◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)
いよいよ9月13日に開幕する世界陸上。34年ぶりの東京開催、舞台は聖地・国立競技場だ。総勢80人の日本代表で注目選手たちを紹介。ここでは男子トラック編をお届けする。
【男子フィールドみどころ】赤松諒一ら“最強布陣”の走高跳はメダルも
【女子トラックみどころ】地元で偉業目指す田中希実 久保凛は予選突破なるか
【女子フィールドみどころ】世界女王・北口榛花が連覇へ!跳躍4種目代表は2007年大阪以来
【男女ロードみどころ】20km競歩・山西利和が2大会ぶり金へ! マラソン男女の入賞なるか
世界の上位をにらむ順大の同期コンビ
1991年東京大会でのトラック入賞は、男女含めて男子400mで7位に入った高野進のみ。当時は世界との実力差が大きく、それだけに髙野の偉大さを感じた。あれから34年が経過し、男子は世界のトップと肩を並べる選手が次々と現れている。
勢い著しいのが110mハードルの村竹ラシッド(JAL)だ。パリ五輪ではこの種目初の五輪入賞となる5位。今季は8月中旬の福井ナイトゲームズで12秒92の今季世界2位、世界歴代でも11位タイの超特大日本新記録を打ち立てた。
さらに、ダイヤモンドリーグ(DL)を転戦し、DLファイナルにも出場している。昨年のパリを上回るだけでなく、そしてこの種目初となる国際大会メダルもまったくの夢ではない。
また、泉谷駿介(住友電工)は23年ブダペスト大会5位の実績を持つ。今季は13秒19にとどまるが、海外を中心にレースを重ね、経験は十分。自身の自己記録13秒04に迫るタイムを出せば、2大会連続決勝も十分あり得る。このほか、初出場となる野本周成(愛媛競技力本部)が挑む。
メダルの可能性があるのは、3000m障害の三浦龍司(SUBARU)も同様だ。7月のDLモナコでは、8分03秒43を叩き出して2位に入った。それも、フィニッシュ直前では五輪、世界陸上を含め、国際大会4連勝中のソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)に追い詰めるレース内容。今大会では予選をしっかりと通過し、決勝は上位集団に食らいつけば、終盤のスパート次第で大きなチャンスが巡ってくるはずだ。
村竹と三浦は順大時代の同期。その2人が国立の観客や日本の陸上ファンを沸かせられるか。
そして、100mではサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)に注目だ。昨年のパリ五輪こそ準決勝敗退だったが、世界陸上では22年7位、23年6位と2大会連続ファイナリストとなっている。今季は故障もあり出遅れているが、万全な状態ならば、3大会連続の決勝進出や日本記録(9秒95)の更新も十分あり得る。また、大学4年以来、8年ぶりに9秒台(9秒99)を出した桐生祥秀(日本生命)や、10秒00の守祐陽(大東大)も奮闘を期待したい。
鵜澤飛羽 日本人初の19秒台へ
200mの鵜澤飛羽(JAL)は自己ベストの20秒11を筆頭に、今季は公認で20秒1台を4回マーク。追い風参考では5月の静岡国際で20秒05(+2.1)を出している。大舞台で末續慎吾が2003年に出した日本記録(20秒03)の更新はもちろん、今季目標に掲げていた19秒台を大舞台で叩き出すことができるか。17年ロンドン大会のサニブラウン以来となる決勝進出にも注目だ。
ほかにも34歳のベテラン・飯塚翔太(ミズノ)と昨年、参加標準記録(20秒16)を突破する20秒14を出した水久保漱至(宮崎県スポ協)が出場する。予選を突破して鵜澤同様、準決勝で勝負できるか。
400mには中島佑気ジョセフ(富士通)と佐藤風雅(ミズノ)がエントリー。中島は8月に日本歴代3位の44秒84をマーク。悲願の45秒切りを遂げた。一方の佐藤は2年前に44秒88を出している。それぞれ自己記録や日本記録(44秒77)の更新を目指し、より上のラウンドに進めるか注目だ。
かつては世界で戦える種目として注目を集めた400mハードル。今回は昨年、参加標準記録(48秒50)を破る48秒46を出した井之上駿太(富士通)に、ワールドランキングで日本選手権覇者・小川大輝(東洋大)と豊田兼(トヨタ自動車)の3人が選ばれた。なかでも豊田は昨年、47秒99(日本歴代3位)を出している。2005年ヘルシンキ大会で銅メダルを獲得した為末大以来となる決勝進出で復権できるか。
このほか、5000mには森凪也(Honda)、10000mには葛西潤(旭化成)と鈴木芽吹(トヨタ自動車)の3人がエントリー。葛西は昨年のパリ五輪に出場しているが、世界陸上は3人とも初代表。激しいペース変化があるレースで力を出し切りたい。
今大会は中距離にも選手を派遣する。800mには昨年のインターハイで1分44秒80の日本新記録を打ち立てた落合晃(駒大)が、日本陸連が定めた開催国枠エントリーとして出場する。この種目での世界陸上代表は2011年テグ大会の横田真人以来。また1500mにはアジア選手権覇者・飯澤千翔(住友電工)が、2007年大阪大会の小林史和以来の代表入りを決めた。レースを通じて成長へのきっかけにしたいところだ。
総合力の高い4×100mR
最後は大注目のリレー。4×100mリレーには100m代表の3人(サニブラウン、桐生、守)と200mの鵜澤に加え、大上直起(青森県庁)、井上直紀(早大)、小池祐貴(住友電工)のほか、男女混合4×400mリレーの枠で選出した栁田大輝(東洋大)と、インターハイ100mで10秒00を出した高校2年生の清水空跳(星稜高・石川)も四継要員としており、9人を数える。
オーダーは3走・桐生、4走・鵜澤を軸にした編成になりそう。総合力は高まっており、サニブラウンが本調子ならば、37秒43の日本記録更新に加え、銅メダル以上の可能性も十分。今大会では決勝が21日の最終種目として行われ、大会のフィナーレを飾る予定となっている。4年前の東京五輪で成し遂げられなかった悲願の“リレー世界一”に輝き、締めくくってほしい。
また、22年オレゴン大会4位、パリ五輪6位の実績を持つ4×400mリレーは、個人種目に出場する中島と佐藤に、日本記録保持者の佐藤拳太郎(富士通)、日本選手権2位の今泉堅貴(内田洋行AC)、同3位の田邉奨(中大)、同4位の吉津拓歩(ミキハウス)が代表入り。年々、世界はハイレベルになっているが、ファイナルの舞台でバトンをつなぎたい。
東京世界陸上は9月13日から21日まで、国立競技場をメイン会場に行われる。チケットは公式サイトやチケットぴあで購入可能。TBSが全日程を独占放送する。
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1991年東京大会でのトラック入賞は、男女含めて男子400mで7位に入った高野進のみ。当時は世界との実力差が大きく、それだけに髙野の偉大さを感じた。あれから34年が経過し、男子は世界のトップと肩を並べる選手が次々と現れている。 勢い著しいのが110mハードルの村竹ラシッド(JAL)だ。パリ五輪ではこの種目初の五輪入賞となる5位。今季は8月中旬の福井ナイトゲームズで12秒92の今季世界2位、世界歴代でも11位タイの超特大日本新記録を打ち立てた。 さらに、ダイヤモンドリーグ(DL)を転戦し、DLファイナルにも出場している。昨年のパリを上回るだけでなく、そしてこの種目初となる国際大会メダルもまったくの夢ではない。 また、泉谷駿介(住友電工)は23年ブダペスト大会5位の実績を持つ。今季は13秒19にとどまるが、海外を中心にレースを重ね、経験は十分。自身の自己記録13秒04に迫るタイムを出せば、2大会連続決勝も十分あり得る。このほか、初出場となる野本周成(愛媛競技力本部)が挑む。 メダルの可能性があるのは、3000m障害の三浦龍司(SUBARU)も同様だ。7月のDLモナコでは、8分03秒43を叩き出して2位に入った。それも、フィニッシュ直前では五輪、世界陸上を含め、国際大会4連勝中のソフィアン・エル・バッカリ(モロッコ)に追い詰めるレース内容。今大会では予選をしっかりと通過し、決勝は上位集団に食らいつけば、終盤のスパート次第で大きなチャンスが巡ってくるはずだ。 村竹と三浦は順大時代の同期。その2人が国立の観客や日本の陸上ファンを沸かせられるか。 そして、100mではサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)に注目だ。昨年のパリ五輪こそ準決勝敗退だったが、世界陸上では22年7位、23年6位と2大会連続ファイナリストとなっている。今季は故障もあり出遅れているが、万全な状態ならば、3大会連続の決勝進出や日本記録(9秒95)の更新も十分あり得る。また、大学4年以来、8年ぶりに9秒台(9秒99)を出した桐生祥秀(日本生命)や、10秒00の守祐陽(大東大)も奮闘を期待したい。鵜澤飛羽 日本人初の19秒台へ
200mの鵜澤飛羽(JAL)は自己ベストの20秒11を筆頭に、今季は公認で20秒1台を4回マーク。追い風参考では5月の静岡国際で20秒05(+2.1)を出している。大舞台で末續慎吾が2003年に出した日本記録(20秒03)の更新はもちろん、今季目標に掲げていた19秒台を大舞台で叩き出すことができるか。17年ロンドン大会のサニブラウン以来となる決勝進出にも注目だ。 ほかにも34歳のベテラン・飯塚翔太(ミズノ)と昨年、参加標準記録(20秒16)を突破する20秒14を出した水久保漱至(宮崎県スポ協)が出場する。予選を突破して鵜澤同様、準決勝で勝負できるか。 400mには中島佑気ジョセフ(富士通)と佐藤風雅(ミズノ)がエントリー。中島は8月に日本歴代3位の44秒84をマーク。悲願の45秒切りを遂げた。一方の佐藤は2年前に44秒88を出している。それぞれ自己記録や日本記録(44秒77)の更新を目指し、より上のラウンドに進めるか注目だ。 かつては世界で戦える種目として注目を集めた400mハードル。今回は昨年、参加標準記録(48秒50)を破る48秒46を出した井之上駿太(富士通)に、ワールドランキングで日本選手権覇者・小川大輝(東洋大)と豊田兼(トヨタ自動車)の3人が選ばれた。なかでも豊田は昨年、47秒99(日本歴代3位)を出している。2005年ヘルシンキ大会で銅メダルを獲得した為末大以来となる決勝進出で復権できるか。 このほか、5000mには森凪也(Honda)、10000mには葛西潤(旭化成)と鈴木芽吹(トヨタ自動車)の3人がエントリー。葛西は昨年のパリ五輪に出場しているが、世界陸上は3人とも初代表。激しいペース変化があるレースで力を出し切りたい。 今大会は中距離にも選手を派遣する。800mには昨年のインターハイで1分44秒80の日本新記録を打ち立てた落合晃(駒大)が、日本陸連が定めた開催国枠エントリーとして出場する。この種目での世界陸上代表は2011年テグ大会の横田真人以来。また1500mにはアジア選手権覇者・飯澤千翔(住友電工)が、2007年大阪大会の小林史和以来の代表入りを決めた。レースを通じて成長へのきっかけにしたいところだ。総合力の高い4×100mR
最後は大注目のリレー。4×100mリレーには100m代表の3人(サニブラウン、桐生、守)と200mの鵜澤に加え、大上直起(青森県庁)、井上直紀(早大)、小池祐貴(住友電工)のほか、男女混合4×400mリレーの枠で選出した栁田大輝(東洋大)と、インターハイ100mで10秒00を出した高校2年生の清水空跳(星稜高・石川)も四継要員としており、9人を数える。 オーダーは3走・桐生、4走・鵜澤を軸にした編成になりそう。総合力は高まっており、サニブラウンが本調子ならば、37秒43の日本記録更新に加え、銅メダル以上の可能性も十分。今大会では決勝が21日の最終種目として行われ、大会のフィナーレを飾る予定となっている。4年前の東京五輪で成し遂げられなかった悲願の“リレー世界一”に輝き、締めくくってほしい。 また、22年オレゴン大会4位、パリ五輪6位の実績を持つ4×400mリレーは、個人種目に出場する中島と佐藤に、日本記録保持者の佐藤拳太郎(富士通)、日本選手権2位の今泉堅貴(内田洋行AC)、同3位の田邉奨(中大)、同4位の吉津拓歩(ミキハウス)が代表入り。年々、世界はハイレベルになっているが、ファイナルの舞台でバトンをつなぎたい。 東京世界陸上は9月13日から21日まで、国立競技場をメイン会場に行われる。チケットは公式サイトやチケットぴあで購入可能。TBSが全日程を独占放送する。 【男子フィールドみどころ】赤松諒一ら“最強布陣”の走高跳はメダルも 【女子トラックみどころ】地元で偉業目指す田中希実 久保凛は予選突破なるか 【女子フィールドみどころ】世界女王・北口榛花が連覇へ!跳躍4種目代表は2007年大阪以来 【男女ロードみどころ】20km競歩・山西利和が2大会ぶり金へ! マラソン男女の入賞なるかRECOMMENDED おすすめの記事
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