2020.09.24
9月26日、27日、長野市営陸上競技場で、第104回日本選手権・混成競技が開催される。男子は十種競技、女子七種競技で、2日間かけて走・跳・投の総合得点で順位を決す。この種目の勝者は「キング・オブ・アスリート」「クイーン・オブ・アスリート」として称えられる。十種、七種ともに2強に若手がどう絡むかという展開。残念ながら新型コロナウイルスの影響により無観客で実施されるが、ライブ配信で楽しむために、見どころを紹介する。

近年、王座を分け合っている右代と中村
●十種競技
16年以来の8000点超えを見られるか
日本記録:8308点 右代啓祐2014年
1日目
100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m
2日目
110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500m
十種競技は右代啓祐(国士舘クラブ)と中村明彦(スズキAC)2強状態がしばらく続いている。日本選手権では2010年以降、昨年まで右代が8回、中村が2回優勝。ここ3年間はともに8000点を超えられておらず、2016年以来の大台突破を見たいところ。
右代は7月と8月に1試合ずつ十種競技に出場。今季はまだ7432点にとどまっているが、その記録は1500mを途中棄権したもの。「投てきが安定してきた」と話すように、円盤投50m、砲丸投15m近くまで放っており、34歳になっても自身の持つ日本記録更新を目指して研鑽を積んでいる。
中村は8月に7450点。棒高跳では5m00の自己新を跳ぶなど、調子の上がっている種目もある。8月に軽い肉離れをしたと明かしているが問題なし。9月には第一子が誕生。右代同様、“パパ”としてキングの座に挑む。
東京選手権では奥田啓祐(第一学院高教)が7487点、右代の弟・啓欣(NAKAI AC)が7432点とともに自己新をマークと好調ぶりを見せており、8000点にどこまで近づけるか。また、日本インカレを7653点の大幅自己新で優勝した川上ヒデル(関学大)も要注目。そのスピードは今大会の目玉の一つになりそうだ。また、インカレ2位の田上駿(順大院)も7565点の自己新。上位陣に加わるだろう。
昨年、胸椎椎間板ヘルニアで戦線離脱した自己記録7752点を持つ丸山優真(日大)が、日本インカレで実戦復帰して7278点。1年3ヵ月ぶりの復帰戦で跳躍も途中で試技を終え、投てきも1、2本限定と制限をかけながらでこの記録はポテンシャルの高さを感じさせるに十分だった。背中の痛みはないが、ハムストリングスや足首を痛めており、そこがクリアされれば上位2人に食い込む可能性はある。
パワー型の右代が投てき、走りが得意な中村が走・跳と、上位2人は特徴がまったく違う。例年、展開は初日が得意な中村を、2日目に得意種目を残す右代が追う展開になる。丸山はパワーを備えながら、ハードル13秒台、棒高跳でも4m80を持ち、必要なのは経験だろう。
これまで右代・中村の2人が上位を独占してきたが、若手が突き上げて7000点後半に上がってくるようであれば、これまでにない熾烈な優勝争いとなるかもしれない。
●十種競技2020年最新ランキング
7653 川上ヒデル(関学大3) 9.12
7565 田上 駿(順大院1) 9.12
7487 奥田 啓祐(第一学院高教) 7.24
7450 中村 明彦(スズキAC) 8. 2
7432 右代 啓欣(中井エンジニアリング) 7.24
7278 丸山 優真(日大4)9.12
7244 森口 諒也(東海大4)9.12
7148 潮崎 傑(日大院2)9.12
●七種競技
史上初の6000点超えに挑む
日本記録:5962点 中田有紀2004年
1日目
100mハードル、走高跳、砲丸投、200m
2日目
走幅跳、やり投、800m

山﨑の3連覇か、ヘンプヒル奪還か
日本選手権で2連覇中の山﨑有紀(スズキAC)と、15年から3連覇しているヘンプヒル恵(アトレ)の一騎打ちになりそう。
自己ベスト5873点(日本歴代3位)の山﨑は7月に5534点をマーク。9月の北陸実業団には単独種目で出場し、100mハードルで14秒18(+1.8)、走幅跳で5m92(-1.0)とまずまずの内容だった。しっかり練習を詰めているそうで、特にやり投は好調。持ち前の力強さとスピードが発揮されれば連覇に大きく近づく。
強いヘンプヒルがようやく戻ってきた。日本歴代2位の5907点を17年にマーク、だが翌18年のケガの影響もあり、昨年の日本選手権は欠場。その後、一時は競技を離れることを考えるほど落ち込んだ。今年は七種初戦を5646点で迎えると、その時に砲丸投で初めて12m超えとなる自己新を3連発。9月には100mハードルで13秒37と4年ぶりの自己新と絶好調だ。
この2人に絡むとすれば大玉華鈴(日体大)。大学入学して着実に力をつけてきた選手で、1年目はアジアジュニア選手権金メダル、昨年は5528点で日本インカレ優勝、さらに今年も5541の自己新でインカレ連覇と成長著しい。やり投で51mのベストを持つなど元々、どちらかといえばパワー型だったが、走高跳で1m78、ハードルも13秒台と穴がなくなってきた。一気に2人に食らいついてもおかしくない。
宇都宮絵莉(長谷川体育施設)と伊藤明子(セレスポ)は個人種目の400mハードルで出場予定の日本選手権と日程が近いこともあり、今年は個人に絞り、エントリーしていない。
山﨑は200mなどスピードを生かしつつ投てきで得点稼ぎ、ヘンプヒルは100mハードルと走幅跳が鍵を握る。逆に言えば、苦手種目でいかに失敗せずにこなせるかも重要だ。
七種競技に関しては記録面でも注目。これまで“レジェンド”中田有紀(日本保育サービス)が作った5962点の日本記録は16年間動いていない。日本初の6000点超え、そして6000点決着へ。それが世界に前進するための第一歩となる。
●七種競技2020年最新ランキング
5646 ヘンプヒル恵(アトレ) 7.26
5541 大玉 華鈴(日体大3) 9.12
5534 山崎 有紀(スズキAC) 7.19
5184 シュレスタまや(筑波大4) 9.12
5088 藤本 瑠奈(金沢星稜大4) 8. 2
5074 三輪ダリヤ(中大4) 9.12
5056 山田紗和子(東大阪大4) 9.12
5034 松下 美咲(滝川二高3兵庫) 8.30
また、今大会はU20混成競技も同時開催。男子U20十種競技には昨年のインターハイ八種競技覇者・池田塁(国士大)、昨年6297点を出している東森夏輝(近大高専)らが出場する。女子U20七種競技では、同じ愛知県出身の大学1年目、田中友梨(至学館大)と伊藤桃子(東京学芸大)が激突。日本インカレでは5032点の同記録(5位)で、ライバル対決に注目だ。
■日本選手権・混成競技
9月26日、27日/長野市営陸上競技場
大会HP
ライブ配信1日目
ライブ配信2日目
エントリーリスト
主なエントリー選手
男子十種競技
右代啓祐、中村明彦、川崎和也、川上ヒデル、丸山優真、田上駿、奥田啓祐
女子七種競技
山﨑有紀、ヘンプヒル恵、大玉華鈴、高橋このか、池田涼香、橋本春菜、シュレスタまや
U20十種競技
池田塁、東森夏輝
U20七種競技
田中友梨、伊藤桃子
近年、王座を分け合っている右代と中村
●十種競技
16年以来の8000点超えを見られるか
日本記録:8308点 右代啓祐2014年 1日目 100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m 2日目 110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500m 十種競技は右代啓祐(国士舘クラブ)と中村明彦(スズキAC)2強状態がしばらく続いている。日本選手権では2010年以降、昨年まで右代が8回、中村が2回優勝。ここ3年間はともに8000点を超えられておらず、2016年以来の大台突破を見たいところ。 右代は7月と8月に1試合ずつ十種競技に出場。今季はまだ7432点にとどまっているが、その記録は1500mを途中棄権したもの。「投てきが安定してきた」と話すように、円盤投50m、砲丸投15m近くまで放っており、34歳になっても自身の持つ日本記録更新を目指して研鑽を積んでいる。 中村は8月に7450点。棒高跳では5m00の自己新を跳ぶなど、調子の上がっている種目もある。8月に軽い肉離れをしたと明かしているが問題なし。9月には第一子が誕生。右代同様、“パパ”としてキングの座に挑む。 東京選手権では奥田啓祐(第一学院高教)が7487点、右代の弟・啓欣(NAKAI AC)が7432点とともに自己新をマークと好調ぶりを見せており、8000点にどこまで近づけるか。また、日本インカレを7653点の大幅自己新で優勝した川上ヒデル(関学大)も要注目。そのスピードは今大会の目玉の一つになりそうだ。また、インカレ2位の田上駿(順大院)も7565点の自己新。上位陣に加わるだろう。 昨年、胸椎椎間板ヘルニアで戦線離脱した自己記録7752点を持つ丸山優真(日大)が、日本インカレで実戦復帰して7278点。1年3ヵ月ぶりの復帰戦で跳躍も途中で試技を終え、投てきも1、2本限定と制限をかけながらでこの記録はポテンシャルの高さを感じさせるに十分だった。背中の痛みはないが、ハムストリングスや足首を痛めており、そこがクリアされれば上位2人に食い込む可能性はある。 パワー型の右代が投てき、走りが得意な中村が走・跳と、上位2人は特徴がまったく違う。例年、展開は初日が得意な中村を、2日目に得意種目を残す右代が追う展開になる。丸山はパワーを備えながら、ハードル13秒台、棒高跳でも4m80を持ち、必要なのは経験だろう。 これまで右代・中村の2人が上位を独占してきたが、若手が突き上げて7000点後半に上がってくるようであれば、これまでにない熾烈な優勝争いとなるかもしれない。 ●十種競技2020年最新ランキング 7653 川上ヒデル(関学大3) 9.12 7565 田上 駿(順大院1) 9.12 7487 奥田 啓祐(第一学院高教) 7.24 7450 中村 明彦(スズキAC) 8. 2 7432 右代 啓欣(中井エンジニアリング) 7.24 7278 丸山 優真(日大4)9.12 7244 森口 諒也(東海大4)9.12 7148 潮崎 傑(日大院2)9.12 ●七種競技史上初の6000点超えに挑む
日本記録:5962点 中田有紀2004年 1日目 100mハードル、走高跳、砲丸投、200m 2日目 走幅跳、やり投、800m
山﨑の3連覇か、ヘンプヒル奪還か
日本選手権で2連覇中の山﨑有紀(スズキAC)と、15年から3連覇しているヘンプヒル恵(アトレ)の一騎打ちになりそう。
自己ベスト5873点(日本歴代3位)の山﨑は7月に5534点をマーク。9月の北陸実業団には単独種目で出場し、100mハードルで14秒18(+1.8)、走幅跳で5m92(-1.0)とまずまずの内容だった。しっかり練習を詰めているそうで、特にやり投は好調。持ち前の力強さとスピードが発揮されれば連覇に大きく近づく。
強いヘンプヒルがようやく戻ってきた。日本歴代2位の5907点を17年にマーク、だが翌18年のケガの影響もあり、昨年の日本選手権は欠場。その後、一時は競技を離れることを考えるほど落ち込んだ。今年は七種初戦を5646点で迎えると、その時に砲丸投で初めて12m超えとなる自己新を3連発。9月には100mハードルで13秒37と4年ぶりの自己新と絶好調だ。
この2人に絡むとすれば大玉華鈴(日体大)。大学入学して着実に力をつけてきた選手で、1年目はアジアジュニア選手権金メダル、昨年は5528点で日本インカレ優勝、さらに今年も5541の自己新でインカレ連覇と成長著しい。やり投で51mのベストを持つなど元々、どちらかといえばパワー型だったが、走高跳で1m78、ハードルも13秒台と穴がなくなってきた。一気に2人に食らいついてもおかしくない。
宇都宮絵莉(長谷川体育施設)と伊藤明子(セレスポ)は個人種目の400mハードルで出場予定の日本選手権と日程が近いこともあり、今年は個人に絞り、エントリーしていない。
山﨑は200mなどスピードを生かしつつ投てきで得点稼ぎ、ヘンプヒルは100mハードルと走幅跳が鍵を握る。逆に言えば、苦手種目でいかに失敗せずにこなせるかも重要だ。
七種競技に関しては記録面でも注目。これまで“レジェンド”中田有紀(日本保育サービス)が作った5962点の日本記録は16年間動いていない。日本初の6000点超え、そして6000点決着へ。それが世界に前進するための第一歩となる。
●七種競技2020年最新ランキング
5646 ヘンプヒル恵(アトレ) 7.26
5541 大玉 華鈴(日体大3) 9.12
5534 山崎 有紀(スズキAC) 7.19
5184 シュレスタまや(筑波大4) 9.12
5088 藤本 瑠奈(金沢星稜大4) 8. 2
5074 三輪ダリヤ(中大4) 9.12
5056 山田紗和子(東大阪大4) 9.12
5034 松下 美咲(滝川二高3兵庫) 8.30
また、今大会はU20混成競技も同時開催。男子U20十種競技には昨年のインターハイ八種競技覇者・池田塁(国士大)、昨年6297点を出している東森夏輝(近大高専)らが出場する。女子U20七種競技では、同じ愛知県出身の大学1年目、田中友梨(至学館大)と伊藤桃子(東京学芸大)が激突。日本インカレでは5032点の同記録(5位)で、ライバル対決に注目だ。
■日本選手権・混成競技
9月26日、27日/長野市営陸上競技場
大会HP
ライブ配信1日目
https://youtu.be/nqo9KeVBHj0
ライブ配信2日目
https://youtu.be/3EmdtyA_JLU
エントリーリスト
主なエントリー選手
男子十種競技
右代啓祐、中村明彦、川崎和也、川上ヒデル、丸山優真、田上駿、奥田啓祐
女子七種競技
山﨑有紀、ヘンプヒル恵、大玉華鈴、高橋このか、池田涼香、橋本春菜、シュレスタまや
U20十種競技
池田塁、東森夏輝
U20七種競技
田中友梨、伊藤桃子
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