2022.12.22
出雲駅伝で涙の復活ラン
鈴木がくすぶっていた時期とリンクするように、夏の強化期間に入る前のチーム状態も芳しくなかった。明るい性格の鈴木が元気にしているだけで、チームにもたらす影響が少なからずある。
強化期間中の鈴木は1つ下のレベルのグループで下地作り。秋になり、10月10日の出雲駅伝が近づくと、鈴木の調子が上向いてきた。呼応するように、チームの士気が熱を帯びる。
10ヵ月ぶりの復帰レースだ。出雲駅伝は当初、3区(8.5km)の予定だったが、田澤廉の体調不良により、入れ替わるかたちで6区(10.2km)へ。トップでタスキを受けた鈴木は、“涙の復活ラン”でチームに9年ぶりの出雲駅伝優勝と、「3冠挑戦権」をもたらした。

出雲駅伝は6区区間賞で歓喜の復活ランを飾った
「ラスト1kmからもう泣きそうで、泣かないように、ちょっと笑っていました(笑)。最後の直線に入ってゴールテープが見えた時は、最初みんなの姿が確認できなくて、そういうものなのかと拍子抜けでしたが、フィニッシュしたらやっぱりみんなが待っていてくれて、うれしかったです」
次のページ 2区出走に意欲
前回大会はレース中に故障
前回の箱根駅伝でアクシデントに見舞われた鈴木芽吹に、話を聞けたのは2月だった。 逆転Vへ一縷の望みを託され、8区に出走したが、途中で故障が発生。左大腿骨の疲労骨折で1月は完全休養し、2月から歩行を始めたところだった。 一大アクシデントの後にもかかわらず、案外、すっきりした表情で明るく話してくれたことを覚えている。 「箱根駅伝にギリギリの状態で合わせていくことがストレスで、そこから解放されて逆に吹っ切れたんです」 現役日本人学生では田澤に次ぐ2番目の10000m27分41秒68を持ち、2021年日本選手権3位の実績がある。故障が癒えれば、世界選手権代表争いに割って入る意思を抱いていた。その水準には戻れなかったとしても相応の活躍は……。 しかし、実際にはレースに復帰すら叶わない日々を「春から夏にかけて、練習はできるのに上げていけなかった時期がもどかしかった」と鈴木は振り返る。 次のページ 出雲駅伝で涙の復活ラン出雲駅伝で涙の復活ラン
鈴木がくすぶっていた時期とリンクするように、夏の強化期間に入る前のチーム状態も芳しくなかった。明るい性格の鈴木が元気にしているだけで、チームにもたらす影響が少なからずある。 強化期間中の鈴木は1つ下のレベルのグループで下地作り。秋になり、10月10日の出雲駅伝が近づくと、鈴木の調子が上向いてきた。呼応するように、チームの士気が熱を帯びる。 10ヵ月ぶりの復帰レースだ。出雲駅伝は当初、3区(8.5km)の予定だったが、田澤廉の体調不良により、入れ替わるかたちで6区(10.2km)へ。トップでタスキを受けた鈴木は、“涙の復活ラン”でチームに9年ぶりの出雲駅伝優勝と、「3冠挑戦権」をもたらした。 [caption id="attachment_89372" align="alignnone" width="800"]
2区出走に意欲
しかし、この後にまた鈴木の完全復活を阻む事態が起こる。アキレス腱に違和感を感じ、練習の強度を調整。11月の全日本大学駅伝は無理をせず、出場を回避することになった。 鈴木が箱根駅伝に出走するのかどうか。優勝争いに関わる1つのピースとして、各陣営の思惑とファンの期待が錯綜する。 「箱根駅伝へ向けた最初のポイント練習ができれば、復帰は大丈夫でしょう」と大八木弘明監督。チームエントリーで鈴木の名が登録され、大八木監督の「OKライン」をクリアした。 エースの田澤廉は「(鈴木)芽吹が2区を走れば、青学大の近藤君と互角か、それ以上の戦いができると思います」と太鼓判を押す。 鈴木は前を向く。「まずは、チームの優勝が一番大事。そのためには往路優勝が必要で、僕が往路を走らなくてはいけません。2区……。2区はずっと走りたい区間です。でも今の僕の状況でその一択とは言えませんので、希望区間は『往路のどこか』としておきます」。 チームにとっても、鈴木にとっても、1年前の“忘れ物”を取り戻しにいく。 [caption id="attachment_89373" align="alignnone" width="800"]
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2025.09.17
入場者数が30万人突破!! 平日夜でも約4万人が歓声送る/東京世界陸上
2025.09.12
前夜祭イベントでギネス“世界新” 寺田明日香が高速道路KK線でリレー参加/東京世界陸上
-
2025.09.11
-
2025.09.13
-
2025.09.14
2025.08.27
アディダス アディゼロから2025年秋冬新色コレクションが登場!9月1日より順次販売
-
2025.08.19
-
2025.08.24
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2023.04.01
-
2022.12.20
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2025.09.17
入場者数が30万人突破!! 平日夜でも約4万人が歓声送る/東京世界陸上
◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)4日目 東京2025世界陸上財団は9月16日、東京世界陸上の4日目(DAY4)までの総入場者数が30万人を突破したことを発表した。 世界陸上は大会初日、2日目とイブニングセ […]
Latest Issue
最新号

2025年10月号 (9月9日発売)
【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/