◇日本学生個人選手権(4月15~17日/神奈川・平塚)1日目
ワールドユニバーシティゲームズの選考会を兼ねた日本学生個人選手権。初日の最終種目だった男子10000mは箱根駅伝で3年連続シード権獲得中の創価大勢が躍動した。
レース序盤は、順大の野村優作を先頭に1000m通過が2分59秒とスローペースの展開。すると、1400m過ぎに葛西潤(創価大)が先頭に立ち、レースを牽引し始めた。
「スローになったら前に出てレースを引っ張ろうと思っていました。ラストのスプリント勝負になったら、足が遅いので勝てないと思ったので…」
そして、1000mから2000mは2分51秒、2000mから3000mは2分47秒とペースをじわりじわりと引き上げた。
葛西の積極的なレース運びに、留年してチームに残った“5年生”の嶋津雄大も奮起。先頭集団の後方に位置取っていた嶋津だったが、4000m過ぎに、葛西に代わって先頭に立った。3000mから4000mは2分53秒とペースダウンしたが、4000mから5000mも2分53秒でなんとかペースをキープした。
「最近は調子が悪くて、今日のレースにギリギリ間に合うかどうかの状態でした。気楽に走ろうと思っていたんですけど、1位を狙えそうな葛西が前に出ていたので、(一人で引っ張らせたら)後半に響くだろうと思い、自分も身代わりになろうと思って前に出ました。葛西は余裕そうでしたけどね」
そういって笑う嶋津の言葉通り、葛西には余裕があった。5000mを14分22秒で通過すると、5200m過ぎに葛西は再び先頭へ。
「ちょっと(後続と)間が空いたかなっていうタイミングで、じわじわダメージを与えられたらいいなと思って、少しペースを上げました」
一気にペースアップしたわけではなかったが、2位以下をじわりじわりと引き離す。そして、終盤は独走となり28分30秒65で優勝。約8秒差の2位には嶋津が入り、創価大勢としてワンツーフィニッシュを果たした。
「3位以内に入れればと思っていたので、良過ぎました」と、葛西にとって優勝は想定以上の結果だった。2月のクロスカントリー日本選手権でも、シニア男子(10km)で2位に入っており、今年に入って立て続けに好成績をマークしている。
昨季は左足の足底のケガで、2年時の箱根駅伝が終わってから9カ月間も走れない期間があった。今季はケガもなく「良い練習を継続してできていること」が好調の要因だという。
「昨年走れていなかったので、試合一つひとつに出られるだけでもありがたい。昨年出られなかった分、噛み締めながら走れればなと思います。ウチはまだ全日本大学駅伝に出たことがないので、まずは全日本関東選考会を突破し三大駅伝で戦えるように、自分の力を出し、チームを引っ張っていければと思います」
高校時代には世界クロスカントリー選手権に日の丸を付けて出場するなど、その実力は折り紙付き。大学に入ってからは、スタートラインに立てば、きっちりと結果を残したが、ケガもあってDNS(欠場)のレースも多かった。今シーズンは順調にシーズンイン。大学ラストイヤーに“眠れる獅子”がいよいよ大暴れしそうだ。
文/和田悟志

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
-
2025.07.18
-
2025.07.17
-
2025.07.17
-
2025.07.13
-
2025.07.05
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.07.18
富士北麓ワールドトライアル 100mに栁田大輝、桐生祥秀 ハードルに泉谷駿介、田中佑美がエントリー!
日本陸連は7月18日、日本グランプリシリーズの富士北麓ワールドトライアル2025のエントリーリストを発表した。 男子100mには日本選手権で優勝した桐生祥秀(日本生命)を筆頭に、関口裕太(早大)、小池祐貴(住友電工)、多 […]
2025.07.18
【世界陸上プレイバック】―13年モスクワ―棒高跳イシンバエワが地元で有終の美 福士加代子がマラソンで笑顔の銅メダル、桐生祥秀が世界デビュー
今年9月、陸上の世界選手権(世界陸上)が34年ぶりに東京・国立競技場で開催される。今回で20回目の節目を迎える世界陸上。日本で開催されるのは1991年の東京、2007年の大阪を含めて3回目で、これは同一国で最多だ。 これ […]
2025.07.18
100m栁田大輝60年ぶり“世界一”なるか!?落合晃、阿部竜希、柳井綾音らがドイツで勝負/ユニバ
学生世界一を決めるFISUワールドユニバーシティゲームズの陸上競技が7月21日から27日まで、ドイツのライン・ルールで行われる。若き日本代表の注目選手を紹介する。 男子100mには栁田大輝(東洋大)が出場する。自己記録は […]
2025.07.18
チェプンゲティチ暫定的資格停止!女子マラソン初2時間10分切り、3月のドーピング検査陽性
世界陸連の独立不正監査機関「アスリート・インテグリティー・ユニット」(AIU)は7月17日、女子マラソン世界記録(2時間9分56秒)保持者のルース・チェプンゲティチ(ケニア)に暫定的資格停止処分を科したことを発表した。 […]
Latest Issue
最新号

2025年8月号 (7月14日発売)
詳報!日本選手権
IH地区大会