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2025.07.13

七種競技・田中友梨が日本歴代5位の5782点で初V!「スズキの看板背負うからには」高校同期の“覚醒”にも刺激/日本選手権混成
七種競技・田中友梨が日本歴代5位の5782点で初V!「スズキの看板背負うからには」高校同期の“覚醒”にも刺激/日本選手権混成

女子七種競技を制した田中友梨(右)と中村明彦コーチ

◇第109回日本選手権・混成競技(7月12、13日/岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場)2日目

日本選手権混成競技の2日目が行われ、女子七種競技は田中友梨(スズキ)が日本歴代5位の5782点で初優勝を飾った。

「今シーズン好調だったので、優勝を目指してスタートしました」という田中。100mハードルも向かい風1.7mのなかで14秒17の自己新と「すごく良いスタート」を切った。だが、それ以上に、梶木菜々香(ノジマ)が絶好調で初日をトップで折り返す。

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そうした中でも「気持ちを切らさずに」臨んだ2日目。「苦手」とする跳躍種目だったが、昨年冬から十種競技で五輪出場を果たしているスズキの中村明彦コーチに技術指導を受けたこともあり向上。5m56(-0.7)でしのぐと、圧巻だったのが得意とするやり投。「最近は肩、肘も痛みがなくできていた」と50mオーバーを連発していたが、1回目に「助走も良かった」と54m32のビッグスローを見せた。

それでも6種目を終えて梶木がトップで田中は2位。800mで約5秒差をつければ逆転するという状況だった。「5秒差は意識していましたが、後ろがどのくらいついてくるかわからなかったので、やり切って負けたら仕方ないという気持ちで、最後は全力でもがきました」。

堂々の2分12秒85の好記録でトップのフィニッシュ。梶木も2分24秒32と自己記録にあと2秒ほどに迫る力走を見せたが、逆転で頂点に立った。

愛知・至学館高時代にインターハイ、至学館大でも日本インカレと制してきた田中。それでも、「今までと違ったプレッシャーがありました」。これまで右代啓祐(現・国士舘クラブ)、中村、女子も日本記録保持者の山﨑有紀が在籍してきた。その背中を追い、今年からあこがれのスズキに入ったが、「スズキの看板を背負うからには恥じない記録で優勝したかった」。

さらに、刺激を受けたのが高校の同期だったスプリンターの復活劇。日本選手権で100m、200m2冠をした井戸アビゲイル風果(東邦銀行)だ。「試合前も連絡をくれて、自分に集中して練習と同じようにやれば大丈夫、と言われて、その言葉を思いながらやっていました。同年に優勝したいねと目標にしていたので『絶対に優勝してくるね』と言っていました。今回取れて本当にうれしいです」。

23年に5545点を出していたが、今年は3月に日本歴代8位となる5642点で2年ぶり自己新。5月にも5678点を出していた。そして、今大会で大幅自己新。「ここがスタート。まだ苦手なスプリントを磨いて、6000点に近づいていきたいです。大きな目標はオリンピック出場ですが、まずは来年、(地元・愛知で)アジア大会に出場するのが目標です」。

肩・肘などを痛めて苦しんだ時期も長く、大学卒業後はクラブチーム所属で競技を続けてきた。やり投単体でも将来を期待されるほどの逸材だったが、「最後の800mはきついですが、それ以外の種目ができるのは気分転換にもなるし、楽しみながらできる」という七種競技で花開いた田中。ユニバーシアード以来となる“日の丸”に向けて、さらに進化を遂げていく。

2位の梶木も日本歴代9位の5693点。「向かい風などこういう条件の中で大幅ベストは自信になります。もっと伸びそうなポイントもつかめたので楽しみ。条件がそろえばもっと記録を狙えそうなので、秋にもう一試合出てたい」。週に4回は店舗に立ち、冷蔵庫や洗濯機など“白物家電”を担当する梶木。秋にさらに爆発しそうな雰囲気が漂う。

3位は前回Vの熱田心(岡山陸協)。大会前から右膝を痛めていたことを試合を終えて初めて明かしたが「逃げたくなかった」。3位になったのは「意地でした」と語り、「同期(田中)にパワーをもらったので、向き合って、また一からやっていきます」と誓った。

◇第109回日本選手権・混成競技(7月12、13日/岐阜・岐阜メモリアルセンター長良川競技場)2日目 日本選手権混成競技の2日目が行われ、女子七種競技は田中友梨(スズキ)が日本歴代5位の5782点で初優勝を飾った。 「今シーズン好調だったので、優勝を目指してスタートしました」という田中。100mハードルも向かい風1.7mのなかで14秒17の自己新と「すごく良いスタート」を切った。だが、それ以上に、梶木菜々香(ノジマ)が絶好調で初日をトップで折り返す。 そうした中でも「気持ちを切らさずに」臨んだ2日目。「苦手」とする跳躍種目だったが、昨年冬から十種競技で五輪出場を果たしているスズキの中村明彦コーチに技術指導を受けたこともあり向上。5m56(-0.7)でしのぐと、圧巻だったのが得意とするやり投。「最近は肩、肘も痛みがなくできていた」と50mオーバーを連発していたが、1回目に「助走も良かった」と54m32のビッグスローを見せた。 それでも6種目を終えて梶木がトップで田中は2位。800mで約5秒差をつければ逆転するという状況だった。「5秒差は意識していましたが、後ろがどのくらいついてくるかわからなかったので、やり切って負けたら仕方ないという気持ちで、最後は全力でもがきました」。 堂々の2分12秒85の好記録でトップのフィニッシュ。梶木も2分24秒32と自己記録にあと2秒ほどに迫る力走を見せたが、逆転で頂点に立った。 愛知・至学館高時代にインターハイ、至学館大でも日本インカレと制してきた田中。それでも、「今までと違ったプレッシャーがありました」。これまで右代啓祐(現・国士舘クラブ)、中村、女子も日本記録保持者の山﨑有紀が在籍してきた。その背中を追い、今年からあこがれのスズキに入ったが、「スズキの看板を背負うからには恥じない記録で優勝したかった」。 さらに、刺激を受けたのが高校の同期だったスプリンターの復活劇。日本選手権で100m、200m2冠をした井戸アビゲイル風果(東邦銀行)だ。「試合前も連絡をくれて、自分に集中して練習と同じようにやれば大丈夫、と言われて、その言葉を思いながらやっていました。同年に優勝したいねと目標にしていたので『絶対に優勝してくるね』と言っていました。今回取れて本当にうれしいです」。 23年に5545点を出していたが、今年は3月に日本歴代8位となる5642点で2年ぶり自己新。5月にも5678点を出していた。そして、今大会で大幅自己新。「ここがスタート。まだ苦手なスプリントを磨いて、6000点に近づいていきたいです。大きな目標はオリンピック出場ですが、まずは来年、(地元・愛知で)アジア大会に出場するのが目標です」。 肩・肘などを痛めて苦しんだ時期も長く、大学卒業後はクラブチーム所属で競技を続けてきた。やり投単体でも将来を期待されるほどの逸材だったが、「最後の800mはきついですが、それ以外の種目ができるのは気分転換にもなるし、楽しみながらできる」という七種競技で花開いた田中。ユニバーシアード以来となる“日の丸”に向けて、さらに進化を遂げていく。 2位の梶木も日本歴代9位の5693点。「向かい風などこういう条件の中で大幅ベストは自信になります。もっと伸びそうなポイントもつかめたので楽しみ。条件がそろえばもっと記録を狙えそうなので、秋にもう一試合出てたい」。週に4回は店舗に立ち、冷蔵庫や洗濯機など“白物家電”を担当する梶木。秋にさらに爆発しそうな雰囲気が漂う。 3位は前回Vの熱田心(岡山陸協)。大会前から右膝を痛めていたことを試合を終えて初めて明かしたが「逃げたくなかった」。3位になったのは「意地でした」と語り、「同期(田中)にパワーをもらったので、向き合って、また一からやっていきます」と誓った。

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