2020.05.13
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!!
BROOKS「Ghost(ゴースト)12」
セーフティモデルながら高い反発性を実現
2018年にランニングシューズのシェアが『全米ナンバーワン』に輝いたBROOKS(ブルックス)。そのブルックスが昨年12月から豊富なカラーバリエーションで展開しているのが「Ghost(ゴースト)12」だ。競争が激しいランニングシューズ業界で、ブルックスのシューズはどのような特徴を打ち出しているのか。
BROOKSが2019年冬に発売した「Ghost 12」。見た目よりも軽くて反発も強く、幅広い用途に対応できる。カラーバリエーションも多数ある
2020年の注目ブランド
創業は1914年。そこから100年以上が経った2020年は、日本のランニング界でもBROOKS(ブルックス)が注目を集める年になるかもしれない。
ブルックスは2018年に米国のランニングシューズ専門店のシューズ部門(100ドル以上の商品が対象)でトップシェアを獲得。日本ではまだそこまでの知名度はないものの、米国では驚くほど多くのランナーがブルックスのシューズを着用しているという。
ブルックスはこれまでも日本で流通していたが、決して目立つ存在ではなかった。しかし、昨年アキレス社が伊藤忠商事と契約して日本国内でのブルックスのシューズ総販売代理店となると、今年4月には日本初の男子中距離プロチーム「阿見AC SHARKS」とスポンサー契約を締結。日本国内でのブランディングを加速させている。
そのブルックスが2020年の『旗艦モデル』の1つとして展開しているのが「Ghost(ゴースト)12」だ。
BROOKSのブランドアイデンティティは「Run Happy」。シューズボックスにもランニングの楽しさが表現されている
見た目よりも軽いソール
ゴースト12はランニングシューズのカテゴリーとしては「セーフティタイプ」になる(ブルックス内では「CUSHION」と表現)。ビギナーなら普段の練習からレースまで、上級者であれば軽いジョギングやロングランでの使用が想定されている。
実際に足を通してみても、厚底のソールと肉厚のアッパー素材で、安定感や耐久性の高さを実感できる。重さは25.5cmで実測269gと、セーフティタイプとしては標準的なレベルだ。
しかし、走ってみると印象が変わる。アッパーの安定感とは対照的に、ソールが高反発で見た目よりもずっと軽く感じる。地面からは心地良い反発がもらえ、足取りは軽快だ。
ゴースト12のクッショニングシステムには「DNA LOFT」が採用されている。衝撃吸収素材であるEVAにラバーとエアー(空気)を配合することで、従来の素材である「ブルックスDNA」よりも30%柔らかく仕上げてあるという。
とはいえ、DNA LOFTはそこまで極端な柔らかさではなく、どちらかと言えば安定性重視。シューズにおける柔らかさと安定性は相反する関係にあり、DNA LOFTは「安定性を確保できる範囲内」で柔らかさを追求したという印象だ。
ソールにクセがなく、厚底シューズにありがちな反発のタイムラグがないことから、短距離のダッシュやドリル、動き作りなども違和感なくこなせるだろう。フォアフット(前足部着地)やヒールストライク(踵着地)といった接地のタイプによる合う、合わないもなく、多くの人に受け入れられそうだ。耐久性も高く、アスリートの日々のトレーニングにはもちろん、これからランニングを始めようという人にも最適だろう。
スピードにも対応可能なセーフティタイプ
セーフティタイプらしからぬ軽快さがゴースト12の特徴だが、これはソール素材の性能だけが理由ではないだろう。なんと言っても蹴り出しが鋭く、このカテゴリーのシューズにありがちな「いつまでも地面に足が着いている感覚」がない。これは母趾球からつま先にかけて薄くなっていくソールの構造によるものと考えられる。
厚いソールがつま先にかけて反り上がっており、蹴り出しの感覚は非常に軽快
ゴースト12で走る場合、接地した足は反発をもらったらすぐに前方へと導かれ、スムーズに次の一歩が踏み出せる。ゆっくりジョギングをしようと思っても、その軽快さに魅了されてついペースを上げたくなってしまうほどだ。
それなら、この靴はどこまでスピードに対応できるのか。上り基調の1kmコース(ロード)をダッシュしてポテンシャルを確認することにした。
1km4分を切るスピードで走ってみると、さすがに少し靴の重さを感じる。しかし、ここでDNA LOFTが存在感を発揮。接地時の衝撃を和らげるだけでなく、反発力に変換してくれるため、その反発によって靴の重さがかなり打ち消される印象だ。脚よりも臀部の筋肉を使うように誘導してくれるのもポイントで、シューズの反発に走りのリズムを合わるだけで予想以上に押していける。
結局、4分をちょっと切る程度で走るつもりが、3分41秒。セーフティタイプとは思えないような対応力の幅を感じた。ジョギング用シューズながら、ダッシュも、スピード練習もそれなりにこなせる。走る距離や走力にもよるが、1km3分30秒程度のペースまでは対応できそうだ。
ゴースト12を愛用するトップランナーの1人である楠康成選手(阿見アスリートクラブ)は「ゴーストでも1000mは2分45秒くらいで走れる」と話すが、こうして実際に使ってみると、それもわからなくはない。絶対的な安定性はもちろんのこと、そこに反発力と軽快さが加わり、見た目以上のポテンシャルを感じられる。使えば使うほど良さが理解できるシューズだ。
なお、現在発売されている「Hyperion Elite(ハイペリオンエリート)」は、ゴースト12に使われているDNA LOFTよりも軽量な「DNA ZERO」に高反発のカーボンプレートを組み合わせたレース用モデル。アスリートが全力で走る場合はこちらをチョイスするべきだろうが、ランニング初心者であればこのゴースト12を選んでおけばジョギングからスピード練習、レースまで幅広く使えて便利だろう。
クセのないオーソドックスな構造ながら、高い性能でブルックスの底力を感じられる1足だ。
◎文/山本慎一郎
<関連記事>
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・【シューズレポ】見た目以上に走りやすいBROOKS「Ghost 12」(Yahoo!Japan)
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! BROOKS「Ghost(ゴースト)12」 セーフティモデルながら高い反発性を実現
2018年にランニングシューズのシェアが『全米ナンバーワン』に輝いたBROOKS(ブルックス)。そのブルックスが昨年12月から豊富なカラーバリエーションで展開しているのが「Ghost(ゴースト)12」だ。競争が激しいランニングシューズ業界で、ブルックスのシューズはどのような特徴を打ち出しているのか。
2020年の注目ブランド
創業は1914年。そこから100年以上が経った2020年は、日本のランニング界でもBROOKS(ブルックス)が注目を集める年になるかもしれない。 ブルックスは2018年に米国のランニングシューズ専門店のシューズ部門(100ドル以上の商品が対象)でトップシェアを獲得。日本ではまだそこまでの知名度はないものの、米国では驚くほど多くのランナーがブルックスのシューズを着用しているという。 ブルックスはこれまでも日本で流通していたが、決して目立つ存在ではなかった。しかし、昨年アキレス社が伊藤忠商事と契約して日本国内でのブルックスのシューズ総販売代理店となると、今年4月には日本初の男子中距離プロチーム「阿見AC SHARKS」とスポンサー契約を締結。日本国内でのブランディングを加速させている。 そのブルックスが2020年の『旗艦モデル』の1つとして展開しているのが「Ghost(ゴースト)12」だ。
見た目よりも軽いソール
ゴースト12はランニングシューズのカテゴリーとしては「セーフティタイプ」になる(ブルックス内では「CUSHION」と表現)。ビギナーなら普段の練習からレースまで、上級者であれば軽いジョギングやロングランでの使用が想定されている。 実際に足を通してみても、厚底のソールと肉厚のアッパー素材で、安定感や耐久性の高さを実感できる。重さは25.5cmで実測269gと、セーフティタイプとしては標準的なレベルだ。 しかし、走ってみると印象が変わる。アッパーの安定感とは対照的に、ソールが高反発で見た目よりもずっと軽く感じる。地面からは心地良い反発がもらえ、足取りは軽快だ。 ゴースト12のクッショニングシステムには「DNA LOFT」が採用されている。衝撃吸収素材であるEVAにラバーとエアー(空気)を配合することで、従来の素材である「ブルックスDNA」よりも30%柔らかく仕上げてあるという。 とはいえ、DNA LOFTはそこまで極端な柔らかさではなく、どちらかと言えば安定性重視。シューズにおける柔らかさと安定性は相反する関係にあり、DNA LOFTは「安定性を確保できる範囲内」で柔らかさを追求したという印象だ。 ソールにクセがなく、厚底シューズにありがちな反発のタイムラグがないことから、短距離のダッシュやドリル、動き作りなども違和感なくこなせるだろう。フォアフット(前足部着地)やヒールストライク(踵着地)といった接地のタイプによる合う、合わないもなく、多くの人に受け入れられそうだ。耐久性も高く、アスリートの日々のトレーニングにはもちろん、これからランニングを始めようという人にも最適だろう。スピードにも対応可能なセーフティタイプ
セーフティタイプらしからぬ軽快さがゴースト12の特徴だが、これはソール素材の性能だけが理由ではないだろう。なんと言っても蹴り出しが鋭く、このカテゴリーのシューズにありがちな「いつまでも地面に足が着いている感覚」がない。これは母趾球からつま先にかけて薄くなっていくソールの構造によるものと考えられる。
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