2020.09.04
毎週金曜日更新!?
★月陸編集部★
攻め(?)のアンダーハンド
リレーコラム🔥
毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ!
陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいことetc…。
編集スタッフが週替りで綴って行きたいと思います。
暇つぶし程度にご覧ください!
第58回「それ、ドーピングだよ」(向永拓史)
みなさん、ドーピングは許せますか?
私は許せません。なぜでしょうか。
身体に悪いから。それも一つでしょう。でも、使った本人がそれでもよければ使っても問題ないでしょう。
フェアじゃないから。確かに効果がある以上、フェアではありません。では、全員がドーピングをしてもよければ?
もし、自分がトップアスリートで、この試合に勝てばオリンピックに行ける、メダルを取れる。そんな状況で、ドーピングが許されているならば、たぶんすると思います。
でも、ドーピングはダメ。なぜなら、それが「ルール」だからです。
人と人が共存するためには「ルール」が必要です。たとえば、ただ自分を鍛えるためだけならドーピングしても誰からも責められないでしょう。しかし、それはスポーツではありません。やはり誰かと競い合うためには「ルール」が必要で、ドーピングもルールで禁止されている。
ルールで禁止されている以上、それを破るドーピングは陸上競技を裏切る行為なのです。
さて、前置きはこれくらいにして。みなさんはこのCMをご存じですか?
※千葉テレビさんYouTubeより
これはテレビ番組を録画してインターネット上に流したり、スマホで撮影してSNSで流したりする行為に対して「違法だよ」と注意喚起するものです。かわいいイラストですが、中身はかなりシリアスです。
こちらが放送番組の違法配信撲滅キャンペーン オフィシャルサイト
最近、SNSでの誹謗中傷などが大きな社会問題として取り上げられていますが、この「著作権問題」も実は深刻です。
残念ながら、陸上競技界隈も例外ではありません。SNSを見ると、過去・最新問わず、テレビ中継の映像を流し、雑誌の中身をさらし、他人が撮影してアップしてある写真を勝手に保存して引用も書かず自分のSNSでアップする。しかも、それを何のためらいもなく、多くの人がリツイートします。
これ、相当やばいと思うんです。
アップしている人に悪気はないかもしれません。もしかすると善意だと思っているかも。でも、「それ、違法だよ」と注意されるやつです。注意ですめばいいですが、実際に訴えられたら負けちゃうんです。今は個人に対してアクションを起こすことはほとんどないですが、立派な違法行為です。きっと、これから法改正していくことでしょう。
残念だなと思うのは、陸上競技という「ルールを守る」ことをとても大切にしている陸上関係者がこれを犯していることです。
私は幼い頃から他のスポーツをしていて、もちろんルールはありますが「審判にバレなければ」という概念がまかり通っていました。でも、陸上競技はそんな習慣はありません。
違法アップする人は「陸上競技を盛り上げるため」「選手・競技の魅力を伝えるため」という大義名分があるのかもしれません。
でも、それって一時力(いっときぢから)、つまり「ドーピング」です。そうです。みなさんが忌み嫌う行為です。
その一瞬は盛り上がり、注目を集めるかもしれません。でも、ルールを知る「陸上競技外」の人からすれば「なんだ、陸上って違法アップロードしたり、それをリツイートしたりする人たちなんだ」って残念がられます。陸上競技を盛り上げるどころか、その価値を下げることになります。
これらの行為は、やっぱり陸上競技を裏切る行為だと思います。
「そういう時代なんだ」
「今はもう仕方ないだろ」
そうかもしれません。でも、ルールなんです。ルールには「悪法」もあります。でも、ルールはルールですよね。納得いかないのであれば、変えるしかありません。ルールは破るものではなく守るものであり、変えるものなのです。
「自分たちメディアがかわいいからだろ」
「自己防衛だろ」
もちろん、それもあります。マスメディアがなくなったら、誰も報じなくなり、その競技は必ず衰退します。私たちは、陸上競技に貢献するために仕事をしているという自負があります。だから、絶対に陸上界のメディアを守らなくてはなりません。
説教ばかりだったので、少し前向きに。ここだけの話ですが、月刊陸上競技のウェブサイトが大幅リニューアル工事中です。コラムを読んでいただいている方なら、もうご存じかもしれませんが、陸上界唯一のWebメディアとして生まれ変わります。どんなかたちでも、陸上競技を盛り上げるという思いが変わることはありません。ぜひブックマークしてください。
SNSを使うのが当たり前になった時代だからこそ、もう一度、アップする前に、リツイートする前に、その行為が「ドーピング」じゃないか「ドーピングを助長」していないか、ちょっとだけ考え直してみませんか?
※でも、月陸の表紙を載せて宣伝してもらうのは全然OKなのでぜひよろしくお願いします。
______________________
最後になりましたが。
先日、ある一人の選手が亡くなりました。高校時代から何度も取材した選手で、卒業してから取材する機会は減っても、SNSでもつながっていました。急な知らせに残念でなりません。この場を借りて、心よりお悔やみ申し上げます。
やっぱり、取材した選手には競技を頑張ってほしい。そのためには何より健康こそすべて。そして、競技をしている・していない関係なく、健康に過ごして、人生を謳歌してほしいです。どうか自分の健康を自分で守ってください。
少しポーカーフェイスで、お茶目で、先輩に甘えたがりで、インターハイを制してなお「自分の投げができなかった」と涙を流していた、投てきのホープがいたことを、私は絶対に忘れません。
| 向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg(全盛期のマラドーナと同じ)、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。趣味は一人カラオケで、自己ベストは8時間。 |
編集部コラム第57回「東京五輪へ“もう1度”あと1年」(小川)
編集部コラム第56回「魔法の言葉」(船越)
編集部コラム第55回「月陸ってどんな雑誌?」(松永)
編集部コラム第54回「インターハイ種目別学校対抗(女子編)」(大久保)
編集部コラム第53回「明確なビジョン」(井上)
編集部コラム第52回「人間性を磨く」(山本)
編集部コラム第51回「指が痛い。」(向永)
編集部コラム第50回「温故知新」(小川)
編集部コラム第49回「対面取材」(船越)
編集部コラム第48回「日本選手権優勝者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第47回「インターハイ種目別学校対抗(男子編)」(大久保)
編集部コラム第46回「月陸に自分が載った」(井上)
編集部コラム第45回「陸上競技と関わり続ける」(山本)
編集部コラム第44回「逃げるとどうなる?」(向永)
編集部コラム第43回「成長のヒント」(小川)
編集部コラム第42回「日本実業団記録」(大久保)
編集部コラム第41回「思い出の2016年長野全中」(松永)
編集部コラム第40回「葛藤」(船越)
編集部コラム第39回「何も咲かない寒い日は……」(井上)
編集部コラム第38回「社会の一員としての役割」(山本)
編集部コラム第37回「大学生、高校生、中学生に光を」(向永)
編集部コラム第36回「Tokyo 2020+1」(小川)
編集部コラム第35回「善意」(船越)
編集部コラム第34回「ピンチをチャンスに」(松永)
編集部コラム第33回「日本記録アラカルト」(大久保)
編集部コラム第32回「独断で選ぶ2019年度高校陸上界5選」(井上)
編集部コラム第31回「記録と順位」(山本)
編集部コラム第30回「答えを見つけ出す面白さ」(向永)
編集部コラム第29回「初めてのオリンピック」(小川)
編集部コラム第28回「人生意気に感ず」(船越)
編集部コラム第27回「学生駅伝〝区間賞〟に関するアレコレ」(松永)
編集部コラム第26回「2019年度 陸上界ナンバーワン都道府県は?」(大久保)
編集部コラム第25回「全国男子駅伝の〝私見〟大会展望」(井上)
編集部コラム第24回「箱根駅伝の高速化を検証」(山本)
編集部コラム番外編「勝負師の顔」(山本)
編集部コラム第23回「みんなキラキラ」(向永)
編集部コラム第22回「国立競技場」(小川)
編集部コラム第21回「〝がんばれ〟という言葉の力と呪縛」(船越)
編集部コラム第20回「日本記録樹立者を世代別にまとめてみた」(松永)
編集部コラム第19回「高校陸上界史上最強校は?(女子編)」(大久保)
編集部コラム第18回「独断で選ぶ全国高校駅伝5選」(井上)
編集部コラム第17回「リクジョウクエスト2~そして月陸へ~」(山本)
編集部コラム第16回「強い選手の共通点?」(向永)
編集部コラム第15回「続・ドーハの喜劇?」(小川)
編集部コラム第14回「初陣」(船越)
編集部コラム第13回「どうなる東京五輪マラソン&競歩!?」(松永)
編集部コラム第12回「高校陸上界史上最強校は?(男子編)」(大久保)
編集部コラム第11回「羽ばたけ日本の中距離!」(井上)
編集部コラム第10回「心を動かすもの」(山本)
編集部コラム第9回「混成競技のアレコレ」(向永)
編集部コラム第8回「アナウンス」(小川)
編集部コラム第7回「ジンクス」(船越)
編集部コラム第6回「学生駅伝を支える主務の存在」(松永)
編集部コラム第5回「他競技で活躍する陸上競技経験者」(大久保)
編集部コラム第4回「とらんすふぁ~」(井上)
編集部コラム第3回「リクジョウクエスト」(山本)
編集部コラム第2回「あんな選手を目指しなさい」(向永)
編集部コラム第1回「締め切りとIHと五輪」(小川)
第58回「それ、ドーピングだよ」(向永拓史)
写真はただかわいいから載せただけで本文とは無関係です!
みなさん、ドーピングは許せますか?
私は許せません。なぜでしょうか。
身体に悪いから。それも一つでしょう。でも、使った本人がそれでもよければ使っても問題ないでしょう。
フェアじゃないから。確かに効果がある以上、フェアではありません。では、全員がドーピングをしてもよければ?
もし、自分がトップアスリートで、この試合に勝てばオリンピックに行ける、メダルを取れる。そんな状況で、ドーピングが許されているならば、たぶんすると思います。
でも、ドーピングはダメ。なぜなら、それが「ルール」だからです。
人と人が共存するためには「ルール」が必要です。たとえば、ただ自分を鍛えるためだけならドーピングしても誰からも責められないでしょう。しかし、それはスポーツではありません。やはり誰かと競い合うためには「ルール」が必要で、ドーピングもルールで禁止されている。
ルールで禁止されている以上、それを破るドーピングは陸上競技を裏切る行為なのです。
さて、前置きはこれくらいにして。みなさんはこのCMをご存じですか?
https://www.youtube.com/watch?v=ExE_uWvFOAQ
※千葉テレビさんYouTubeより
これはテレビ番組を録画してインターネット上に流したり、スマホで撮影してSNSで流したりする行為に対して「違法だよ」と注意喚起するものです。かわいいイラストですが、中身はかなりシリアスです。
こちらが放送番組の違法配信撲滅キャンペーン オフィシャルサイト
最近、SNSでの誹謗中傷などが大きな社会問題として取り上げられていますが、この「著作権問題」も実は深刻です。
残念ながら、陸上競技界隈も例外ではありません。SNSを見ると、過去・最新問わず、テレビ中継の映像を流し、雑誌の中身をさらし、他人が撮影してアップしてある写真を勝手に保存して引用も書かず自分のSNSでアップする。しかも、それを何のためらいもなく、多くの人がリツイートします。
これ、相当やばいと思うんです。
アップしている人に悪気はないかもしれません。もしかすると善意だと思っているかも。でも、「それ、違法だよ」と注意されるやつです。注意ですめばいいですが、実際に訴えられたら負けちゃうんです。今は個人に対してアクションを起こすことはほとんどないですが、立派な違法行為です。きっと、これから法改正していくことでしょう。
残念だなと思うのは、陸上競技という「ルールを守る」ことをとても大切にしている陸上関係者がこれを犯していることです。
私は幼い頃から他のスポーツをしていて、もちろんルールはありますが「審判にバレなければ」という概念がまかり通っていました。でも、陸上競技はそんな習慣はありません。
違法アップする人は「陸上競技を盛り上げるため」「選手・競技の魅力を伝えるため」という大義名分があるのかもしれません。
でも、それって一時力(いっときぢから)、つまり「ドーピング」です。そうです。みなさんが忌み嫌う行為です。
その一瞬は盛り上がり、注目を集めるかもしれません。でも、ルールを知る「陸上競技外」の人からすれば「なんだ、陸上って違法アップロードしたり、それをリツイートしたりする人たちなんだ」って残念がられます。陸上競技を盛り上げるどころか、その価値を下げることになります。
これらの行為は、やっぱり陸上競技を裏切る行為だと思います。
「そういう時代なんだ」
「今はもう仕方ないだろ」
そうかもしれません。でも、ルールなんです。ルールには「悪法」もあります。でも、ルールはルールですよね。納得いかないのであれば、変えるしかありません。ルールは破るものではなく守るものであり、変えるものなのです。
「自分たちメディアがかわいいからだろ」
「自己防衛だろ」
もちろん、それもあります。マスメディアがなくなったら、誰も報じなくなり、その競技は必ず衰退します。私たちは、陸上競技に貢献するために仕事をしているという自負があります。だから、絶対に陸上界のメディアを守らなくてはなりません。
説教ばかりだったので、少し前向きに。ここだけの話ですが、月刊陸上競技のウェブサイトが大幅リニューアル工事中です。コラムを読んでいただいている方なら、もうご存じかもしれませんが、陸上界唯一のWebメディアとして生まれ変わります。どんなかたちでも、陸上競技を盛り上げるという思いが変わることはありません。ぜひブックマークしてください。
SNSを使うのが当たり前になった時代だからこそ、もう一度、アップする前に、リツイートする前に、その行為が「ドーピング」じゃないか「ドーピングを助長」していないか、ちょっとだけ考え直してみませんか?
※でも、月陸の表紙を載せて宣伝してもらうのは全然OKなのでぜひよろしくお願いします。
______________________
最後になりましたが。
先日、ある一人の選手が亡くなりました。高校時代から何度も取材した選手で、卒業してから取材する機会は減っても、SNSでもつながっていました。急な知らせに残念でなりません。この場を借りて、心よりお悔やみ申し上げます。
やっぱり、取材した選手には競技を頑張ってほしい。そのためには何より健康こそすべて。そして、競技をしている・していない関係なく、健康に過ごして、人生を謳歌してほしいです。どうか自分の健康を自分で守ってください。
少しポーカーフェイスで、お茶目で、先輩に甘えたがりで、インターハイを制してなお「自分の投げができなかった」と涙を流していた、投てきのホープがいたことを、私は絶対に忘れません。
| 向永拓史(むかえ・ひろし) 月刊陸上競技編集部 新米編集部員 1983年8月30日生まれ。16★cm、★kg(全盛期のマラドーナと同じ)、O型。石川県金沢市生まれ、滋賀県育ち。両親の仕事の都合で多数の引っ越しを経験し、幼少期より「どうせ友達になっても離れる」とひねくれて育つ。運動音痴で絵を描くのが好きな少年だったが、小4の時に開幕したJリーグの影響で三浦知良に心酔し、天才漫画家になる未来を絶たれた。いろいろあって2011年全中以降、陸上競技の取材をすることになり、現在に至る。趣味は一人カラオケで、自己ベストは8時間。 |
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