2022.07.15
世界選手権が7月15日から25日までの10日間で開催される。舞台は陸上大国・米国のオレゴン州ユージン。毎回、世界の陸上界が大きな盛り上がりを見せる大会で、米国開催は初めてだ。今回は世界の注目選手たちをお届け!これをチェックして、みんなでテレビの前から選手を応援しよう!※日付は日本時間
デュプランティス、ロハスが大記録樹立に挑戦
最大の注目は、やはり男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)だろう。世界選手権のタイトルこそまだ手にしていないが、昨年の東京五輪で金メダルを獲得。そして、3月の世界室内選手権では、自らの世界記録をついに6m20の大台へと乗せた。
6月30日に行われたダイヤモンドリーグ(DL)の地元ストックホルム大会では、これも自身が保持する屋外世界最高を1cm塗り替える6m16を樹立。「オレゴンで特別なことをする準備ができたと感じている」と語るように、コンディションは万全だ。
6mすらも軽々と越えるデュプランティスの初優勝は間違いなく、焦点は記録のみ。これまで、4度成し遂げた世界新ジャンプはいずれも屋内だったが、屋外で初の世界新なるか。
男子棒高跳決勝は大会最終日。世界室内では全競技が終わった後、大会最後の試技者として大記録を打ち立て、会場を熱狂させた。オレゴンでその再現となれば、名実ともに「スーパースター」として君臨する大会となるだろう。
同じく大記録樹立への期待がかかるのが、女子三段跳のユリマール・ロハス(ベネズエラ)だ。
昨年の東京五輪を26年ぶり世界新の15m67で制し、その記録を今年の世界室内では15m74へと塗り替えた。190㎝を超える長身から繰り出すダイナミックなホップ・ステップ・ジャンプで、世界室内では2位に1mもの大差をつけるほど圧倒的な存在だ。大会3連覇は濃厚で、見据えるのはただ1つ。女子初の「16m」ジャンプだ。
本来であれば、同じ大記録樹立候補として男子400mハードルのカールステン・ワルホルム(ノルウェー)を挙げたいところだが、今季初戦だった6月5日のDLラバトで左ハムストリングスを負傷。今大会への出場意志は示しているが、果たしてどこまで回復しているか。
今季は東京五輪銀、銅メダルのライ・ベンジャミン(米国)、アリソン・ドス・サントス(ブラジル)が引き続き好調で、3連覇を簡単には許してくれないだろう。
「最速」決める100mは男女とも大激戦予想
世界最速を決める「大会の華」100mは、男女ともに好レースの予感だ。
男子は東京五輪金メダルのラモント・マルセル・ジェイコブス(イタリア)が、5月に脚を痛めて出遅れたものの、6月後半のイタリア選手権で復帰。世界大会連覇に向けて、しっかりと仕上げてくるだろう。
迎え撃つのは地元米国カルテット。全米選手権1~3位のフレッド・カーリー、マーヴィン・ブレイシー、トレイヴォン・ブロメル、そして前回金メダルのワイルドカードで出場するクリスチャン・コールマンが、陸上大国のプライドに懸けて勝ちにくるだろう。
女子はジャマイカが誇るスプリント2強、30歳のエライン・トンプソン・ヘラーと、35歳のシェリーアン・フレイザー・プライスの激突に注目だ。東京五輪ではトンプソン・ヘラーが史上初の100m、200m2大会連続2冠の偉業を達成。フレイザー・プライスも2連覇に向け、今季世界リスト1位の10秒67を2度マークと好調だ。
決戦の舞台「ヘイワード・フィールド」は、昨年、今年の全米選手権で好記録を量産してきた超高速トラックだ。男子は史上3人しか到達していない9秒7未満の決着、女子は1988年にフローレンス・グリフィス・ジョイナー(米国)が作った世界記録10秒49が、34年ぶりに破られる時が来るかもしれない。
米国勢は地元で金メダルラッシュなるか
大会全体をリードするのは、やはり地元米国勢だろう。
男子短距離陣は、200mは2連覇を狙うノア・ライルズ、世界歴代4位の19秒49を樹立した驚異の18歳エリヨン・ナイトン、400mは元日本中学ナンバーワン・スプリンターの伸江さん(旧姓・斉藤)を母に持つマイケル・ノーマンら豪華メンバーが名を連ね、両リレーでも圧倒的な金メダル候補だ。
110mハードルも世界歴代2位(12秒81)、3位(12秒84)を持つグラント・ホロウェイ、デヴォン・アレンが出場。そして男子砲丸投の世界記録(23m37)保持者、ライアン・クルーザーが世界選手権初制覇へ今季も好調だ。
女子のエースは、400mハードルのシドニー・マクラフリン。世界記録を昨年は全米選手権(51秒90)、東京五輪(51秒46)と2度塗り替え、今年の全米選手権で51秒41へとさらに短縮した。地元世界選手権を4度目の世界新で飾ることができるか。
800mには昨年の東京五輪を19歳で制したアシング・ムー、100mハードルには世界記録(12秒20)保持者のケンドラ・ハリソン、円盤投には東京五輪女王のヴァラリー・オールマンらが出場。スタジアムには、何度も金メダリストを称える米国国歌が流れることになるだろう。
米国勢でもう1人名前を挙げたいのが、36歳のアリソン・フェリックスだ。これまで短距離と両リレーで獲得した金メダルは、世界選手権が男女を通じて最多の13個、五輪は7個の計20個というレジェンドが、今季限りでの引退を表明している。おそらく、この大会が彼女の「ラストラン」となるだろう。
全米選手権の400mで6位にとどまったため個人種目での出場は逃したが、大会初日の男女混合4×400mリレーでメンバー入りの可能性が高い。しかし、ここで存在感を示せば、大会最終種目が女子4×400mリレーで再びその雄姿を見ることができるかもしれない。米国陸上界を支えたスプリンターの花道を演出する、粋な計らいはあるだろうか。
このほかにも、注目選手は各種目にずらり。トラックでは、男子中長距離でヤコブ・インゲブリグトセン(ノルウェー)、5000m・10000mの世界記録を持つジョシュア・チェプテゲイ、東京五輪10000m覇者のセレモン・バレガらエチオピア勢を軸に、いずれもハイレベルの激戦となるだろう。
女子中長距離は、前回のドーハ大会、東京五輪で複数種目のタイトルを手にしたシファン・ハッサン(オランダ)が、果たして何種目に出場してくるかが最大の焦点。1500mでは五輪2連覇中のフェイス・キピエゴン(ケニア)、5000m、10000mは両種目の世界記録を持つレテセンベト・ギデイらエチオピア勢が最大のライバルとなる。
フィールドでは、男子ハンマー投のパウェル・ファイデク(ポーランド)の個人で史上2人目となる5連覇なるかに注目。男子やり投も今季93m07(世界歴代5位)をマークしている前回覇者のアンダーソン・ピータース(グレナダ)を中心、90mラインを挟んだ攻防が見られそうだ。女子走高跳はロシアからの侵攻を受けるウクライナのヤロスラワ・マフチウが、祖国に希望の金メダルを届けるべく挑む。
男子十種競技では五輪王者のダミアン・ワーナー(カナダ)が地元米国勢と競り合えば、五輪(9018点)に続く大台が見えるだろう。
盛り上がること間違いなしの世界陸上。米国・オレゴン州ユージンを舞台に、7月15日から24日までの10日間で開催される。
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最大の注目は、やはり男子棒高跳のアルマンド・デュプランティス(スウェーデン)だろう。世界選手権のタイトルこそまだ手にしていないが、昨年の東京五輪で金メダルを獲得。そして、3月の世界室内選手権では、自らの世界記録をついに6m20の大台へと乗せた。 6月30日に行われたダイヤモンドリーグ(DL)の地元ストックホルム大会では、これも自身が保持する屋外世界最高を1cm塗り替える6m16を樹立。「オレゴンで特別なことをする準備ができたと感じている」と語るように、コンディションは万全だ。 6mすらも軽々と越えるデュプランティスの初優勝は間違いなく、焦点は記録のみ。これまで、4度成し遂げた世界新ジャンプはいずれも屋内だったが、屋外で初の世界新なるか。 男子棒高跳決勝は大会最終日。世界室内では全競技が終わった後、大会最後の試技者として大記録を打ち立て、会場を熱狂させた。オレゴンでその再現となれば、名実ともに「スーパースター」として君臨する大会となるだろう。 同じく大記録樹立への期待がかかるのが、女子三段跳のユリマール・ロハス(ベネズエラ)だ。 昨年の東京五輪を26年ぶり世界新の15m67で制し、その記録を今年の世界室内では15m74へと塗り替えた。190㎝を超える長身から繰り出すダイナミックなホップ・ステップ・ジャンプで、世界室内では2位に1mもの大差をつけるほど圧倒的な存在だ。大会3連覇は濃厚で、見据えるのはただ1つ。女子初の「16m」ジャンプだ。 本来であれば、同じ大記録樹立候補として男子400mハードルのカールステン・ワルホルム(ノルウェー)を挙げたいところだが、今季初戦だった6月5日のDLラバトで左ハムストリングスを負傷。今大会への出場意志は示しているが、果たしてどこまで回復しているか。 今季は東京五輪銀、銅メダルのライ・ベンジャミン(米国)、アリソン・ドス・サントス(ブラジル)が引き続き好調で、3連覇を簡単には許してくれないだろう。「最速」決める100mは男女とも大激戦予想
世界最速を決める「大会の華」100mは、男女ともに好レースの予感だ。 男子は東京五輪金メダルのラモント・マルセル・ジェイコブス(イタリア)が、5月に脚を痛めて出遅れたものの、6月後半のイタリア選手権で復帰。世界大会連覇に向けて、しっかりと仕上げてくるだろう。 迎え撃つのは地元米国カルテット。全米選手権1~3位のフレッド・カーリー、マーヴィン・ブレイシー、トレイヴォン・ブロメル、そして前回金メダルのワイルドカードで出場するクリスチャン・コールマンが、陸上大国のプライドに懸けて勝ちにくるだろう。 女子はジャマイカが誇るスプリント2強、30歳のエライン・トンプソン・ヘラーと、35歳のシェリーアン・フレイザー・プライスの激突に注目だ。東京五輪ではトンプソン・ヘラーが史上初の100m、200m2大会連続2冠の偉業を達成。フレイザー・プライスも2連覇に向け、今季世界リスト1位の10秒67を2度マークと好調だ。 決戦の舞台「ヘイワード・フィールド」は、昨年、今年の全米選手権で好記録を量産してきた超高速トラックだ。男子は史上3人しか到達していない9秒7未満の決着、女子は1988年にフローレンス・グリフィス・ジョイナー(米国)が作った世界記録10秒49が、34年ぶりに破られる時が来るかもしれない。米国勢は地元で金メダルラッシュなるか
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