HOME ニュース、国内

2021.08.20

田中希実 世界8位の貫禄!五輪後初レース1000mで19年ぶり日本新「気持ち、身体両面で土台が上がった」
田中希実 世界8位の貫禄!五輪後初レース1000mで19年ぶり日本新「気持ち、身体両面で土台が上がった」

◇TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT in OSAKA(8月20日/大阪・ヤンマーフィールド長居)

800m元日本記録保持者の横田真人氏(TWOLAPS TCコーチ)が仕掛け人となって開催された中距離に特化した大会「MIDDLE DISTANCE CIRCUIT」の大阪大会が行われた。

広告の下にコンテンツが続きます

女子1000mには、東京五輪女子1500mで8位入賞の快挙を成し遂げた田中希実(豊田自動織機TC)が出場。2分37秒72をマークし、2002年に杉森美保が樹立した2分41秒08の日本記録を19年ぶりに更新した。これで1500m、3000mに続いて3種目で日本記録保持者となった。

五輪後初レースの田中。表敬訪問や取材などに追われ「朝から晩まで予定が詰まっていて、生活の隙間に練習を入れているような感じ」だったという。それでも、「質を確保できていて1000mであれば力を落とさずに出せた」と田中。「2周目くらいまでは五輪の準決勝、決勝くらいの通過でいって、ラスト400mから加速して、残り200mで上げるイメージ」と話す通り、序盤は地元・大塚高校の塩原希梨(2年)が食らいつくが、徐々にピッチアップすると、ラストは圧巻の走りで会場を沸かせた。

「最低限、日本記録は更新したいと思っていました。スピード持久力は確認できました。オリンピックを経験して気持ち、身体の両面で土台が上がったと思います」と、多忙の中での走りに納得の表情だった。レース後は「今後は800mや5000mでも」と話した田中。1500mや5000mで戦うためにも「800mで2分を切る部分を目指したい」と、800mでも日本記録(2分00秒45)の更新も視野に入れる。「5000mの練習をしながら流しで800mを2分5秒で走る力がつけば理想です」とプランを描く。

広告の下にコンテンツが続きます

まだまだ種目の可能性についても「その時、その時で(ある種目に)注力していく部分はありますが、まずは土台となる部分を高めていきたい。世界で戦えそう、戦えたい、という種目にフォーカスしていきたい」と言う。1500mで世界の8位になろうとも、田中は選択肢を絞ることはなく、自らの無限の可能性に向かって突き進む。

◇横田氏が仕掛けた中距離特化の大会、シリーズ優勝者に100万円

TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUITは大阪を皮切りに、9月23日に福島、そしてファイナルステージとして10月30日に東京で開催される。東京大会では各種目の王者+ワイルドカード出場で1000mで競われ、男女のシリーズ王者を決定。賞金100万円を手にすることができる。これは国内では最も高額な賞金となる。

「運営の大変さを感じましたが、やっぱりおもしろないな、と思いました」と横田氏。中距離は「日本人が戦えない種目と言われてきましたが、田中選手が切り拓いてくれた。チャンスでもあり、いいわけできない状況に立たせてもらった」と言う。今回、さまざまな演出をこらして盛り上げたが、コロナ禍ということと開始時は雨天、そして平日開催だったため「もう少したくさんの人に見てもらいたかった」とも。だが、「世界の8位が来てもそれほそ人(観客)が集まらない。これは中距離だけではなく陸上界全体の問題。それは真摯に受け止めなければいけません」と話し、「やる楽しさ、見る楽しさを伝える活動をして裾野を広げていきたい」という。

昨年のオンラインで全国順位を競い合うイベント「バーチャレ」を企画するなど、これまでもさまざまなイベントを通して陸上の楽しさを追求している横田氏。今回、五輪代表の卜部蘭(積水化学)などが小学生のレースのペースメーカーを務めるなどし、「僕らが喜んでもらえるのは一緒に走ること。活動が制限されている中で思い出になってくれれば」と話す。

「今後もこういった大会を開いていきたいので、一緒に中距離の魅力を伝えていってほしいです」と呼びかけていた。

◇TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT in OSAKA(8月20日/大阪・ヤンマーフィールド長居) 800m元日本記録保持者の横田真人氏(TWOLAPS TCコーチ)が仕掛け人となって開催された中距離に特化した大会「MIDDLE DISTANCE CIRCUIT」の大阪大会が行われた。 女子1000mには、東京五輪女子1500mで8位入賞の快挙を成し遂げた田中希実(豊田自動織機TC)が出場。2分37秒72をマークし、2002年に杉森美保が樹立した2分41秒08の日本記録を19年ぶりに更新した。これで1500m、3000mに続いて3種目で日本記録保持者となった。 五輪後初レースの田中。表敬訪問や取材などに追われ「朝から晩まで予定が詰まっていて、生活の隙間に練習を入れているような感じ」だったという。それでも、「質を確保できていて1000mであれば力を落とさずに出せた」と田中。「2周目くらいまでは五輪の準決勝、決勝くらいの通過でいって、ラスト400mから加速して、残り200mで上げるイメージ」と話す通り、序盤は地元・大塚高校の塩原希梨(2年)が食らいつくが、徐々にピッチアップすると、ラストは圧巻の走りで会場を沸かせた。 「最低限、日本記録は更新したいと思っていました。スピード持久力は確認できました。オリンピックを経験して気持ち、身体の両面で土台が上がったと思います」と、多忙の中での走りに納得の表情だった。レース後は「今後は800mや5000mでも」と話した田中。1500mや5000mで戦うためにも「800mで2分を切る部分を目指したい」と、800mでも日本記録(2分00秒45)の更新も視野に入れる。「5000mの練習をしながら流しで800mを2分5秒で走る力がつけば理想です」とプランを描く。 まだまだ種目の可能性についても「その時、その時で(ある種目に)注力していく部分はありますが、まずは土台となる部分を高めていきたい。世界で戦えそう、戦えたい、という種目にフォーカスしていきたい」と言う。1500mで世界の8位になろうとも、田中は選択肢を絞ることはなく、自らの無限の可能性に向かって突き進む。 ◇横田氏が仕掛けた中距離特化の大会、シリーズ優勝者に100万円 TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUITは大阪を皮切りに、9月23日に福島、そしてファイナルステージとして10月30日に東京で開催される。東京大会では各種目の王者+ワイルドカード出場で1000mで競われ、男女のシリーズ王者を決定。賞金100万円を手にすることができる。これは国内では最も高額な賞金となる。 「運営の大変さを感じましたが、やっぱりおもしろないな、と思いました」と横田氏。中距離は「日本人が戦えない種目と言われてきましたが、田中選手が切り拓いてくれた。チャンスでもあり、いいわけできない状況に立たせてもらった」と言う。今回、さまざまな演出をこらして盛り上げたが、コロナ禍ということと開始時は雨天、そして平日開催だったため「もう少したくさんの人に見てもらいたかった」とも。だが、「世界の8位が来てもそれほそ人(観客)が集まらない。これは中距離だけではなく陸上界全体の問題。それは真摯に受け止めなければいけません」と話し、「やる楽しさ、見る楽しさを伝える活動をして裾野を広げていきたい」という。 昨年のオンラインで全国順位を競い合うイベント「バーチャレ」を企画するなど、これまでもさまざまなイベントを通して陸上の楽しさを追求している横田氏。今回、五輪代表の卜部蘭(積水化学)などが小学生のレースのペースメーカーを務めるなどし、「僕らが喜んでもらえるのは一緒に走ること。活動が制限されている中で思い出になってくれれば」と話す。 「今後もこういった大会を開いていきたいので、一緒に中距離の魅力を伝えていってほしいです」と呼びかけていた。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.17

やり投・長沼元は74m70で予選36位にとどまる 最終調整で腰に痛み「力んでしまった」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)5日目 東京世界陸上5日目のイブニングセッションが行われ、男子やり投予選B組に出場した長沼元(スズキ)は74m70で組17位、全体36位で決勝進出はならなかった。 今季は自 […]

NEWS 鵜澤飛羽は1組5レーン ベドナレク、オガンドらパリ五輪入賞者と同組 200m準決勝スタートリスト発表/東京世界陸上

2025.09.17

鵜澤飛羽は1組5レーン ベドナレク、オガンドらパリ五輪入賞者と同組 200m準決勝スタートリスト発表/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 東京世界陸上6日目のイブニングセッションで行われる男子200m準決勝のスタートリストが発表され、予選6組を20秒39(±0)の3着で通過した鵜澤飛羽(JAL)は1組5レー […]

NEWS 200m・飯塚翔太は20秒64で予選組6着 地元開催に「この雰囲気で準決勝に立てていたら」/東京世界陸上

2025.09.17

200m・飯塚翔太は20秒64で予選組6着 地元開催に「この雰囲気で準決勝に立てていたら」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)5日目 東京世界選手権5日目のイブニングセッションが行われ、男子200m予選1組に出場した飯塚翔太(ミズノ)は20秒64(-0.2)で6着となり、準決勝進出はならなかった。 […]

NEWS 棒高跳ムーンが4m90でイシンバイェワ超えの3連覇!モリスとの白熱の米国対決制す/東京世界陸上

2025.09.17

棒高跳ムーンが4m90でイシンバイェワ超えの3連覇!モリスとの白熱の米国対決制す/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)5日目 東京世界陸上5日目のイブニングセッションが行われ、女子棒高跳はケイティ・ムーン(米国)が4m90で史上初の3連覇を達成した。 白熱の好勝負となった。その主役となった […]

NEWS 200m・水久保漱至は今季ベスト20秒51も予選敗退 「根本的な力が足りないと肌で感じた」/東京世界陸上

2025.09.17

200m・水久保漱至は今季ベスト20秒51も予選敗退 「根本的な力が足りないと肌で感じた」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)5日目 東京世界陸上5日目のイブニングセッションが行われ、男子200m予選3組に出場した水久保漱至(宮崎県スポ協)は20秒51(-0.3)の7着で、準決勝進出はならなかった […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top