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編集部コラム「日本記録アラカルト」

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第33回「日本記録アラカルト」(大久保 雅文)

 世の中がざわつき、私自身もなんだか落ち着かない日々を過ごしていますが、明日は3月14日。そう、ホワイトデー月刊陸上競技4月号の発売日です。「月刊陸上競技」は1994年から毎年4月号には別冊付録として「記録年鑑」をつけています。その前年の日本の記録をまとめてランキングにしたもので、今年が26冊目となります。
年々内容を充実させて製作していますが、2016年からは「日本記録変遷」を新たに収録し、日本陸上界の歴史を振り返るための資料となています。
 そこで、今回はこれまでに誕生した日本記録からさまざまなデータを紹介していきたいと思います。(五輪実施種目に限定)

最古の日本記録

 2020年3月13日時点での最新の日本記録は、3月8日の名古屋ウィメンズマラソンで一山麻緒選手(ワコール)が出した2時間20分29秒。これは女子単独レースでの女子マラソン日本記録でした。一方、最古の日本記録は男子三段跳の山下訓史さんが1986年6月1日に樹立した17m15。和暦では昭和61年で、平成時代を生き抜ぬいた34年前の偉大な記録です。

男子三段跳の日本記録は1986年に山下訓史さんが樹立した17m15。34年も日本記録として残っている

長命日本記録

 日本記録として一番長く残っていたのは男子走幅跳の南部忠平さんが1931年10月27日に出した7m98。この記録は当時世界記録でもありました。その後、太平洋戦争などでスポーツが行えなかった時期があった事情もありますが、1970年に山田宏臣さんが8m01を跳ぶまで、実に14103日も日本記録として君臨していました。南部さんの記録は2019年の日本ランキングに当てはめても、7位タイ。日本歴代でも25位につけており、当時は助走路が土だったことを考えると、いかに傑出した記録だったかがわかります。
なお、2番目に長命だったのは男子円盤投の川崎清貴さんが1979年4月22日に出した60m22の13998日。こちらは堤雄司選手(群馬綜合ガードシステム)が2017年8月18日に更新しました。

短命日本記録

 逆に、短命の日本記録についても紹介しましょう。同じ日に日本記録が誕生した例はいくつかありますが、そのほとんどが同一選手によるものです。ただ、異なる選手による日本記録の更新に限ると過去に8例しかありません。

・1915年10月21日 全国陸上男子走幅跳
5m73 甲斐義智(慶大) →5m90 明石和衛(東大)
・1931年11月2日 日本選手権女子800m
2分37秒4 田中愛子(高瀬高女) → 2分37秒2 真木ウン(山形二高女)
・1934年9月16日 日米対抗大阪男子三段跳
15m75 原田正夫(京大) → 15m82 大島鎌吉(浪速ク)
・1960年4月10日 三部対抗男子砲丸投
15m03 梁川昌三(日大) → 15m18 渡波一郎(日大)
・1979年6月2日 アジア陸上女子400mH
63.29 波多野浩美(大体大) → 60.46 青井由美子(関東学園大)
・1998年4月29日 織田記念女子三段跳
13.35 花岡麻帆(順大) → 13.40 西内誠子(高知女子クラブ)
・2002年10月9日 アジア大会女子砲丸投
16.90 豊永陽子(健祥会) → 16.93 森千夏(国士大)
・2019年8月17日 Athlete Night Games in Fukui 男子走幅跳
8.32 橋岡優輝(日大) → 8.40 城山正太郎(ゼンリン)

 古い大会についてはタイムテーブルなどが残っていませんので詳細な記録は不明ですが、1998年の織田記念女子三段跳では4回目に花岡麻帆さんが日本記録を跳んだあと、5回目に西内誠子さんがその記録を抜いています。

最多日本記録樹立選手

 日本陸上界でもっとも多く日本記録を樹立した選手は人見絹枝さんです。昨年の大河ドラマでも紹介されていたように、まだ女子がスポーツをすることに偏見があった時代で、日本記録が誕生しやすかった事情もありますが、その数はなんと30回(100m3回。400m2回。800m3回。走高跳3回。走幅跳5回。三段跳4回。砲丸投1回。円盤投2回。やり投6回)。9種目で日本記録を樹立したのも人見さんしかいません(80mハードルなど現在は実施されていない種目を含めると、さらに多くの日本記録を更新しています)。男子は、こちらもレジェンドの織田幹雄さんが最多。走高跳4回、走幅跳7回、三段跳10回、十種競技3回の24回も日本新を出しました。
 単一種目での最多は男子ハンマー投の室伏広治さんの18回。1人で76m65から84m86まで日本記録を引き上げました。

日本陸上界興隆期の1930年代には多くの日本記録が誕生。人見絹枝さん(前列右から2人目)や、織田幹雄さん(後列左から3人目)、南部忠平さん(その左)といった五輪メダリストたちが偉大な日本記録を残した

日本勢における世界記録・世界最高記録

日本記録が世界記録になったのは13例。男子20km競歩の鈴木雄介選手(富士通)の記録は今も世界記録として残っています。

1928年5月20日 女子100m 12秒2 人見絹枝(大阪毎日新聞)
1931年10月27日 男子走幅跳 7m98 南部忠平(美津濃)
1931年10月27日 男子三段跳 15m58 織田幹雄(早大クラブ)
1932年8月4日 男子三段跳 15m72 南部忠平(浪速クラブ)
1935年3月13日 男子マラソン 2時間27分49秒0 鈴木房重(日大)
1935年4月3日 男子マラソン 2時間26分44秒0 池中康雄(東洋大)
1935年6月15日 男子100m 10秒3=世界タイ 吉岡隆徳(大塚クラブ)
1935年11月3日 男子マラソン 2時間26分42秒 孫 基禎(養正商高)
1936年8月6日 男子三段跳 16m00 田島直人(京大)
1963年2月17日 男子マラソン 2時間15分15秒8 寺沢 徹(倉敷レイヨン)
1965年6月12日 男子マラソン 2時間12分00秒0 重松森雄(福岡大)
2001年9月30日 女子マラソン 2時間19分46秒 高橋尚子(積水化学)
2015年3月15日 男子20km競歩 1時間16分36秒 鈴木雄介(富士通)

※人見絹枝は200mや走幅跳、三段跳と当時五輪では実施されていない種目でも世界記録を保持していた

 このように、陸上競技の記録を探るとさまざまな楽しみ方が見えてきます。「2019年記録年鑑」で、新たな視点から陸上競技を楽しんでみてください。

大久保雅文(おおくぼ・まさふみ)
月刊陸上競技編集部
1984年9月生まれ。175cm、63kg。三重県伊勢市出身。小学1年から競泳、レスリング、野球などをするも、吉田沙保里さんにタックルを受けたこと以外は特にこれといった実績も残せず。中学で「雨が降ったら練習が休みになるはず」という理由から陸上部に入部。長距離を専門とし、5000mと3000m障害で県インターハイ決勝出場(ただし、三重県には支部予選もなく、県大会もタイムレース決勝である)

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