【日本新Interview】堤雄司〝完全復活〟を経て東京五輪へ好発進『月刊陸上競技』2020年5月号誌面転載記事

国士大競技会で62m59!!
〝完全復活〟を経て東京五輪へ〝好発進〟

3月27日の国士大競技会で62m59を投げて男子円盤投の日本記録を奪回した堤雄司(ALSOK群馬)

2017年8月に川崎清貴(大昭和)が保持していた「最古の日本記録」を38年ぶりに更新。男子円盤投の日本記録保持者になった堤雄司(ALSOK群馬)だが、栄光の後に厳しい戦いが待っていた。椎間板ヘルニアに苦しみ、2018年の日本選手権は湯上剛輝(トヨタ自動車)に完敗して、日本記録も塗り替えられた。

しかし、椎間板ヘルニアの手術に踏み切ると、昨年は日本選手権でカムバックⅤを果たす。今年3月27日の国士大競技会では62m59の日本新記録を打ち立てた。高校、U20、大学と各世代のトップレコード、タイトルを手にしてきた堤。暗闇を抜けた日本円盤投界の第一人者が〝新時代〟に突き進む。

●構成/酒井政人 撮影/船越陽一郎

日本記録も「旅の途中」

3月27日~ 28日に開催された国士大競技会の初日に〝春一番〟の快投が飛び出した。男子円盤投の前日本記録保持者・堤雄司(ALSOK群馬)が62m59をマーク。湯上剛輝(トヨタ自動車)が2018年の日本選手権で樹立した62 m16 の日本記録を43 ㎝上回り、「日本記録保持者」の称号を取り戻した。

実は内容自体は結構悪かったんです。1回目は投げがバラバラバラッと崩れて48mぐらい。2回目は59mほど飛びながらファウル。3回目もバラバラバラッとなって47mぐらい。4回目もうまく投げられずファウルでした。

手の感覚が良くなくて、うまく円盤を振れない投げが続いていたんです。でも、5回目はうまくポンッと振り切れた感じがありました。投げ終わった後も飛んでいる円盤を見ることができて、滞空時間が長かった。60mラインは引いてもらっていたので、それを越えたのはわかったんですけど、グラウンドレベルではどれぐらい飛んだのかわからなかった。ただ、周囲は盛り上がっていましたね。

めちゃめちゃ飛んだなという感触はあったんですけど、5人出場のため、すぐに自分の番が回ってきます。6回目は気持ちがフワフワしていたので、61mぐらい投げたんですけど、ファウルでした。

計測では、岡田雅次先生(国士大監督)が珍しくウキウキしながら、記録を確認していました。すぐにOB会のLINEグループに速報を流していたみたいです(笑)。

試合後に動画を確認しましたが、投げ自体はそんなにいいものではなかったです。父親(裕之さん)にも見てもらいましたけど、『65mくらい普通に投げられそうだね』と言ってもらいました。仕上がりとしては8~9割まで来ています。今回は振り切りだけを意識していたので、ターンが良くなってスピードが上がってくれば、記録はもっと出ると思います。

自身の理想の投げを追求し続ける堤。その先に五輪の舞台がある

いつも言っていますが、記録は塗り替えられるためにある。日本記録はうれしいですけど、目標を達成したわけではありません。今回の記録もすぐに塗り替えると思うので、まだまだ続く〝旅の途中〟という感じですね。

僕が東京五輪に出場するには、最低でも63m以上を5試合そろえないといけません。そういう気持ちがあったので、63mを1つの目安にしていました。ただ、試合中はそこまで記録を意識していたわけではありません。

2月のNZ遠征で61m60

 今季は夏に東京五輪が開催される予定だったため、堤は例年よりも仕上がりを早めていた。2月にはニュージーランド遠征を行い、現地で2試合に出場。自己ベストにあと4㎝と迫るセカンドベストの61m60をマークしている。国外で日本人が出した初めての「60mスロー」だ。

例年は3月下旬にシーズンインして、6月下旬の日本選手権にピークを持ってきて、9月くらいまでがんばるという感じです。ただ、今年は7月末から東京五輪が開催される予定で、6月末が出場資格のリミットになる。例年通りでは間に合いません。

そこで4月からフルスロットルで行けるように、早めに仕上げてきました。シーズンインして2ヵ月くらいで調子が上がってくるので、逆算すると2月の試合に出ておきたい。そこで調べてみると、ニュージーランドと豪州で試合があったので、(ワールドランキングの順位ポイントがより多く加算される)大会ランクが高かったニュージーランドの試合に出場しました。

当初のランクはCとBで、前年の優勝記録が53 ~ 54m、大会記録が58mぐらい。60m投げて優勝すれば、ポイントが稼げると思っていたんですけど、レギュレーションが変わって、Dランクになっていました。しかも、出場選手のレベルが高かったんです。

※この続きは2020年4月14日発売の『月刊陸上競技5月号』をご覧ください。

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