2020.06.18
平成となって初の大会を制した大東大。写真はフィニッシュテープを切るアンカーの野房和彦
令和初の箱根駅伝から早5カ月半。自粛期間を経て、いよいよ秋以降の駅伝シーズンに向けて学生長距離界も再始動の兆しが見えてきている。長らく大会が開催されない期間が続いたため、選手たちの躍動する姿が待ち遠しい駅伝ファンも少なくないだろう。
そんな方々のために、平成以降の箱根駅伝を振り返る「PlayBack箱根駅伝」を年末にかけて連載していく。大会を歴史を知ることで、正月の箱根路がより楽しみになるかも!?
プレイバック箱根駅伝 – 写真で振り返るHakone History
“山の大東”健在! 大東大が14年ぶり3度目の栄冠に
1年生ながら5区区間賞でチームの往路・総合優勝に貢献した奈良修
1990年大会は当時4連覇中だった順大に、出雲王者の日大、全日本を制した大東大、中大、山梨学大を加えた“5強”の様相を呈していた。
順大は1区で14位と出遅れ、その間に先手を取ったのが日大と山梨学大だった。日大は1区で谷川義秀(2年)がトップ中継を果たすと、2区では山梨学大のジョセフ・オツオリ(2年)が前年に続く区間賞で首位へ浮上。山梨学大は3区でも先頭をキープしたが、以降は全日本王者・大東大の独壇場となった。4区で山梨学大を逆転すると、5区では1年生の奈良修が区間2位に1分20秒差をつける区間トップの快走で首位を疾走。14年ぶりの往路優勝に導いた。
大東大は復路でも首位を明け渡さなかった。6区・島嵜貴之(2年)の区間新で始まり、7区区間3位、8区区間2位、9区区間賞、10区区間6位と安定した継走で後続を突き放し、そのままフィニッシュテープを切った。総合タイムは2位の日大に5分半以上の差をつける11時間14分39秒。5区と6区で圧巻の走りを見せ、“山の大東”と呼ばれた1970年代の黄金期を彷彿とさせる圧勝劇だった。
3位の中大は7区と10区の区間賞で意地を見せて復路優勝を確保。往路で見せ場を作った山梨学大は4位、4区の山田和人(4年)が区間新を樹立した順大は5位で史上3校目の5連覇を逃した。
<人物Close-up>
仲村 明(順大4)
箱根駅伝では山上りの5区、山下りの6区が名物区間だが、その両方で活躍する選手はほとんどいない。ただ、この大会で順大の5区を務めた仲村明(4年)は違った。最初の2年間は6区を任され、1年時が区間2位、2年時は区間1位(区間新)と好走。3年時からは5区を担い、2年連続で区間2位となるなど安定度が光った。仲村はその後、本職の3000m障害で1991年、93年の世界選手権に出場。2002年度から15年度まで母校・順大の駅伝監督を務め、07年には総合優勝を果たすなど、選手・指導者の両方で箱根路を沸かせた人物だ。
<総合成績>
1位 大東文化大学 11.14.39(往路1位、復路2位)
2位 日本大学 11.20.57(往路3位、復路3位)
3位 中央大学 11.21.00(往路6位、復路1位)
4位 山梨学院大学 11.25.34(往路2位、復路5位)
5位 順天堂大学 11.30.14(往路4位、復路7位)
6位 日本体育大学 11.32.23(往路9位、復路4位)
7位 国士舘大学 11.36.26(往路8位、復路9位)
8位 東海大学 11.36.51(往路10位、復路8位)
9位 早稲田大学 11.38.17(往路5位、復路12位)
10位 法政大学 11.40.12(往路11位、復路10位)
11位 専修大学 11.41.50(往路13位、復路6位)
12位 東京農業大学 11.42.57(往路7位、復路14位)
13位 東洋大学 11.48.24(往路15位、復路11位)
14位 駒澤大学 11.49.14(往路12位、復路13位)
15位 亜細亜大学 11.54.47(往路14位、復路15位)
<区間賞>
1区(21.3km)谷川義秀(日大2) 1.04.38
2区(22.7km)J.オツオリ(山梨学大2) 1.08.18
3区(21.3km)大津 睦(大東大3) 1.04.00
4区(20.9km)山田和人(順大4) 1.02.45=区間新
5区(20.6km)奈良 修(大東大1) 1.12.47
6区(20.6km)島嵜貴之(大東大2) 59.21=区間新
7区(21.2km)福永英樹(中大3) 1.05.47
8区(21.3km)島村直宏(日大4) 1.07.29
9区(22.7km)広藤敏幸(大東大3) 1.12.29
10区(21.3km)岡川 功(中大4) 1.06.51
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1年生ながら5区区間賞でチームの往路・総合優勝に貢献した奈良修 1990年大会は当時4連覇中だった順大に、出雲王者の日大、全日本を制した大東大、中大、山梨学大を加えた“5強”の様相を呈していた。 順大は1区で14位と出遅れ、その間に先手を取ったのが日大と山梨学大だった。日大は1区で谷川義秀(2年)がトップ中継を果たすと、2区では山梨学大のジョセフ・オツオリ(2年)が前年に続く区間賞で首位へ浮上。山梨学大は3区でも先頭をキープしたが、以降は全日本王者・大東大の独壇場となった。4区で山梨学大を逆転すると、5区では1年生の奈良修が区間2位に1分20秒差をつける区間トップの快走で首位を疾走。14年ぶりの往路優勝に導いた。 大東大は復路でも首位を明け渡さなかった。6区・島嵜貴之(2年)の区間新で始まり、7区区間3位、8区区間2位、9区区間賞、10区区間6位と安定した継走で後続を突き放し、そのままフィニッシュテープを切った。総合タイムは2位の日大に5分半以上の差をつける11時間14分39秒。5区と6区で圧巻の走りを見せ、“山の大東”と呼ばれた1970年代の黄金期を彷彿とさせる圧勝劇だった。 3位の中大は7区と10区の区間賞で意地を見せて復路優勝を確保。往路で見せ場を作った山梨学大は4位、4区の山田和人(4年)が区間新を樹立した順大は5位で史上3校目の5連覇を逃した。 <人物Close-up> 仲村 明(順大4) 箱根駅伝では山上りの5区、山下りの6区が名物区間だが、その両方で活躍する選手はほとんどいない。ただ、この大会で順大の5区を務めた仲村明(4年)は違った。最初の2年間は6区を任され、1年時が区間2位、2年時は区間1位(区間新)と好走。3年時からは5区を担い、2年連続で区間2位となるなど安定度が光った。仲村はその後、本職の3000m障害で1991年、93年の世界選手権に出場。2002年度から15年度まで母校・順大の駅伝監督を務め、07年には総合優勝を果たすなど、選手・指導者の両方で箱根路を沸かせた人物だ。 <総合成績> 1位 大東文化大学 11.14.39(往路1位、復路2位) 2位 日本大学 11.20.57(往路3位、復路3位) 3位 中央大学 11.21.00(往路6位、復路1位) 4位 山梨学院大学 11.25.34(往路2位、復路5位) 5位 順天堂大学 11.30.14(往路4位、復路7位) 6位 日本体育大学 11.32.23(往路9位、復路4位) 7位 国士舘大学 11.36.26(往路8位、復路9位) 8位 東海大学 11.36.51(往路10位、復路8位) 9位 早稲田大学 11.38.17(往路5位、復路12位) 10位 法政大学 11.40.12(往路11位、復路10位) 11位 専修大学 11.41.50(往路13位、復路6位) 12位 東京農業大学 11.42.57(往路7位、復路14位) 13位 東洋大学 11.48.24(往路15位、復路11位) 14位 駒澤大学 11.49.14(往路12位、復路13位) 15位 亜細亜大学 11.54.47(往路14位、復路15位) <区間賞> 1区(21.3km)谷川義秀(日大2) 1.04.38 2区(22.7km)J.オツオリ(山梨学大2) 1.08.18 3区(21.3km)大津 睦(大東大3) 1.04.00 4区(20.9km)山田和人(順大4) 1.02.45=区間新 5区(20.6km)奈良 修(大東大1) 1.12.47 6区(20.6km)島嵜貴之(大東大2) 59.21=区間新 7区(21.2km)福永英樹(中大3) 1.05.47 8区(21.3km)島村直宏(日大4) 1.07.29 9区(22.7km)広藤敏幸(大東大3) 1.12.29 10区(21.3km)岡川 功(中大4) 1.06.51【関連記事】 【学生駅伝ストーリー】77歳の“新指揮官”青葉監督が目指す名門・日大「箱根シード権への道」 【学生駅伝ストーリー】東海大黄金世代、それぞれの4年間(1)館澤亨次 頼れる主将 【学生駅伝ストーリー】“高校最速”から学生長距離界のトップへ。お互いをライバルと認め合う早大・中谷雄飛と駒大・田澤廉 【学生駅伝ストーリー】「パリ五輪ではマラソンで勝負」東京国際大・伊藤達彦が4年間で急成長できた理由 【学生駅伝ストーリー】相澤晃を育てた「ガクセキ・メソッド」と東洋大での4年間
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