HOME アイテム

2020.03.31

【アイテム】 アシックスが新コンセプトシューズ「METASPRINT(メタスプリント)」と 「METARACER(メタレーサー)」を発表
【アイテム】 アシックスが新コンセプトシューズ「METASPRINT(メタスプリント)」と 「METARACER(メタレーサー)」を発表

【アイテム】
アシックスが新コンセプトシューズ
「METASPRINT(メタスプリント)」と
「METARACER(メタレーサー)」を発表

「エネルギーロスの減少」にこだわったトップモデル

アシックスは3月31日、スパイクピンのないスプリントレース用シューズ「METASPRINT(メタスプリント)TOKYO」と、走行効率を高めた構造を採用した長距離レース用シューズ「METARACER(メタレーサー)TOKYO」を発表した。発売開始は4月17日で、価格はメタスプリントが36,000円、メタレーサーが20,000円(ともに税別)。
どちらもトップ選手の使用を前提に、走行時の「ロスをなくす」ための画期的なテクノロジーが搭載されている。アシックスの長年にわたる研究の成果は、最新シューズにどのようなかたちで反映されたのだろうか。

<5月22日追記>
※発売が延期されました。6月12日(金)にオンラインストアと一部店舗で先行販売を開始し、一般販売は6月26日(金)です

広告の下にコンテンツが続きます


スパイクピンのないスプリントレース用シューズ「METASPRINT(メタスプリント)TOKYO」

長距離レース用シューズ「METARACER(メタレーサー)TOKYO」

ピンのないスプリントシューズ「メタスプリント」
検証実験ではタイムが100m換算0.048秒短縮

メタスプリントは、従来型のスパイクシューズでは「ピンが地面に刺さる感覚がある」というアスリートの声をきっかけに、2015年夏から開発がスタートした。ピンがトラックに刺さって抜ける、というスパイクとして当たり前の動作さえも「ロス」と捉え、それを打開する方法を探ったのだ。

開発初期の段階で、靴底にあるプレートがカーボン素材であれば、ピンを使わなくともグリップ力の高いシューズが作れることが判明し、コンピュータ上で計算をしながらデザインを決めていったという。

カーボン素材をベースとしたプレートには、ピンの代わりにハニカム構造の突起が無数に設けられている。突起は走行時の力のかかり方に合わせてさまざまな角度が存在し、地面を「点」ではなく「線」でとらえるという着想だ。これによって接地時のロスを減らし、タイムの短縮を狙っている。また、ピンをなくすことで片足約136g(26.0cm)と軽量化にも成功した。

ハニカム構造の突起で地面をグリップする
アシックスのスパイクシューズ「SONICSPRINT ELITE(ソニックスプリントエリート)」との比較実験では、メタスプリントを履いた場合は1秒あたり6.7cm前に進めるという。100m換算では0.048秒縮まる計算だ。スプリント種目は100分の1秒単位で勝負が決まることも珍しくないため、この数字は決して小さいものではないだろう。

スパイクとの比較実験では、メタスプリントを履いた場合はタイムが平均で0.67%縮まるという結果が出た

広告の下にコンテンツが続きます

昨年8月には男子100m前日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)がこの「メタスプリント」のプロトタイプを使用し、100mで10秒05(+0.9)をマークしている。桐生は「僕の走法であるフラット接地に即していて、今はピンレスのほうが自然です」とコメント。ピンがなくても走れることはトップアスリートがすでに証明している。

アシックス執行役員兼アシックススポーツ工学研究所の原野健一所長は「研究成果を目の当たりにするにつれ、アシックス史上革新的な陸上スプリントシューズになり得ることを確信しました」と自信を見せる。

足首周りの負担を約20%軽減する「メタレーサー」

一方のメタレーサーは「GUIDESOLE(ガイドソール)」という走行効率を高めるソール構造を搭載。昨年2月に発売された「METARIDE(メタライド)」などがすでにこのテクノロジーを導入しているが、トップ選手向けレース用シューズでは初採用となる。

アシックスが「走行時のロスを減らす」というコンセプトでランニングシューズを構造から見直す研究を始めたのは2014年。その第1弾として19年2月にメタライドを発売し、その後は9月に「GLIDERIDE(グライドライド)」、今年2月に「EVORIDE(エボライド)」と初級者向けモデルから徐々にターゲット層を上げていき、このたびトップモデルのメタレーサーを完成させた。

広告の下にコンテンツが続きます

アシックスの研究によれば、走行時は足首が屈曲することでエネルギーを消耗している。そこで、厚みのあるミッドソールの前足部に傾斜と高低差を設けることで、蹴り出しの際の足首の角度変化を抑え、エネルギーを温存できる構造とした。この「ガイドソール」のメカニズムによって足首周りの負担は約20%軽減されるという。

厚みのあるミッドソールの前足部に傾斜と高低差が設けられている

さらに、メタレーサーはミッドソールにカーボンプレートを内蔵。プレートによってソールの変形を抑え、反発力を高めている。ガイドソールとカーボンプレートを組み合わせたシューズはメタレーサーが初めてだ。

また、ミッドソールの素材は軽量性と反発性を両立した「FLYTEFORM(フライトフォーム)」で、重さは片足約190g(27.0cm)。並行して展開している薄底のレース用モデルよりは若干重いものの、ソールの厚さを考えると極限まで無駄をそぎ落とした結果と言える。

3月の東京マラソンではメタレーサーを履いた大石港与(トヨタ自動車)が自己記録を1分47秒短縮する2時間8分52秒をマーク。正月の駅伝でも一部の選手がプロトタイプを着用しており、なかにはトラックの10000mの自己記録とほぼ同じペースで起伏のある20km超の区間を走り切った選手もいた。これらの結果はアスリートの努力の賜物だが、シューズがそれをアシストした可能性は十分にあるだろう。

広告の下にコンテンツが続きます

女子選手でも昨年のシカゴ・マラソンで2時間25分27秒の自己新をマークして4位に入ったエマ・ベイツ(米国)が愛用。「着用したレースの後半、いつもより疲労感が少ないことに気づきました。特に、太腿の前側がいつもより疲れていませんでした」と話している。

メタスプリントとメタレーサーに共通するのは「ロスをなくす」こと。どちらもアシックスが長年蓄積したノウハウとテクノロジーをベースに、新たな発想でチャレンジしたことから生まれたプロダクトだ。この2020年に登場した「METAシリーズ」が、今後は陸上界の新たなスタンダードになるかもしれない。

文/山本慎一郎
【PR】

<関連記事>
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスのカーボンプレート搭載シューズ「METARACER(メタレーサー)」
【アイテム】 「ピンなしスプリントシューズ」メタスプリント開発秘話
【PR】ASICSの〝先進的〟レーシングシューズ METASPRINT(メタスプリント)&METARACER(メタレーサー)
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスの厚底シューズ「GLIDERIDE」
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスのカーボンプレート搭載シューズ「METARACER(メタレーサー)」

広告の下にコンテンツが続きます

<関連リンク>
SUNRISE RED(アシックス公式サイトの紹介ページ)

【アイテム】 アシックスが新コンセプトシューズ 「METASPRINT(メタスプリント)」と 「METARACER(メタレーサー)」を発表

「エネルギーロスの減少」にこだわったトップモデル

アシックスは3月31日、スパイクピンのないスプリントレース用シューズ「METASPRINT(メタスプリント)TOKYO」と、走行効率を高めた構造を採用した長距離レース用シューズ「METARACER(メタレーサー)TOKYO」を発表した。発売開始は4月17日で、価格はメタスプリントが36,000円、メタレーサーが20,000円(ともに税別)。 どちらもトップ選手の使用を前提に、走行時の「ロスをなくす」ための画期的なテクノロジーが搭載されている。アシックスの長年にわたる研究の成果は、最新シューズにどのようなかたちで反映されたのだろうか。 <5月22日追記> ※発売が延期されました。6月12日(金)にオンラインストアと一部店舗で先行販売を開始し、一般販売は6月26日(金)です スパイクピンのないスプリントレース用シューズ「METASPRINT(メタスプリント)TOKYO」 長距離レース用シューズ「METARACER(メタレーサー)TOKYO」

ピンのないスプリントシューズ「メタスプリント」 検証実験ではタイムが100m換算0.048秒短縮

メタスプリントは、従来型のスパイクシューズでは「ピンが地面に刺さる感覚がある」というアスリートの声をきっかけに、2015年夏から開発がスタートした。ピンがトラックに刺さって抜ける、というスパイクとして当たり前の動作さえも「ロス」と捉え、それを打開する方法を探ったのだ。 開発初期の段階で、靴底にあるプレートがカーボン素材であれば、ピンを使わなくともグリップ力の高いシューズが作れることが判明し、コンピュータ上で計算をしながらデザインを決めていったという。 カーボン素材をベースとしたプレートには、ピンの代わりにハニカム構造の突起が無数に設けられている。突起は走行時の力のかかり方に合わせてさまざまな角度が存在し、地面を「点」ではなく「線」でとらえるという着想だ。これによって接地時のロスを減らし、タイムの短縮を狙っている。また、ピンをなくすことで片足約136g(26.0cm)と軽量化にも成功した。 ハニカム構造の突起で地面をグリップする アシックスのスパイクシューズ「SONICSPRINT ELITE(ソニックスプリントエリート)」との比較実験では、メタスプリントを履いた場合は1秒あたり6.7cm前に進めるという。100m換算では0.048秒縮まる計算だ。スプリント種目は100分の1秒単位で勝負が決まることも珍しくないため、この数字は決して小さいものではないだろう。 スパイクとの比較実験では、メタスプリントを履いた場合はタイムが平均で0.67%縮まるという結果が出た 昨年8月には男子100m前日本記録保持者の桐生祥秀(日本生命)がこの「メタスプリント」のプロトタイプを使用し、100mで10秒05(+0.9)をマークしている。桐生は「僕の走法であるフラット接地に即していて、今はピンレスのほうが自然です」とコメント。ピンがなくても走れることはトップアスリートがすでに証明している。 アシックス執行役員兼アシックススポーツ工学研究所の原野健一所長は「研究成果を目の当たりにするにつれ、アシックス史上革新的な陸上スプリントシューズになり得ることを確信しました」と自信を見せる。

足首周りの負担を約20%軽減する「メタレーサー」

一方のメタレーサーは「GUIDESOLE(ガイドソール)」という走行効率を高めるソール構造を搭載。昨年2月に発売された「METARIDE(メタライド)」などがすでにこのテクノロジーを導入しているが、トップ選手向けレース用シューズでは初採用となる。 アシックスが「走行時のロスを減らす」というコンセプトでランニングシューズを構造から見直す研究を始めたのは2014年。その第1弾として19年2月にメタライドを発売し、その後は9月に「GLIDERIDE(グライドライド)」、今年2月に「EVORIDE(エボライド)」と初級者向けモデルから徐々にターゲット層を上げていき、このたびトップモデルのメタレーサーを完成させた。 アシックスの研究によれば、走行時は足首が屈曲することでエネルギーを消耗している。そこで、厚みのあるミッドソールの前足部に傾斜と高低差を設けることで、蹴り出しの際の足首の角度変化を抑え、エネルギーを温存できる構造とした。この「ガイドソール」のメカニズムによって足首周りの負担は約20%軽減されるという。 厚みのあるミッドソールの前足部に傾斜と高低差が設けられている さらに、メタレーサーはミッドソールにカーボンプレートを内蔵。プレートによってソールの変形を抑え、反発力を高めている。ガイドソールとカーボンプレートを組み合わせたシューズはメタレーサーが初めてだ。 また、ミッドソールの素材は軽量性と反発性を両立した「FLYTEFORM(フライトフォーム)」で、重さは片足約190g(27.0cm)。並行して展開している薄底のレース用モデルよりは若干重いものの、ソールの厚さを考えると極限まで無駄をそぎ落とした結果と言える。 3月の東京マラソンではメタレーサーを履いた大石港与(トヨタ自動車)が自己記録を1分47秒短縮する2時間8分52秒をマーク。正月の駅伝でも一部の選手がプロトタイプを着用しており、なかにはトラックの10000mの自己記録とほぼ同じペースで起伏のある20km超の区間を走り切った選手もいた。これらの結果はアスリートの努力の賜物だが、シューズがそれをアシストした可能性は十分にあるだろう。 女子選手でも昨年のシカゴ・マラソンで2時間25分27秒の自己新をマークして4位に入ったエマ・ベイツ(米国)が愛用。「着用したレースの後半、いつもより疲労感が少ないことに気づきました。特に、太腿の前側がいつもより疲れていませんでした」と話している。 メタスプリントとメタレーサーに共通するのは「ロスをなくす」こと。どちらもアシックスが長年蓄積したノウハウとテクノロジーをベースに、新たな発想でチャレンジしたことから生まれたプロダクトだ。この2020年に登場した「METAシリーズ」が、今後は陸上界の新たなスタンダードになるかもしれない。 文/山本慎一郎 【PR】 <関連記事> ・【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスのカーボンプレート搭載シューズ「METARACER(メタレーサー)」【アイテム】 「ピンなしスプリントシューズ」メタスプリント開発秘話【PR】ASICSの〝先進的〟レーシングシューズ METASPRINT(メタスプリント)&METARACER(メタレーサー)【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスの厚底シューズ「GLIDERIDE」【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスのカーボンプレート搭載シューズ「METARACER(メタレーサー)」 <関連リンク> SUNRISE RED(アシックス公式サイトの紹介ページ)

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2024.03.28

世界パラ選手権の代表66人発表! 車いすの佐藤友祈や前回400mVの福永凌太、女子走幅跳・髙桑早生らが選出 5月に神戸で開催

3月28日、日本パラ陸上競技連盟は第11回世界パラ選手権(5月17日~25日/兵庫・神戸)の日本代表選手を発表した。 代表に選ばれたのは男女66人。車いすクラスの400m、1500mで東京パラリンピック2冠に輝いた佐藤友 […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」

2024.03.28

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第43回「春風を以て人に接し、秋霜を以て自らを慎む」 桜の開花予報が伝えられるこの季節は、年度 […]

NEWS 東京2025世界陸上財団が日本陸連、東京都、TBSと連携・協力に関する協定を締結!大会の成功と満員のスタジアム目指して  マラソンは東京マラソン財団と協定結ぶ

2024.03.28

東京2025世界陸上財団が日本陸連、東京都、TBSと連携・協力に関する協定を締結!大会の成功と満員のスタジアム目指して マラソンは東京マラソン財団と協定結ぶ

2025年東京世界陸上の大会運営を主管する一般財団法人東京2025世界陸上財団は3月28日、理事会を開催し、大会の成功を目指して日本陸連、東京都、世界陸連メディアパートナーであるTBSとの間で相互に連携・協力体制を構築す […]

NEWS 東農大エースの並木寧音がSUBARUへ「攻めのスタイルを生かしたレースをしたい」

2024.03.28

東農大エースの並木寧音がSUBARUへ「攻めのスタイルを生かしたレースをしたい」

SUBARUが3月28日に群馬県太田市の本工場で2024年度新加入選手の会見を開いた。 東農大で今年の箱根駅伝2区を務め、区間7位と力走した並木寧音は、真新しいジャージを着用し「重みを感じます」と気を引き締める。 広告の […]

NEWS 山の妖精がSUBARUで世界へ!山本唯翔が意気込み「ロス五輪でマラソン代表に」

2024.03.28

山の妖精がSUBARUで世界へ!山本唯翔が意気込み「ロス五輪でマラソン代表に」

SUBARUが3月28日に群馬県太田市の本工場で2024年度新加入選手の会見を開いた。 城西大で箱根駅伝の5区を2年連続区間賞・区間新記録を打ち立てて今年は金栗四三杯を受賞した“山の妖精”こと山本唯翔。2月末に入寮し「1 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2024年4月号 (3月14日発売)

2024年4月号 (3月14日発売)

別冊付録 記録年鑑2023
パリ五輪マラソン代表決定

page top