◇第98回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)
駒大と青学大の”2強対決“が予想されていた第98回箱根駅伝。往路は青学大がとにかく強かった。1区は当日変更で入った志貴勇斗(2年)が2位争いを制した駒大・唐澤拓海(2年)と6秒差の5位で好発進。青学大記録に3秒差と迫る1時間1分25秒で駆け抜けた。
2区のエース・近藤幸太郎(3年)は駒大・田澤廉(3年)の背中を見つめながらレースを進めると、3人を抜いて2位に浮上。田澤の区間賞でトップに立った駒大とのビハインドを1分02秒差にされたが、3区太田蒼生(1年)が快走する。17秒後方から上がってきた東京国際大・丹所健(3年)に食らいつくかたちで、駒大を猛追。12kmで駒大に追いつくと、駒大をじわじわと引き離していく。さらに18.3kmで丹所を突き放して、真っ先に平塚中継所へ飛び込んだ。
太田は5秒差で区間賞を逃すも、区間歴代3位の1時間1分00秒をマーク。この激走が次なる快走を生むことになる。4区は5区候補にも挙げられてもいた主将・飯田貴之(4年)。区間3位の走りでライバル校を引き離す。2位東京国際大とのリードを12秒差から1分37秒差に拡大。全日本大学駅伝のアンカー対決で惜敗した駒大・花尾恭輔(2年)にも56秒の大差をつけた。
青学大の5区若林宏樹(1年)は10000mベストが28分27秒72。5区出場者のなかで最速タイムを持つが、出雲駅伝は4区で区間6位、全日本大学駅伝が6区で区間12位と思うような結果を残せていなかった。しかし、「3区太田の走りが力になった部分が大きかったと思います。同じ練習で切磋琢磨してきました。太田がいい走りをしたからこそ、自分もできるという思いがありました」と仲間の快走に勇気づけられた。
5区で区間歴代2位の1時間10分40秒を持つ飯田との”メンバー争い”で勝ったことも自信になったという。前半はさほどペースが上がらなかったが、徐々に本領を発揮。後半は区間賞争いを繰り広げて、後続の選手を寄せつけなかった。山頂付近では強い向かい風に悩まされるも、1時間10分46秒の区間3位で走破。原晋監督の「青学大で『山の神』にならないか!?」という言葉で青学大に進学した黄金ルーキーは「若の神」(原監督)として芦ノ湖に降臨した。
昨年は主将・神林勇太が故障で走れず、神林が予定していた3区で区間14位に沈むと、5区も区間17位と大苦戦。往路で12位と大きく出遅れて、連覇を逃した。
「昨年はエースの神林が直前の故障によって出走できなかった。その穴埋めができずにチームは崩れました。前回の反省を踏まえて、誰が使われても走れる選手層の厚さを作ることを、1年間の強化策として取り組んできたんです。キャプテンの飯田を中心に1人ひとりが強くなろうという思いでやってくれた。学生たちに『本当にありがとう』と言いたいですね」(原監督)
青学大は5時間22分06秒で2年ぶり5度目の往路優勝に輝いた。過去最高の2位と大健闘した帝京大と2分37秒差、ライバルの駒大とは3分29秒差(3位)。青学大の復路戦力を考えると”安全圏”といえる大量リードだが、原監督は手綱を緩めるつもりはない。
「私どもは登録16人全員が10000m28分台の選手です。全員いい状態ですし、出走する5人を信頼してます。1人ひとりが攻めのレースをして、往路に続いて、復路も勝って、完全優勝で6度目の総合優勝を目指していきたい」
復路は前回6区で区間3位と好走した高橋勇輝(4年)で先制攻撃を仕掛けて、さらに岸本大紀(3年)、佐藤一世(2年)の投入も予想されている。王座奪還に向けて青学大が復路も”パワフル”なレースを見せつける。
■青学大往路区間成績
1区 志貴勇斗(2年) 1時間1分25秒 区間5位
2区 近藤幸太郎(3年)1時間7分09秒 区間7位
3区 太田蒼生(1年) 1時間1分00秒 区間2位
4区 飯田貴之(4年) 1時間1分46秒 区間3位
5区 若林宏樹(1年) 1時間10分46秒 区間3位
往路総合 5時間22分06秒

|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.05.23
北口榛花がDL2戦目のラバトを欠場 セイコーGGPではSBの64m16でV
2025.05.23
2025年主要大会スケジュール
2025.05.23
【大会結果】第67回東日本実業団選手権(2025年5月23日~25日)
-
2025.05.23
-
2025.05.19
2025.05.16
2025高校最新ランキング【女子】
2025.05.11
久保凛は2分02秒29の2位に号泣「母の日に花束を持って帰りたかった」/木南記念
-
2025.05.15
-
2025.05.15
-
2025.05.15
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.05.23
北口榛花がDL2戦目のラバトを欠場 セイコーGGPではSBの64m16でV
女子やり投の北口榛花(JAL)が今季3戦目の予定だったダイヤモンドリーグ(DL)ラバト大会(5月25日)を欠場すると発表した。チームがSNSを通じて伝え、「コンディション不良」としている。 北口は昨年のパリ五輪で金メダル […]
2025.05.23
2025年主要大会スケジュール
4月 12日(土)第33回金栗記念選抜中長距離大会2025(熊本総合) 12日(土)第109回日本選手権10000m(熊本総合) 12日(土)~13日(日)第79回出雲陸上(島根・浜山) 15日(火)~18日(金)第6回 […]
2025.05.23
【大会結果】第67回東日本実業団選手権(2025年5月23日~25日)
【大会結果】第67回東日本実業団選手権(2025年5月23日~25日/埼玉・熊谷) ●男子1部 100m 200m 400m 800m 1500m 松枝博輝(富士通) 3分43秒99 5000m 10000m […]
2025.05.23
清水歓太が男子1万m日本人トップの2位 女子は筒井が力走、不破聖衣来もデビュー/東日本実業団
第67回東日本実業団選手権の初日が5月23日に埼玉県熊谷市で行われた。 男子10000mはキサルサク・エドウィン(富士山GX)が28分16秒95で優勝。最後まで優勝争いを繰り広げた清水歓太(SUBARU)が28分17秒4 […]
Latest Issue
最新号

2025年6月号 (5月14日発売)
Road to TOKYO
Diamond League JAPANの挑戦
村竹ラシッド、三浦龍司が初戦で世界陸上内定
Road to EKIDEN Season 25-26
学生長距離最新戦力分析