HOME ニュース、国内

2022.06.12

7分台見据える三浦龍司「世界にはまだ上がいる。自分の範疇の中で走っていては、とうてい追いつけない」/日本選手権
7分台見据える三浦龍司「世界にはまだ上がいる。自分の範疇の中で走っていては、とうてい追いつけない」/日本選手権


◇第106回日本選手権(6月9日~12日/大阪・ヤンマースタジアム長居)3日目

雨中のレースとなった男子3000m障害は、昨夏の東京五輪で7位入賞を果たした三浦龍司(順大)が圧巻の強さを見せた。

スタート直後から先頭に立ち、「(1000mを)2分45秒で押していくのがレースプランだった」と、序盤から積極的にレースを牽引した。入りの1000mを予定通り2分45秒で通過すると、このハイペースに東京五輪代表の青木涼真(Honda)と山口浩勢(愛三工業)も付いていけず。ただ一人、荻野太成(旭化成)が食らいつくも、2000mを前に後退した。

2000mを5分32秒で通過すると、最後の1000mは三浦の独走状態。昨年自身がマークした大会記録を塗り替える、8分14秒47で2連覇を果たした。

「去年に比べれば、良いレースはできたと思いますし、世界選手権を決めることができたという意味では安心しました」

すでにオレゴン世界選手権の標準記録を突破しているため、日本代表内定を手にしたことに安堵を口にした。

広告の下にコンテンツが続きます

今季、初戦の金栗記念は1500mに出場し、日本歴代2位の3分36秒69をマークして、遠藤日向(住友電工)らを抑えて優勝を果たした。さらに、織田記念では5000mを13分32秒42で制し、“専門外”の種目でも圧倒的な力を示した。ただ、「スピード、スタミナと言う面に関しては十分な力が付いている」と手応えを口にした一方で、「ラスト1000mからハードリングに切り替えたんですけど、脚の筋力などフィジカル面はまだまだ足りない。キレの部分など、追い込むというところに関しては課題が見えた。3000m障害でしか用いられない力、技術が、不十分だったなと思います」と、圧勝にも反省点を見出していた。

その意識の高さは、世界で戦うための覚悟でもある。

「海外のレースでギルマ選手(エチオピア)が7分台を出して、すごく刺激になった。自己ベストが出たところで、世界にはまだまだ上がいるという意識を持つことが大事。国内で、自分の範疇の中で走っていては、とうてい追いつけないし、克服すべき課題を一つひとつ見つけて強化していかないといけない」

三浦の1歳上のラメチャ・ギルマは、今季、5月31日、6月5日、9日と、3試合連続で7分台をマークしており、三浦は対抗心を燃やしている。今季の目標タイムを聞かれると、「“8分は切ります”と断言したいです」と7分台の大台へ、決意を表明した。

その前に、まずは世界選手権で自身の持つ日本記録(8分09秒92)を更新して、入賞を目指す。

三浦の他にも、東京五輪に出場した3選手が強さを見せ、2位に青木、3位に山口と表彰台を占めた。青木は自己ベストとなる8分20秒09をマークし、標準記録をもクリアして、世界選手権出場を決めた。一方で、3位の山口は8分23秒29とわずかに届かず、即内定とはならなかった。

文/和田悟志

◇第106回日本選手権(6月9日~12日/大阪・ヤンマースタジアム長居)3日目 雨中のレースとなった男子3000m障害は、昨夏の東京五輪で7位入賞を果たした三浦龍司(順大)が圧巻の強さを見せた。 スタート直後から先頭に立ち、「(1000mを)2分45秒で押していくのがレースプランだった」と、序盤から積極的にレースを牽引した。入りの1000mを予定通り2分45秒で通過すると、このハイペースに東京五輪代表の青木涼真(Honda)と山口浩勢(愛三工業)も付いていけず。ただ一人、荻野太成(旭化成)が食らいつくも、2000mを前に後退した。 2000mを5分32秒で通過すると、最後の1000mは三浦の独走状態。昨年自身がマークした大会記録を塗り替える、8分14秒47で2連覇を果たした。 「去年に比べれば、良いレースはできたと思いますし、世界選手権を決めることができたという意味では安心しました」 すでにオレゴン世界選手権の標準記録を突破しているため、日本代表内定を手にしたことに安堵を口にした。 今季、初戦の金栗記念は1500mに出場し、日本歴代2位の3分36秒69をマークして、遠藤日向(住友電工)らを抑えて優勝を果たした。さらに、織田記念では5000mを13分32秒42で制し、“専門外”の種目でも圧倒的な力を示した。ただ、「スピード、スタミナと言う面に関しては十分な力が付いている」と手応えを口にした一方で、「ラスト1000mからハードリングに切り替えたんですけど、脚の筋力などフィジカル面はまだまだ足りない。キレの部分など、追い込むというところに関しては課題が見えた。3000m障害でしか用いられない力、技術が、不十分だったなと思います」と、圧勝にも反省点を見出していた。 その意識の高さは、世界で戦うための覚悟でもある。 「海外のレースでギルマ選手(エチオピア)が7分台を出して、すごく刺激になった。自己ベストが出たところで、世界にはまだまだ上がいるという意識を持つことが大事。国内で、自分の範疇の中で走っていては、とうてい追いつけないし、克服すべき課題を一つひとつ見つけて強化していかないといけない」 三浦の1歳上のラメチャ・ギルマは、今季、5月31日、6月5日、9日と、3試合連続で7分台をマークしており、三浦は対抗心を燃やしている。今季の目標タイムを聞かれると、「“8分は切ります”と断言したいです」と7分台の大台へ、決意を表明した。 その前に、まずは世界選手権で自身の持つ日本記録(8分09秒92)を更新して、入賞を目指す。 三浦の他にも、東京五輪に出場した3選手が強さを見せ、2位に青木、3位に山口と表彰台を占めた。青木は自己ベストとなる8分20秒09をマークし、標準記録をもクリアして、世界選手権出場を決めた。一方で、3位の山口は8分23秒29とわずかに届かず、即内定とはならなかった。 文/和田悟志

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.05.01

東京メトロに伊東明日香が入部 「競技が続けられる環境があることに感謝」

東京メトロは5月1日、伊東明日香が入部したと発表した。今年3月31日に埼玉医科大グループを退部していた。 伊東は東京・順天高時代から全国高校駅伝に出場。東洋大進学後は全日本女子大学駅伝や富士山女子駅伝など全国大会に出走し […]

NEWS 九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

2025.05.01

九電工にケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが加入 ハーフマラソンなどロードが主戦場

九電工は5月1日、ケニア出身のキプンゲノ・ニアマイアが同日付で加入したと発表した。 ニアマイアはケリンゲット高出身の27歳。ハーフマラソンや10kmなどロードレースを主戦場としている。自己ベストは5000m13分57秒3 […]

NEWS アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!

2025.05.01

アディダスによるスポーツを通じたグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET」が今年も開催!

アディダス ジャパンは、未来のスポーツ環境を支えるためのグローバルムーブメント「MOVE FOR THE PLANET(ムーブ・フォー・ザ・プラネット)」を5月12日~25日まで開催することを発表した。5月12日の計測開 […]

NEWS 水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

2025.04.30

水戸招待のエントリー発表! 棒高跳に柄澤智哉、山本聖途、諸田実咲ら男女トップ集結 戸邉直人、城山正太郎も出場予定

5月5日に行われる日本グランプリシリーズ第7戦「2025水戸招待陸上」のエントリー選手が発表された。男子棒高跳には東京五輪代表の山本聖途(トヨタ自動車)、江島雅紀(富士通)や世界選手権代表経験のある柄澤智哉(東京陸協)ら […]

NEWS 【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

2025.04.30

【連載】上田誠仁コラム雲外蒼天/第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」

山梨学大の上田誠仁顧問の月陸Online特別連載コラム。これまでの経験や感じたこと、想いなど、心のままに綴っていただきます! 第56回「昭和100年とスポーツ用具の進化」 昨年は記念大会となる第100回箱根駅伝が開催され […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年4月号 (3月14日発売)

2025年4月号 (3月14日発売)

東京世界選手権シーズン開幕特集
Re:Tokyo25―東京世界陸上への道―
北口榛花(JAL) 
三浦龍司(SUBARU)
赤松諒一×真野友博
豊田 兼(トヨタ自動車)×高野大樹コーチ
Revenge
泉谷駿介(住友電工)

page top