2020.08.06
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!!
ホカ オネオネ「RINCON(リンコン)2」
ボリュームのあるミッドソールで「極上のクッション性」をコンセプトにしたシューズを展開しているHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)。8月には高いクッション性を維持しながらもより軽量化を進めたスピード対応モデル「RINCON(リンコン)2」(税別14,000円)が発売。実際に履いた感想を交えてその特徴を紹介しよう。
クッション性と軽量性を兼ね備えたHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)のRINCON(リンコン)2。写真はメンズカラー
コアテクノロジーを搭載しつつ軽量化
クッション性はクリフトン7と同水準
ホカ オネオネの定番モデルと言えば「CLIFTON(クリフトン)」シリーズ。そのクリフトンの特徴である高いクッション性を受け継いだ軽量バージョンが「RINCON(リンコン)」シリーズになる。
8月初旬に発売された最新作であるリンコン2は、アッパーの素材を初代のシングルレイヤーメッシュからエンジニアードサンドイッチメッシュへと改良し、通気性がアップ。トレーニングだけでなくレースでの使用も想定し、「速さとクッショニングを求めるランナーに最適なモデル」という位置づけになっている。
ホカ オネオネのコアテクノロジーである軽量マキシマムクッション、メタロッカーテクノロジー、アクティブフットフレームはすべて採用。軽量かつ高いクッション性に加え、ソールは着地から蹴り出しまでをスムーズにするローリング構造とし、効率的な足運びを実現する。さらに、ミッドソールの両サイドを巻き上げることで足の横ブレを防止する構造となっている。
ボリューミーなミッドソールが特徴。両サイドが巻き上がることで走行時の安定感を確保している
重さは27.0cmで約218g。200g以下が一般的であるレーシングシューズほどではないが、それに近い水準だ。手に取ってみてもボリューミーな見た目よりはだいぶ軽い印象を受ける。アッパーだけでなくアウトソールのラバー部分の面積を減らすことで軽量化を図りつつ、クッション性自体は最新作である「CLIFTON 7」と同等の水準になっているという。高いクッション性によってホカ オネオネのブランドコンセプトである楽しいランニング体験を提供しつつ、速さを求めるシリアスランナーの要望にも応えようというシューズだ。
「マシュマロクッション」を実感
ミッドソールとの一体感が秀逸
足を入れてみると、EVAミッドソールのクッションがとても気持ち良く感じる。柔らかすぎて不安定ということもなく、バランスを損なわない適度な柔らかさだ。逆にアッパーはそれほど伸縮せず、やや硬めの足当たり。常に一定のフィット感がある。
サイズ感は普段25.0~25.5cmの靴を履く筆者はウィメンズの24.5cmが一番しっくりきた。あくまでも筆者の感覚なので個人差はあると思うが、シューズが全体的に大きめに作られているのかもしれない。
実際に走ってみると驚くことがあった。ミッドソールのクッション性が絶妙な柔らかさであるのと同時に、足とミッドソールに独特の一体感があるのだ。
「アッパーとの一体感」というのは多くのシューズがセールスポイントにしているが、このリンコン2の場合は足裏がインソール(中敷き)を通じてミッドソールとよく馴染む。厚底でクッション性が高いシューズなのに、まるでベアフットシューズ(裸足に近い感覚で走れるシューズ)のような足裏感覚を味わえるのだ。
通常、ランニングシューズの接地感はアウトソールの形状に左右されやすいが、リンコン2はアウトソールのラバー素材を最小限にしている。その分、地面からの情報が足まで伝わりやすいのかもしれない。接地箇所や重心の位置、蹴り出しの際に足へどのように体重が乗っていくかを感じやすく、足指で踏ん張る感覚も意識しやすい。
ホカ オネオネのシューズは「マシュマロのようなクッション」と表現されているが、この足裏感覚も含めると『マシュマロ感』というのは確かに言い得て妙だと納得する。
ドロップ(踵と前足部の高低差)は5mmと控えめなので接地感はフラットだが、蹴り出しの際には小気味よい反発が感じられる。「ムニッ」と柔らかく接地して「ポンッ」と反発が返ってくる一連の動作が楽しい。クッションによって脚が接地時の衝撃から守られている感が強く、長い距離も安心して走れそうだ。
スピード対応という点では、トラックで1000mを3分45秒くらいで走ってみた印象では「もう少し反発がほしい」とも感じた。一定以上のスピードを出そうとすると、地面からの反発に若干のタイムラグが生じてピッチを全開まで上げにくいのだ。
ただし、この反発のタイムラグはロードであれば許容できる範囲であり、シューズの特性を考慮すれば使い道は広がりそうだ。インターバルなどの全力に近いスピードを出し続ける練習には柔らかすぎるが、ジョグや距離走といった比較的ゆとりを持ったペースで長い距離を走るメニューであれば、この靴のクッション性の高さが生きるように感じる。
マラソンのレースで使うなら初心者から3時間台前半くらいまでのランナーにマッチするのではないか。1km4分を切るスピードになると反発がやや物足りない感覚があるので、そこまでいくと同じホカ オネオネでも「EVO CARBON ROCKET(エボ カーボン ロケット)」や「CARBON X(カーボン エックス)」の役目になるのだろう。
それと、反発のタイムラグは200mのダッシュではそこまで気にならず、「厚底なりには走れる」とも感じた。単にダッシュをするだけならソールの薄いシューズのほうが速くは走れるだろうが、この靴特有の『足裏感覚』や脚を守ることを重視するなら、長距離ランナー以外のアスリートがトレーニング用として使うことも選択肢に入るかもしれない。
軽量厚底シューズの〝本家〟らしく、単にソールが厚くてクッション性が高いだけではなく、一味違った感触も味わえるシューズだ。
文/山本慎一郎
<関連記事>
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! ホカオネオネ「ROCKET X(ロケット エックス)」
【PR】ホカ オネオネのエリート向けシューズ「ROCKET X」軽量&カーボンプレート搭載の新モデルが発売
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! ホカ オネオネ「CLIFTON(クリフトン)7」
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! ホカ オネオネ「CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)」
<関連リンク>
・RINCON 2(ホカオネオネ公式サイト)
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! ホカ オネオネ「RINCON(リンコン)2」
ボリュームのあるミッドソールで「極上のクッション性」をコンセプトにしたシューズを展開しているHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)。8月には高いクッション性を維持しながらもより軽量化を進めたスピード対応モデル「RINCON(リンコン)2」(税別14,000円)が発売。実際に履いた感想を交えてその特徴を紹介しよう。 クッション性と軽量性を兼ね備えたHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)のRINCON(リンコン)2。写真はメンズカラーコアテクノロジーを搭載しつつ軽量化 クッション性はクリフトン7と同水準
ホカ オネオネの定番モデルと言えば「CLIFTON(クリフトン)」シリーズ。そのクリフトンの特徴である高いクッション性を受け継いだ軽量バージョンが「RINCON(リンコン)」シリーズになる。 8月初旬に発売された最新作であるリンコン2は、アッパーの素材を初代のシングルレイヤーメッシュからエンジニアードサンドイッチメッシュへと改良し、通気性がアップ。トレーニングだけでなくレースでの使用も想定し、「速さとクッショニングを求めるランナーに最適なモデル」という位置づけになっている。 ホカ オネオネのコアテクノロジーである軽量マキシマムクッション、メタロッカーテクノロジー、アクティブフットフレームはすべて採用。軽量かつ高いクッション性に加え、ソールは着地から蹴り出しまでをスムーズにするローリング構造とし、効率的な足運びを実現する。さらに、ミッドソールの両サイドを巻き上げることで足の横ブレを防止する構造となっている。 ボリューミーなミッドソールが特徴。両サイドが巻き上がることで走行時の安定感を確保している 重さは27.0cmで約218g。200g以下が一般的であるレーシングシューズほどではないが、それに近い水準だ。手に取ってみてもボリューミーな見た目よりはだいぶ軽い印象を受ける。アッパーだけでなくアウトソールのラバー部分の面積を減らすことで軽量化を図りつつ、クッション性自体は最新作である「CLIFTON 7」と同等の水準になっているという。高いクッション性によってホカ オネオネのブランドコンセプトである楽しいランニング体験を提供しつつ、速さを求めるシリアスランナーの要望にも応えようというシューズだ。「マシュマロクッション」を実感 ミッドソールとの一体感が秀逸
足を入れてみると、EVAミッドソールのクッションがとても気持ち良く感じる。柔らかすぎて不安定ということもなく、バランスを損なわない適度な柔らかさだ。逆にアッパーはそれほど伸縮せず、やや硬めの足当たり。常に一定のフィット感がある。 サイズ感は普段25.0~25.5cmの靴を履く筆者はウィメンズの24.5cmが一番しっくりきた。あくまでも筆者の感覚なので個人差はあると思うが、シューズが全体的に大きめに作られているのかもしれない。 実際に走ってみると驚くことがあった。ミッドソールのクッション性が絶妙な柔らかさであるのと同時に、足とミッドソールに独特の一体感があるのだ。 「アッパーとの一体感」というのは多くのシューズがセールスポイントにしているが、このリンコン2の場合は足裏がインソール(中敷き)を通じてミッドソールとよく馴染む。厚底でクッション性が高いシューズなのに、まるでベアフットシューズ(裸足に近い感覚で走れるシューズ)のような足裏感覚を味わえるのだ。 通常、ランニングシューズの接地感はアウトソールの形状に左右されやすいが、リンコン2はアウトソールのラバー素材を最小限にしている。その分、地面からの情報が足まで伝わりやすいのかもしれない。接地箇所や重心の位置、蹴り出しの際に足へどのように体重が乗っていくかを感じやすく、足指で踏ん張る感覚も意識しやすい。 ホカ オネオネのシューズは「マシュマロのようなクッション」と表現されているが、この足裏感覚も含めると『マシュマロ感』というのは確かに言い得て妙だと納得する。 ドロップ(踵と前足部の高低差)は5mmと控えめなので接地感はフラットだが、蹴り出しの際には小気味よい反発が感じられる。「ムニッ」と柔らかく接地して「ポンッ」と反発が返ってくる一連の動作が楽しい。クッションによって脚が接地時の衝撃から守られている感が強く、長い距離も安心して走れそうだ。 スピード対応という点では、トラックで1000mを3分45秒くらいで走ってみた印象では「もう少し反発がほしい」とも感じた。一定以上のスピードを出そうとすると、地面からの反発に若干のタイムラグが生じてピッチを全開まで上げにくいのだ。 ただし、この反発のタイムラグはロードであれば許容できる範囲であり、シューズの特性を考慮すれば使い道は広がりそうだ。インターバルなどの全力に近いスピードを出し続ける練習には柔らかすぎるが、ジョグや距離走といった比較的ゆとりを持ったペースで長い距離を走るメニューであれば、この靴のクッション性の高さが生きるように感じる。 マラソンのレースで使うなら初心者から3時間台前半くらいまでのランナーにマッチするのではないか。1km4分を切るスピードになると反発がやや物足りない感覚があるので、そこまでいくと同じホカ オネオネでも「EVO CARBON ROCKET(エボ カーボン ロケット)」や「CARBON X(カーボン エックス)」の役目になるのだろう。 それと、反発のタイムラグは200mのダッシュではそこまで気にならず、「厚底なりには走れる」とも感じた。単にダッシュをするだけならソールの薄いシューズのほうが速くは走れるだろうが、この靴特有の『足裏感覚』や脚を守ることを重視するなら、長距離ランナー以外のアスリートがトレーニング用として使うことも選択肢に入るかもしれない。 軽量厚底シューズの〝本家〟らしく、単にソールが厚くてクッション性が高いだけではなく、一味違った感触も味わえるシューズだ。 文/山本慎一郎 <関連記事> 【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! ホカオネオネ「ROCKET X(ロケット エックス)」 【PR】ホカ オネオネのエリート向けシューズ「ROCKET X」軽量&カーボンプレート搭載の新モデルが発売 【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! ホカ オネオネ「CLIFTON(クリフトン)7」 【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! ホカ オネオネ「CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)」 <関連リンク> ・RINCON 2(ホカオネオネ公式サイト)
|
|
RECOMMENDED おすすめの記事
Ranking 人気記事ランキング
-
2024.12.12
-
2024.12.12
-
2024.12.11
2024.12.07
不破聖衣来が10000mに出場し12位でフィニッシュ 完全復活へ実戦積む/エディオンDC
-
2024.11.24
-
2024.11.20
2022.04.14
【フォト】U18・16陸上大会
2021.11.06
【フォト】全国高校総体(福井インターハイ)
-
2022.05.18
-
2022.12.20
-
2023.04.01
-
2023.06.17
-
2022.12.27
-
2021.12.28
Latest articles 最新の記事
2024.12.12
日本GPシリーズチャンピオンは福部真子と筒江海斗!種目別800mは落合晃&久保凛の高校日本記録保持者コンビがV、女子1500m田中希実が4連覇
日本グランプリ(GP)シリーズ2024のシリーズチャンピオンが発表され、男子は400mハードルの筒江海斗(ST-WAKO)、女子は100mハードルの福部真子(日本建設工業)と、ともにパリ五輪のハードル種目代表が初の栄冠に […]
2024.12.12
世界陸連が6つの世界記録を承認 川野将虎が男子35km初代世界記録保持者に
12月11日、世界陸連は5月から10月にかけて誕生した世界記録を正式に承認したことを発表した。 10月27日の日本選手権35km競歩(山形・高畠)で、川野将虎(旭化成)が樹立した2時間21分47秒も世界記録として認定。同 […]
2024.12.12
月刊陸上競技2025年1月号
Contents W別冊付録 箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望 大会報道 福岡国際マラソン 吉田祐也 日本歴代3位の激走 涙の復活劇 全日本実業団対抗女子駅伝 JP日本郵政グループ 4年ぶりV 地域実業団駅伝 中学 […]
Latest Issue 最新号
2024年12月号 (11月14日発売)
全日本大学駅伝
第101回箱根駅伝予選会
高校駅伝都道府県大会ハイライト
全日本35㎞競歩高畠大会
佐賀国民スポーツ大会