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2025.05.31

【竹澤健介の視点】5000m森凪也&佐藤圭汰、10000m鈴木芽吹ともに持ち味発揮 スピード強化は急務だが勝機はある/アジア選手権
【竹澤健介の視点】5000m森凪也&佐藤圭汰、10000m鈴木芽吹ともに持ち味発揮 スピード強化は急務だが勝機はある/アジア選手権

25年アジア選手権男子5000m決勝レース

5月28日から韓国・クミを舞台に開催されているアジア選手権。男子長距離種目は、初日の10000mは鈴木芽吹(トヨタ自動車)が銀メダル、30日の5000mは森凪也(Honda)が銅メダル、佐藤圭汰(駒大)が4位に入った。2008年北京五輪5000m、10000m代表の竹澤健介さん(摂南大ヘッドコーチ)に、レースを振り返ってもらった。

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初日の10000mで銀メダルを獲得した鈴木芽吹選手、30日の5000mで銅メダルだった森凪也選手、4位の佐藤圭汰選手はそろって、実力拮抗のアジアの舞台で持ち味を発揮したレースだったのではないでしょうか。結果としてG.シン選手(インド)が2冠に輝きましたが、自己ベストは5000m12分59秒77(ショートトラック・アジア記録)、10000m27分00秒22と、日本勢からは一枚上手の選手。しかし、3人にとってはアジアでこういった世界水準の選手と戦えたことは、良い経験になったと思います。

鈴木選手は、あらゆる展開を想定してレースに臨んだと思います。ワールドランキングを上げるためにはある程度の記録が必要になるため、高温・多湿の環境下でも敢然と先頭に立ってペースを作りました。さすがに引っ張り切れずに後ろに下がりましたが、なんとか振り絞って勝利を目指していました。最後は、エリアチャンピオンだけを狙ったレースをしたシン選手のスパートに屈しましたが、現時点でのベストな走りだったと言えるでしょう。

4月の日本選手権10000mを制し、5月18日のセイコーゴールデングランプリ3000mでも7分44秒45で日本人2番手。レースをこなしながら常に上位の結果を残す安定感、引っ張っても良し、後ろについても良しのレース巧者ぶりも含め、地力がついているのは明らかです。さらに殻を破るタイミングに来ているのではないでしょうか。

10000mで東京世界選手権に出場できたとしたら、5000mを速く走るというスピードの立て直しが求められるでしょう。シン選手との差がそうであったように、5000mで12分台を持つ選手たちがずらりとそろう10000mで、世界のスピードを体感してほしい。それを感じることが、さらなる飛躍への一歩になるはずです。

森選手、佐藤選手も、互いに引っ張り合い、ハイペースを刻みながら良いレースを展開していたと思います。勝負所も、600mで飛び出した佐藤選手、ラスト勝負で互角の争いを演じた森選手と、それぞれの持ち味を発揮できたのではないでしょうか。

森選手のスパート力は、今や日本屈指かもしれません。金栗記念5000m、セイコーゴールデンぐランプリ3000mでも終盤の強さが光りましたが、それらが着実に自信になっている印象。最後の100mで外側を回らされた部分も含め、もっと経験を積めば、さらに上の水準が見えてくるかもしれません。

佐藤選手はロングスパートでうまく逃げ切れませんでした。日本人相手であれば、徐々に上げていっていつの間にか離れている、という展開に持ち込むことができるのですが、世界の選手はなかなか離れてはくれません。

日本勢はともに前半から引っ張ったダメージがあったのかもしれませんが、最後のキレを出すための、スピードの余裕度をどこまで作り出せるかが今後の課題。10000mと同様に、シン選手は「勝てればいい」というスタンスだったことで、ラストで最もスピードの余裕度を残すことができていました。こういったことも、やはり多くのレース経験を重ねることで、培える能力。特に5000mは、世界大会ではアフリカ勢、欧米の選手たちが加わり、さらにペースの上げ下げ、ラスト勝負の激しさが増します。世界的にも12分台が当たり前になっていて、20ヵ国以上の区にで13分切りランナーが生まれているなど、勢力図も世界中に広がってきました。

それほどに各国がスピード強化を図っている証。1500m、5000mをベースに強化し、余裕があれば10000mにも、というのが世界のスタンダードになりつつあるので、ここに日本も早く追いつく必要があるでしょう。それでも、同じ土俵で戦えば、勝機はある。今回のアジア選手権に挑んだ3人の走りから、そう強く感じました。

◎竹澤健介(たけざわ・けんすけ)
摂南大陸上競技部ヘッドコーチ。早大3年時の2007年に大阪世界選手権10000m、同4年時の08年北京五輪5000m、10000mに出場。箱根駅伝では2年時から3年連続区間賞を獲得した。日本選手権はエスビー食品時代の10年に10000mで優勝している。自己ベストは500m13分19秒00、10000m27分45秒59。

5月28日から韓国・クミを舞台に開催されているアジア選手権。男子長距離種目は、初日の10000mは鈴木芽吹(トヨタ自動車)が銀メダル、30日の5000mは森凪也(Honda)が銅メダル、佐藤圭汰(駒大)が4位に入った。2008年北京五輪5000m、10000m代表の竹澤健介さん(摂南大ヘッドコーチ)に、レースを振り返ってもらった。 ◇ ◇ ◇ 初日の10000mで銀メダルを獲得した鈴木芽吹選手、30日の5000mで銅メダルだった森凪也選手、4位の佐藤圭汰選手はそろって、実力拮抗のアジアの舞台で持ち味を発揮したレースだったのではないでしょうか。結果としてG.シン選手(インド)が2冠に輝きましたが、自己ベストは5000m12分59秒77(ショートトラック・アジア記録)、10000m27分00秒22と、日本勢からは一枚上手の選手。しかし、3人にとってはアジアでこういった世界水準の選手と戦えたことは、良い経験になったと思います。 鈴木選手は、あらゆる展開を想定してレースに臨んだと思います。ワールドランキングを上げるためにはある程度の記録が必要になるため、高温・多湿の環境下でも敢然と先頭に立ってペースを作りました。さすがに引っ張り切れずに後ろに下がりましたが、なんとか振り絞って勝利を目指していました。最後は、エリアチャンピオンだけを狙ったレースをしたシン選手のスパートに屈しましたが、現時点でのベストな走りだったと言えるでしょう。 4月の日本選手権10000mを制し、5月18日のセイコーゴールデングランプリ3000mでも7分44秒45で日本人2番手。レースをこなしながら常に上位の結果を残す安定感、引っ張っても良し、後ろについても良しのレース巧者ぶりも含め、地力がついているのは明らかです。さらに殻を破るタイミングに来ているのではないでしょうか。 10000mで東京世界選手権に出場できたとしたら、5000mを速く走るというスピードの立て直しが求められるでしょう。シン選手との差がそうであったように、5000mで12分台を持つ選手たちがずらりとそろう10000mで、世界のスピードを体感してほしい。それを感じることが、さらなる飛躍への一歩になるはずです。 森選手、佐藤選手も、互いに引っ張り合い、ハイペースを刻みながら良いレースを展開していたと思います。勝負所も、600mで飛び出した佐藤選手、ラスト勝負で互角の争いを演じた森選手と、それぞれの持ち味を発揮できたのではないでしょうか。 森選手のスパート力は、今や日本屈指かもしれません。金栗記念5000m、セイコーゴールデンぐランプリ3000mでも終盤の強さが光りましたが、それらが着実に自信になっている印象。最後の100mで外側を回らされた部分も含め、もっと経験を積めば、さらに上の水準が見えてくるかもしれません。 佐藤選手はロングスパートでうまく逃げ切れませんでした。日本人相手であれば、徐々に上げていっていつの間にか離れている、という展開に持ち込むことができるのですが、世界の選手はなかなか離れてはくれません。 日本勢はともに前半から引っ張ったダメージがあったのかもしれませんが、最後のキレを出すための、スピードの余裕度をどこまで作り出せるかが今後の課題。10000mと同様に、シン選手は「勝てればいい」というスタンスだったことで、ラストで最もスピードの余裕度を残すことができていました。こういったことも、やはり多くのレース経験を重ねることで、培える能力。特に5000mは、世界大会ではアフリカ勢、欧米の選手たちが加わり、さらにペースの上げ下げ、ラスト勝負の激しさが増します。世界的にも12分台が当たり前になっていて、20ヵ国以上の区にで13分切りランナーが生まれているなど、勢力図も世界中に広がってきました。 それほどに各国がスピード強化を図っている証。1500m、5000mをベースに強化し、余裕があれば10000mにも、というのが世界のスタンダードになりつつあるので、ここに日本も早く追いつく必要があるでしょう。それでも、同じ土俵で戦えば、勝機はある。今回のアジア選手権に挑んだ3人の走りから、そう強く感じました。 ◎竹澤健介(たけざわ・けんすけ) 摂南大陸上競技部ヘッドコーチ。早大3年時の2007年に大阪世界選手権10000m、同4年時の08年北京五輪5000m、10000mに出場。箱根駅伝では2年時から3年連続区間賞を獲得した。日本選手権はエスビー食品時代の10年に10000mで優勝している。自己ベストは500m13分19秒00、10000m27分45秒59。

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