HOME 駅伝、箱根駅伝

2022.01.03

佐藤悠基超え!不滅の区間記録破った中大・吉居大和「距離に対する不安はなかった」/箱根駅伝
佐藤悠基超え!不滅の区間記録破った中大・吉居大和「距離に対する不安はなかった」/箱根駅伝

◇第98回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km)

2021年の前半シーズンは、東京五輪出場を目指しながら叶わなかった。まるでその悔しさをぶつけるかのように、中大のエース・吉居大和は1区で鮮やかな独走レースを演じた。

広告の下にコンテンツが続きます

打ち立てた1時間0分40秒は、2007年に佐藤悠基(東海大/現・SGホールディングス)がマークした最古の区間記録(1時間1分06秒)を上回る特大区間新。中大に15年ぶりとなる区間賞とともに、箱根で10年ぶりのシード獲得を目指すチームにこれ以上ない勢いをもたらした。

大会前のプランとしては、「ある程度のペースならついていって、ラストの3kmを意識していた。先輩方に楽をしていただけるように、後ろとできるだけ差をつけたいという思いがあった」という。

しかし、スタート直後に集団が前回と同じようなスローペースになりかけたところで、「自分のペースで行こう」とスッと先頭に出た。そこから1km2分50秒前後の速いペースを刻み、レースの主導権を手中に収めることに成功する。

隊列が縦長になった時、「このペースで行けば、もしかしたら(後ろは)離れるかなと思った」と語ったように、吉居は5.6kmあたりで集団から抜け出すかたちとなり、瞬く間に後続を置き去りにしていった。

10km通過は、10000mの自己ベスト(28分03秒90)を凌ぐ27分58秒。「何分で通過したかわからなかったので、自分でもびっくりという感じ」だったが、それでもまだ余裕があり、「一応、意識していた」という区間記録更新に向けてひた走った。

42分00秒で15kmを通過し、2位以下に1分以上の差をつけたことを知らされると、「これなら(区間賞は)行ける」と確信する。「ラストに六郷橋があり、単独走になったこともあって最後はかなりきつかったです」と言いながらも、駅伝シーズンを見据えてしっかり練習を積んできた吉居には、3区区間15位と苦戦を強いられた前回のような「距離に対する不安はなかった」。

終盤も粘って力強く鶴見中継所に飛び込むと、「まず目標にしていた区間賞を取ることができてうれしいです。2位との差もつけられたので良かった。自分のペースで行って区間新記録を出せたことは、自分にとってすごく自信になると思います」と清々しい表情で胸を張った。

その後、中大は2~5区の4人もそれぞれに力を発揮し、往路を2011年以来のひとケタ順位となる6位でフィニッシュ。吉居の“ロケットスタート”を最大限に生かして結果につなげた。

復路でもその流れを踏襲し、総合5位以上という目標を達成できた時、吉居が快走した価値がさらに大きく浮かび上がってくるはずだ。

文/小野哲史

◇第98回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km) 2021年の前半シーズンは、東京五輪出場を目指しながら叶わなかった。まるでその悔しさをぶつけるかのように、中大のエース・吉居大和は1区で鮮やかな独走レースを演じた。 打ち立てた1時間0分40秒は、2007年に佐藤悠基(東海大/現・SGホールディングス)がマークした最古の区間記録(1時間1分06秒)を上回る特大区間新。中大に15年ぶりとなる区間賞とともに、箱根で10年ぶりのシード獲得を目指すチームにこれ以上ない勢いをもたらした。 大会前のプランとしては、「ある程度のペースならついていって、ラストの3kmを意識していた。先輩方に楽をしていただけるように、後ろとできるだけ差をつけたいという思いがあった」という。 しかし、スタート直後に集団が前回と同じようなスローペースになりかけたところで、「自分のペースで行こう」とスッと先頭に出た。そこから1km2分50秒前後の速いペースを刻み、レースの主導権を手中に収めることに成功する。 隊列が縦長になった時、「このペースで行けば、もしかしたら(後ろは)離れるかなと思った」と語ったように、吉居は5.6kmあたりで集団から抜け出すかたちとなり、瞬く間に後続を置き去りにしていった。 10km通過は、10000mの自己ベスト(28分03秒90)を凌ぐ27分58秒。「何分で通過したかわからなかったので、自分でもびっくりという感じ」だったが、それでもまだ余裕があり、「一応、意識していた」という区間記録更新に向けてひた走った。 42分00秒で15kmを通過し、2位以下に1分以上の差をつけたことを知らされると、「これなら(区間賞は)行ける」と確信する。「ラストに六郷橋があり、単独走になったこともあって最後はかなりきつかったです」と言いながらも、駅伝シーズンを見据えてしっかり練習を積んできた吉居には、3区区間15位と苦戦を強いられた前回のような「距離に対する不安はなかった」。 終盤も粘って力強く鶴見中継所に飛び込むと、「まず目標にしていた区間賞を取ることができてうれしいです。2位との差もつけられたので良かった。自分のペースで行って区間新記録を出せたことは、自分にとってすごく自信になると思います」と清々しい表情で胸を張った。 その後、中大は2~5区の4人もそれぞれに力を発揮し、往路を2011年以来のひとケタ順位となる6位でフィニッシュ。吉居の“ロケットスタート”を最大限に生かして結果につなげた。 復路でもその流れを踏襲し、総合5位以上という目標を達成できた時、吉居が快走した価値がさらに大きく浮かび上がってくるはずだ。 文/小野哲史

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.02

世界陸上銅メダルの藤井菜々子に那珂川市市民栄誉賞&北九州市民スポーツ大賞

9月の東京世界選手権女子20km競歩で銅メダルを獲得した藤井菜々子(エディオン)が、出身地である福岡県那珂川市の市民栄誉賞、そして高校時代を過ごした北九州市の北九州市民スポーツ大賞を受賞することが決まり、12月2日に両市 […]

NEWS サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」

2025.12.02

サニブラウンがピックルボール初体験!子どもたちと真剣勝負「スポーツの力あらためて感じる」

ピックルボール普及のためのイベントTORAY PICKLEBALL EXPERIENCEが12月2日に東京の有明アーバンスポーツ内のコートで行われ、男子短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が参加した。 ピック […]

NEWS 東洋大男子長距離が4社と契約 “昇り龍”を描いた鉄紺の新ユニフォームも発表「頂点目指し力強く上昇」

2025.12.02

東洋大男子長距離が4社と契約 “昇り龍”を描いた鉄紺の新ユニフォームも発表「頂点目指し力強く上昇」

東洋大は12月2日、陸上競技部男子長距離部門において、セブン銀行(本社:東京都千代田区)、カカクコム(本社:東京都渋谷区)が運営する「求人ボックス」、ECC(本社:大阪市北区)、ビースタニング(本社:東京都渋谷区)が運営 […]

NEWS Hondaに法大・大島史也、東海大の主力2人が来季加入!「培ってきた走力と探究心を最大限に発揮」

2025.12.02

Hondaに法大・大島史也、東海大の主力2人が来季加入!「培ってきた走力と探究心を最大限に発揮」

Hondaは12月2日、来年4月1日に入部する選手として、法大の大島史也、東海大の花岡寿哉と兵藤ジュダの3選手を発表した。 大島は千葉・専大松戸高出身。今年は関東インカレ5000mで7位入賞などがある。5000mは13分 […]

NEWS 約137gの超軽量ながら3D形状のカーボンプレート搭載、ミズノのスピードレーシングシューズ「HYPERWARP」が発売!

2025.12.02

約137gの超軽量ながら3D形状のカーボンプレート搭載、ミズノのスピードレーシングシューズ「HYPERWARP」が発売!

ミズノは12月2日、3D形状のフルレングスカーボンプレートを搭載したスピードランナー向けの新レーシングシューズ「HYPERWARP」シリーズを12月19日に全国のミズノランニング品取扱店で発売することを発表した。 近年の […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top