2022.04.15
7月のオレゴン世界選手権や9月の杭州アジア大会の代表選考会を兼ねた第106回日本選手権35km競歩・第61回全日本競歩輪島大会は4月16日、17日の2日間、石川県輪島市内で行われる。17日には国内初となる35kmに加え、20kmの特別レースも実施され、有力選手が多数参戦。種目別にレースを展望していく。
昨年の東京五輪まで行われていた国際大会の50kmを今年から35kmに変更。それに合わせて国内でも実施されることになった。
オレゴン世界選手権の代表選考要項では、派遣設定記録(男子2時間30分00秒、女子2時間51分00秒)を突破した上で日本人最上位者が代表内定となる。派遣設定記録を1km平均に換算すると男子が4分17秒、女子が4分53秒だ。
派遣設定記録は、2020年11月30日以降に出した50kmの記録も対象になっている(男子は3時間45分00秒、女子では4時間20分00秒)。
その点を踏まえると、35kmのエントリー選手の中では、昨年の東京五輪男子50km代表コンビの丸尾知司(愛知製鋼)が50kmで3時間38分42秒、勝木隼人(自衛隊体育学校)が3時間42分34秒を出しており、2人は記録に関わらず17日のレースで優勝すれば、代表内定となる。
さらに注目の選手は、昨年の東京五輪50km6位の川野将虎(旭化成)だろう。3月上旬に行われた世界競歩チーム選手権(オマーン・マスカット)で35kmを経験して4位。ただ、タイムは25度を超える暑さもあり、2時間37分36秒と派遣設定には届かなかった。そこから1ヵ月半でどこまで調子を上げてくるか。
この他、50kmで3時間40分切りの記録を持つ野田明宏(自衛隊体育学校)や、世界競歩チーム選手権10位の高橋和生(ADワークスグループ)も有力候補で、終盤まで目が離せない激しいレースになるかもしれない。
また、20kmで世界選手権代表内定を得ている松永大介(富士通)や、16年リオ五輪50km銅のベテラン・荒井広宙(富士通)もエントリーしている。
20kmで昨年の東京五輪銅メダリスト、19年ドーハ世界選手権金メダリストの山西利和(愛知製鋼)もエントリーしていたが、その後に自身のSNSで欠場を表明している。また、ドーハ世界選手権50km金の鈴木雄介(富士通)は今大会にはエントリーしていないが、ワイルドカードとしてオレゴン世界選手権の出場権を持つ。
女子35kmは、東京五輪で20kmに出場した河添香織(自衛隊体育学校)や、ロンドン五輪20km代表の渕瀬真寿美(建装工業)のほか、園田世玲奈(NTN)、熊谷菜美(関彰商事)がエントリー。派遣設定記録突破がベストだが、今後の代表選考を含めて参加標準記録(2時間54分00秒/1km平均4分58秒)突破がまずターゲットになるだろう。
20kmの特別レースは男女ともに東京五輪代表選手がエントリー。少人数だが、ハイレベルな争いとなるかもしれない。
オレゴン世界選手権代表枠があと1つとなった男子は、東京五輪銀メダリストの池田向希(旭化成)と、すでに代表に内定している高橋英輝(富士通)、世界競歩チーム選手権代表の諏方元郁(愛知製鋼)の3人が名を連ねている。
池田は世界競歩チーム選手権で金メダルの山西に続き、銀メダルを獲得。派遣設定記録(1時間20分00秒)突破をテーマに臨むだろう。高橋は池田と競り合うことでオレゴンへの手応えをつかみたいはずだ。諏方は35kmにもエントリーしており、17日はどちらを選ぶか。20kmに出れば池田、高橋という五輪代表選手に食らいついて、勝機を見いだしたい。
女子の20kmは藤井菜々子(エディオン)、岡田久美子(富士通)の東京五輪代表の2人のみ。派遣設定記録(1時間30分00秒)を破るタイムで世界選手権代表を目指す。世界競歩チーム選手権では暑さの中で5位入賞した藤井と、新たな所属先では初めてのレースとなる岡田が、ハイレベルな争いを見せられるか。
今回から2km往復コースから1km往復コースに変更された。折り返しでの位置取りや、その前後のリズムもポイントになるかもしれない。
この他、16日には男女それぞれの全日本10km、U20の10km、17日には高校男女の5kmが行われる。
なお、今大会の35kmで出された最も良い記録は今後日本記録の可能性があるものの、すぐには日本記録にはならず、ルール上「日本最高記録」の扱いとなる。競技会規則では「新しい種目が加わった時、および記録の扱い方が変更になった場合には、その年に出されたもっともよい記録を日本記録として扱う」となっている。また、ルール改正で4月1日から日本記録の公認種目に加わったため、3月の世界競歩チーム選手権35kmの日本選手の記録は対象外。
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