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2021.03.27

東京五輪リレー全種目出場へ! 宮崎・世界リレー代表選考トライアルの位置づけと見どころ
東京五輪リレー全種目出場へ! 宮崎・世界リレー代表選考トライアルの位置づけと見どころ


3月28日、宮崎・ひなた陸上競技場で、「シレジア2021世界リレー選手権日本代表選考トライアル」が開催される。この大会は5月1日、2日にポーランド・シレジアで行われる世界リレー選手権に向けた日本代表選考レースで、国内トップスプリンターが数多くエントリーしている。

東京五輪リレー種目(男女の4×100m、4×400m、男女混合の4×400m)の出場国枠は16。そのうち、19年世界選手権入賞国には出場権が与えられ、次にこの世界リレー選手権の入賞国が権利を手にする。重複がなければ16ヵ国が決まるが、当然いくつかの国は重なるため、残りの枠を「2ヵ国以上が出場したレースの記録」によるランキングによって上位から埋められていく。

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日本はすでにドーハで銅メダルを獲得した男子4×100mで出場権を確保。だが、男子マイル、女子両リレー、混合マイルは出場権を獲得できていない。そのため、東京五輪出場のために重要な一戦となるのが、5月の世界リレーというわけだ。

その世界リレーにも当然、出場条件がある。参加標準記録は以下の通りで、最大24チームが参加できる。

●男子
4×100m 38秒80
4×400m 3分03秒80
●女子
4×100 43秒90
4×400 3分31秒50
※2ヵ国以上が参加したレースが対象
※男女混合は参加標準記録設定なし

男子はすでに参加標準記録を突破しているが、女子は記録を満たしていない。3月24日時点で、女子4×100mは28番目、4×400mは20番目。つまり、この「世界リレー代表選考トライアル」の位置づけは男女で異なるものとなり、男子マイルは世界リレー代表選手を懸けて争われ、女子については「世界リレー出場を目指すための代表を決める選考会」である。女子は4月11日の出雲陸上で、海外チームを招いてのリレートライアルを行う予定だ。

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すでに代表権を獲得している男子4×100mを除いた種目については、世界リレーが東京五輪代表の選考にも関わってくることを日本陸連は示しているため、リレーでの出場を狙う選手たちにとっても重要な大会となる。なお、世界リレーの代表は宮崎でのトライアルの結果や「リレーの特性と戦略を考慮して」選考される。

男子マイルの代表争いで好調なのが学生勢。昨年、日本選手権を制した伊東利来也(早大)と、同2位で日本インカレでは伊東を抑えて優勝した井上大地(日大)に注目が集まる。2人は400mにエントリー。加えて300mに出場する井本佳伸(東海大)も調子を上げているという。

シニアでは300mに出場予定の佐藤拳太郎(富士通)や若林康太(HULFT)、昨年日本選手権400m3位の佐藤風雅(那須環境)、小渕瑞樹(登利平AC)らが浮上しそう。リオ五輪代表の加藤修也(HULFT)も徐々に調子を取り戻している。なお、ウォルシュ・ジュリアン(東洋大)は本調子ではないため見送っている。

女子は世界リレー出場へラストチャンス

昨シーズン活気づいてきた女子は、何としても世界リレー出場権を確かなものにしたいところ。有力国が世界リレーを見送ることも考えられるため、そうなれば入賞しての五輪出場権獲得の可能性が大きく広がる。

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100m、200mには昨年11秒35(日本歴代3位)、23秒44(同7位)をマークした兒玉芽生(福岡大)がエントリー。また、200mで日本歴代3位となる23秒17まで成長した鶴田玲美(南九州ファミリーマート)は100m(自己記録11秒48)と400mに出場を予定している。ともに大きなケガもなく冬季練習を終えており、実力、勢いではこの2人が抜け出しているだろう。

100mで注目は土井杏南(JAL)。昨年はケガが相次いだものの、19年は復調気配を見せており、日本選手権100m2位、100mで11秒52まで記録を戻してきた(自己ベストは12年11秒43)。2012年ロンドン五輪を経験している土井の完全復活は、女子短距離にとっても大きな刺激となるはずだ。昨年の木南記念で1走を務めた湯淺佳那子(三重県スポーツ協会)も代表入りを狙う。

また、若い力も育っている。特に注目は青山華依(大阪高→甲南大)。3月18日の室内60mでU20室内日本新となる7秒38をマークしている。ライバルの石川優(相洋高→青学大)も、昨年は高校2冠を果たすなど勢いがある。また、大学生では、齋藤愛美(大阪成蹊大)、三浦由奈(筑波大)らの快走が見られるか。

より世界リレー出場が近い女子マイル勢。日本選手権400m連覇中の青山聖佳(大阪成蹊AC)は、今回は200mに出場する。400mでは、昨年日本選手権で青山に続いた松本奈菜子(東邦銀行)、高島咲季(青学大)が安定感で抜けている。ここに川田朱夏(東大阪大)が加わりそう。また、53秒台まで急成長の大島愛梨(中大)は伸び盛り。ケガから復調傾向にある岩田優奈(スズキAC)や広沢真愛(東邦銀行)も力は秘めている。この上位陣に鶴田がどんな走りで絡むかにも注目したいところ。

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今回、男子100m、200mに19年ドーハ代表などは出場せず。200mエントリーしている高瀬慧(富士通)や藤光謙司(ゼンリン)らベテランの仕上がり具合はどうか。なお、100mの特別レースには、ケンブリッジ飛鳥(Nike)と山縣亮太(セイコー)のリオ五輪メダリスト2人がエントリー。屋外シーズン初戦でどんな走りを見せるか、こちらも世界リレー代表選考とは別に見どころとなる。

大会は3月28日、11時にスタート。観客は宮崎県内在住者に限り、最大3000名を入れて行われ、MRTテレビ(MRT宮崎放送)のYouTubeチャンネルでライブ配信される。

3月28日、宮崎・ひなた陸上競技場で、「シレジア2021世界リレー選手権日本代表選考トライアル」が開催される。この大会は5月1日、2日にポーランド・シレジアで行われる世界リレー選手権に向けた日本代表選考レースで、国内トップスプリンターが数多くエントリーしている。 東京五輪リレー種目(男女の4×100m、4×400m、男女混合の4×400m)の出場国枠は16。そのうち、19年世界選手権入賞国には出場権が与えられ、次にこの世界リレー選手権の入賞国が権利を手にする。重複がなければ16ヵ国が決まるが、当然いくつかの国は重なるため、残りの枠を「2ヵ国以上が出場したレースの記録」によるランキングによって上位から埋められていく。 日本はすでにドーハで銅メダルを獲得した男子4×100mで出場権を確保。だが、男子マイル、女子両リレー、混合マイルは出場権を獲得できていない。そのため、東京五輪出場のために重要な一戦となるのが、5月の世界リレーというわけだ。 その世界リレーにも当然、出場条件がある。参加標準記録は以下の通りで、最大24チームが参加できる。 ●男子 4×100m 38秒80 4×400m 3分03秒80 ●女子 4×100 43秒90 4×400 3分31秒50 ※2ヵ国以上が参加したレースが対象 ※男女混合は参加標準記録設定なし 男子はすでに参加標準記録を突破しているが、女子は記録を満たしていない。3月24日時点で、女子4×100mは28番目、4×400mは20番目。つまり、この「世界リレー代表選考トライアル」の位置づけは男女で異なるものとなり、男子マイルは世界リレー代表選手を懸けて争われ、女子については「世界リレー出場を目指すための代表を決める選考会」である。女子は4月11日の出雲陸上で、海外チームを招いてのリレートライアルを行う予定だ。 すでに代表権を獲得している男子4×100mを除いた種目については、世界リレーが東京五輪代表の選考にも関わってくることを日本陸連は示しているため、リレーでの出場を狙う選手たちにとっても重要な大会となる。なお、世界リレーの代表は宮崎でのトライアルの結果や「リレーの特性と戦略を考慮して」選考される。 男子マイルの代表争いで好調なのが学生勢。昨年、日本選手権を制した伊東利来也(早大)と、同2位で日本インカレでは伊東を抑えて優勝した井上大地(日大)に注目が集まる。2人は400mにエントリー。加えて300mに出場する井本佳伸(東海大)も調子を上げているという。 シニアでは300mに出場予定の佐藤拳太郎(富士通)や若林康太(HULFT)、昨年日本選手権400m3位の佐藤風雅(那須環境)、小渕瑞樹(登利平AC)らが浮上しそう。リオ五輪代表の加藤修也(HULFT)も徐々に調子を取り戻している。なお、ウォルシュ・ジュリアン(東洋大)は本調子ではないため見送っている。

女子は世界リレー出場へラストチャンス

昨シーズン活気づいてきた女子は、何としても世界リレー出場権を確かなものにしたいところ。有力国が世界リレーを見送ることも考えられるため、そうなれば入賞しての五輪出場権獲得の可能性が大きく広がる。 100m、200mには昨年11秒35(日本歴代3位)、23秒44(同7位)をマークした兒玉芽生(福岡大)がエントリー。また、200mで日本歴代3位となる23秒17まで成長した鶴田玲美(南九州ファミリーマート)は100m(自己記録11秒48)と400mに出場を予定している。ともに大きなケガもなく冬季練習を終えており、実力、勢いではこの2人が抜け出しているだろう。 100mで注目は土井杏南(JAL)。昨年はケガが相次いだものの、19年は復調気配を見せており、日本選手権100m2位、100mで11秒52まで記録を戻してきた(自己ベストは12年11秒43)。2012年ロンドン五輪を経験している土井の完全復活は、女子短距離にとっても大きな刺激となるはずだ。昨年の木南記念で1走を務めた湯淺佳那子(三重県スポーツ協会)も代表入りを狙う。 また、若い力も育っている。特に注目は青山華依(大阪高→甲南大)。3月18日の室内60mでU20室内日本新となる7秒38をマークしている。ライバルの石川優(相洋高→青学大)も、昨年は高校2冠を果たすなど勢いがある。また、大学生では、齋藤愛美(大阪成蹊大)、三浦由奈(筑波大)らの快走が見られるか。 より世界リレー出場が近い女子マイル勢。日本選手権400m連覇中の青山聖佳(大阪成蹊AC)は、今回は200mに出場する。400mでは、昨年日本選手権で青山に続いた松本奈菜子(東邦銀行)、高島咲季(青学大)が安定感で抜けている。ここに川田朱夏(東大阪大)が加わりそう。また、53秒台まで急成長の大島愛梨(中大)は伸び盛り。ケガから復調傾向にある岩田優奈(スズキAC)や広沢真愛(東邦銀行)も力は秘めている。この上位陣に鶴田がどんな走りで絡むかにも注目したいところ。 今回、男子100m、200mに19年ドーハ代表などは出場せず。200mエントリーしている高瀬慧(富士通)や藤光謙司(ゼンリン)らベテランの仕上がり具合はどうか。なお、100mの特別レースには、ケンブリッジ飛鳥(Nike)と山縣亮太(セイコー)のリオ五輪メダリスト2人がエントリー。屋外シーズン初戦でどんな走りを見せるか、こちらも世界リレー代表選考とは別に見どころとなる。 大会は3月28日、11時にスタート。観客は宮崎県内在住者に限り、最大3000名を入れて行われ、MRTテレビ(MRT宮崎放送)のYouTubeチャンネルでライブ配信される。

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