編集部コラム「アナウンス」

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リレーコラム🔥

毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第8回「アナウンス(小川雅生)

7月からスタートした月陸編集部リレーコラム。
メンバーが一巡して、第1回担当・小川に戻りました。時が経つのを早く感じるのは、それだけ年をとったから?? では、今回から2巡目に入ります。

7月26日の第1回で、今回のコラムの趣旨の1つに「陸上競技を盛り上げるために」と書きました。そうしたらその翌日、実業団・学生対抗の男子110mハードルで高山峻野選手(ゼンリン)が13秒30の日本新記録を樹立したことを皮切りに、〝新記録ラッシュ〟が始まりました。

男子走幅跳では、沖縄インターハイで藤原孝輝選手(洛南2京都)が高校生初の8mジャンプ(8m12/U20日本新、U18日本新でもある)。8月17日の「Athlete Night Games in FUKUI」では橋岡優輝選手(日大)が8m32、城山正太郎選手(ゼンリン)が8m40と、日本新記録が相次いで生まれました。

「Athlete Night Games in FUKUI」では男子110mハードルで高山選手が自身の日本記録を13秒25まで縮め、女子100mハードルでは寺田明日香選手(パソナグループ)が13秒00の日本タイ記録。寺田選手は9月1日の「富士北麓ワールドトライアル2019」で日本人初の12秒台(12秒97)突入を果たしました。

福井と北麓の間に行われた大阪全中では、男子110mハードル、男女4×100mリレーで中学新記録が樹立されました。

これほどの盛り上がりは、正直あまり記憶にありません。え? コラムが始まったから? そんな大それたことは1ミリも思っていませんが、日本陸上界全体が非常に元気であることは間違いありません。

そこで、この上昇ムードに乗っかって、大会自体の盛り上げ方に関して、1つ提案させていただければと思います。特に、シニアの代表選手クラスが出場するような大会で、私が今年、取材に行った2つの大会を例にします。
※「Athlete Night Games in FUKUI」のことは、すでにHP上で記事にしているので、そちらをご参照ください。

WEB特別記事「あの熱狂をもう一度」福井陸協の情熱が創り出した伝説の夜

1つは横浜市で行われた世界リレー。大盛況でした。観客は初日が1万人程度、2日目は2万人弱。残念ながら、横浜国際総合競技場の2階席は開放されず、スタンドの空席感は目立ちました。しかし正直、リレーだけの大会でここまでスタジアムが熱狂するとは思いませんでした。

5月に横浜で開催された世界リレーの様子

リレーのみの大会で観客の視線も1つに絞れたこともあったのでしょうけど、スタート直後から大歓声。ちらほら見られた外国人のファンや、学生の有志応援団がそれを引っ張っていたようですが、スタート直後からの大歓声は、選手たちのモチベーションアップに大いにつながります。

もう1つは、「富士北麓ワールドトライアル」。世界選手権標準記録突破を狙って、トップ選手が大挙して出場し、メインスタンドには立ち見が出るほど熱気に包まれていました。

でも、競技が始まった途端、あれ? という感じに……。

トラック最初の種目は女子200mウォーミングアップレースでしたが、スタートからフィニッシュまで、ほとんど歓声なし。終わったら拍手は起きましたが、スタンドの「どうやって応援したらいいの?」という戸惑いムードがいっぱいでした。

その後、寺田選手の日本新でにわかに活気づきましたが、高山選手の13秒29という快記録への反応はまばら。フィールドにいたっては、ドーハ世界選手権標準突破済みの男子走幅跳・津波響樹選手(東洋大)や、女子やり投・佐藤友佳選手(ニコニコのり)、さらには日本代表クラスの選手が顔をそろえているにもかかわらず、彼ら、彼女らの1つひとつの試技に沸くことはほとんどありませんでした。

この2つの違いはどこから生まれたのでしょうか。

基本的に、日本の各大会では、後者の雰囲気が多いです。男子100m以外はなかなか競技場が一体になるような歓声は起きづらく、試技が終わって拍手をするのが精一杯。富士北麓では、事前に観客への応援の仕方に関するレクチャーが入っていましたが、応援の〝第一声〟がなかなか出てこないのが実情です。

でも、選手が欲しいのは、競技中の大声援。それをスタンドから引き出すために、運営側がもう一息がんばっていただきたいことがあります。

それが、「アナウンス」です。

世界リレーのアナウンスは、ほぼ英語でしたが、オリンピックや世界選手権で、長年場内実況をしている方が担当されていました。

歯切れが良く、選手1人ひとりのことを熟知した選手・チーム紹介、レース中もテレビの実況のように展開を細かくアナウンス。英語がわからない人でも、何となくレース展開に引き付けられ、思わず声を上げてしまう雰囲気になっていました。

彼らはプロなので、そこまで真似をしてほしいとは言えません。でも、少しの工夫で、選手の試技に視線を誘導することはできるはずです。

例えば、選手紹介で名前と所属を伝えるだけじゃなく、経歴を1つ加えてみてはいかがでしょうか? 日本代表経験があれば、「○○代表」。ジュニア時代も含めれば、いろんな選手が該当します。

記録を持っている選手には「○○記録保持者」、大きな大会を勝っている選手には「○○大会チャンピオン」などなど。

観客に「おっ?」と思わせることができ、選手たちに注目してもらうことができれば、選手たちへの声援に少しでもつながるでしょう。選手たちへの声援が少しでも増えれば、それが選手のビッグパフォーマンスへとつながります。

世界リレーからの帰り道、「今日の試合はおもしろかったね」という声があちこちから聞かれたそうです。そこから「また陸上競技を観に来たいね」と思ってくれるようにするために、〝リピーター〟を1人でも多く増やすためには何が必要なのか。

陸上界が盛り上がっている今だからこそ、真剣に考えていきたいものですね。

小川雅生(おがわ・まさお)
月刊陸上競技編集部 部長
1977年7月12日生まれ、後厄の42歳。173cm、71kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重と尿酸値(8.9)の短縮。

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