編集部コラム「初めてのオリンピック」(小川雅生)

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第29回「初めてのオリンピック(小川雅生)

 東京オリンピック・パラリンピック開幕まで半年を切り、緊張感と高揚感が入り交じる、何とも言えない空気感が広がっています。

 陸上競技は、ロード種目の代表選考会が佳境を迎えます。マラソンは3月1日の東京、3月8日のびわ湖毎日、名古屋ウィメンズを残すのみ。競歩も2月16日の日本選手権と3月15日の全日本競歩能美大会で男女20㎞が決まり、4月12日の日本選手権50㎞で締めくくりとなります。

 果たして、誰が東京五輪代表の座を手にするのでしょうか。お近くの方はぜひ、五輪選考会独特の雰囲気を味わいに、現地に行ってみてください!

 ところで、みなさんが記憶に残っている最初のオリンピックはどの大会でしょうか?

 陸上競技だけでも、記憶に残るシーンは数え切れないほどあります。桐生祥秀選手は、テレビで観た最初の五輪として、2008年の北京五輪で男子4×100mリレーが銀メダル(当時は銅メダルでした)を取ったシーンを挙げています。おそらく、みなさんにもそれぞれの「初めてのオリンピック」があることでしょう。

 私が記憶に残っている最初のオリンピックは、1988年ソウル大会です。当時小学校5年生でしたが、男子100mでのベン・ジョンソン(カナダ)とカール・ルイス(米国)の激闘を、予選からつぶさに観たことを覚えています。クラスでは、ルイスが何度もジョンソンを見て、最後はあきらめの表情を浮かべたものまねが流行りました(もちろん、ベンジョンソンの衝撃のドーピング違反も覚えています……)。

 でも、現地で初めて観たオリンピックのほうが、今でも強烈に胸に残っています。

 それは北京五輪でした。この時は仕事ではなく、前半3日間だけのチケット付き観戦ツアーでした。

 その2日目の男子100m決勝。ツアーにはついていなかったのですが、何とかチケットを手に入れて、フィニッシュライン斜め上の3階席から、〝伝説の始まり〟に立ち会いました。

 ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、両手を広げ、身体を横に向けながらフィニッシュし、9秒69の当時世界新記録を樹立した、あのレースです。
ボルトの〝伝説〟の始まりとなった2008年北京五輪男子100mファイナル

 思わず立ち上がって、歓声を上げていました。夢中で拍手を送っていました。このレースを観ることができただけで、来た甲斐があったと思いました。そして、

「オリンピックって、やっぱりいいな」

 と心底思いました。オリンピックが持つ力の大きさを、体中で体感しました。

 この夏、東京でそんな想いをたくさんの人に感じてほしいと、私は思っています。

 できれば、1人でも多くの方々に国立競技場で味わってもらいたいですが、時差がないので、テレビで観る機会はいつも以上にたくさんあるはずです。

「オリンピックって、いいね」

 そう感じてくれる人が、たくさんいてくれる東京五輪になればと願います。

国立競技場でどんな名シーンが生まれるでしょうか

小川雅生(おがわ・まさお)
月刊陸上競技編集部 部長
1977年7月12日生まれ、後厄の42歳。173cm、71kg、AB型。大阪府東大阪市で出生、兵庫県尼崎市育ち。塚口中→尼崎北高→甲南大。3つ年上の兄の影響で中学から陸上部に入り、大学まで取り組む(専門種目はハードル)。塚口中3年の時、OBで1992年バルセロナ五輪男子走幅跳代表の森長正樹さんの壮行会で生徒会長として花束を渡したが、当時の新聞には私の隣にいた書記のコメントが載っていたという実績を持つ。今季の目標は体重と尿酸値(8.9)の短縮。

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