◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)2日目
オレゴン世界陸上2日目が行われ、5種目で決勝が実施。この日の最終種目として最も注目を集めた男子100m決勝は、4人が出場した地元・米国勢が全員決勝に駒を進め、フレッド・カーリーが9秒86(-0.1)で金メダルに輝いた。自身にとっては五輪を含む世界大会での個人初タイトルで、米国勢としては同種目3連覇となる。
それだけでなく、ともに9秒88で2位にマーヴィン・ブレイシー、3位にトレイヴォン・ブロメルが続き、米国勢がメダルを独占。1991年の東京大会以来31年ぶりの偉業を初の自国開催で成し遂げ、聖地「ヘイワード・フィールド」にはUSAコールが沸き上がった。
「ホームの観衆がついてくれることを素晴らしいと感じたし、私たちはやるべきことをやるとアメリカに誓った。そして、私たちは今日それを成し遂げた」
陸上大国の誇りを守る男子100mの金メダルと、6位だった前回覇者のクリスチャン・コールマンを含む仲間とともに達成した快挙に、コールマンは星条旗をまといながら胸を張った。
その直前、今大会の米国勢「金メダル第1号」となったのが、女子砲丸投のチェイス・イーリー。1投目に放ったセカンドベストの20m49でそのまま逃げ切り、前回のドーハ大会(7位)に続く2度目の出場で、一気に初の世界一をつかんだ。
昨年の東京五輪は全米五輪選考会で5位にとどまって代表入りを逃したが、今年3月の世界室内選手権で2位になるなど今季は躍進。女子の同種目では米国勢としても初制覇である。
モーニングセッションでは、男子ハンマー投でパウエル・ファイデク(ポーランド)が今季世界最高の81m98をマークし、世界陸上の連勝を「5」に伸ばした。
東京五輪金メダリストのボイチェフ・ノヴィツキ(ポーランド)との一騎打ちが予想されていたが、3投目で優勝記録を放ったファイデクがそのまま逃げ切り。世界陸上の個人種目では、男子棒高跳のセルゲイ・ブブカ(ソ連/ウクライナ)の6連覇(第1回~第6回)に次ぐ歴代2位の5連覇を成し遂げ、優勝候補に挙げられながら銅メダルに終わった東京五輪の雪辱を果たした。
女子10000mは壮絶なラスト勝負の末に、世界記録(29分01秒03)保持者のレテセンベト・ギデイ(エチオピア)が30分09秒94の今季世界最高で念願の金メダルを手にした。19年ドーハ世界陸上、東京五輪とこの種目で連勝中だったシファン・ハッサン(オランダ)は得意のラストで伸びを欠き、4位にとどまった。
イブニングセッションで行われた男子走幅跳は、王嘉男(中国)が最終6回目に8m36(+0.5)をジャンプ。それまで8m32(+0.5)でトップだった東京五輪王者のミルティアディス・テントグルー(ギリシャ)を4cm逆転し、同種目では五輪を含む世界大会でアジア人初の王者となった。
25歳の王嘉男は8m47の中国記録保持者で、世界陸上では2015年から銅メダル、7位、6位と3大会連続入賞中だった。
日本勢は男子20km競歩で金、銀メダルを獲得するなど躍進した初日の勢いを、2日目にもつなげた。
男子100mではサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が、世界陸上では日本人初のファイナリストに。前日の予選をセカンドベストの9秒98(-0.3)で1着通過していたサニブラウンは、準決勝を10秒05(+0.3)で3着。着順通過できる2着以内は逃したものの、2組3着が10秒13(+0.1)、3組の3着が10秒06(-0.1)となり、プラスの1番目を確保。自身3度目の準決勝で、ついに決勝の舞台に立った。
「無我夢中だった」という決勝も、10秒06(-0.1)で7位の力走。1932年ロサンゼルス五輪で吉岡隆徳が6位になって以来、90年もの間越えられなかった壁を、再び米国の地で、米国を拠点とするサニブラウンが見事に越えてみせた。
同じく準決勝に進出した坂井隆一郎(大阪ガス)は得意のスタートダッシュで中盤までは上位を争ったが、10秒23(+0.1)の6着で決勝には届かなかった。
女子10000mでは、東京五輪で7位入賞を果たした廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が再び激走。12位と連続入賞こそならなかったものの30分39秒71と、20年12月の日本選手権で新谷仁美(積水化学)が作った30分20秒44の日本記録に次ぐ歴代2位をマークした。
今季はケガなどで出遅れた面もあったが、五輪の時のように5000mあたりまでトップを引っ張るなど持ち味の積極的な走りを披露。4日後の5000mに向けても、五輪と同様に予選突破を目指していく。
男子走幅跳決勝には、前日の予選を8m18の全体トップで通過した橋岡優輝(富士通)が出場。前回のドーハ(8位)、昨年の東京(6位)に続く世界大会3連続入賞に挑んだが、1、2回目がファウルとなり、3回目の7m86(+0.4)が最高で10位だった。トップ8進出にはあと7cm届かず。
このほか、モーニングセッションの男子110mハードルでは東京五輪セミファイナリスト・泉谷駿介(住友電工)が13秒56(+0.4)で3着、石川周平(富士通)が13秒53(-0.3)で4着を占めて準決勝進出を果たした。男子400mハードルでは黒川和樹(法大)が50秒02の4着に入り、五輪では果たせなかった準決勝進出を決めた。
一方、女子1500m準決勝で東京五輪(8位)に続く決勝進出を目指した田中希実(豊田自動織機)は、最後まで着順通過の5着を争ったが、4分05秒79で6着(7着から上位選手の失格で繰り上がり) 。プラスでも届かず、準決勝敗退となった。廣中とともに、次は5000m予選に挑む。
■2日目優勝者一覧
【男子】
100m フレッド・カーリー(米国) 9秒86(-0.1)
走幅跳 王嘉男(中国) 8m36(+0.5)
ハンマー投 パウエル・ファイデク(ポーランド) 81m98
【女子】
10000m レテセンベト・ギデイ(エチオピア) 30分09秒94
砲丸投 チェイス・イーリー(米国) 20m49
■女子10000m日本歴代10傑
30.20.44 新谷 仁美(積水化学) 2020.12. 4
30.39.71 廣中璃梨佳(日本郵政グループ) 2022. 7.16 NEW
30.45.21 不破聖衣来(拓大1) 2021.12.11
30.48.89 渋井 陽子(三井住友海上) 2002. 5. 3
30.51.81 福士加代子(ワコール) 2002.10. 8
31.09.46 川上 優子(沖電気宮崎) 2000. 7. 1
31.10.02 絹川 愛(ミズノ) 2011. 6.22
31.10.02 五島 莉乃(資生堂) 2021.12.10
31.11.56 一山 麻緒(ワコール) 2020.12. 4
31.15.34 羽鳥 智子(第一生命) 2004. 4.25
31.15.34 赤羽有紀子(ホクレン) 2008. 6.27
◇オレゴン世界陸上(7月15日~24日/米国・オレゴン州ユージン)2日目
オレゴン世界陸上2日目が行われ、5種目で決勝が実施。この日の最終種目として最も注目を集めた男子100m決勝は、4人が出場した地元・米国勢が全員決勝に駒を進め、フレッド・カーリーが9秒86(-0.1)で金メダルに輝いた。自身にとっては五輪を含む世界大会での個人初タイトルで、米国勢としては同種目3連覇となる。
それだけでなく、ともに9秒88で2位にマーヴィン・ブレイシー、3位にトレイヴォン・ブロメルが続き、米国勢がメダルを独占。1991年の東京大会以来31年ぶりの偉業を初の自国開催で成し遂げ、聖地「ヘイワード・フィールド」にはUSAコールが沸き上がった。
「ホームの観衆がついてくれることを素晴らしいと感じたし、私たちはやるべきことをやるとアメリカに誓った。そして、私たちは今日それを成し遂げた」
陸上大国の誇りを守る男子100mの金メダルと、6位だった前回覇者のクリスチャン・コールマンを含む仲間とともに達成した快挙に、コールマンは星条旗をまといながら胸を張った。
その直前、今大会の米国勢「金メダル第1号」となったのが、女子砲丸投のチェイス・イーリー。1投目に放ったセカンドベストの20m49でそのまま逃げ切り、前回のドーハ大会(7位)に続く2度目の出場で、一気に初の世界一をつかんだ。
昨年の東京五輪は全米五輪選考会で5位にとどまって代表入りを逃したが、今年3月の世界室内選手権で2位になるなど今季は躍進。女子の同種目では米国勢としても初制覇である。
モーニングセッションでは、男子ハンマー投でパウエル・ファイデク(ポーランド)が今季世界最高の81m98をマークし、世界陸上の連勝を「5」に伸ばした。
東京五輪金メダリストのボイチェフ・ノヴィツキ(ポーランド)との一騎打ちが予想されていたが、3投目で優勝記録を放ったファイデクがそのまま逃げ切り。世界陸上の個人種目では、男子棒高跳のセルゲイ・ブブカ(ソ連/ウクライナ)の6連覇(第1回~第6回)に次ぐ歴代2位の5連覇を成し遂げ、優勝候補に挙げられながら銅メダルに終わった東京五輪の雪辱を果たした。
女子10000mは壮絶なラスト勝負の末に、世界記録(29分01秒03)保持者のレテセンベト・ギデイ(エチオピア)が30分09秒94の今季世界最高で念願の金メダルを手にした。19年ドーハ世界陸上、東京五輪とこの種目で連勝中だったシファン・ハッサン(オランダ)は得意のラストで伸びを欠き、4位にとどまった。
イブニングセッションで行われた男子走幅跳は、王嘉男(中国)が最終6回目に8m36(+0.5)をジャンプ。それまで8m32(+0.5)でトップだった東京五輪王者のミルティアディス・テントグルー(ギリシャ)を4cm逆転し、同種目では五輪を含む世界大会でアジア人初の王者となった。
25歳の王嘉男は8m47の中国記録保持者で、世界陸上では2015年から銅メダル、7位、6位と3大会連続入賞中だった。
日本勢は男子20km競歩で金、銀メダルを獲得するなど躍進した初日の勢いを、2日目にもつなげた。
男子100mではサニブラウン・アブデル・ハキーム(タンブルウィードTC)が、世界陸上では日本人初のファイナリストに。前日の予選をセカンドベストの9秒98(-0.3)で1着通過していたサニブラウンは、準決勝を10秒05(+0.3)で3着。着順通過できる2着以内は逃したものの、2組3着が10秒13(+0.1)、3組の3着が10秒06(-0.1)となり、プラスの1番目を確保。自身3度目の準決勝で、ついに決勝の舞台に立った。
「無我夢中だった」という決勝も、10秒06(-0.1)で7位の力走。1932年ロサンゼルス五輪で吉岡隆徳が6位になって以来、90年もの間越えられなかった壁を、再び米国の地で、米国を拠点とするサニブラウンが見事に越えてみせた。
同じく準決勝に進出した坂井隆一郎(大阪ガス)は得意のスタートダッシュで中盤までは上位を争ったが、10秒23(+0.1)の6着で決勝には届かなかった。
女子10000mでは、東京五輪で7位入賞を果たした廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が再び激走。12位と連続入賞こそならなかったものの30分39秒71と、20年12月の日本選手権で新谷仁美(積水化学)が作った30分20秒44の日本記録に次ぐ歴代2位をマークした。
今季はケガなどで出遅れた面もあったが、五輪の時のように5000mあたりまでトップを引っ張るなど持ち味の積極的な走りを披露。4日後の5000mに向けても、五輪と同様に予選突破を目指していく。
男子走幅跳決勝には、前日の予選を8m18の全体トップで通過した橋岡優輝(富士通)が出場。前回のドーハ(8位)、昨年の東京(6位)に続く世界大会3連続入賞に挑んだが、1、2回目がファウルとなり、3回目の7m86(+0.4)が最高で10位だった。トップ8進出にはあと7cm届かず。
このほか、モーニングセッションの男子110mハードルでは東京五輪セミファイナリスト・泉谷駿介(住友電工)が13秒56(+0.4)で3着、石川周平(富士通)が13秒53(-0.3)で4着を占めて準決勝進出を果たした。男子400mハードルでは黒川和樹(法大)が50秒02の4着に入り、五輪では果たせなかった準決勝進出を決めた。
一方、女子1500m準決勝で東京五輪(8位)に続く決勝進出を目指した田中希実(豊田自動織機)は、最後まで着順通過の5着を争ったが、4分05秒79で6着(7着から上位選手の失格で繰り上がり) 。プラスでも届かず、準決勝敗退となった。廣中とともに、次は5000m予選に挑む。
■2日目優勝者一覧
【男子】
100m フレッド・カーリー(米国) 9秒86(-0.1)
走幅跳 王嘉男(中国) 8m36(+0.5)
ハンマー投 パウエル・ファイデク(ポーランド) 81m98
【女子】
10000m レテセンベト・ギデイ(エチオピア) 30分09秒94
砲丸投 チェイス・イーリー(米国) 20m49
■女子10000m日本歴代10傑
30.20.44 新谷 仁美(積水化学) 2020.12. 4
30.39.71 廣中璃梨佳(日本郵政グループ) 2022. 7.16 NEW
30.45.21 不破聖衣来(拓大1) 2021.12.11
30.48.89 渋井 陽子(三井住友海上) 2002. 5. 3
30.51.81 福士加代子(ワコール) 2002.10. 8
31.09.46 川上 優子(沖電気宮崎) 2000. 7. 1
31.10.02 絹川 愛(ミズノ) 2011. 6.22
31.10.02 五島 莉乃(資生堂) 2021.12.10
31.11.56 一山 麻緒(ワコール) 2020.12. 4
31.15.34 羽鳥 智子(第一生命) 2004. 4.25
31.15.34 赤羽有紀子(ホクレン) 2008. 6.27
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.12.22
佐久長聖1年の橋本蒼平が5000m14分30秒50でトップ/SGH文スポ チャレンジ
-
2025.12.22
-
2025.12.22
-
2025.12.22
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
2025.12.21
【大会結果】第76回全国高校駅伝・男子(2025年12月21日)
2025.12.21
800m日本記録保持者・久保凛が最後の都大路で9人抜きの激走! /全国高校駅伝・女子
-
2025.12.21
-
2025.12.20
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝女子(2025年12月14日)
2025.12.14
【大会結果】第33回全国中学校駅伝男子(2025年12月14日)
2025.12.21
【大会結果】第37回全国高校駅伝・女子(2025年12月21日)
-
2025.12.21
-
2025.12.21
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.12.22
佐久長聖1年の橋本蒼平が5000m14分30秒50でトップ/SGH文スポ チャレンジ
12月23日、滋賀県守山市のSGホールディングスグループ陸上競技場で令和7年度SGH文スポ チャレンジ競技会が開催された。 同大会は主に前日の全国高校駅伝(男子)に出場した学校のうち、出走できなかった選手たちを中心に参加 […]
2025.12.22
箱根駅伝Stories/継続中最長シード・東洋大 激動のシーズンに高まる結束力 2年生世代が台頭
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 「チームのために走る」 20年連続で箱根駅伝のシード権を守り続けてい […]
2025.12.22
箱根駅伝Stories/悔しさを味わってきた東農大・原田洋輔 「がっつり爪痕を残したい」 地元・戸塚で貢献を
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 身近にあった箱根駅伝 10月の箱根駅伝予選会で東農大は6位を占め、2 […]
2025.12.22
箱根駅伝Stories/ハーフで強さ示してきた帝京大・島田晃希 「エース区間を走りたい」期待の“大器”最後の舞台へ
新春の風物詩・第102回箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。学生三大駅伝最終決戦に向かうそれぞれの歩みや思いを紹介する。 身近にあった箱根駅伝 この1年で帝京大の長距離種目の歴代記録がガラリ […]
2025.12.22
大学対校男女混合駅伝のアンバサダーに堀未央奈が就任!来年2月15日開催、22チーム出場
第6回全国大学対校男女混合駅伝の大会要項が公開され、大会アンバサダーに元乃木坂46の堀未央奈さんが選ばれた。 堀さんは乃木坂46の2期生として加入し、『バレッタ』でセンターを務めるなど人気メンバーとして活躍。21年3月に […]
Latest Issue
最新号
2026年1月号 (12月12日発売)
箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳
