2020.04.10
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム🔥
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第36回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永拓史)
もう言葉をパソコンに打ち込むことが嫌になるくらいです。「新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で」って。
まず、こんな状況下でも取材を受けていただいた皆様にこの場を借りて改めて感謝申し上げます。もちろん、きちんと許可をいただいた上で、一定の距離を保つなど注意を払って取材しています。本当にありがとうございます。
オリンピック延期、シーズンの中断など、さまざまな影響が出ています。オリンピックや日本選手権など、トップ選手たちの試合日程の動きについては多数報道されるのですが、大学生・高校生・中学生(もちろん小学生のみなさんも)についてはあまり報じられません。
ただ、こちらも事態は深刻です。ある意味、トップ級よりも影響は大きいとも言えます。なぜなら、学生たちには〝時間の制限〟があるからです。特に最終学年にとっては、「最後のチャンス」です。
今後、事態がどうなるかは不透明ですが、インターハイ路線については、5月の地区インカレはほとんど延期・中止を発表。4、5月の都府県大会の多くは中止が発表され、6月の関東大会も関東高体連が中止するよう決めたと報道されています。私たちも、いろんな情報を各方面からかき集めながら、という状況です。
日本インカレは秋開催で先のことはわかりませんが、特に夏のインターハイ、全中は開催できるのでしょうか。
私たちが取材する高校生たちは、ほとんどが地区大会上位選手であり、全国大会で戦う選手たちです。そのほとんどが大学でも競技を続けるでしょう。競技成績によって推薦の有無も決まってきますので、不安です。
ただ、私たちが取材する選手たちは、高校陸上選手たちのうちの、ほんの数%に過ぎません。高校生たちのほとんどは、都府県大会を目指し(そこに出るだけでも、学校では英雄になることも!)、ブロック大会に行こうものなら「すごい!」となります。そして、多くは夏までに部活動を引退し、受験に備えるんです。
高校生たち、中学生たちの活躍の場、そして自分がやってきたことを証明する場がなくなる。陸上に携わってきて、これほど心が痛くなったことはありません。
地域によっては、「夏頃に(インターハイ予選にならなくても)何とか県大会をやってあげたい」と動いている先生もいると聞きます。
決定していることが少ない中で、今、努力するのは難しいと思います。でも、少し気持ちを落ち着かせたら、できる範囲で自分一人でも、試合に向けた心身の準備を整えていってほしいです。
あるアスリートの言葉がすごく印象に残っていて、紹介したいと思います。空手で東京五輪のメダル有力候補に挙がる喜友名諒選手が、延期を受けての取材でこんな言葉を残しました。
「自分自身としては、1週間後だろうが8月だろうが、来年でも、いつでも勝負できる準備はしているので、いつ来ても優勝する自信はあります」
毎日、できることを全力でやっているからこそ出る言葉ですね。これが本物の「自信」なのだなぁと感動しました。
「試合がないなら部活動やめちゃおう」
「練習しても無駄じゃん」
もしかしたら、そのまま引退する選手にとって競技的なことは本当に無駄になるかもしれませんが、「努力した」という自信は、絶対に無駄にならないと思います。
すべてが決定するまで、あきらめず、やれることに取り組んでいってほしいです。
高校生・中学生は、競技力に関係なく日本陸上界の宝です。もし、このウイルスの影響で陸上を続ける人が減ってしまったら、将来の陸上界にとって大損失です。
インターハイや全中がどうなるかわかりませんが、例えばインターハイは、秋に行っているU20・U18日本選手権と協力して、その時期に「全国大会」として実施するのはどうでしょうか。
それならば、秋の入口くらいまでは予選会を行え(各県3人までとか、標準記録+都道府県優勝者とか)ますし、参加標準記録制度にしてもいいのかなと。ジュニアオリンピックと全中も、今年だけはがっちゃんこして……とか。
主催団体が違いますので、いろいろな障壁はあります。ただ、こんな時こそ、トップダウンで、言葉だけでなく本当の意味で陸上界が「結束」してほしい。そう思います。
この状況で、「まったく平等に」「これまで通り」が不可能なことは十分理解していますが、何とか高校生・中学生にとって目標となるような大会が実現すればいいなと願っています。
もちろん、最優先されるべきは人々の健康です。そのために、できる最大限の自粛・対策をしていきます。今はみな苦しいですが、また競技場で元気に会うためにも、我慢ですね。
学生、高校生、中学生のみなさん。輝くチャンスは必ず訪れます。どうか希望を捨てないでください。
向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg(全盛期のマラドーナと同じ)、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。趣味は一人カラオケで、自己ベストは8時間。 |
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
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編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
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編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
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