2022.12.22
箱根駅伝Stories
新春の風物詩・箱根駅伝に挑む選手やチームを取り上げる「箱根駅伝Stories」。12月19日から区間エントリーが発表される29日まで、全校の特集記事を掲載していく。
3冠を狙う駒大にとって欠かせない人物がいる。強力選手が多数そろう3年生で、1年時から筆頭株として活躍を続けてきた鈴木芽吹だ。2年時に10000m27分41秒68、同日本選手権3位の実績を持ち、今季は10月の出雲駅伝では6区区間賞。故障を抱えながらのシーズンで、全日本大学駅伝は欠場しただけに、完全復活の瞬間が待たれる。
前回大会はレース中に故障
前回の箱根駅伝でアクシデントに見舞われた鈴木芽吹に、話を聞けたのは2月だった。
逆転Vへ一縷の望みを託され、8区に出走したが、途中で故障が発生。左大腿骨の疲労骨折で1月は完全休養し、2月から歩行を始めたところだった。
一大アクシデントの後にもかかわらず、案外、すっきりした表情で明るく話してくれたことを覚えている。
「箱根駅伝にギリギリの状態で合わせていくことがストレスで、そこから解放されて逆に吹っ切れたんです」
現役日本人学生では田澤に次ぐ2番目の10000m27分41秒68を持ち、2021年日本選手権3位の実績がある。故障が癒えれば、世界選手権代表争いに割って入る意思を抱いていた。その水準には戻れなかったとしても相応の活躍は……。
しかし、実際にはレースに復帰すら叶わない日々を「春から夏にかけて、練習はできるのに上げていけなかった時期がもどかしかった」と鈴木は振り返る。
次のページ 出雲駅伝で涙の復活ラン
前回大会はレース中に故障
前回の箱根駅伝でアクシデントに見舞われた鈴木芽吹に、話を聞けたのは2月だった。 逆転Vへ一縷の望みを託され、8区に出走したが、途中で故障が発生。左大腿骨の疲労骨折で1月は完全休養し、2月から歩行を始めたところだった。 一大アクシデントの後にもかかわらず、案外、すっきりした表情で明るく話してくれたことを覚えている。 「箱根駅伝にギリギリの状態で合わせていくことがストレスで、そこから解放されて逆に吹っ切れたんです」 現役日本人学生では田澤に次ぐ2番目の10000m27分41秒68を持ち、2021年日本選手権3位の実績がある。故障が癒えれば、世界選手権代表争いに割って入る意思を抱いていた。その水準には戻れなかったとしても相応の活躍は……。 しかし、実際にはレースに復帰すら叶わない日々を「春から夏にかけて、練習はできるのに上げていけなかった時期がもどかしかった」と鈴木は振り返る。 次のページ 出雲駅伝で涙の復活ラン出雲駅伝で涙の復活ラン
鈴木がくすぶっていた時期とリンクするように、夏の強化期間に入る前のチーム状態も芳しくなかった。明るい性格の鈴木が元気にしているだけで、チームにもたらす影響が少なからずある。 強化期間中の鈴木は1つ下のレベルのグループで下地作り。秋になり、10月10日の出雲駅伝が近づくと、鈴木の調子が上向いてきた。呼応するように、チームの士気が熱を帯びる。 10ヵ月ぶりの復帰レースだ。出雲駅伝は当初、3区(8.5km)の予定だったが、田澤廉の体調不良により、入れ替わるかたちで6区(10.2km)へ。トップでタスキを受けた鈴木は、“涙の復活ラン”でチームに9年ぶりの出雲駅伝優勝と、「3冠挑戦権」をもたらした。 [caption id="attachment_89372" align="alignnone" width="800"]
出雲駅伝は6区区間賞で歓喜の復活ランを飾った[/caption]
「ラスト1kmからもう泣きそうで、泣かないように、ちょっと笑っていました(笑)。最後の直線に入ってゴールテープが見えた時は、最初みんなの姿が確認できなくて、そういうものなのかと拍子抜けでしたが、フィニッシュしたらやっぱりみんなが待っていてくれて、うれしかったです」
次のページ 2区出走に意欲
2区出走に意欲
しかし、この後にまた鈴木の完全復活を阻む事態が起こる。アキレス腱に違和感を感じ、練習の強度を調整。11月の全日本大学駅伝は無理をせず、出場を回避することになった。 鈴木が箱根駅伝に出走するのかどうか。優勝争いに関わる1つのピースとして、各陣営の思惑とファンの期待が錯綜する。 「箱根駅伝へ向けた最初のポイント練習ができれば、復帰は大丈夫でしょう」と大八木弘明監督。チームエントリーで鈴木の名が登録され、大八木監督の「OKライン」をクリアした。 エースの田澤廉は「(鈴木)芽吹が2区を走れば、青学大の近藤君と互角か、それ以上の戦いができると思います」と太鼓判を押す。 鈴木は前を向く。「まずは、チームの優勝が一番大事。そのためには往路優勝が必要で、僕が往路を走らなくてはいけません。2区……。2区はずっと走りたい区間です。でも今の僕の状況でその一択とは言えませんので、希望区間は『往路のどこか』としておきます」。 チームにとっても、鈴木にとっても、1年前の“忘れ物”を取り戻しにいく。 [caption id="attachment_89373" align="alignnone" width="800"]
3度目の箱根路は2区出走を希望する[/caption]
すずき・めぶき/2001年6月3日生まれ。静岡県熱海市出身。175cm・58kg。静岡・泉中→長野・佐久長聖高。5000m13分27秒83、10000m27分41秒68、ハーフ1時間3分07秒
文/奥村 崇 RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking
人気記事ランキング
2026.07.06
小森コーポレーション・湯原慶吾が退部 青学大時代に箱根駅伝V「新たな環境で新しい挑戦を」
2026.07.06
滋賀インターハイで入場料徴収を発表 暑熱対策などで増加する開催経費に対応
2026.07.06
U20世界選手権の代表発表! 久保凛、後藤大樹、増子陽太、清水空跳らが世界の強豪に挑戦
-
2026.07.06
-
2026.07.06
-
2026.07.06
-
2026.07.05
2026.06.16
アディダス「ADIZERO EVO SL EXO」から新カラーが6月12日より発売!
Latest articles 最新の記事
2026.07.06
小森コーポレーション・湯原慶吾が退部 青学大時代に箱根駅伝V「新たな環境で新しい挑戦を」
小森コーポレーション陸上部は7月6日、湯原慶吾が退部したと発表した。 湯原は茨城県出身の26歳。中学試合は主要な全国大会への出場はなかったものの、水戸工高では3年時にインターハイで1500m9位、5000mで決勝へ進んで […]
2026.07.06
滋賀インターハイで入場料徴収を発表 暑熱対策などで増加する開催経費に対応
7月末から始まる滋賀インターハイの実行委員会は、インターハイ会場で来場者から入場料を徴収すると発表した。 高校日本一を決めるインターハイの開催には、総額5億円を超える開催事業費が見込まれており、陸上競技だけでも多額の経費 […]
2026.07.06
U20世界選手権の代表発表! 久保凛、後藤大樹、増子陽太、清水空跳らが世界の強豪に挑戦
日本陸連は7月6日、第21回U20世界選手権(米国・オレゴン)の日本代表43人を発表した。 女子800mには、昨年の世界選手権代表で日本記録保持者の久保凛(積水化学)が選出。久保は2年前の前回大会で5位入賞を果たしており […]
2026.07.06
【女子ハンマー投】島川夕莉彩(小田原北高3神奈川) 56m87=高校歴代4位
第81回神奈川選手権が行われ、7月5日の女子ハンマー投で島川夕莉彩(小田原北高3)が高校歴代4位となる56m87をマークした。 島川は昨年のU18大会9位の実績を持ち、昨年11月の競技会では54m75をマーク。今季はイン […]
2026.07.06
ジャマイカの名指導者・フランシス氏が死去 パウエル、フレイザー・プライスらメダリスト育成
ジャマイカの短距離コーチ、ステファン・フラシンス氏が亡くなった。64歳だった。 フランシス氏は兄弟のポール氏とともに、キングストンでMVP陸上クラブを1999年に設立。以後、長きにわたって世界的に活躍する選手を輩出した。 […]
Latest Issue
最新号
2026年7月号 (6月12日発売)
特集 村竹&橋岡&諸田
インターハイ特集!