HOME アイテム

2019.10.11

【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックス「GLIDERIDE(グライドライド)」
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックス「GLIDERIDE(グライドライド)」

9月27日に発売されたアシックスの「GLIDERIDE(グライドライド)」

【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!!
アシックス「GLIDERIDE(グライドライド)」

ランニング界は今、〝厚底シューズ〟がブームだ。そんな中、アシックスから新たなコンセプトで開発された厚底シューズ「GLIDERIDE(グライドライド)」が登場した。開発コンセプトは「もっとラクに、もっと長く」。実際に走ってみてそのポテンシャルを体感した。

9月27日に発売されたアシックスの「GLIDERIDE(グライドライド)」

楽に長く走れるシューズ

9月27日に発売されたアシックスの「GLIDERIDE(グライドライド)」は、同社が2月に発売した「METARIDE(メタライド)」の後継モデルだ。いや、どちらかと言えば〝別バージョン〟と表現したほうが適切かもしれない。開発コンセプトは同様ながら、若干違った走り心地を提供してくれる。

広告の下にコンテンツが続きます

これらのシューズの開発コンセプトは「もっとラクに、もっと長く」。アシックススポーツ工学研究所では、走行時の動作を分析した結果、足首の角度変化を抑えることがエネルギーの消費を軽減することがわかった。こうして生まれたのが「METARIDE」で、このテクノロジーをより多くの人に活用してもらおうと登場したのが「GLIDERIDE」というわけだ。

発売前日である9月26日には都内でローンチイベントを開催

タレントで慶大競走部OGの宇佐美菜穂さんが進行役を務めた

スムーズに脚が回転

「楽に長く走る」というコンセプトを実現させたのは特徴的なソール構造だ。2層に分かれたミッドソールが前足部からつま先にかけて薄くなり、つま先が反り上がることで蹴り出しの際の足首の角度変化を抑制する。

この「GUIDESOLE(ガイドソール)」と呼ばれる構造によって、まるで転がるように脚が回転する。

反り上がったつま先が特徴的

グライドライドに足を通してみると、やはり前足部の傾斜が印象的だ。ソール自体に高さがあるので靴の中で足は水平な状態だが、つま先にかけてソールが薄くなるので、母指球のあたりは地面から浮いた状態。厚底シューズがブームになってからは、こういった前足部が傾斜したシューズが増えてきているが、母指球が浮くというのは新鮮だ。

靴を裏返しにすると傾斜している様子が一目瞭然

ただ、実際に走ってみると違和感はなし。脚はスムーズに回転するが、走りにくいとか、必要以上にスピードが出るということもない。普段の走りと同じ感覚で、いつもより少し力を抜いても大丈夫という状態になる。「あぁ、これが『楽に走る』ということか」と開発コンセプトに共感する。

「楽に走れる」看板に偽りなし!

脚がスムーズに回転するので、走る側の意識としてはその慣性に身を任せて脚を回していればいい。ガイドソールという名前の通り、足が自然とGUIDE(案内)されている感覚を抱くことだろう。傾斜したソール形状のため、アップダウンも快適だ。

せっかくなので、この靴の〝適性速度〟がどのあたりなのかも試すことにした。トラックでペースを上げて、1000mで4分を切ってみる。すると、さすがに〝目的外〟だったせいか、若干の重さとレスポンスのズレを感じた。27.0cmで約290gと、セーフティタイプのモデルとしてはむしろ軽い部類なのだが、短い距離でスピードを上げる場合はターサーやソーティなど高速モデルを使用したほうがよさそうだ。

ちなみに、ガイドソールは「ターサージール」などと同様に、軽量性と耐久性を両立した「FLYTEFOAM(フライトフォーム)」を採用している。100m程度のウィンドスプリント(流し)であればグライドライドでまったく問題なく走れることを確認した。

そして、走り終えてみて驚いた。30分で6kmほど走り、途中で1000mをペースアップしたのに、疲労感が「ない」。脚にまったく疲れを感じなかった。ペースが遅いからとか、そういう次元ではなく、通常であれば走り終わった後には脚のどこかしらに残る微細な疲労感が皆無だったのだ。

まさに「楽に走れる」シューズ。初心者だけでなく、中級・上級ランナーのリカバリーJogやLSD(ロングスローディスタンス)などにも最適だろう。レースを完走できる自信のない初心者や、脚をできるだけ温存して最後まで快適に走りたいというランナーにはレース用としても使える。長距離って苦手だな……と思っている人ほど履く価値のあるシューズと言えそうだ。

GLIDERIDEは「楽に走る」ことの楽しさを教えてくれるシューズだ

翌日になってわかったのだが、グライドライドを履いている間はどうやら脚よりも臀部(お尻)の筋肉を稼動させていたようだ。末端よりも中心部、小さい筋肉よりも大きい筋肉を自然と使えるようにサポートしてくれる。これも理にかなったシステムだ。

メタライドとの違い

ここまでグライドライドの説明をしてきたが、メタライドとグライドライドの違いはどこにあるのか。私はメタライドを履いたことがないので人から聞いた話をお伝えするしかないが、自動車にたとえるとメタライドは「自動運転」、グライドライドは「オートマ車」らしい。

メタライドはグライドライドに比べてややソールが硬く、サポート機能も満載だ。その分価格もメタライドが27000円(税別)、グライドライドは16000円(税別)と1万円ほど差があり、メタライドはスイッチを押しただけで勝手に走らせてくれるような感覚だという。

一方のグライドライドは走り方のサポートはしてくれるが、アクセルをどう踏むかは運転者(ランナー)に主導権がある。どちらがいいというよりは、乗り心地の違い。自分の感覚を大事にしたいランナーはグライドライドのほうが使い勝手が良いだろう。

そして、グライドライドを履きながら思った。この傾斜したソール構造を維持しながら、もう少しソール全体が薄くて軽いシューズができたら、中上級者のレース用として最高なんじゃないか?

いや、きっとアシックスはもう次の手を考えているに違いない。何しろ来年は2020年、テクノロジーの集大成とも言えるシューズをリリースするはずだ。その時に我々はこのグライドライドが見せた世界が〝未来〟につながっていたことを理解するのかもしれない。

◎文/山本慎一郎

<関連記事>
【アイテム】 「ピンなしスプリントシューズ」メタスプリント開発秘話
【アイテム】 アシックスが新コンセプトシューズ「METASPRINT(メタスプリント)」と 「METARACER(メタレーサー)」を発表
【PR】ASICSの〝先進的〟レーシングシューズ METASPRINT(メタスプリント)&METARACER(メタレーサー)
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスのカーボンプレート搭載シューズ「METARACER(メタレーサー)」
【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスの高反発シューズ「NOVABLAST(ノヴァブラスト)」

【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックス「GLIDERIDE(グライドライド)」

ランニング界は今、〝厚底シューズ〟がブームだ。そんな中、アシックスから新たなコンセプトで開発された厚底シューズ「GLIDERIDE(グライドライド)」が登場した。開発コンセプトは「もっとラクに、もっと長く」。実際に走ってみてそのポテンシャルを体感した。 [caption id="attachment_5064" align="aligncenter" width="600"] 9月27日に発売されたアシックスの「GLIDERIDE(グライドライド)」[/caption]

楽に長く走れるシューズ

9月27日に発売されたアシックスの「GLIDERIDE(グライドライド)」は、同社が2月に発売した「METARIDE(メタライド)」の後継モデルだ。いや、どちらかと言えば〝別バージョン〟と表現したほうが適切かもしれない。開発コンセプトは同様ながら、若干違った走り心地を提供してくれる。 これらのシューズの開発コンセプトは「もっとラクに、もっと長く」。アシックススポーツ工学研究所では、走行時の動作を分析した結果、足首の角度変化を抑えることがエネルギーの消費を軽減することがわかった。こうして生まれたのが「METARIDE」で、このテクノロジーをより多くの人に活用してもらおうと登場したのが「GLIDERIDE」というわけだ。 [caption id="attachment_5065" align="aligncenter" width="600"] 発売前日である9月26日には都内でローンチイベントを開催[/caption] [caption id="attachment_5066" align="aligncenter" width="600"] タレントで慶大競走部OGの宇佐美菜穂さんが進行役を務めた[/caption]

スムーズに脚が回転

「楽に長く走る」というコンセプトを実現させたのは特徴的なソール構造だ。2層に分かれたミッドソールが前足部からつま先にかけて薄くなり、つま先が反り上がることで蹴り出しの際の足首の角度変化を抑制する。 この「GUIDESOLE(ガイドソール)」と呼ばれる構造によって、まるで転がるように脚が回転する。 [caption id="attachment_5067" align="aligncenter" width="600"] 反り上がったつま先が特徴的[/caption] グライドライドに足を通してみると、やはり前足部の傾斜が印象的だ。ソール自体に高さがあるので靴の中で足は水平な状態だが、つま先にかけてソールが薄くなるので、母指球のあたりは地面から浮いた状態。厚底シューズがブームになってからは、こういった前足部が傾斜したシューズが増えてきているが、母指球が浮くというのは新鮮だ。 [caption id="attachment_5068" align="aligncenter" width="600"] 靴を裏返しにすると傾斜している様子が一目瞭然[/caption] ただ、実際に走ってみると違和感はなし。脚はスムーズに回転するが、走りにくいとか、必要以上にスピードが出るということもない。普段の走りと同じ感覚で、いつもより少し力を抜いても大丈夫という状態になる。「あぁ、これが『楽に走る』ということか」と開発コンセプトに共感する。

「楽に走れる」看板に偽りなし!

脚がスムーズに回転するので、走る側の意識としてはその慣性に身を任せて脚を回していればいい。ガイドソールという名前の通り、足が自然とGUIDE(案内)されている感覚を抱くことだろう。傾斜したソール形状のため、アップダウンも快適だ。 せっかくなので、この靴の〝適性速度〟がどのあたりなのかも試すことにした。トラックでペースを上げて、1000mで4分を切ってみる。すると、さすがに〝目的外〟だったせいか、若干の重さとレスポンスのズレを感じた。27.0cmで約290gと、セーフティタイプのモデルとしてはむしろ軽い部類なのだが、短い距離でスピードを上げる場合はターサーやソーティなど高速モデルを使用したほうがよさそうだ。 ちなみに、ガイドソールは「ターサージール」などと同様に、軽量性と耐久性を両立した「FLYTEFOAM(フライトフォーム)」を採用している。100m程度のウィンドスプリント(流し)であればグライドライドでまったく問題なく走れることを確認した。 そして、走り終えてみて驚いた。30分で6kmほど走り、途中で1000mをペースアップしたのに、疲労感が「ない」。脚にまったく疲れを感じなかった。ペースが遅いからとか、そういう次元ではなく、通常であれば走り終わった後には脚のどこかしらに残る微細な疲労感が皆無だったのだ。 まさに「楽に走れる」シューズ。初心者だけでなく、中級・上級ランナーのリカバリーJogやLSD(ロングスローディスタンス)などにも最適だろう。レースを完走できる自信のない初心者や、脚をできるだけ温存して最後まで快適に走りたいというランナーにはレース用としても使える。長距離って苦手だな……と思っている人ほど履く価値のあるシューズと言えそうだ。 [caption id="attachment_5070" align="aligncenter" width="600"] GLIDERIDEは「楽に走る」ことの楽しさを教えてくれるシューズだ[/caption] 翌日になってわかったのだが、グライドライドを履いている間はどうやら脚よりも臀部(お尻)の筋肉を稼動させていたようだ。末端よりも中心部、小さい筋肉よりも大きい筋肉を自然と使えるようにサポートしてくれる。これも理にかなったシステムだ。

メタライドとの違い

ここまでグライドライドの説明をしてきたが、メタライドとグライドライドの違いはどこにあるのか。私はメタライドを履いたことがないので人から聞いた話をお伝えするしかないが、自動車にたとえるとメタライドは「自動運転」、グライドライドは「オートマ車」らしい。 メタライドはグライドライドに比べてややソールが硬く、サポート機能も満載だ。その分価格もメタライドが27000円(税別)、グライドライドは16000円(税別)と1万円ほど差があり、メタライドはスイッチを押しただけで勝手に走らせてくれるような感覚だという。 一方のグライドライドは走り方のサポートはしてくれるが、アクセルをどう踏むかは運転者(ランナー)に主導権がある。どちらがいいというよりは、乗り心地の違い。自分の感覚を大事にしたいランナーはグライドライドのほうが使い勝手が良いだろう。 そして、グライドライドを履きながら思った。この傾斜したソール構造を維持しながら、もう少しソール全体が薄くて軽いシューズができたら、中上級者のレース用として最高なんじゃないか? いや、きっとアシックスはもう次の手を考えているに違いない。何しろ来年は2020年、テクノロジーの集大成とも言えるシューズをリリースするはずだ。その時に我々はこのグライドライドが見せた世界が〝未来〟につながっていたことを理解するのかもしれない。 ◎文/山本慎一郎 <関連記事> 【アイテム】 「ピンなしスプリントシューズ」メタスプリント開発秘話 【アイテム】 アシックスが新コンセプトシューズ「METASPRINT(メタスプリント)」と 「METARACER(メタレーサー)」を発表 【PR】ASICSの〝先進的〟レーシングシューズ METASPRINT(メタスプリント)&METARACER(メタレーサー) 【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスのカーボンプレート搭載シューズ「METARACER(メタレーサー)」 【シューズレポ】サブスリー編集者が語る!! アシックスの高反発シューズ「NOVABLAST(ノヴァブラスト)」

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.12.11

タイの19歳ブーンソンが100m9秒94!!!日本記録上回るアジア歴代3位、U20世界選手権2大会ファイナル

東南アジア大会がタイ・バンコクのスパチャラサイ競技場で行われ、男子100mでタイのプリポル・ブーンソンが9秒94(+0.7)をマークした。 予選で出されたこの記録はアジア歴代で日本記録(9秒95:山縣亮太)を上回る3位。 […]

NEWS 青学大・原晋監督が最大のライバルに駒大 「勝つ知識、ノウハウを兼ね備える」 箱根V3へ不安材料は「経験者が少ない」

2025.12.11

青学大・原晋監督が最大のライバルに駒大 「勝つ知識、ノウハウを兼ね備える」 箱根V3へ不安材料は「経験者が少ない」

第102回箱根駅伝で3連覇を狙う青学大が、都内の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 壮行会後に記者会見が行われ、一番のライバル校を問われた原監督は「一番はやはり駒澤大学です。ここ11年 […]

NEWS 箱根駅伝V3へ青学大が壮行会 主将・黒田朝日「新たな歴史を作る舞台」 2年連続区間賞・塩出翔太「良い報告ができるように」

2025.12.11

箱根駅伝V3へ青学大が壮行会 主将・黒田朝日「新たな歴史を作る舞台」 2年連続区間賞・塩出翔太「良い報告ができるように」

第102回箱根駅伝で3連覇を狙う青学大が、都内の青山キャンパスで壮行会を開き、原晋監督やエントリー選手たちが登壇した。 お昼休みで多くの学生や教職員が集まるなか、原監督は「シーズン当初は新体制となり、学生たちには『勝つ確 […]

NEWS 青学大・原監督「バーディー×2」駒大・藤田監督「4本の柱」総合力の「上握り10貫」など指揮官たちが“前哨戦”/箱根駅伝トークバトル

2025.12.11

青学大・原監督「バーディー×2」駒大・藤田監督「4本の柱」総合力の「上握り10貫」など指揮官たちが“前哨戦”/箱根駅伝トークバトル

「第102回箱根駅伝トークバトル」が12月10日、東京・恵比寿ガーデンプレイスで行われた。 前回優勝校の青学大・原晋監督、同2位の駒大・藤田敦史監督、同3位の國學院大・前田康弘監督、同4位でトークバトル初登場の早大・花田 […]

NEWS 【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ

2025.12.10

【箱根駅伝エントリー】登録選手336人が決定 最多出身高は13年ぶりの駅伝名門校! 都道府県別では埼玉が2年連続トップ

第102回箱根駅伝のチームエントリーが12月10日に行われ、今回も1チーム16人、21チーム計336人が選手登録された。 登録選手を出身高校別に見ると、佐久長聖高(長野)が13人で最多となった。続いて、洛南高(京都)が1 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top