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2020.05.02

編集部コラム「葛藤」
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毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!

第40回「葛藤(船越陽一郎)

 真剣勝負には勝者がいて敗者がいます。

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 競技を撮影するにあたって、勝者のほうに目がいきがちではありますが、敗者にもストーリーがあります。私たちカメラマンからすれば、勝者は当たり前ですがものすごく画になりますが、敗者も負けないくらい画になります。

 それは、やはり真剣勝負に必死で挑むからこそ、その姿が美しいのだろうと思います。

 それらしいことを書いてみましたが、実は敗れて泣き崩れる選手を撮影する際には結構な葛藤があります。力を出し切れなかった選手や惜しくも敗れてしまった選手の近くに行って撮影するのは、正直心が痛い時もあります。躊躇してしまいます。レンズを向けることができなかった選手もいます。

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 事前に取材にいかせていただいた選手は尚更です。その選手の競技に取り組む姿勢、意気込み、人間性、そしてどれだけの努力をしてきたかを知ってしまうと、報道の人間としてはどうかと思いますが、心の中で「がんばれ」と応援してしまいます。多少カット数も増えたり……。

 ですので、敗れて泣き崩れる選手を撮影する際にはこう思いながらシャッターを切ります。

「この敗退はこの選手の陸上人生の中の過程であり、もっと先に輝ける結果が待っている」
 
 もしかしたら、悔しがっている選手の姿が美しく見えるのは、その選手がその競技とどれだけ向き合っているかが見えたからなのかもしれません。

 今は新型コロナウイルスの影響で先が見えない状況ですが、人生のピークは今ではなく、もっと先に輝かしい人生があるのだと思います。今選手は色々な葛藤を抱えているかもしれませんが、この状況を乗り越えた先に見えてくるものがあるのだと信じ、日々過ごしてほしいと思います。心より応援しています。

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船越陽一郎(ふなこし・よういちろう)
月刊陸上競技写真部
1974年12月生まれ。172cm、○0kg。福岡県春日市出身
小学生の時に身体が弱く、喘息持ちだったため、鍛えるためにラグビーを始め「走れば治る」が口癖のドSのコーチに肉体改造される。大学までラグビーを続けるも卒業と同時に引退。何を思ったか社会人でボクシングを始める。戦績3戦3敗(3KO負け)。秘密兵器の左フックを編み出すも、秘密のまま引退。なんじゃかんじゃあって現在に至る。

編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)

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第40回「葛藤(船越陽一郎)

 真剣勝負には勝者がいて敗者がいます。  競技を撮影するにあたって、勝者のほうに目がいきがちではありますが、敗者にもストーリーがあります。私たちカメラマンからすれば、勝者は当たり前ですがものすごく画になりますが、敗者も負けないくらい画になります。  それは、やはり真剣勝負に必死で挑むからこそ、その姿が美しいのだろうと思います。  それらしいことを書いてみましたが、実は敗れて泣き崩れる選手を撮影する際には結構な葛藤があります。力を出し切れなかった選手や惜しくも敗れてしまった選手の近くに行って撮影するのは、正直心が痛い時もあります。躊躇してしまいます。レンズを向けることができなかった選手もいます。  事前に取材にいかせていただいた選手は尚更です。その選手の競技に取り組む姿勢、意気込み、人間性、そしてどれだけの努力をしてきたかを知ってしまうと、報道の人間としてはどうかと思いますが、心の中で「がんばれ」と応援してしまいます。多少カット数も増えたり……。  ですので、敗れて泣き崩れる選手を撮影する際にはこう思いながらシャッターを切ります。 「この敗退はこの選手の陸上人生の中の過程であり、もっと先に輝ける結果が待っている」    もしかしたら、悔しがっている選手の姿が美しく見えるのは、その選手がその競技とどれだけ向き合っているかが見えたからなのかもしれません。  今は新型コロナウイルスの影響で先が見えない状況ですが、人生のピークは今ではなく、もっと先に輝かしい人生があるのだと思います。今選手は色々な葛藤を抱えているかもしれませんが、この状況を乗り越えた先に見えてくるものがあるのだと信じ、日々過ごしてほしいと思います。心より応援しています。
船越陽一郎(ふなこし・よういちろう) 月刊陸上競技写真部 1974年12月生まれ。172cm、○0kg。福岡県春日市出身 小学生の時に身体が弱く、喘息持ちだったため、鍛えるためにラグビーを始め「走れば治る」が口癖のドSのコーチに肉体改造される。大学までラグビーを続けるも卒業と同時に引退。何を思ったか社会人でボクシングを始める。戦績3戦3敗(3KO負け)。秘密兵器の左フックを編み出すも、秘密のまま引退。なんじゃかんじゃあって現在に至る。
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