◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)8日目
オレゴン世界陸上8日目は5種目で決勝が行われ、最終種目女子400mハードルではシドニー・マクローリン(米国)が歴史的大記録を打ち立てた。
スタートから他を圧倒し、刻んだタイムは「50秒68」。自身が1ヵ月前の全米選手権で出したばかりの世界記録(51秒41)を0.73秒も塗り替え、女子では史上初となる「50秒台」で地元優勝を成し遂げた。
マクローリンは昨年6月の全米五輪トライアルで女子初の51秒台(51秒90)を出しており、1年強でこの種目の歴史を大きく進めたことになる。
2位のフェムケ・ボル(オランダ)も銅メダルだった昨年の東京五輪で出した世界歴代3位の自己ベスト(52秒03)に迫る52秒27をマークしながらも、1秒59もの大差。フラットレースの400mの決勝進出ラインが50秒65だったことを思えば、どれだけ飛び抜けた記録かがわかる。
これで、マクローリン自身は通算4度目の世界新。昨年の東京五輪でも金メダルに輝いている。そんな彼女にとっても、地元世界陸上を制したことは特別なことだった。相当な重圧もあっただろう。これほどのパフォーマンスを出し切ったにもかかわらず、フィニッシュ後はしばらく座り込んでいた。
「乳酸がたまっていたのと、起こったことを楽しむために少し時間を取っていたの」とマクローリン。力を出し尽くし、プレッシャーからも解放され、快挙の喜びを静かに味わった。
3位だったダリラ・ムハンマドは「50秒台は間違いなく可能だと思っていた」と話したうえで、さらなる歴史の扉へと言及する。「49秒台も可能だと思う、シドニーならね」。
マクローリン自身も「完璧なレースというものはなく、改善すべき点は常にあると思います」と言う。さすがに、すぐに現実のものとなるとは思わないが、「神から与えられた贈り物や才能を解放し、やってきたことのすべてをレースにぶつけるだけ」というマクローリンの走りは、これからますます注目を集めることになるだろう。
男子400mでは、米国男子ロングスプリントを背負うべき才能、24歳のマイケル・ノーマンが接戦を44秒30で制し、ついに世界一に立った。
21歳にして世界歴代5位の43秒45をマークし、2020年には100m9秒台(9秒86)、200m19秒台(19秒70)、400m43秒台を出した史上2人目のスプリンターに。これほどの能力を持ちながら、19年ドーハ世界陸上はケガ明けの影響で準決勝で敗退。昨年の東京五輪は5位と、大舞台でなかなか結果を出せていなかった。
念願の金メダルに、フィニッシュ後は感無量の表情を見せたノーマン。いよいよ、マイケル・ジョンソンの米国記録(43秒18)、ウエイド・ファン・ニーケルク(南アフリカ)の世界記録(43秒03)、そして夢の「42秒台」突入へ。日本人のDNAも受け継ぐノーマンの活躍は、これからが本番だ。
午前6時15分(現地時間)スタートの女子35㎞競歩は、初日の20kmのメダリストたちが再び熱戦を展開。20km覇者のキンバリー・ガルシア・レオン(ペルー)が2時間39分16秒で初代女王に輝き、2冠獲得の偉業を達成した。2時間40分03秒で2位にカタジナ・ズジェブウォ(ポーランド)、2時間40分37秒で3位に切陽什姐(中国)に続き、上位3位は20km競歩とまったく同じ順位となった。
このほか、女子400mはショーナ・ミラー・ウイボ(バハマ)が今季世界最高の49秒11で制覇。五輪は昨年の東京で2連覇を達成しているが、世界陸上では念願の初タイトルだった。女子やり投はケルセイ・リー・バーバー(豪州)が2投目の66m91で逃げ切り、2連覇を飾った。
日本勢は、女子やり投で北口榛花(JAL)が63m27で銅メダル獲得の快挙。五輪、世界陸上を通じて日本女子フィールド種目で史上初めてのメダルを、最終投てきの逆転でつかみ取った。同じく決勝に進んだ武本紗栄(佐賀県スポ協)は57m93で11位だったが、世界大会初出場で奮闘した。
4×100mリレーの男子は、新型コロナウイルスに感染した小池祐貴(住友電工)に続き、100mで日本人初入賞(7位)を果たしたサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が疲労などのため出場できず。1走から坂井隆一郎(大阪ガス)、鈴木涼太(スズキ)、上山紘輝(住友電工)、栁田大輝(東洋大)と、全員が世界大会初出場というオーダーに。38秒78で4着と力を尽くしたが、2走、3走のバトンパスが乱れてオーバーゾーンと判定され、失格となった。
女子は11年テグ大会以来11年ぶりの出場。1走から青木益未(七十七銀行)、君嶋愛梨沙(土木管理総合)、兒玉芽生(ミズノ)、御家瀬緑(住友電工)のオーダーで挑み、43秒33の日本新記録をマークした。2011年のセイコーゴールデングランプリ川崎で日本選抜Aが出した記録(43秒39)を11年ぶりに更新。7着ではあったが、昨年の東京五輪に続いての世界大会で、確かな足跡を残した。
女子35㎞競歩は世界大会初出場の園田世玲奈(NTN)が、自身の持つ日本最高記録(2時間45分48秒)を上回る2時間45分09秒で9位。残り400mまでは8位だったが、あと一歩で入賞を逃した。男子棒高跳は今大会の日本勢最多5大会連続出場の山本聖途(トヨタ自動車)が5m30と5m50を一発でクリアし、5m65も2回目で成功。初出場ながら6位に入賞した13年モスクワ大会以来の決勝進出に迫ったが、続く5m75が超えられずに予選敗退となった。
■8日目優勝者一覧
【男子】
400m マイケル・ノーマン(米国) 44秒30
【女子】
400m ショーナ・ミラー・ウイボ(バハマ) 49秒11
400mH シドニー・マクローリン(米国) 50秒68=世界新
35km競歩 キンバリー・ガルシア・レオン(ペルー) 2時間39分16秒
やり投 ケルセイ・リー・バーバー(豪州) 66m91
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.05.11
ミズノが新作ランニングシューズを発表! 2年ぶりの箱根駅伝出場を狙う法大もイベントに登壇
-
2026.05.11
2026.05.09
【女子棒高跳】松浦清愛(久御山高2京都) 4m10=U18日本タイ&高校歴代4位タイ
2026.05.10
【大会結果】第13回木南道孝記念(2026年5月10日)
-
2026.05.06
-
2026.05.05
-
2026.05.08
-
2026.04.24
Latest articles 最新の記事
2026.05.11
【竹澤健介の視点】王者・鈴木芽吹選手の「アベレージ力」光る 世界へのスタートラインはアジアを制すること/木南記念
5月10日に木南記念で行われた名古屋アジア大会代表選考最重要競技会の男子10000mで、男子は鈴木芽吹(トヨタ自動車)がアジア大会派遣設定記録(27分31秒27)をクリアする27分20分11秒で優勝し、初の代表に内定した […]
2026.05.11
ミズノが新作ランニングシューズを発表! 2年ぶりの箱根駅伝出場を狙う法大もイベントに登壇
ミズノは6月19日に発売する新作ランニングシューズ「MIZUNO NEO VISTA 3」の商品説明会・トークセッション&試走会イベントを開いた。 「MIZUNO NEO VISTA 3」は、ランニングにおいて重要となる […]
2026.05.11
ミズノから反発性を特長とする新作ランニングシューズ「MIZUNO NEO VISTA 3」が6月19日から発売!
ミズノは5月11日、反発性を特長とするスーパートレーナー「MIZUNO NEO VISTA」シリーズの最新モデルとして、走行効率と安定性を追求した「MIZUNO NEO VISTA 3(ミズノネオビスタスリー)」を6月1 […]
2026.05.11
大正大学が陸上競技部創立!初代監督に添田正美氏就任、創立100周年の節目に「箱根駅伝出場」掲げて「ゼロからの挑戦」
大正大学は5月11日、2026年4月1日付で陸上競技部を設立したことと、添田正美氏の初代監督に就任したことを発表した。 2026年に創立100周年を迎えたことをきっかけに、学生の競技力向上と大学ブランドの発信強化を目的と […]
Latest Issue
最新号
2026年5月号 (4月14日発売)
2026シーズン展望
中距離特集ほか