HOME 国内、日本代表、五輪
熊本の生んだ“韋駄天”赤﨑暁 自然体で挑んでつかんだ6位「自分のやりたいように」/パリ五輪
熊本の生んだ“韋駄天”赤﨑暁 自然体で挑んでつかんだ6位「自分のやりたいように」/パリ五輪

24年パリ五輪男子マラソン6位の赤﨑暁

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)10日目

パリ五輪・陸上競技10日目のモーニングセッションに行われた男子マラソンで、赤﨑暁(九電工)が2時間7分32秒の自己ベストで日本人トップの6位入賞を果たした。これまでの自己記録は2時間9分01秒。さらに、大迫傑(Nike)が東京で出した日本人最高記録の2時間10分41秒を上回り、日本人五輪初の“サブテン”となった。

広告の下にコンテンツが続きます

「五輪史上最も過酷」と言われたコースだったが、終わってみれば優勝したタミラト・トーラ(エチオピア)は2時間6分26秒のオリンピックレコード。8時スタート、肌寒さも感じる条件も相まって、16位までがサブテンだった。

この3ヵ月は「本当に辞めたいほど坂練習を“やらされて”きたので(笑)。そのお陰で入賞できて、綾部さん(健二/総監督)にのお陰です」と赤﨑は笑う。

5月の日本選手権10000mで27分43秒84の自己新をマークするなど、トラックでスピードを強化。そこからは「今までで一番しんどかった」と言う“地獄のトレーニング”がスタート。国内でじっくり調整し、御嶽や大分の合宿では、「今回のコースよりきつい坂を走ってきた」。約10km近くも上り続けたり、坂道で800mを10本などとにかく走り抜いた。距離走だけではなく、スピード練習も坂を使ったという。

最初の難関だった15kmからの長い上り坂で一気に集団はばらけたが、「自分のリズムで行きました」と淡々とレースを進める。

広告の下にコンテンツが続きます

20km以降では先頭集団を引っ張る場面もあった。昨年のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)2位になった際には「自分でレースを作る力をつけたい」と話していたが、「自分でも走りながら、そういえば言っていたな」と思ったそうで、「知らないうちに成長しているのかなと感じることができました」。

赤﨑の強さは“自然体”にある。今回も「オリンピックというよりは、マラソンを走りにパリに来た」と気負うことはなく、「友達にもいつも通り行ってこいと言われて、いつも通り走ることができました」と笑う。「注目されていなかったし、気楽にやるのが一番。自分のやりたいように、僕のやり方で楽しくやりたいようにやっていきたい」。こうした姿勢だからこそ、終わって第一声は「人生で一番楽しいレースでした」だった。

高校時代は全国的に“無名”だった。中学時代はバレーボール部で、開新高(熊本)で本格的に陸上を始めた。高2まではケガで苦しみ、大好物のパンを扱う会社への就職を希望していたという。その能力を同郷の名伯楽・岡田正裕監督(当時)に見出されてて拓大へ。ここでもケガが重なりながら主力として力をつけた。

「大学でも(競技を)終わろうと思っていました。いろんな人に正しい道に導いてもらいました」

まだマラソンは5レース目。うち1レースはMGC前の練習の一貫だ。つまり、MGC取得への2本、MGC、そしてパリ五輪とすべて“外さない”で力を発揮してきた勝負強さがある。

「日本記録を出すまではまだまだ。ライバルの(山下)一貴(三菱重工)もいますし、大塚(祥平、九電工)さんもいます。大迫(傑/Nike)さんも。日本記録保持者の鈴木健吾さん(富士通)も。日本記録を出してから、僕は強いぞって言おうかなと思います」

赤﨑の前に熊本出身のマラソンランナーが五輪を走ったのは、ちょうど100年前のパリ大会、あの金栗四三だった。“韋駄天”のように速く、強く。熊本が生んだ新星のマラソン人生はまだまだ始まったばかりだ。

◇パリ五輪・陸上競技(8月1日~11日/フランス・パリ)10日目 パリ五輪・陸上競技10日目のモーニングセッションに行われた男子マラソンで、赤﨑暁(九電工)が2時間7分32秒の自己ベストで日本人トップの6位入賞を果たした。これまでの自己記録は2時間9分01秒。さらに、大迫傑(Nike)が東京で出した日本人最高記録の2時間10分41秒を上回り、日本人五輪初の“サブテン”となった。 「五輪史上最も過酷」と言われたコースだったが、終わってみれば優勝したタミラト・トーラ(エチオピア)は2時間6分26秒のオリンピックレコード。8時スタート、肌寒さも感じる条件も相まって、16位までがサブテンだった。 この3ヵ月は「本当に辞めたいほど坂練習を“やらされて”きたので(笑)。そのお陰で入賞できて、綾部さん(健二/総監督)にのお陰です」と赤﨑は笑う。 5月の日本選手権10000mで27分43秒84の自己新をマークするなど、トラックでスピードを強化。そこからは「今までで一番しんどかった」と言う“地獄のトレーニング”がスタート。国内でじっくり調整し、御嶽や大分の合宿では、「今回のコースよりきつい坂を走ってきた」。約10km近くも上り続けたり、坂道で800mを10本などとにかく走り抜いた。距離走だけではなく、スピード練習も坂を使ったという。 最初の難関だった15kmからの長い上り坂で一気に集団はばらけたが、「自分のリズムで行きました」と淡々とレースを進める。 20km以降では先頭集団を引っ張る場面もあった。昨年のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)2位になった際には「自分でレースを作る力をつけたい」と話していたが、「自分でも走りながら、そういえば言っていたな」と思ったそうで、「知らないうちに成長しているのかなと感じることができました」。 赤﨑の強さは“自然体”にある。今回も「オリンピックというよりは、マラソンを走りにパリに来た」と気負うことはなく、「友達にもいつも通り行ってこいと言われて、いつも通り走ることができました」と笑う。「注目されていなかったし、気楽にやるのが一番。自分のやりたいように、僕のやり方で楽しくやりたいようにやっていきたい」。こうした姿勢だからこそ、終わって第一声は「人生で一番楽しいレースでした」だった。 高校時代は全国的に“無名”だった。中学時代はバレーボール部で、開新高(熊本)で本格的に陸上を始めた。高2まではケガで苦しみ、大好物のパンを扱う会社への就職を希望していたという。その能力を同郷の名伯楽・岡田正裕監督(当時)に見出されてて拓大へ。ここでもケガが重なりながら主力として力をつけた。 「大学でも(競技を)終わろうと思っていました。いろんな人に正しい道に導いてもらいました」 まだマラソンは5レース目。うち1レースはMGC前の練習の一貫だ。つまり、MGC取得への2本、MGC、そしてパリ五輪とすべて“外さない”で力を発揮してきた勝負強さがある。 「日本記録を出すまではまだまだ。ライバルの(山下)一貴(三菱重工)もいますし、大塚(祥平、九電工)さんもいます。大迫(傑/Nike)さんも。日本記録保持者の鈴木健吾さん(富士通)も。日本記録を出してから、僕は強いぞって言おうかなと思います」 赤﨑の前に熊本出身のマラソンランナーが五輪を走ったのは、ちょうど100年前のパリ大会、あの金栗四三だった。“韋駄天”のように速く、強く。熊本が生んだ新星のマラソン人生はまだまだ始まったばかりだ。

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2026.01.02

3年連続往路Vの青学大・原晋監督「劇的な勝利を収められた」 黒田朝日「気を引き締めて」 往路会見コメント/箱根駅伝

◇第102回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km) 第102回箱根駅伝の往路が行われ、青学大が5時間18分08秒での往路新で3年連続8回目の往路優勝を飾った。往路優勝会見から原晋監督や選手た […]

NEWS 駒大はアクシデントもあり7位で復路へ 「なんとか取りに行きたい」 4年生3人残す/箱根駅伝

2026.01.02

駒大はアクシデントもあり7位で復路へ 「なんとか取りに行きたい」 4年生3人残す/箱根駅伝

◇第102回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km) 第102回箱根駅伝の往路が行われ、青学大が5時間18分08秒での往路新で3年連続8回目の往路優勝を飾った。 広告の下にコンテンツが続きます […]

NEWS 編集部コラム「データで見る箱根駅伝復路の逆転劇」

2026.01.02

編集部コラム「データで見る箱根駅伝復路の逆転劇」

毎週金曜日更新!? ★月陸編集部★ 攻め(?)のアンダーハンド リレーコラム🔥 毎週金曜日(できる限り!)、月刊陸上競技の編集部員がコラムをアップ! 陸上界への熱い想い、日頃抱いている独り言、取材の裏話、どーでもいいこと […]

NEWS 3年ぶりシード獲得へ順大は6位で折り返し 「油断せずに5位以内を目指して」/箱根駅伝

2026.01.02

3年ぶりシード獲得へ順大は6位で折り返し 「油断せずに5位以内を目指して」/箱根駅伝

◇第102回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km) 第102回箱根駅伝が行われ、青学大が5時間18分09秒の往路新で3年連続となる往路優勝を飾った。3年ぶりとなるシード権を狙う順大は5時間2 […]

NEWS 城西大は往路5位 2区キムタイが区間新 総合3位以上へ「束になって勝負したい」/箱根駅伝

2026.01.02

城西大は往路5位 2区キムタイが区間新 総合3位以上へ「束になって勝負したい」/箱根駅伝

◇第102回箱根駅伝・往路(東京・大手町~神奈川・箱根町/5区間107.5km) 第102回箱根駅伝の往路が行われ、青学大が5時間18分08秒での往路新で3年連続8回目の往路優勝を飾った。 広告の下にコンテンツが続きます […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2026年1月号 (12月12日発売)

2026年1月号 (12月12日発売)

箱根駅伝観戦ガイド&全国高校駅伝総展望
大迫傑がマラソン日本新
箱根駅伝「5強」主将インタビュー
クイーンズ駅伝/福岡国際マラソン
〔新旧男子100m高校記録保持者〕桐生祥秀×清水空跳

page top