2020.07.18
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!!
ホカ オネオネ「CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)」
分厚いミッドソールを持つランニングシューズを早くから開発し、ランニング界で独自の存在感を放っているプレミアムランニングシューズブランド「HOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)」。そのホカ オネオネが「革新的モデル」としてこの7月に発売したのが「CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)」(税込み22,000円)だ。ホカ オネオネの代表的なシリーズ「クリフトン」の中でも注目を集めているこのモデル。いったいどんなシューズなのだろうか。

踵からせり出したソールが特徴的なHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)の「CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)」
踵からせり出したミッドソール
見た目のインパクトは絶大
ランニングシューズブランドで厚底シューズと言えば『元祖』はHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)。陸上界ではまだ馴染みが薄いかもしれないが、もともとはトレイルランニングシューズを手掛けるブランドとして2009年に誕生。それ以来、ロード用も含めて数々の厚底シューズを世に送り出している。
ホカ オネオネのランニングシューズの中で最もスタンダードなのが「CLIFTON(クリフトン)」シリーズ。ミッドソールが厚くてクッション性が高く、なおかつ軽い。ジョギング用シューズの代表格とも言えるシリーズだ。
その進化型として今年7月に発売されたのが「CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)」。踵から後ろに大きくせり出したミッドソールが最大の特徴で、見た目のインパクトも絶大。踵の面積を広げることで着地の衝撃を和らげ、踵からつま先までの体重移動もスムースにできるという。
ミッドソールの素材も通常クリフトンはEVAと呼ばれるオーソドックスな衝撃吸収素材を使用しているが、クリフトン エッジでは超軽量で復元力の高い新しい素材を採用。クッション性と軽さ、反発性の両立を目指している。実際に重さも27.0cmで252gと、ジョギング用モデルとしては平均的か、それよりもやや軽いくらいのポジションだろう。

接地面積を広げることで接地時の衝撃を和らげているという
安定感は圧倒的
スピードへの対応は未知数
クリフトン エッジのレビューで読者が一番気になるのは履き心地だろう。ただ、その前にサイズ感が独特である点に注意が必要だ。一言で言えば甲が低く、長さが余りやすい。
筆者は通常ランニングシューズは25.0~25.5cmを履いているが、クリフトン エッジの場合は25.0cmでも長さにゆとりがあり、指まわりも緩い。ただし、0.5cm下げて24.5cmにするとメンズ展開がなくてウィメンズになってしまうため、長さは合うが、甲の高さが足りなかった。どのサイズがベストなのか、購入前には足を通して確認したほうが良いだろう。
そして、肝心の履き心地のほうは、足を入れた瞬間から「平べったさ」を感じた。接地面積が広く、わかりやすくたとえるならマンガなどで忍者が水の上を歩くのに使う『水蜘蛛(みずぐも)』のような感覚だ。
ただし、実際に走ってみると意外とそこまでの違和感はない。接地面積が広い感覚は常にあるが、その分安定感があり、脚がまっすぐ前に出る。クッション性も極端な柔らかさではなく、「ムニッ」とした適度な沈み込みだ。靴自体の重さも気にならず、路面へのグリップも強い。

ソールはグレーの部分は柔らかいが、ピンクとオレンジのパーツはやや硬め。配置によって全体のバランスを取っている
つま先と踵が反り上がることで脚が回しやすくなる「メタロッカー構造」というホカ オネオネの代表的なテクノロジーは、このクリフトン エッジでは抑えられている印象。接地感はあくまでもフラットで、走っていて安心感がある。
一方で、スピードへの対応という点では個人的にはうまく使いこなせなかった。試しにトラックを走ってみたところ、フラットで面積の広いソールがスピードを上げようとした時にはキック動作を制御してしまい、強く蹴り出せない。全力に近いスピードになると地面からもらう反発も遅れがちになる感じがした。裏を返せば、それだけ安定性に一点集中したシューズだと言えるのではないだろうか。
前述した感想を加味すると、レースで使いやすいのはランニング初心者からマラソン4時間前後のランナーということになりそうだ。ただ、この絶対的な安定性は唯一無二と言っていいもので、初心者ランナーが正しい走り方を覚え、故障をせずにランニングを継続するためには有効かもしれない。体幹を使えていないフォームで走ろうとすると、靴のほうが正しい走り方に誘導してくれるのだ。故障がちのアスリートが自身のクセを修正する目的で活用できるようにも感じる。
クリフトン エッジは「速く走る」のではなく、正しいフォームを身につけ、長く安全に走り続けるために良いシューズと言えそうだ。
◎文/山本慎一郎
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<関連リンク>
CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)(HOKA ONE ONE公式サイト)
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踵からせり出したソールが特徴的なHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)の「CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)」
踵からせり出したミッドソール 見た目のインパクトは絶大
ランニングシューズブランドで厚底シューズと言えば『元祖』はHOKA ONE ONE(ホカ オネオネ)。陸上界ではまだ馴染みが薄いかもしれないが、もともとはトレイルランニングシューズを手掛けるブランドとして2009年に誕生。それ以来、ロード用も含めて数々の厚底シューズを世に送り出している。 ホカ オネオネのランニングシューズの中で最もスタンダードなのが「CLIFTON(クリフトン)」シリーズ。ミッドソールが厚くてクッション性が高く、なおかつ軽い。ジョギング用シューズの代表格とも言えるシリーズだ。 その進化型として今年7月に発売されたのが「CLIFTON EDGE(クリフトン エッジ)」。踵から後ろに大きくせり出したミッドソールが最大の特徴で、見た目のインパクトも絶大。踵の面積を広げることで着地の衝撃を和らげ、踵からつま先までの体重移動もスムースにできるという。 ミッドソールの素材も通常クリフトンはEVAと呼ばれるオーソドックスな衝撃吸収素材を使用しているが、クリフトン エッジでは超軽量で復元力の高い新しい素材を採用。クッション性と軽さ、反発性の両立を目指している。実際に重さも27.0cmで252gと、ジョギング用モデルとしては平均的か、それよりもやや軽いくらいのポジションだろう。
接地面積を広げることで接地時の衝撃を和らげているという
安定感は圧倒的 スピードへの対応は未知数
クリフトン エッジのレビューで読者が一番気になるのは履き心地だろう。ただ、その前にサイズ感が独特である点に注意が必要だ。一言で言えば甲が低く、長さが余りやすい。 筆者は通常ランニングシューズは25.0~25.5cmを履いているが、クリフトン エッジの場合は25.0cmでも長さにゆとりがあり、指まわりも緩い。ただし、0.5cm下げて24.5cmにするとメンズ展開がなくてウィメンズになってしまうため、長さは合うが、甲の高さが足りなかった。どのサイズがベストなのか、購入前には足を通して確認したほうが良いだろう。 そして、肝心の履き心地のほうは、足を入れた瞬間から「平べったさ」を感じた。接地面積が広く、わかりやすくたとえるならマンガなどで忍者が水の上を歩くのに使う『水蜘蛛(みずぐも)』のような感覚だ。 ただし、実際に走ってみると意外とそこまでの違和感はない。接地面積が広い感覚は常にあるが、その分安定感があり、脚がまっすぐ前に出る。クッション性も極端な柔らかさではなく、「ムニッ」とした適度な沈み込みだ。靴自体の重さも気にならず、路面へのグリップも強い。
ソールはグレーの部分は柔らかいが、ピンクとオレンジのパーツはやや硬め。配置によって全体のバランスを取っている
つま先と踵が反り上がることで脚が回しやすくなる「メタロッカー構造」というホカ オネオネの代表的なテクノロジーは、このクリフトン エッジでは抑えられている印象。接地感はあくまでもフラットで、走っていて安心感がある。
一方で、スピードへの対応という点では個人的にはうまく使いこなせなかった。試しにトラックを走ってみたところ、フラットで面積の広いソールがスピードを上げようとした時にはキック動作を制御してしまい、強く蹴り出せない。全力に近いスピードになると地面からもらう反発も遅れがちになる感じがした。裏を返せば、それだけ安定性に一点集中したシューズだと言えるのではないだろうか。
前述した感想を加味すると、レースで使いやすいのはランニング初心者からマラソン4時間前後のランナーということになりそうだ。ただ、この絶対的な安定性は唯一無二と言っていいもので、初心者ランナーが正しい走り方を覚え、故障をせずにランニングを継続するためには有効かもしれない。体幹を使えていないフォームで走ろうとすると、靴のほうが正しい走り方に誘導してくれるのだ。故障がちのアスリートが自身のクセを修正する目的で活用できるようにも感じる。
クリフトン エッジは「速く走る」のではなく、正しいフォームを身につけ、長く安全に走り続けるために良いシューズと言えそうだ。
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