HOME 特集

2025.02.13

世界一熾烈な代表選考会 山西利和の復活Vか、パリ五輪代表勢か 女子は藤井3連覇懸かる/日本選手権20km競歩
世界一熾烈な代表選考会 山西利和の復活Vか、パリ五輪代表勢か 女子は藤井3連覇懸かる/日本選手権20km競歩

日本選手権20km競歩の様子(2024年)

◇第108回日本選手権20km競歩(2月16日/兵庫県神戸市・六甲アイランド付設コース)

東京世界選手権代表選考会を兼ねた日本選手権20km競歩が行われる。ブダペスト世界選手権、パリ五輪と2大会連続で男子はメダルを逃しているとは言え、日本のレベルは世界トップクラス。まさに“世界一熾烈な代表選考会”と言える。

9月に行われる東京世界選手権の代表枠は3。今大会で日本陸連が定める派遣設定記録(1時間18分30秒)を突破して優勝した選手が1名内定。選考条件で次に最優されるのは「日本選手権3位以内で有効期間内に派遣設定記録を満たした競技者」と記載されているため、事実上の一発選考となる。

広告の下にコンテンツが続きます

優勝候補筆頭は山西利和(愛知製鋼)か。19年ドーハ、22年オレゴンと世界選手権連覇の元世界王者。前回は厚底シューズ対応に苦心した影響から、競技生活初の失格に。パリ五輪も逃し、一時は引退も考えたそうだ。だが、シューズに徐々に順応すると、国際レースに優勝し、昨年10月の全日本競歩高畠大会では1時間17分56秒をマークして優勝している。有効期間内に派遣設定記録を突破しているため、3位以内に入れば代表をほぼ確実にするかたちだ。

対抗の筆頭はパリ五輪に出場した古賀友太(大塚製薬)と濱西諒(サンベルクス)。前回は濱西が2位、古賀が3位だったが、パリ五輪では古賀が8位入賞を果たしている。この3人としては、なるべく早く先頭集団を絞りたいだろう。序盤からハイペースでレースを組み立てるかもしれない。

野田明宏(自衛隊体育学校)や、ベテランの勝木隼人(自衛隊体育学校)と丸尾知司(愛知製鋼)ら35kmを得意とする選手もどんな歩きを見せるか。前回5位の高橋和生(ADワークスグループ)、22年オレゴンで8位の住所大翔(富士通)、23年アジア選手権優勝の村山裕太郎(同)、吉川絢斗(サンベルクス)あたりも上位候補。昨年10000m競歩で38分37秒13のU20日本新を出した逢坂草太朗(東洋大)も逸材だ。このあたりの層は上位3人を逃がさないことが重要だ。

広告の下にコンテンツが続きます

エントリーを予定していた35km競歩世界記録保持者の川野将虎(旭化成)は出走回避。また、東京五輪と22年オレゴン世界選手権で銀メダルを獲得し、前回は1時間16分51秒(世界歴代3位)で連覇を達成している池田向希(旭化成)は、ドーピング違反の疑いにより暫定的な資格停止処分を受けており、潔白を証明するための申し立てを行っているが今大会のエントリーには間に合わなかったため不在となる。

女子は藤井菜々子(エディオン)に3連覇が懸かる。前回は日本歴代2位の1時間27分59秒で大会新による2連覇。パリ五輪ではコンディションが整わず32位だったが、どこまで調子を上げてくるか。パリ五輪の男女混合競歩リレーで川野と組んで8位に入った岡田久美子(富士通)は前回2位。「集大成」と位置づける1年は、21年東京五輪で歩けなかった舞台を目指す。

パリ五輪代表の柳井綾音(立命大)が昨年はこの2人に食らいついた。他では梅野倖子(順大)、下岡仁美(NARA-X)、ベテランの渕瀬真寿美(建装工業)あたりがどんな歩きを見せるか。有望株の大山藍(自衛隊体育学校)も注目だ。

女子の東京世界選手権の派遣設定記録は1時間28分00秒と、持ち記録からすれば高水準。即内定できるとずれば藤井と岡田くらいか。参加標準記録(1時間29分00秒)をクリアして3位以内に入っておきたいところだろう。

男子は8時50分、女子は9時10分にスタートする。

◇第108回日本選手権20km競歩(2月16日/兵庫県神戸市・六甲アイランド付設コース) 東京世界選手権代表選考会を兼ねた日本選手権20km競歩が行われる。ブダペスト世界選手権、パリ五輪と2大会連続で男子はメダルを逃しているとは言え、日本のレベルは世界トップクラス。まさに“世界一熾烈な代表選考会”と言える。 9月に行われる東京世界選手権の代表枠は3。今大会で日本陸連が定める派遣設定記録(1時間18分30秒)を突破して優勝した選手が1名内定。選考条件で次に最優されるのは「日本選手権3位以内で有効期間内に派遣設定記録を満たした競技者」と記載されているため、事実上の一発選考となる。 優勝候補筆頭は山西利和(愛知製鋼)か。19年ドーハ、22年オレゴンと世界選手権連覇の元世界王者。前回は厚底シューズ対応に苦心した影響から、競技生活初の失格に。パリ五輪も逃し、一時は引退も考えたそうだ。だが、シューズに徐々に順応すると、国際レースに優勝し、昨年10月の全日本競歩高畠大会では1時間17分56秒をマークして優勝している。有効期間内に派遣設定記録を突破しているため、3位以内に入れば代表をほぼ確実にするかたちだ。 対抗の筆頭はパリ五輪に出場した古賀友太(大塚製薬)と濱西諒(サンベルクス)。前回は濱西が2位、古賀が3位だったが、パリ五輪では古賀が8位入賞を果たしている。この3人としては、なるべく早く先頭集団を絞りたいだろう。序盤からハイペースでレースを組み立てるかもしれない。 野田明宏(自衛隊体育学校)や、ベテランの勝木隼人(自衛隊体育学校)と丸尾知司(愛知製鋼)ら35kmを得意とする選手もどんな歩きを見せるか。前回5位の高橋和生(ADワークスグループ)、22年オレゴンで8位の住所大翔(富士通)、23年アジア選手権優勝の村山裕太郎(同)、吉川絢斗(サンベルクス)あたりも上位候補。昨年10000m競歩で38分37秒13のU20日本新を出した逢坂草太朗(東洋大)も逸材だ。このあたりの層は上位3人を逃がさないことが重要だ。 エントリーを予定していた35km競歩世界記録保持者の川野将虎(旭化成)は出走回避。また、東京五輪と22年オレゴン世界選手権で銀メダルを獲得し、前回は1時間16分51秒(世界歴代3位)で連覇を達成している池田向希(旭化成)は、ドーピング違反の疑いにより暫定的な資格停止処分を受けており、潔白を証明するための申し立てを行っているが今大会のエントリーには間に合わなかったため不在となる。 女子は藤井菜々子(エディオン)に3連覇が懸かる。前回は日本歴代2位の1時間27分59秒で大会新による2連覇。パリ五輪ではコンディションが整わず32位だったが、どこまで調子を上げてくるか。パリ五輪の男女混合競歩リレーで川野と組んで8位に入った岡田久美子(富士通)は前回2位。「集大成」と位置づける1年は、21年東京五輪で歩けなかった舞台を目指す。 パリ五輪代表の柳井綾音(立命大)が昨年はこの2人に食らいついた。他では梅野倖子(順大)、下岡仁美(NARA-X)、ベテランの渕瀬真寿美(建装工業)あたりがどんな歩きを見せるか。有望株の大山藍(自衛隊体育学校)も注目だ。 女子の東京世界選手権の派遣設定記録は1時間28分00秒と、持ち記録からすれば高水準。即内定できるとずれば藤井と岡田くらいか。参加標準記録(1時間29分00秒)をクリアして3位以内に入っておきたいところだろう。 男子は8時50分、女子は9時10分にスタートする。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.17

200m3人目のファイナル目指す鵜澤飛羽が予選登場! やり投・﨑山雄太ら3人が予選 1500m決勝は混戦か/東京世界陸上DAY5イブニングみどころ

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)5日目 連日盛り上がりを見せている東京世界陸上も中日を迎える。ここからも注目種目が目白押しだ。 日本勢の最注目は男子200m予選。2003年パリ大会銅メダルの末續慎吾、20 […]

NEWS 【特別公開】400m中島佑気ジョセフ 伝説に並び、伝説を超える 東京世界陸上に目前インタビュー

2025.09.17

【特別公開】400m中島佑気ジョセフ 伝説に並び、伝説を超える 東京世界陸上に目前インタビュー

東京世界陸上の男子400m予選で44秒44の日本新を樹立し、準決勝でも2位となって決勝に進んだ中島佑気ジョセフ(富士通)。34年ぶりファイナルを果たした中島の、大会直前の本誌特集記事を特別に月陸Onlineで公開する。 […]

NEWS 200mファイナル目指す鵜澤飛羽が予選登場!テボゴと同組に/東京世界陸上

2025.09.17

200mファイナル目指す鵜澤飛羽が予選登場!テボゴと同組に/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 5日目 東京世界陸上5日目のイブニングセッションのスタートリストが発表され、男子200m予選の鵜澤飛羽(JAL)は6組3レーンに入った。同組には19秒46のベストを持ち、 […]

NEWS 短距離・木村颯太が「店舗高値買取センター」とスポンサー契約を締結 明大時代に日本インカレ200m4位

2025.09.17

短距離・木村颯太が「店舗高値買取センター」とスポンサー契約を締結 明大時代に日本インカレ200m4位

9月17日、株式会社店舗高値買取センターは、男子短距離の木村颯太とスポンサー契約を締結したことを発表した。 木村は2001年生まれの23歳。埼玉・新座二中時代から200mを中心に競技に取り組み、全中やジュニア五輪に出場。 […]

NEWS 9月17日Day5のタイムテーブルを更新 女子棒高跳の開始時間を前倒し/東京世界陸上

2025.09.17

9月17日Day5のタイムテーブルを更新 女子棒高跳の開始時間を前倒し/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 世界陸連は9月17日、同日に行われる東京世界陸上Day5(5日目)のタイムテーブルを更新した。 変更されたのは女子棒高跳の決勝の開始時間。従来は20時10分の開始予定だっ […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top