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三浦龍司インタビュー 再び世界と激突!「楽しみ4割、怖さもあるし絶望感を味わう」/世界陸上


間近に迫るオレゴン世界選手権に、大学3年生の“同級生ハードラー”3人が代表入りしている。110mハードルの村竹ラシッド(順大)、400mハードルの黒川和樹(法大)、そして3000m障害の三浦龍司(順大)だ。

世界選手権特集としてこの3選手にインタビュー! 今シーズンの振り返りから世界選手権での意気込み、同期の存在、そしてプライベートな一面まで聞いた。

収穫と課題が見つかった日本選手権

連覇の懸かった日本選手権は圧巻の一言だった。前年に自らが作った大会記録を塗り替える8分14秒47で連覇を果たし、初の世界選手権代表に内定。

――世界陸上の内定おめでとうございます。もうすぐ開幕ですが現在はどんな心境ですか。

三浦 ひと安心、というのはありません。ハイレベルな世界選手権を前に調整などに気を遣っているところです。ダイヤモンドリーグ(7月1日/ストックホルム大会3000m)を世界陸上の予行演習にしました。

――あらためて日本選手権の走りを振り返っていただけますか。8分14秒47の大会新記録で連覇でした。

三浦 やりたいことは走りの中で形としてできましたが、満足度はそこまでありません。前半は快調に飛ばせたのですが、後半でもう少しピリッとさせたかったです。(1000m)2分40秒を切るくらいでいければ良かったのですが……。

障害を越える体力や技術は向上していて悪くないですし、スピード持久力はつけられています。ただ、国際大会前としては少し間延びしてしまい、キレ味という点で良かったとは言えません。

――今回、新たに残り1000mで足をハードルにかけずに跳ばれました。世界を見据えてのことだったと思います。

三浦 それほど悪くはなかったですが、やっぱり切り替えるタイミングというのはラスト1周とか、自分がやりたいタイミング、勝負どころで使うほうがいいのかなと思いました。もちろん、いずれはいろいろなパターンを使えるようになれればと考えていますが、現段階では、ですね。

「フラフラになるまで」練習している

今季は春から快走を続け、1500mで日本歴代2位の3分36秒59をマークすると、5000mで織田記念、関東インカレで優勝。

――今季は1500m、5000mでも結果が出ています。どんな取り組みが成長につながっているのでしょう。

三浦 取り組みを前年から変えずにいたからだと思っています。1年前の流れでクロスカントリーを使って脚力が上がるのは確認できていました。同じ流れでも“質”は自然と高くなります。その瞬発力が1500mに生きたと思います。

特に1500m、5000mに向けた取り組みをしたわけではありません。積み上げてきた結果として1500mのタイムに出て、それが5000m、3000m障害に噛み合ってきます。これらはかなり高い確率で連動すると思っていますし、高校時代からそう思ってきました。

――シーズン中はどれくらい障害の練習をしますか。

三浦 脚合わせなどはレースが近づいてきてからですね。インターバルの頻度や質を上げていきます。本来であれば、もう少し試合期で増やしていって身体に覚えさせるほうが理想なのかもしれません。

――三浦選手はレースでも軽々と走っていて、フィニッシュ後も涼しい表情に見えます。

三浦 もちろん、死にそうになるほどちゃんと追い込んでいますよ(笑)。特に合宿ではフラフラになります。でも、倒れ込んだほうがきついので動いたほうがいい。レースでも練習でもぶっ倒れるという概念はなくてそれが癖になっています。

――国内を拠点にしながら「世界」をどのように意識していますか。

三浦 確かにオリンピックという強烈な経験をしたので難しい部分はあります。レースであれば、自分のラップや感覚を大事にして『これでは世界と戦えない』と満足しないようにしています。練習においては、まだまだやれることはあると感じています。今の環境でも十分に追い込める余地がありますし、質を上げるという点で限界は感じていません。

――油断することはない、と。

三浦 しっかり緊張感を持って、慢心しないようにと心掛けています。やっぱり、高2のインターハイの経験(※日本人ランキングトップながら予選で接触により失格)。あの痛い思い出のお陰であるので気を引き締められます。

競り合う場面で勝負したい


昨年、初の世界大会だった東京五輪で7位入賞の快挙を成し遂げた。1年間で日本記録を3度も更新。学生の枠を飛び越えて、日本陸上界のシンボル的なアスリートになった。三浦にとって2度目の世界をどう見据えているのだろか。

――東京五輪に続いて2度目の世界大会となりますね。

三浦 若いうちから下積みじゃないですが、こうした経験ができるのは、目標達成のための準備期間が増えるのでアドバンテージですよね。今だからこそ怖さ、強さを感じられる。

――前回入賞者として、今回は“無名の選手”というわけにいきません。

三浦 オリンピックでは相手にされていない感じがありましたが、今回はそうはいかないでしょうね。すぐに刈り取られるかもしれないです。そうやって選手として意識してもらえる感覚があったとすれば、選手としてレベルアップできた時だと感じられるように思います。

――ちなみに三浦選手は緊張ってされますか?

三浦 緊張しますよ! 寝られないということはありませんが。周囲の目というよりはタイムを上げたい、やらなきゃなっていう心の準備ですね。

――日本選手権後からここまでの調子は。

三浦 障害を越える時の接地時のダメージに耐える補強、特に中臀筋、大臀筋を中心に強化してきました。気になっているところを克服できる手応えがあります。

――どんなレースになりそうか想像していますか。目標と合わせて教えてください。

三浦 楽しみ4割。残りは怖さもあるし、絶望感を味わうんだろうなと思っています。でも、長距離選手は“ドM”なので(笑)。入賞を求められるという覚悟はしているので、上位入賞を目指していきます。東京五輪の時のように競り合う場面で引かないで勝負したい。絶好のチャンスなので自己ベストを更新したいです。

日常生活のQ&A

世界陸上に初出場の3人の活躍にますます期待がかかる。そんな3人はまだ大学3年生。普段の生活は普通の大学生と同じだという。世界の舞台で戦う大学生の、競技以外でのプライベートな一面は?

Q休日の日の過ごし方
A部活の友達とショッピングに行くか、家にいる時は大体寝ていますね。最近はみんなに勧められて、アニメも見ることがあります。あと、最近は趣味を見つけたいなって思っています!

Q試合前に聴く音楽
A洋楽や、Maroon5というアーティストの曲を聴いています。

Q練習で走っている時は何を考えているの?
A練習の時は今日の晩ご飯なにかな、とか考えることが多いです(笑)。走りのリズムがうまくいくと、「今日いけてんじゃん!」と思うこともあります。

Q学校生活はどうですか
A最近は対面授業が始まったので、やっと大学生らしいことができています!

Q陸上を続けてきて、走るのが嫌だなと思ったことは?
A陸上を辞めたいと思ったことはないですね。陸上に全振りしたので今さら辞められません。自分の命綱みたいなものなので。陸上は好きでやっていますし、結果を出し続けている今も、もちろん楽しいです。

Q黒川選手、村竹選手など同期の存在は?
A黒川とは東京五輪で一緒でしたし、村竹とも最近はよく話します。ブロック関係なく、お互いに刺激をもらい合えていると思います。

三浦龍司(みうら・りゅうじ)
2002年2月11日生まれ、島根県出身の20歳。浜田東中→京都・洛南高→順大
3000m障害の自己ベストは8分09秒92(21年)

構成/向永拓史

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