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2024.10.12

【月陸 クリニック】 強くなるための基礎知識/筋肉のコンディションが落ちないようにたんぱく質(アミノ酸)を毎日摂取することが大切!!
【月陸 クリニック】 強くなるための基礎知識/筋肉のコンディションが落ちないようにたんぱく質(アミノ酸)を毎日摂取することが大切!!

カラダの大半をつくっているアミノ酸と筋肉の関係とは?

スポーツをする時はしっかりとしたパフォーマンスを発揮したいもの。だが、運動によって筋肉中のたんぱく質が壊れる量が増え、筋肉が減ってしまうこともある。筋肉が減ってしまうとコンディションが下がるため、理想のパフォーマンスが発揮できなくなってしまう。筋肉はたんぱく質でできており、このたんぱく質はアミノ酸から作られている。そのため、運動することで減ってしまう筋肉とアミノ酸の関係について知っておくことが、パフォーマンスを維持するため非常に大切だ。

筋肉はアミノ酸でできている!筋トレにも大いに関係するアミノ酸

私たちのカラダとアミノ酸がどう関係しているのか、人間のカラダが何からできているのか、皆さんはご存知だろうか?
私たちのカラダの60%は水、20%がたんぱく質、そして残りの20%は脂質、糖質、ミネラルなどで作られている(図1)。60%を占める水を除くと、残りの半分がたんぱく質ということになる。

そして、私たちのカラダを構成している、10万種類にも及ぶこのたんぱく質は、驚くことにたった20種類のアミノ酸のさまざまな組み合わせで作られている(図1)。つまり、「人間のカラダの半分はアミノ酸でできている」と言えるだろう。

運動するのに大切な筋肉も、主にたんぱく質でできている。この20種類のアミノ酸は、カラダの中で作ることができない、つまり食事から摂らなくてはならない「必須アミノ酸」と、カラダの中で作ることのできる「非必須アミノ酸」に分けられる(図2)。
筋肉には、必須アミノ酸の中でもスポーツをする人によく知られているBCAA(分岐鎖アミノ酸)が多く含まれており、筋肉の中に含まれている必須アミノ酸のうち約40%もあると言われている。

運動能力を高めるのに欠かせないのが筋力トレーニングであり、筋肉を鍛えると太くなったり、筋力が向上したりする。この筋肉を顕微鏡で細かく見てみると「筋繊維」と呼ばれている細長い細胞が束になっている。トレーニングをすると筋肉が大きくなるのは、主としてこの筋繊維の1本1本が太くなることによって起きるのだ。

筋肉は毎日入れ替わり、カラダから出て行ってしまう

カラダのたんぱく質は新しいものがどんどん作られ、同時に古いものがどんどん壊され、入れ替わっている。皆さんには実感がないだろうが、そのようなメカニズムがある。

体重60kgの一般的な成人だと、1日に古くなって壊されるたんぱく質は約180gで、一部は尿中に排出されてしまいます。そして、同じ量のたんぱく質が新しく作られている(図3)1)。毎日必要となるたんぱく質を摂ることで〝破壊と生成のバランス〟が保たれているので、食事からしっかりと摂ることが大切だ。

食事からたんぱく質を摂ると分解されてアミノ酸になり、カラダの中に吸収され、血液によって全身に行き渡る。この全身に行き渡ったアミノ酸によって毎日カラダのいろいろな場所でたんぱく質が作られている。
これも皆さんには実感はないだろうが、毎日カラダの中から一定量のたんぱく質(アミノ酸)が出ていく。つまり、カラダの中のたんぱく質のバランスを保つためには、出ていく量と同じ量のたんぱく質を毎日摂る必要がある。
筋肉でも同じようにたんぱく質が毎日少しずつ入れ替わり、なんと約半年かけてその半分、約1年で全部が入れ替わるのだ。

最近のアメリカスポーツ医学会(ACSM)2)の発表や国際オリンピック委員会3)では、スポーツ選手は体重1kgあたり1.2~2.0g/日(体重60kgの場合、1日あたり72~120g)のたんぱく質を摂ることが推奨されている。一般的な成人のたんぱく質摂取量は、体重あたり0.95~1.09g /日だと言われている4)。スポーツ選手は一般の人に比べて1.3~1.9倍のたんぱく質を摂ることが奨められている。つまりスポーツする人は、筋肉を十分に保つため、毎日食事からたんぱく質を多めに摂ることがとても大切なのだ。

運動がきつく、長くなるほど、筋肉は減っていく!!

運動するためには、筋肉でエネルギーを使う必要がある。このエネルギーは糖質や脂質を主なエネルギー源として作り出されるが、アミノ酸(たんぱく質)も同じように使われている。運動する人の状況によって差はあるが、カラダで使われるエネルギー量のうちアミノ酸から作られるのは全体の4~10%と言われている5)

だが、筋肉に貯めておける糖質(グリコーゲン)が少なくなってしまった状態で運動を続けていくと、たんぱく質やアミノ酸がエネルギーを作り出すために多く使われてしまうようになる(図4)。その結果、使われた後に出てくる燃えかすのようなもの(尿素窒素というもの)が増える。つまり、保っておきたいカラダのたんぱく質もどんどん壊され、エネルギー源として使われてしまうのだ。

また、より強く運動したり、より長く運動したりすると、カラダの中のアミノ酸はもっと使われてしまうというデータ6) 7)もある。
運動すると筋肉の中ではいくつかの種類のアミノ酸が減りやすくなり、その一つとしてBCAAがある8) 9) 10) 11) ことはよく知られている。運動中はBCAAがエネルギー源として使われ、失われるのだ。
ここまで説明してきたように、筋肉では、たんぱく質がいつも新しく作られ、同時に古いものが壊されている。しかし、運動中は新しいたんぱく質はあまり作られないものの、壊される量は多くなる12)。そのため、運動をすると筋肉が少しずつ減っていき、コンディションが落ちてしまうのだ。

以上のことをまとめると表1のようになる。
運動をすると筋肉ではどんなことが起きてしまうのか、ご理解いただけただろうか。自分自身が納得できるパフォーマンスを発揮するために、筋肉のコンディションを高めることを意識してみよう。

<参考文献>
1) 寺田新 スポーツ栄養学.東京大学出版,pp120-121,2017
2) Thomas DT, Med Sci Sports Exerc 2016;48(3):543-68.
3) International Olympic Committee. Nutrition for Athletes.2012.
4) 日本人の食事摂取基準(2015年版)
5) Lemon PW, J Appl Physiol Respir Environ Exerc Physiol
1980;48(4):624-9.
6) Haralambie G, Berg A, Eur J Appl Physiol Occup Physiol 1976;
36: 39-48
7) D J Millward, Proc Nutr Soc.1994;53(1):223-40
8) Gibala MJ, Sports Med 2007; 37: 337-340
9) Van Hall G, The Journal of physiology 1996;494 ( Pt 3):899-905.
10) Rush JW, J Appl Physiol 1995;78(6):2193-200.
11) Shimomura Y, J Nutr 2006;136(1 Suppl):250S-3S.
12) AJ Rose, J Appl Physiol 2009

※この記事は『月刊陸上競技』2024年11月号にも掲載しています

カラダの大半をつくっているアミノ酸と筋肉の関係とは?

スポーツをする時はしっかりとしたパフォーマンスを発揮したいもの。だが、運動によって筋肉中のたんぱく質が壊れる量が増え、筋肉が減ってしまうこともある。筋肉が減ってしまうとコンディションが下がるため、理想のパフォーマンスが発揮できなくなってしまう。筋肉はたんぱく質でできており、このたんぱく質はアミノ酸から作られている。そのため、運動することで減ってしまう筋肉とアミノ酸の関係について知っておくことが、パフォーマンスを維持するため非常に大切だ。

筋肉はアミノ酸でできている!筋トレにも大いに関係するアミノ酸

私たちのカラダとアミノ酸がどう関係しているのか、人間のカラダが何からできているのか、皆さんはご存知だろうか? 私たちのカラダの60%は水、20%がたんぱく質、そして残りの20%は脂質、糖質、ミネラルなどで作られている(図1)。60%を占める水を除くと、残りの半分がたんぱく質ということになる。 そして、私たちのカラダを構成している、10万種類にも及ぶこのたんぱく質は、驚くことにたった20種類のアミノ酸のさまざまな組み合わせで作られている(図1)。つまり、「人間のカラダの半分はアミノ酸でできている」と言えるだろう。 運動するのに大切な筋肉も、主にたんぱく質でできている。この20種類のアミノ酸は、カラダの中で作ることができない、つまり食事から摂らなくてはならない「必須アミノ酸」と、カラダの中で作ることのできる「非必須アミノ酸」に分けられる(図2)。 筋肉には、必須アミノ酸の中でもスポーツをする人によく知られているBCAA(分岐鎖アミノ酸)が多く含まれており、筋肉の中に含まれている必須アミノ酸のうち約40%もあると言われている。 運動能力を高めるのに欠かせないのが筋力トレーニングであり、筋肉を鍛えると太くなったり、筋力が向上したりする。この筋肉を顕微鏡で細かく見てみると「筋繊維」と呼ばれている細長い細胞が束になっている。トレーニングをすると筋肉が大きくなるのは、主としてこの筋繊維の1本1本が太くなることによって起きるのだ。

筋肉は毎日入れ替わり、カラダから出て行ってしまう

カラダのたんぱく質は新しいものがどんどん作られ、同時に古いものがどんどん壊され、入れ替わっている。皆さんには実感がないだろうが、そのようなメカニズムがある。 体重60kgの一般的な成人だと、1日に古くなって壊されるたんぱく質は約180gで、一部は尿中に排出されてしまいます。そして、同じ量のたんぱく質が新しく作られている(図3)1)。毎日必要となるたんぱく質を摂ることで〝破壊と生成のバランス〟が保たれているので、食事からしっかりと摂ることが大切だ。 食事からたんぱく質を摂ると分解されてアミノ酸になり、カラダの中に吸収され、血液によって全身に行き渡る。この全身に行き渡ったアミノ酸によって毎日カラダのいろいろな場所でたんぱく質が作られている。 これも皆さんには実感はないだろうが、毎日カラダの中から一定量のたんぱく質(アミノ酸)が出ていく。つまり、カラダの中のたんぱく質のバランスを保つためには、出ていく量と同じ量のたんぱく質を毎日摂る必要がある。 筋肉でも同じようにたんぱく質が毎日少しずつ入れ替わり、なんと約半年かけてその半分、約1年で全部が入れ替わるのだ。 最近のアメリカスポーツ医学会(ACSM)2)の発表や国際オリンピック委員会3)では、スポーツ選手は体重1kgあたり1.2~2.0g/日(体重60kgの場合、1日あたり72~120g)のたんぱく質を摂ることが推奨されている。一般的な成人のたんぱく質摂取量は、体重あたり0.95~1.09g /日だと言われている4)。スポーツ選手は一般の人に比べて1.3~1.9倍のたんぱく質を摂ることが奨められている。つまりスポーツする人は、筋肉を十分に保つため、毎日食事からたんぱく質を多めに摂ることがとても大切なのだ。

運動がきつく、長くなるほど、筋肉は減っていく!!

運動するためには、筋肉でエネルギーを使う必要がある。このエネルギーは糖質や脂質を主なエネルギー源として作り出されるが、アミノ酸(たんぱく質)も同じように使われている。運動する人の状況によって差はあるが、カラダで使われるエネルギー量のうちアミノ酸から作られるのは全体の4~10%と言われている5)。 だが、筋肉に貯めておける糖質(グリコーゲン)が少なくなってしまった状態で運動を続けていくと、たんぱく質やアミノ酸がエネルギーを作り出すために多く使われてしまうようになる(図4)。その結果、使われた後に出てくる燃えかすのようなもの(尿素窒素というもの)が増える。つまり、保っておきたいカラダのたんぱく質もどんどん壊され、エネルギー源として使われてしまうのだ。 また、より強く運動したり、より長く運動したりすると、カラダの中のアミノ酸はもっと使われてしまうというデータ6) 7)もある。 運動すると筋肉の中ではいくつかの種類のアミノ酸が減りやすくなり、その一つとしてBCAAがある8) 9) 10) 11) ことはよく知られている。運動中はBCAAがエネルギー源として使われ、失われるのだ。 ここまで説明してきたように、筋肉では、たんぱく質がいつも新しく作られ、同時に古いものが壊されている。しかし、運動中は新しいたんぱく質はあまり作られないものの、壊される量は多くなる12)。そのため、運動をすると筋肉が少しずつ減っていき、コンディションが落ちてしまうのだ。

以上のことをまとめると表1のようになる。 運動をすると筋肉ではどんなことが起きてしまうのか、ご理解いただけただろうか。自分自身が納得できるパフォーマンスを発揮するために、筋肉のコンディションを高めることを意識してみよう。 <参考文献> 1) 寺田新 スポーツ栄養学.東京大学出版,pp120-121,2017 2) Thomas DT, Med Sci Sports Exerc 2016;48(3):543-68. 3) International Olympic Committee. Nutrition for Athletes.2012. 4) 日本人の食事摂取基準(2015年版) 5) Lemon PW, J Appl Physiol Respir Environ Exerc Physiol 1980;48(4):624-9. 6) Haralambie G, Berg A, Eur J Appl Physiol Occup Physiol 1976; 36: 39-48 7) D J Millward, Proc Nutr Soc.1994;53(1):223-40 8) Gibala MJ, Sports Med 2007; 37: 337-340 9) Van Hall G, The Journal of physiology 1996;494 ( Pt 3):899-905. 10) Rush JW, J Appl Physiol 1995;78(6):2193-200. 11) Shimomura Y, J Nutr 2006;136(1 Suppl):250S-3S. 12) AJ Rose, J Appl Physiol 2009 ※この記事は『月刊陸上競技』2024年11月号にも掲載しています

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