HOME 国内、海外

2025.05.13

ウクライナの妖精マフチフ「情熱を傾けられるものを見つけて」戸邉直人との走高跳豪華対談で若者へのメッセージ
ウクライナの妖精マフチフ「情熱を傾けられるものを見つけて」戸邉直人との走高跳豪華対談で若者へのメッセージ

トークイベントに登壇したマフチフ(ウクライナ)

日本航空株式会社(JAL)が5月13日に都内で、女子走高跳世界記録保持者でパリ五輪金メダルのヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)と、JAL所属の男子走高跳日本記録保持者の戸邉直人の対談を行った。

走高跳の豪華クロストークが実現した。女子走高跳で2m10の世界記録保持者を持つマフチフが、セイコーゴールデングランプリ(5月18日/国立競技場)に向けて来日している。JALは世界陸連とオフィシャルサプライヤー契約を締結したこともあり、東京世界選手権を4ヵ月前に控え、「いつかは世界へ挑戦したい」という若者に応援メッセージを送りたいと開催に至った。

広告の下にコンテンツが続きます

2人は何度かエストニアで一緒にトレーニングしたことがあるそうで、マフチフは「現地で日本食レストランに行って、初めて箸を使いました。とても貴重な経験でした」と当時の思い出を語る。

マフチフが幼い頃は、姉が空手道場に通っており、姉は10年前に欧州で2位になったほどの実力者。マフチフ自身も「7歳の時に勧められたけど、陸上のほうが好きだった」とし、「1、2週間だけ通って辞めた」と笑顔で明かす。

本格的に走高跳を始めたのは14歳の時で「今では世界記録保持者にもなれた。空手を選ばなかったのは正しい選択だったわ」と笑いを誘う。

世界大会や夢を現実的に目指すようになったのは2017年頃で「初めて国際大会(U18世界選手権を1m92の金メダル)に出たことで、夢を叶えたいと思うようになった」。その後、マフチフは2m04のU20世界記録を樹立し、昨年は2m10の世界記録も作った。

広告の下にコンテンツが続きます

順風満帆なキャリアに見えるが、戦禍による苦難も味わっている。祖国ウクライナへのロシア侵攻が2022年に始まり、今もなお胸を痛めている。母国を離れており「いつ戻れるかわからなかった」。帰国しようと考えたが、父から「試合があるのだから行くべきだ」「戦争の暗いニュースだけでなく、明るい話題にフォーカスが当たる」と、当時控えていたベオグラード世界室内出場へ背中を押してくれた。

今も拠点をウクライナに置いていないが「家族、友人、スタッフが支えてくれた」と感謝し、だからこそ「あきらめない気持ちがある」と語る。

若者へのメッセージについて「自分が好きなことを探してほしい。そこから情熱が生まれます。ハイジャンプは私の情熱。情熱を傾けられる何かを見つけて、あきらめずに突き進むこと」とエールを送り、「1回失敗しても大丈夫。走高跳も3回チャンスがある。継続すること、そしてベストを尽くすこと。そして、みなさん、走高跳じゃなくてもいいからスポーツをして健康になってください」と笑みを浮かべた。

質問コーナーでは戸邉に対して「コーナーでスピードを出さずにうまく内傾を作るのはどうすればいい? あなたはとてもじょうずだわ」と専門的な質問も。戸邉は「カーブを小さくすれば傾きが大きくなって、うまく踏み切れるようになればいいかも」とアドバイスを送る。

視聴者から「走高跳の難しいところは?」という質問に、戸邉が先に「助走が速ければ跳べるわけではなく、高く跳ぶためのちょうどいい速さがある。それを探すのが難しい」と答えると、日本語がわからないマフチフも「スピードとテイクオフの位置やバランスがすごく難しい」とまったく同じ答えに。

マフチフは今週末のセイコーゴールデングランプリに出場。21年銅メダルを手にした東京五輪以来の日本での試合に「シーズンベスト(2m02)以上を跳びたい」と目標を掲げる。

また、9月の世界選手権は連覇が懸かるが、「とても楽しみです。満員のスタジアムで熱気がある。ベストを尽くします」と力強く。将来的には「ロス五輪で金メダルを取りたいし、自分の世界記録、そしてオリンピックレコード(2m06)も塗り替えたい」と語った。

日本航空株式会社(JAL)が5月13日に都内で、女子走高跳世界記録保持者でパリ五輪金メダルのヤロスラワ・マフチフ(ウクライナ)と、JAL所属の男子走高跳日本記録保持者の戸邉直人の対談を行った。 走高跳の豪華クロストークが実現した。女子走高跳で2m10の世界記録保持者を持つマフチフが、セイコーゴールデングランプリ(5月18日/国立競技場)に向けて来日している。JALは世界陸連とオフィシャルサプライヤー契約を締結したこともあり、東京世界選手権を4ヵ月前に控え、「いつかは世界へ挑戦したい」という若者に応援メッセージを送りたいと開催に至った。 2人は何度かエストニアで一緒にトレーニングしたことがあるそうで、マフチフは「現地で日本食レストランに行って、初めて箸を使いました。とても貴重な経験でした」と当時の思い出を語る。 マフチフが幼い頃は、姉が空手道場に通っており、姉は10年前に欧州で2位になったほどの実力者。マフチフ自身も「7歳の時に勧められたけど、陸上のほうが好きだった」とし、「1、2週間だけ通って辞めた」と笑顔で明かす。 本格的に走高跳を始めたのは14歳の時で「今では世界記録保持者にもなれた。空手を選ばなかったのは正しい選択だったわ」と笑いを誘う。 世界大会や夢を現実的に目指すようになったのは2017年頃で「初めて国際大会(U18世界選手権を1m92の金メダル)に出たことで、夢を叶えたいと思うようになった」。その後、マフチフは2m04のU20世界記録を樹立し、昨年は2m10の世界記録も作った。 順風満帆なキャリアに見えるが、戦禍による苦難も味わっている。祖国ウクライナへのロシア侵攻が2022年に始まり、今もなお胸を痛めている。母国を離れており「いつ戻れるかわからなかった」。帰国しようと考えたが、父から「試合があるのだから行くべきだ」「戦争の暗いニュースだけでなく、明るい話題にフォーカスが当たる」と、当時控えていたベオグラード世界室内出場へ背中を押してくれた。 今も拠点をウクライナに置いていないが「家族、友人、スタッフが支えてくれた」と感謝し、だからこそ「あきらめない気持ちがある」と語る。 若者へのメッセージについて「自分が好きなことを探してほしい。そこから情熱が生まれます。ハイジャンプは私の情熱。情熱を傾けられる何かを見つけて、あきらめずに突き進むこと」とエールを送り、「1回失敗しても大丈夫。走高跳も3回チャンスがある。継続すること、そしてベストを尽くすこと。そして、みなさん、走高跳じゃなくてもいいからスポーツをして健康になってください」と笑みを浮かべた。 質問コーナーでは戸邉に対して「コーナーでスピードを出さずにうまく内傾を作るのはどうすればいい? あなたはとてもじょうずだわ」と専門的な質問も。戸邉は「カーブを小さくすれば傾きが大きくなって、うまく踏み切れるようになればいいかも」とアドバイスを送る。 視聴者から「走高跳の難しいところは?」という質問に、戸邉が先に「助走が速ければ跳べるわけではなく、高く跳ぶためのちょうどいい速さがある。それを探すのが難しい」と答えると、日本語がわからないマフチフも「スピードとテイクオフの位置やバランスがすごく難しい」とまったく同じ答えに。 マフチフは今週末のセイコーゴールデングランプリに出場。21年銅メダルを手にした東京五輪以来の日本での試合に「シーズンベスト(2m02)以上を跳びたい」と目標を掲げる。 また、9月の世界選手権は連覇が懸かるが、「とても楽しみです。満員のスタジアムで熱気がある。ベストを尽くします」と力強く。将来的には「ロス五輪で金メダルを取りたいし、自分の世界記録、そしてオリンピックレコード(2m06)も塗り替えたい」と語った。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.31

過去最高2位の東北福祉大「100%以上の力を発揮」大東大はアクシデントも「冷静に対応できた」 各チームに課題と収穫/富士山女子駅伝

◇全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝、12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前~富士総合運動公園陸上競技場:7区間43.4km) 学生女子駅伝2大タイトルの一つ、富士山女子駅伝が行われ、城西大が2時間22分36秒で初 […]

NEWS 逆境はねのけ初優勝の城西大「選手たちの思いが強かった」 ルーキー3人が区間賞/富士山女子駅伝

2025.12.31

逆境はねのけ初優勝の城西大「選手たちの思いが強かった」 ルーキー3人が区間賞/富士山女子駅伝

◇全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝、12月30日/静岡・富士山本宮浅間大社前~富士総合運動公園陸上競技場:7区間43.4km) 学生女子駅伝2大タイトルの一つ、富士山女子駅伝が行われ、城西大が2時間22分36秒で初 […]

NEWS 箱根駅伝 ご当地選手をチェック! 福岡市出身6人が登録 川崎市、新潟市、姫路市、北九州市からも多数エントリー 徳島県から4年ぶり箱根路なるか

2025.12.31

箱根駅伝 ご当地選手をチェック! 福岡市出身6人が登録 川崎市、新潟市、姫路市、北九州市からも多数エントリー 徳島県から4年ぶり箱根路なるか

2026年1月2、3日に開催される第102回箱根駅伝のスタートまであと2日。12月29日には各チームの区間エントリーも発表された。 今回も登録された21チーム336人全員にアンケートを実施。その回答を元に出身地を都道府県 […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第64回「駅伝とチームマネジメント~棄権を今後の糧に~」

2025.12.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第64回「駅伝とチームマネジメント~棄権を今後の糧に~」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第64回「駅伝とチームマネジメント~棄権を今後の糧に~」 年の瀬が迫り、その先には箱根駅伝が待 […]

NEWS 今季の最終決戦を制するのは青学大、駒大、國學院大、中大、早大!? 創価大、帝京大などの5強崩しなるか/箱根駅伝

2025.12.30

今季の最終決戦を制するのは青学大、駒大、國學院大、中大、早大!? 創価大、帝京大などの5強崩しなるか/箱根駅伝

第102回箱根駅伝は2026年1月2日に往路、3日に復路の全10区間217.1kmで行われる。 前回大会でシード権を獲得した10校と、予選会を突破した10校とオープン参加の関東学生連合チームを合わせた21チームが出場。今 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top