◇日本選手権・長距離(12月4日/大阪・ヤンマースタジアム長居)
終始、独走。言葉で表現するのが難しいほど、異次元の走り。女子10000mで新谷仁美(積水化学)が30分20秒44をマークして7年ぶりに制し、東京五輪代表に内定した。
「駅伝の感じから30分30秒から35秒くらい出れば」とスタートした新谷。そこに佐藤早也伽(積水化学)、一山麻緒(ワコール)がつき、1000mは3分02秒で通過した。だが、3000mを9分05秒で通過してからは新谷が独走態勢に入る。その後は順調にラップを刻み、次々と他選手たちを周回遅れにしていく。
5000mの通過はなんと15分07秒と、直前に行われた5000mを制した田中希実(豊田自動織機TC)の優勝記録15分05秒65に近いタイムで通過する。その後も一人別次元の走りで独走。30分20秒44は18年ぶりの日本新、今季の世界ランキング2位、アジア歴代4位、世界歴代22位という驚異的な記録だった。
「競技に復帰した時に10000mの日本記録を更新しないと世界とは戦えないと思っていた。こうして切れて本当に良かった。安心しています」と新谷。これで世界と戦えるか、という問いかけに「レース展開やラストスパートなど(違いはあるが)タイムだけ見ると」と頷いた。これでようやく新谷が見据える「世界と戦う」ためのスタートラインに立てる。そんな充実感があった。
進化の要因に挙げるのは「強い味方」の存在。横田真人コーチやTWPLAPS TCの仲間たちなど、信頼できる人たちに囲まれて新谷はさらに成長を遂げた。これで2012年ロンドン五輪以来となるオリンピックへの権利を勝ち取った。そこで見せたいのは「結果以上のもの」だと新谷は言う。
「この状況では安全性が何より大事で、アスリートがオリンピックをやると信じたいと言っても、ワガママ」と何度も主張してきた言葉を並べる。それでも、「だからと言ってやりたくないわけじゃない」とも。「人の命が懸かっていることを考えた上で、国民の皆様と納得できる大会にするために行動していかなくてはいけない」と言葉を紡ぐ。「五輪だけに限らず、多くの人たちにアスリートを見ることができるという『うれしさ』『楽しさ』を共有できるようなものを示していきたい」。その言葉を体現してみせた、104回目の日本選手権、女子10000mだった。
■女子10000m
新谷 仁美(積水化学)30.20.44=日本新一山 麻緒(ワコール)31.11.56
佐藤早也伽(積水化学)31.30.19
鍋島 莉奈(日本郵政G)31.31.52
矢田みくに(デンソー)31.34.39
萩原 歩美(豊田自動織機)31.36.04
筒井 咲帆(ヤマダホールディングス)31.36.19
安藤 友香(ワコール)31.37.71
■10000mのラップタイム(手元計測)
1000m3.02
2000m6.08
3000m9.05
4000m12.05
5000m15.07
6000m18.10
7000m21.12
8000m24.16
9000m27.20
10000m30.20.44
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
-
2024.12.13
-
2024.12.13
-
2024.12.13
-
2024.12.13
-
2024.12.13
-
2024.12.07
-
2024.11.24
-
2024.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.13
箱根駅伝V奪還狙う駒大 藤田敦史監督「100回大会の悔しさ晴らしたい」選手層に課題も手応えあり
第101回箱根駅伝に出場する駒大がオンラインで記者会見を開き、藤田敦史監督、大八木弘明総監督、選手が登壇、報道陣の取材に応じた。 藤田監督は「前回は出雲駅伝、全日本大学駅伝を制した状態で迎え、青山学院に負けて準優勝でした […]
2024.12.13
國學院大エースの平林清澄「どの区間でもエースとしての走りをする」最後の箱根駅伝「監督を大号泣させたい」
第101回箱根駅伝に出場する國學院大が12月13日、東京の渋谷キャンパスで壮行会が開かれ、前田康弘監督と選手たちが登壇。壮行会後に主将の平林清澄(4年)が報道陣の合同取材に応じた。 2冠を獲得しているだけに、壮行会にはフ […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会