HOME バックナンバー
日本新Interview/堤雄司 「完全復活」を経て東京五輪へ好発進
日本新Interview/堤雄司 「完全復活」を経て東京五輪へ好発進

国士大競技会で62m59!!
〝完全復活〟を経て東京五輪へ〝好発進〟

3月27日の国士大競技会で62m59を投げて男子円盤投の日本記録を奪回した堤雄司(ALSOK群馬)

2017年8月に川崎清貴(大昭和)が保持していた「最古の日本記録」を38年ぶりに更新。男子円盤投の日本記録保持者になった堤雄司(ALSOK群馬)だが、栄光の後に厳しい戦いが待っていた。椎間板ヘルニアに苦しみ、2018年の日本選手権は湯上剛輝(トヨタ自動車)に完敗して、日本記録も塗り替えられた。

しかし、椎間板ヘルニアの手術に踏み切ると、昨年は日本選手権でカムバックⅤを果たす。今年3月27日の国士大競技会では62m59の日本新記録を打ち立てた。高校、U20、大学と各世代のトップレコード、タイトルを手にしてきた堤。暗闇を抜けた日本円盤投界の第一人者が〝新時代〟に突き進む。

広告の下にコンテンツが続きます

●構成/酒井政人 撮影/船越陽一郎

日本記録も「旅の途中」

3月27日~ 28日に開催された国士大競技会の初日に〝春一番〟の快投が飛び出した。男子円盤投の前日本記録保持者・堤雄司(ALSOK群馬)が62m59をマーク。湯上剛輝(トヨタ自動車)が2018年の日本選手権で樹立した62 m16 の日本記録を43 ㎝上回り、「日本記録保持者」の称号を取り戻した。

実は内容自体は結構悪かったんです。1回目は投げがバラバラバラッと崩れて48mぐらい。2回目は59mほど飛びながらファウル。3回目もバラバラバラッとなって47mぐらい。4回目もうまく投げられずファウルでした。

広告の下にコンテンツが続きます

手の感覚が良くなくて、うまく円盤を振れない投げが続いていたんです。でも、5回目はうまくポンッと振り切れた感じがありました。投げ終わった後も飛んでいる円盤を見ることができて、滞空時間が長かった。60mラインは引いてもらっていたので、それを越えたのはわかったんですけど、グラウンドレベルではどれぐらい飛んだのかわからなかった。ただ、周囲は盛り上がっていましたね。

めちゃめちゃ飛んだなという感触はあったんですけど、5人出場のため、すぐに自分の番が回ってきます。6回目は気持ちがフワフワしていたので、61mぐらい投げたんですけど、ファウルでした。

計測では、岡田雅次先生(国士大監督)が珍しくウキウキしながら、記録を確認していました。すぐにOB会のLINEグループに速報を流していたみたいです(笑)。

試合後に動画を確認しましたが、投げ自体はそんなにいいものではなかったです。父親(裕之さん)にも見てもらいましたけど、『65mくらい普通に投げられそうだね』と言ってもらいました。仕上がりとしては8~9割まで来ています。今回は振り切りだけを意識していたので、ターンが良くなってスピードが上がってくれば、記録はもっと出ると思います。

自身の理想の投げを追求し続ける堤。その先に五輪の舞台がある

いつも言っていますが、記録は塗り替えられるためにある。日本記録はうれしいですけど、目標を達成したわけではありません。今回の記録もすぐに塗り替えると思うので、まだまだ続く〝旅の途中〟という感じですね。

僕が東京五輪に出場するには、最低でも63m以上を5試合そろえないといけません。そういう気持ちがあったので、63mを1つの目安にしていました。ただ、試合中はそこまで記録を意識していたわけではありません。

2月のNZ遠征で61m60

 今季は夏に東京五輪が開催される予定だったため、堤は例年よりも仕上がりを早めていた。2月にはニュージーランド遠征を行い、現地で2試合に出場。自己ベストにあと4㎝と迫るセカンドベストの61m60をマークしている。国外で日本人が出した初めての「60mスロー」だ。

例年は3月下旬にシーズンインして、6月下旬の日本選手権にピークを持ってきて、9月くらいまでがんばるという感じです。ただ、今年は7月末から東京五輪が開催される予定で、6月末が出場資格のリミットになる。例年通りでは間に合いません。

そこで4月からフルスロットルで行けるように、早めに仕上げてきました。シーズンインして2ヵ月くらいで調子が上がってくるので、逆算すると2月の試合に出ておきたい。そこで調べてみると、ニュージーランドと豪州で試合があったので、(ワールドランキングの順位ポイントがより多く加算される)大会ランクが高かったニュージーランドの試合に出場しました。

当初のランクはCとBで、前年の優勝記録が53 ~ 54m、大会記録が58mぐらい。60m投げて優勝すれば、ポイントが稼げると思っていたんですけど、レギュレーションが変わって、Dランクになっていました。しかも、出場選手のレベルが高かったんです。

※この続きは2020年4月14日発売の『月刊陸上競技5月号』をご覧ください。

※インターネットショップ「BASE」のサイトに移動します
郵便振替で購入する
定期購読はこちらから

国士大競技会で62m59!! 〝完全復活〟を経て東京五輪へ〝好発進〟

3月27日の国士大競技会で62m59を投げて男子円盤投の日本記録を奪回した堤雄司(ALSOK群馬) 2017年8月に川崎清貴(大昭和)が保持していた「最古の日本記録」を38年ぶりに更新。男子円盤投の日本記録保持者になった堤雄司(ALSOK群馬)だが、栄光の後に厳しい戦いが待っていた。椎間板ヘルニアに苦しみ、2018年の日本選手権は湯上剛輝(トヨタ自動車)に完敗して、日本記録も塗り替えられた。 しかし、椎間板ヘルニアの手術に踏み切ると、昨年は日本選手権でカムバックⅤを果たす。今年3月27日の国士大競技会では62m59の日本新記録を打ち立てた。高校、U20、大学と各世代のトップレコード、タイトルを手にしてきた堤。暗闇を抜けた日本円盤投界の第一人者が〝新時代〟に突き進む。 ●構成/酒井政人 撮影/船越陽一郎

日本記録も「旅の途中」

3月27日~ 28日に開催された国士大競技会の初日に〝春一番〟の快投が飛び出した。男子円盤投の前日本記録保持者・堤雄司(ALSOK群馬)が62m59をマーク。湯上剛輝(トヨタ自動車)が2018年の日本選手権で樹立した62 m16 の日本記録を43 ㎝上回り、「日本記録保持者」の称号を取り戻した。 実は内容自体は結構悪かったんです。1回目は投げがバラバラバラッと崩れて48mぐらい。2回目は59mほど飛びながらファウル。3回目もバラバラバラッとなって47mぐらい。4回目もうまく投げられずファウルでした。 手の感覚が良くなくて、うまく円盤を振れない投げが続いていたんです。でも、5回目はうまくポンッと振り切れた感じがありました。投げ終わった後も飛んでいる円盤を見ることができて、滞空時間が長かった。60mラインは引いてもらっていたので、それを越えたのはわかったんですけど、グラウンドレベルではどれぐらい飛んだのかわからなかった。ただ、周囲は盛り上がっていましたね。 めちゃめちゃ飛んだなという感触はあったんですけど、5人出場のため、すぐに自分の番が回ってきます。6回目は気持ちがフワフワしていたので、61mぐらい投げたんですけど、ファウルでした。 計測では、岡田雅次先生(国士大監督)が珍しくウキウキしながら、記録を確認していました。すぐにOB会のLINEグループに速報を流していたみたいです(笑)。 試合後に動画を確認しましたが、投げ自体はそんなにいいものではなかったです。父親(裕之さん)にも見てもらいましたけど、『65mくらい普通に投げられそうだね』と言ってもらいました。仕上がりとしては8~9割まで来ています。今回は振り切りだけを意識していたので、ターンが良くなってスピードが上がってくれば、記録はもっと出ると思います。 自身の理想の投げを追求し続ける堤。その先に五輪の舞台がある いつも言っていますが、記録は塗り替えられるためにある。日本記録はうれしいですけど、目標を達成したわけではありません。今回の記録もすぐに塗り替えると思うので、まだまだ続く〝旅の途中〟という感じですね。 僕が東京五輪に出場するには、最低でも63m以上を5試合そろえないといけません。そういう気持ちがあったので、63mを1つの目安にしていました。ただ、試合中はそこまで記録を意識していたわけではありません。

2月のNZ遠征で61m60

 今季は夏に東京五輪が開催される予定だったため、堤は例年よりも仕上がりを早めていた。2月にはニュージーランド遠征を行い、現地で2試合に出場。自己ベストにあと4㎝と迫るセカンドベストの61m60をマークしている。国外で日本人が出した初めての「60mスロー」だ。 例年は3月下旬にシーズンインして、6月下旬の日本選手権にピークを持ってきて、9月くらいまでがんばるという感じです。ただ、今年は7月末から東京五輪が開催される予定で、6月末が出場資格のリミットになる。例年通りでは間に合いません。 そこで4月からフルスロットルで行けるように、早めに仕上げてきました。シーズンインして2ヵ月くらいで調子が上がってくるので、逆算すると2月の試合に出ておきたい。そこで調べてみると、ニュージーランドと豪州で試合があったので、(ワールドランキングの順位ポイントがより多く加算される)大会ランクが高かったニュージーランドの試合に出場しました。 当初のランクはCとBで、前年の優勝記録が53 ~ 54m、大会記録が58mぐらい。60m投げて優勝すれば、ポイントが稼げると思っていたんですけど、レギュレーションが変わって、Dランクになっていました。しかも、出場選手のレベルが高かったんです。 ※この続きは2020年4月14日発売の『月刊陸上競技5月号』をご覧ください。
※インターネットショップ「BASE」のサイトに移動します
郵便振替で購入する 定期購読はこちらから

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.18

400m・中島佑気ジョセフが日本勢34年ぶり決勝! 200m・鵜澤飛羽、井戸アビゲイル風果が準決勝に登場/東京世界陸上DAY6イブニングみどころ

◇東京世界陸上(9月13日〜21日/国立競技場)6日目 大会も後半戦を迎える東京世界陸上。日本男子短距離界に新たな歴史が生まれようとしている。 男子400m決勝に中島佑気ジョセフ(富士通)が挑む。予選で44秒44の日本記 […]

NEWS 最速王者も“10秒チャージ” 森永製菓が16万個以上の商品提供で東京世界陸上の参加選手を“応援チュウ!”

2025.09.18

最速王者も“10秒チャージ” 森永製菓が16万個以上の商品提供で東京世界陸上の参加選手を“応援チュウ!”

東京世界陸上オフィシャルサポーターの森永製菓は、9月13日から開催されている同大会の参加アスリートに「inゼリー」、「inバー」、「ハイチュウ」など日本生まれの栄養補助食品やお菓子を無償で提供しているが、その数量が16万 […]

NEWS 35km競歩金のダンフィー 20km競歩棄権表明「出場できないのは残念だが、レースには応援に行くつもり」/東京世界陸上

2025.09.18

35km競歩金のダンフィー 20km競歩棄権表明「出場できないのは残念だが、レースには応援に行くつもり」/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場) 9月18日、東京世界陸上初日の男子35km競歩で金メダルを獲得したエヴァン・ダンフィー(カナダ)が、自身のSNSを更新し、8日目(20日)の20km競歩を棄権することを発 […]

NEWS DAY6イブニングセッションのチケット完売 残りのイブニングセッションも完売間近/東京世界陸上

2025.09.18

DAY6イブニングセッションのチケット完売 残りのイブニングセッションも完売間近/東京世界陸上

◇東京世界陸上(9月13日~21日/国立競技場)6日目 東京2025世界陸上財団は9月18日、大会6日目のイブニングセッションのチケットが完売したと発表した。13日のDAY1、14日のDAY2のイブニングセッションに続く […]

NEWS 川上勇士が富士山GXに入社 東海大などで活躍「チーム・会社に貢献できるように頑張る」

2025.09.18

川上勇士が富士山GXに入社 東海大などで活躍「チーム・会社に貢献できるように頑張る」

富士山GXは9月18日、川上勇士が9月16日付で入社・入部したと発表した。 千葉県出身の川上は鎌ケ谷中時代に、全中やジュニア五輪に出場。市船橋高では全国高校駅伝で1年時に5区、2年時には4区3位となっている。 進学した東 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年10月号 (9月9日発売)

2025年10月号 (9月9日発売)

【別冊付録】東京2025世界陸上観戦ガイド
村竹ラシッド/桐生祥秀/中島佑気ジョセフ/中島ひとみ/瀬古優斗
【Coming EKIDEN Season 25-26】
学生長距離最新戦力分析/青学大/駒大/國學院大/中大/

page top