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2022.05.06

編集部コラム「自分の限界はどこにある?」
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第144回自分の限界はどこにある?(山本慎一郎)

今年のトラックシーズンも好記録のニュースが飛び交っています。陸上競技は大昔から同じ人間がやっているスポーツなのに、時代が経つごとにどんどん記録が塗り替えられていくのがいつも不思議に思います。

さて、市民ランナーである私も先日トラックレースに参戦してきました。毎年陸連登録をして最低1試合は公認の大会で5000mを走ることを自分のノルマにしており、中学から続けてきた陸上競技歴は28年目を迎えました。

これだけ長く続けていると、どんな練習をすれば試合で自分がどのくらいのタイムを出せるかはだいたいわかってきます。また、日本のトップ選手や箱根駅伝の強豪校を取材する機会も多いので、トレーニングに関する知識はどんどん増えていきます。もちろん、市民ランナーの私がトップ選手の練習をそのまま真似できるわけはないのですが、考え方などを参考にしながら自分なりに競技を楽しんできました。

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ところが、30歳頃からは思うように走れなくなってきました。故障が治らなくなり、走行距離が激減。何かと忙しくなって自由に使える時間が減ったため、練習やケアに割ける時間もなくなり、まともな練習ができなくなりました。5000mを全力で走っても20分すら切れなくなり、それが2年も続くと、とても「陸上経験者」と呼べるような走力ではなくなってしまいました。5000mで20分もかかるなんて、20代の頃には想像もしていませんでした。

さすがにこれには危機感を抱き、時間を捻出して少しずつ練習を継続することにしました。しかし、故障は治らないので1日で走れる距離は最長でも5~6km程度。それを毎日続けると故障が悪化しますし、いくら休んでも故障が治ることはないので、様子を見ながら「痛くない程度に走る」のがベストな選択となりました。その結果、確保できた月間走行距離は100km程度でした。

正直なところ、これでは練習になりません。そこで、トレーニングのやり方も思い切って変えました。Jogの強度を上げる一方で、駒大・大八木弘明監督や中央学大・川崎勇二監督の指導を参考に、ポイント練習は「余裕を持ってこなす」ことを重視するようにしました。フォームもゼロから作り直し、さまざまなトップランナーに感覚や意識している点を聞き、自分の考えとすり合わせたりしました。

すると、少しずつ走力が底上げされていきました。ペース走はやらない(できない)、インターバルはどんなに多くても1000m×3本程度、普段のJogは2~5kmと、学生時代の自分が見れば「それ、練習なの?」と思えるような内容でしたが、ひたすら自分のできることを積み上げていくと、どうにか5000mで20分を切れるようになりました。やがて18分台に入り、そこからは少し時間がかかったものの、今年ついに17分台(17分38秒)に突入しました。月陸読者のみなさんから見れば全然大した記録ではないと思いますが、18分を切ったのは8年ぶりで、過去10年で一番速いタイムでした。相変わらず月間走行距離は100kmでした。

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特別才能のないランナーである私が月間100kmしか走れないのに17分台を出すというのは非常に難しく、普通に練習して15分台を出すのと同じくらい苦労した感があります。トレーニングを進めるにあたっては、過去に月陸でも紹介したRunmetrix(ランメトリックス)METASPEED(メタスピード)RUCOERUN(ルコエラン)WINZONE(ウィンゾーン)オレは摂取すTOPRUNNER(トップランナー)といった文明の利器をフルに活用しましたが、それでも19分をやっと切った頃には自分が17分台で走れるようになるとはとても想像できませんでした。

月間200~300kmくらい走れたら17分台はそれほど難しくはないでしょうが、月間100kmでは、20年以上も長距離をやってきた経験と知識を総動員しても「どう考えても無理」と思っていました。

しかし、こうして無理だと思っていたことを実現して、過去にある尊敬する箱根駅伝ランナーが口にした言葉を思い出しました。

「自分の限界なんて、そこに到達するまではわからないですよ」

10年以上も前に聞いた言葉でしたが、「あぁ、確かにそうだなぁ」と今更ながら実感させられました。限界をここだと決めるのは簡単ですが、そういった固定観念を捨てて工夫を重ねることで初めて自分の“本当の限界”まで到達できるのかもしれません。

弱いながらも陸上を28年続けてきて、普通の人よりは多くの情報に触れられる環境で生きてきたと思いますが、陸上は今でもわからないことだらけです。同様に、今はなかなか結果が出ないという選手も、先のことは誰にもわかりません。みなさんの2022シーズン、そしてその先の未来が実りあるものになることを願っています。

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山本慎一郎(やまもとしんいちろう)
月刊陸上競技 編集部(兼企画営業部)企画課長
1983年1月生まれ。福島県いわき市出身。160cm、47kg(ピーク時)。植田中→磐城高→福島大→法大卒。中学では1学年下の村上康則(2010年日本選手権1500m覇者)と一緒に駅伝を走り、その才能を間近で見て挫折。懲りずに高校で都大路、大学で箱根駅伝を目指すも、いずれも未達に終わる。引退するタイミングを逸して現在も市民ランナーとして活動中。シューズマニアの一面も持ち、月陸Onlineでは「シューズレポ」を連載中。

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今年のトラックシーズンも好記録のニュースが飛び交っています。陸上競技は大昔から同じ人間がやっているスポーツなのに、時代が経つごとにどんどん記録が塗り替えられていくのがいつも不思議に思います。 さて、市民ランナーである私も先日トラックレースに参戦してきました。毎年陸連登録をして最低1試合は公認の大会で5000mを走ることを自分のノルマにしており、中学から続けてきた陸上競技歴は28年目を迎えました。 これだけ長く続けていると、どんな練習をすれば試合で自分がどのくらいのタイムを出せるかはだいたいわかってきます。また、日本のトップ選手や箱根駅伝の強豪校を取材する機会も多いので、トレーニングに関する知識はどんどん増えていきます。もちろん、市民ランナーの私がトップ選手の練習をそのまま真似できるわけはないのですが、考え方などを参考にしながら自分なりに競技を楽しんできました。 ところが、30歳頃からは思うように走れなくなってきました。故障が治らなくなり、走行距離が激減。何かと忙しくなって自由に使える時間が減ったため、練習やケアに割ける時間もなくなり、まともな練習ができなくなりました。5000mを全力で走っても20分すら切れなくなり、それが2年も続くと、とても「陸上経験者」と呼べるような走力ではなくなってしまいました。5000mで20分もかかるなんて、20代の頃には想像もしていませんでした。 さすがにこれには危機感を抱き、時間を捻出して少しずつ練習を継続することにしました。しかし、故障は治らないので1日で走れる距離は最長でも5~6km程度。それを毎日続けると故障が悪化しますし、いくら休んでも故障が治ることはないので、様子を見ながら「痛くない程度に走る」のがベストな選択となりました。その結果、確保できた月間走行距離は100km程度でした。 正直なところ、これでは練習になりません。そこで、トレーニングのやり方も思い切って変えました。Jogの強度を上げる一方で、駒大・大八木弘明監督や中央学大・川崎勇二監督の指導を参考に、ポイント練習は「余裕を持ってこなす」ことを重視するようにしました。フォームもゼロから作り直し、さまざまなトップランナーに感覚や意識している点を聞き、自分の考えとすり合わせたりしました。 すると、少しずつ走力が底上げされていきました。ペース走はやらない(できない)、インターバルはどんなに多くても1000m×3本程度、普段のJogは2~5kmと、学生時代の自分が見れば「それ、練習なの?」と思えるような内容でしたが、ひたすら自分のできることを積み上げていくと、どうにか5000mで20分を切れるようになりました。やがて18分台に入り、そこからは少し時間がかかったものの、今年ついに17分台(17分38秒)に突入しました。月陸読者のみなさんから見れば全然大した記録ではないと思いますが、18分を切ったのは8年ぶりで、過去10年で一番速いタイムでした。相変わらず月間走行距離は100kmでした。 特別才能のないランナーである私が月間100kmしか走れないのに17分台を出すというのは非常に難しく、普通に練習して15分台を出すのと同じくらい苦労した感があります。トレーニングを進めるにあたっては、過去に月陸でも紹介したRunmetrix(ランメトリックス)METASPEED(メタスピード)RUCOERUN(ルコエラン)WINZONE(ウィンゾーン)オレは摂取すTOPRUNNER(トップランナー)といった文明の利器をフルに活用しましたが、それでも19分をやっと切った頃には自分が17分台で走れるようになるとはとても想像できませんでした。 月間200~300kmくらい走れたら17分台はそれほど難しくはないでしょうが、月間100kmでは、20年以上も長距離をやってきた経験と知識を総動員しても「どう考えても無理」と思っていました。 しかし、こうして無理だと思っていたことを実現して、過去にある尊敬する箱根駅伝ランナーが口にした言葉を思い出しました。 「自分の限界なんて、そこに到達するまではわからないですよ」 10年以上も前に聞いた言葉でしたが、「あぁ、確かにそうだなぁ」と今更ながら実感させられました。限界をここだと決めるのは簡単ですが、そういった固定観念を捨てて工夫を重ねることで初めて自分の“本当の限界”まで到達できるのかもしれません。 弱いながらも陸上を28年続けてきて、普通の人よりは多くの情報に触れられる環境で生きてきたと思いますが、陸上は今でもわからないことだらけです。同様に、今はなかなか結果が出ないという選手も、先のことは誰にもわかりません。みなさんの2022シーズン、そしてその先の未来が実りあるものになることを願っています。
山本慎一郎(やまもとしんいちろう) 月刊陸上競技 編集部(兼企画営業部)企画課長 1983年1月生まれ。福島県いわき市出身。160cm、47kg(ピーク時)。植田中→磐城高→福島大→法大卒。中学では1学年下の村上康則(2010年日本選手権1500m覇者)と一緒に駅伝を走り、その才能を間近で見て挫折。懲りずに高校で都大路、大学で箱根駅伝を目指すも、いずれも未達に終わる。引退するタイミングを逸して現在も市民ランナーとして活動中。シューズマニアの一面も持ち、月陸Onlineでは「シューズレポ」を連載中。
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