、陸上競技の楽しさと難しさを痛感していくのだろうと思います。

そういえば、金井大旺選手がこう言っていました。「突き詰めると切りがないんです」。

インカレ、全日本実業団のあと、「寂しい」「もったいない」と声をかけてしまったみなさんへ。ごめんなさい。無責任ですよね。きっとやりたい思いはありますよね。ただ、本心なんです。たとえ次の道に進んでも、ずっと応援しています。

でも、でも、陸上競技はね、プロじゃないから。やろうと思えば誰でもやれるし。走りたくなったら、跳びたくなったら、投げたくなったら、歩きたくなったら、いつでも戻ればいいやんって思います。

「全盛期?これからだよ」。38歳になった時に語ったというカズ選手の言葉に助けてもらって、ペンを置く。

と、感銘を受けた田中希実選手のまねごとをしてみるけど全然いい文章じゃなかった。私の文章力だって、全盛期はこれから……本当に来るのかな?

向永拓史(むかえ・ひろし)
月刊陸上競技編集部 新米編集部員
1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。尊敬する人はカズ、尾崎豊、宮本輝、本田宗一郎。

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