2021.03.12
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第85回「スポーツのチカラ」(小川雅生)
2011年夏、インターハイが岩手・北上で行われ、東北を勇気づけた
昨日の3月11日、東日本大震災から10年を迎えました。
尊い命を失われた方々に謹んで哀悼の意を表します。合わせて、被災された方々にも心よりお見舞い申し上げます。
あの日、私は社内にいました。ちょうど4月号が完成した日で、関係者への発送作業を終えた頃でした。
幸いにも、編集部内のあちこちで資料などが散乱した程度で済みました。会社から自宅まで歩いて帰りましたが2時間程度でしたし、家も特になんともなかったので、被災したなどとはまったく思っていません。ただ、強烈な記憶がよみがえったことは確かです。
高校2年生だった1月17日……。こちらも幸いにして、家の中がグチャグチャにはなりましたが、家自体の損傷はわずかでした。水は出ましたし、電気も1時間程度で通りました。避難所に行く必要もないぐらいの被害で済んだのは、本当にラッキーだったと思います。
そこからしばらく不便なことは少しありました。でも、余震に気を付けつつも、なんとなく普通には過ごしていたと思います。
でも、ある出来事で、私の心の奥にドンと重いものが落ちていたんだということを知りました。
この年、プロ野球のパ・リーグはオリックスが制しました。「がんばろうKOBE」をキャッチフレーズに掲げ、神がかったような快進撃でした。私は西武ライオンズのファンでしたが、いつの間にかオリックスの結果を気にするようになっていました(ちなみに優勝を決めた時の対戦相手は西武で、しかも場所は西武球場)。
優勝が決まった瞬間、なんだか温かい気持ちになりました。ジーンときました。そして、心が軽くなり、腹に力が入る感じがしました。
それまでの人生で、スポーツに感動することはたくさんありました。でも、これほど元気をもらったことはありませんでした。自分が応援しているチームは負けたのに、です。
今、当時を振り返ってみて、改めてスポーツのチカラのすごさ、素晴らしさを感じます。おそらく、東日本大震災から2年後に楽天が日本一になった時、東北の方々が感じた思いは同じだったのではないかと思います。
陸上でも、震災のあった年の夏、岩手・北上でインターハイが開催されました。震災から5ヵ月足らず。あんな状況の中、しかも東北で。この時、陸上界の一致団結を感じました。
時に、スポーツが求められない時期もあるでしょう。
しかし、これだけは断言できます。
スポーツは困難な時にこそ、求められるべきものだと。
こんな時に、ではなく、こんな時だからこそ、スポーツは必要なものであると。
東日本大震災から10年。悲しみが癒えることはなく、復興もまだまだ道半ばです。
でも、周りを支えてくれる人たちはたくさんいます。陸上はもちろん、スポーツが、必ずや生きていくチカラをくれるはずです。
小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、43歳。173cm、69kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重の短縮は達成し、自己新を出した尿酸値もドーピングにより改善。来季は現状を安定させることが目標。 |
編集部コラム第84回「初心」(船越)
編集部コラム第83回「高校生にとってのインターハイ」(松永)
編集部コラム第82回「2020年世界リストTop10入り日本人選手」(大久保)
編集部コラム第81回「〝きっかけ〟の提供を」(井上)
編集部コラム第80回「一番アツい夏」(山本)
編集部コラム第79回「前向きな言葉という魔法」(向永)
編集部コラム第78回「自分なりの『答え』を探す」(小川)
編集部コラム第77回「カメラマンの箱根駅伝」(船越)
編集部コラム第76回「専門誌記者の箱根駅伝」(松永)
編集部コラム第75回「データで見る箱根駅伝当日エントリー変更」(大久保)
編集部コラム第74回「2020年を振り返って」(井上)
編集部コラム第73回「プレッシャーとの向き合い方」(山本)
編集部コラム第72回「陸上競技のイメージを変えたい」(向永)
編集部コラム第71回「2020年ラストスパート!!」(小川)
編集部コラム第70回「理不尽なこと」(船越)
編集部コラム第69回「這い上がる」(松永)
編集部コラム第68回「都道府県対抗 男子十種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第67回「都大路も高速レースの予感」(井上)
編集部コラム第66回「陸上競技を続けると……?」(山本)
編集部コラム第65回「強い選手の共通点?パート2」(向永)
編集部コラム第64回「2020年シーズンはまだこれから!!」(小川)
編集部コラム第63回「質と量」(船越)
編集部コラム第62回「たかが2cm、されど2cm」(松永)
編集部コラム第61回「都道府県対抗 女子七種競技選手権」(大久保)
編集部コラム第60回「キソの大切さ」(井上)
編集部コラム第59回「思い込みを捨てる」(山本)
編集部コラム第58回「それ、ドーピングだよ」(向永)
編集部コラム第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」(小川)
編集部コラム第56回「魔法の言葉」(船越)
編集部コラム第55回「月陸ってどんな雑誌?」(松永)
編集部コラム第54回「インターハイ種目別学校対抗(女子編)」(大久保)
編集部コラム第53回「明確なビジョン」(井上)
編集部コラム第52回「人間性を磨く」(山本)
編集部コラム第51回「指が痛い。」(向永)
編集部コラム第50回「温故知新」(小川)
編集部コラム第49回「対面取材」(船越)
編集部コラム第48回「日本選手権優勝者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第47回「インターハイ種目別学校対抗(男子編)」(大久保)
編集部コラム第46回「月陸に自分が載った」(井上)
編集部コラム第45回「陸上競技と関わり続ける」(山本)
編集部コラム第44回「逃げるとどうなる?」(向永)
編集部コラム第43回「成長のヒント」(小川)
編集部コラム第42回「日本実業団記録」(大久保)
編集部コラム第41回「思い出の2016年長野全中」(松永)
編集部コラム第40回「葛藤」(船越)
編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
第85回「スポーツのチカラ」(小川雅生)
2011年夏、インターハイが岩手・北上で行われ、東北を勇気づけた 昨日の3月11日、東日本大震災から10年を迎えました。 尊い命を失われた方々に謹んで哀悼の意を表します。合わせて、被災された方々にも心よりお見舞い申し上げます。 あの日、私は社内にいました。ちょうど4月号が完成した日で、関係者への発送作業を終えた頃でした。 幸いにも、編集部内のあちこちで資料などが散乱した程度で済みました。会社から自宅まで歩いて帰りましたが2時間程度でしたし、家も特になんともなかったので、被災したなどとはまったく思っていません。ただ、強烈な記憶がよみがえったことは確かです。 高校2年生だった1月17日……。こちらも幸いにして、家の中がグチャグチャにはなりましたが、家自体の損傷はわずかでした。水は出ましたし、電気も1時間程度で通りました。避難所に行く必要もないぐらいの被害で済んだのは、本当にラッキーだったと思います。 そこからしばらく不便なことは少しありました。でも、余震に気を付けつつも、なんとなく普通には過ごしていたと思います。 でも、ある出来事で、私の心の奥にドンと重いものが落ちていたんだということを知りました。 この年、プロ野球のパ・リーグはオリックスが制しました。「がんばろうKOBE」をキャッチフレーズに掲げ、神がかったような快進撃でした。私は西武ライオンズのファンでしたが、いつの間にかオリックスの結果を気にするようになっていました(ちなみに優勝を決めた時の対戦相手は西武で、しかも場所は西武球場)。 優勝が決まった瞬間、なんだか温かい気持ちになりました。ジーンときました。そして、心が軽くなり、腹に力が入る感じがしました。 それまでの人生で、スポーツに感動することはたくさんありました。でも、これほど元気をもらったことはありませんでした。自分が応援しているチームは負けたのに、です。 今、当時を振り返ってみて、改めてスポーツのチカラのすごさ、素晴らしさを感じます。おそらく、東日本大震災から2年後に楽天が日本一になった時、東北の方々が感じた思いは同じだったのではないかと思います。 陸上でも、震災のあった年の夏、岩手・北上でインターハイが開催されました。震災から5ヵ月足らず。あんな状況の中、しかも東北で。この時、陸上界の一致団結を感じました。 時に、スポーツが求められない時期もあるでしょう。 しかし、これだけは断言できます。 スポーツは困難な時にこそ、求められるべきものだと。 こんな時に、ではなく、こんな時だからこそ、スポーツは必要なものであると。 東日本大震災から10年。悲しみが癒えることはなく、復興もまだまだ道半ばです。 でも、周りを支えてくれる人たちはたくさんいます。陸上はもちろん、スポーツが、必ずや生きていくチカラをくれるはずです。小川雅生(おがわ・まさお) 月刊陸上競技編集部 部長 1977年7月12日生まれ、43歳。173cm、69kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重の短縮は達成し、自己新を出した尿酸値もドーピングにより改善。来季は現状を安定させることが目標。 |
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