◇第109回日本選手権(7月4日~6日/東京・国立競技場) 2日目
東京世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権が行われ、男子やり投は﨑山雄太(愛媛県競技力本部)が初優勝を飾った。4回目に83m56を投げると、5回目に87m16の超特大スロー。1989年に溝口和洋が打ち立てた“不滅”とも思われた87m60に迫る、日本歴代2位を投げた。東京世界選手権の参加標準記録(85m50)を突破して、代表に即内定した。
「ベテラン勢や後輩たちが投げてきたので、自分にも意地がありますし、どうにかして投げてやろうと思いました」
4回目が「感覚も良くて、やりの角度や、(ブロックの)右・左の着くタイミングをそのままやろうと思った」のが5回目。「標準記録くらいは行ったかなという感触がありました」。日本人2人目の87mという数字に「ずっと周囲の人が88mをいつでも投げられると言ってくれていたので、それに近い記録を出せて一安心です」と笑顔が弾けた。
類い稀な脚力とバネが武器で、高校時代からそのポテンシャルは評価されてきたが、同世代には森秀や石山歩、工藤辰郎らがおり、上・下の世代も強力だった。「彼らのお陰です。彼らを超えたいと思えたからこそ、自分のモチベーションになりました」。同じ日大を拠点にし、練習をともにしていた女子やり投の北口榛花(JAL)も世界一に。そして何より、日大の大先輩・村上幸史が大きな手本になった。現在、指導を受けているのも、村上の恩師である浜元一馬氏で、遠隔でアドバイスをもらう日々だ。「なかなか褒めてくれないですが、今日くらいは」とはにかんだ。
23年からは右脛の疲労骨折、アキレス腱痛とも付き合いながら。それでも、できるトレーニングと自らのポテンシャルを信じ、磨き続けてここにたどり着いた。23年ブダペスト世界選手権で初出場したが、脚の痛みから記録なし。「消したい過去」だが、「あれがあったから今がある」。
あの悔しさを消す舞台は、9月の国立競技場になりそうだ。今回の記録は今季の世界4位。「85mをアベレージにしないと勝負にならないくらいレベルが高いですし、この記録をしっかり3回目までに投げないといけない。投げてもメダルを取れるかどうか。出るからにはメダルを取りたいです」。
ついに覚醒した大器が、2度目の世界で輝きを放つ時が来た。
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