日本グランプリシリーズのAthlete Night Gameの2日目に行われた女子100mハードルで、福部真子(日本建設工業)が自己2番目となる12秒73(+1.4)をマークした。1週間前の実業団・学生対抗で0.01秒届かなかった東京世界選手権の参加標準記録にピタリと並んだ。
速報タイマーは12秒72で止まった。だが、確定までの間、またも祈りの時間に。12秒73と表示されると、何度も何度もスタンドのほうに向かって頭を下げた。
「あきらめなくて良かった」
昨年のパリ五輪で準決勝に進み、日本記録を何度も塗り替えてきた。そんな福部を襲ったのが病だった。原因不明の難病とも言われる高熱に悩まされる「菊池病」を昨秋に患った。何日も高熱に苦しんだ。「世界や記録を目指していいものなのかな」という気持ちがずっとあった。
今年も4月にシーズンインができず、アジア選手権も辞退。今も微熱が続く日もある。「普通に練習がしたい。普通の生活がしたい」。加えて、左膝、右アキレス腱と痛みも出てきた。日本選手権の準決勝でも12秒75を出したが、決勝は3位。そこからは“記録”と“体調”との勝負だった。
なぜ、この記録に届いたのか。
「意地、ですかね」
そう言った後、やっぱり、と言葉をつむいだ。
「本当にたくさんの人に支えてもらって、サポートしてもらった。私が走ることに意味がある。菊池病になった人でもがきながら頑張っているということが伝わったらいいなって」
2大会ぶりの世界選手権は当確。前回のブダペストはただ1人参加標準記録を切りながらも日本選手権で4位となって届かなかった。コンディション面でも「今までで一番難しい世界大会になるのは覚悟している」と福部。その上で「その日、その日でベストを尽くす世界陸上にしたい」。
数々の試練を乗り越えてきた福部は、さまざまなものを背負って3度目の世界に挑戦する。
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