HOME ニュース、国内

2022.05.08

相澤晃が2年ぶりV 後輩・遠藤の走りに刺激 「標準記録を切るための好材料」/日本選手権10000m
相澤晃が2年ぶりV 後輩・遠藤の走りに刺激 「標準記録を切るための好材料」/日本選手権10000m


◇日本選手権10000m(5月7日/国立競技場)

5月7日に国立競技場で開催された日本選手権男子10000mで、相澤晃(旭化成)が27分42秒85で2年ぶり2度目の優勝を果たした。

オレゴン世界選手権の代表選考も兼ねているこのレース。資格記録の良い選手が集まった2組は20時24分にスタートした。気温19度、湿度81%とやや蒸し暑いコンディション。オープン参加のクレオファス・カンディエ(三菱重工)とロジャース・ケモイ(愛三工業)の2人が交代でペースをつくり、レースを進めた。相澤は集団の中ほどに位置を取り、日本人のトップは目まぐるしく変わったが、相澤はなかなか前には出ていかない。

広告の下にコンテンツが続きます

先頭集団と相澤がいる第2集団が離れたタイミングもあったが、中盤で1周のペースが70秒ほどに落ちた。6000m手前で相澤は田澤廉(駒大)、伊藤達彦(Honda)らとともに先頭に追いつき、大きな集団を形成した。残り3周となったところでペースを上げ、先頭はカンディエ、ケモイ、相澤の3人に。そのままペースを落とすことなく、最後は「1」を掲げてゴールした。

「気温はそれほど高くなかったんですけど、蒸し暑い中のレースで前半からきつかったです。なかなか前に行くことができなかったんですけど、中盤しっかり粘って後半先頭についていって、最後まで押していけたというのは、自分にとって次の大会で標準を切るための好材料だったと思います」とレースを振り返った相澤。昨年の日本選手権10000mで優勝した伊藤をライバルと考えてしっかりマークしつつ、先頭との距離を確認しようと思いながら走っていたため、前半は自重してしまったという。

日本選手権ではオレゴン世界選手権の派遣標準記録(27分28秒00)を切ることはできなかった。6月22日にホクレン・ディスタンスチャレンジの20周年記念大会が開催されるが、ここが標準突破に向けて最後のチャンスになる。「どんなにキツくても、タイムを狙って、タイムを追って走れればいいと思います」という相澤。ここからもう一段階いい練習ができれば、自らの持つ日本記録(27分18秒75)を更新し、27分10秒ぐらいは出せるという感覚があるという。練習自体はしっかりできているが、昨年の東京オリンピック、八王子ロングディスタンスと、ここぞというところでピーキングが合わないという大会が続いた。そこをしっかり調整してホクレンに臨んでいきたいと話す。

広告の下にコンテンツが続きます

東京五輪と同じ国立競技場でのレース。しかし五輪は無観客だったたため、この会場で観客の応援を受けて走る初めてのレースとなった。「応援してくださる方の気持ちがすごく伝わってきたので、応援の力もあって最後まで走り切れたと思います」と感謝の言葉を口にした。

5月4日のゴールデンゲームズinのべおかでは、福島・学法石川高時代の後輩である遠藤日向(住友電工)が5000mで13分10秒69の日本歴代2位で走り、世界選手権の派遣標準記録(13分13秒50)も突破した。インターネットのライブ配信で遠藤の走りを見ていたという相澤は「彼の走りや涙にくるものがあった」といい、自分も遠藤に続けるような走りができればと考えていた。それだけに「標準を切ることができなかったのですごく悔しい」。日本記録保持者のプライドも胸に、6月のラストチャンスでオレゴン内定をしっかりと決めたい。

文/藤井みさ

◇日本選手権10000m(5月7日/国立競技場) 5月7日に国立競技場で開催された日本選手権男子10000mで、相澤晃(旭化成)が27分42秒85で2年ぶり2度目の優勝を果たした。 オレゴン世界選手権の代表選考も兼ねているこのレース。資格記録の良い選手が集まった2組は20時24分にスタートした。気温19度、湿度81%とやや蒸し暑いコンディション。オープン参加のクレオファス・カンディエ(三菱重工)とロジャース・ケモイ(愛三工業)の2人が交代でペースをつくり、レースを進めた。相澤は集団の中ほどに位置を取り、日本人のトップは目まぐるしく変わったが、相澤はなかなか前には出ていかない。 先頭集団と相澤がいる第2集団が離れたタイミングもあったが、中盤で1周のペースが70秒ほどに落ちた。6000m手前で相澤は田澤廉(駒大)、伊藤達彦(Honda)らとともに先頭に追いつき、大きな集団を形成した。残り3周となったところでペースを上げ、先頭はカンディエ、ケモイ、相澤の3人に。そのままペースを落とすことなく、最後は「1」を掲げてゴールした。 「気温はそれほど高くなかったんですけど、蒸し暑い中のレースで前半からきつかったです。なかなか前に行くことができなかったんですけど、中盤しっかり粘って後半先頭についていって、最後まで押していけたというのは、自分にとって次の大会で標準を切るための好材料だったと思います」とレースを振り返った相澤。昨年の日本選手権10000mで優勝した伊藤をライバルと考えてしっかりマークしつつ、先頭との距離を確認しようと思いながら走っていたため、前半は自重してしまったという。 日本選手権ではオレゴン世界選手権の派遣標準記録(27分28秒00)を切ることはできなかった。6月22日にホクレン・ディスタンスチャレンジの20周年記念大会が開催されるが、ここが標準突破に向けて最後のチャンスになる。「どんなにキツくても、タイムを狙って、タイムを追って走れればいいと思います」という相澤。ここからもう一段階いい練習ができれば、自らの持つ日本記録(27分18秒75)を更新し、27分10秒ぐらいは出せるという感覚があるという。練習自体はしっかりできているが、昨年の東京オリンピック、八王子ロングディスタンスと、ここぞというところでピーキングが合わないという大会が続いた。そこをしっかり調整してホクレンに臨んでいきたいと話す。 東京五輪と同じ国立競技場でのレース。しかし五輪は無観客だったたため、この会場で観客の応援を受けて走る初めてのレースとなった。「応援してくださる方の気持ちがすごく伝わってきたので、応援の力もあって最後まで走り切れたと思います」と感謝の言葉を口にした。 5月4日のゴールデンゲームズinのべおかでは、福島・学法石川高時代の後輩である遠藤日向(住友電工)が5000mで13分10秒69の日本歴代2位で走り、世界選手権の派遣標準記録(13分13秒50)も突破した。インターネットのライブ配信で遠藤の走りを見ていたという相澤は「彼の走りや涙にくるものがあった」といい、自分も遠藤に続けるような走りができればと考えていた。それだけに「標準を切ることができなかったのですごく悔しい」。日本記録保持者のプライドも胸に、6月のラストチャンスでオレゴン内定をしっかりと決めたい。 文/藤井みさ

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.09.07

【男子1500m】近藤潤(BEAT AC/中3)3分55秒44=中学歴代10位タイ

第3回亀岡陸協ナイター記録会が9月6日、京都府亀岡市の亀岡運動公園陸上競技場で行われ、男子1500mでは近藤潤(BEAT AC/中3)が中学歴代10位タイの3分55秒44をマークした。 これまでの自己ベストは、8月上旬の […]

NEWS 女子ハンマー投・河戸咲希(名古屋大谷高2)が55m56 自身の持つ高2歴代3位を更新

2025.09.07

女子ハンマー投・河戸咲希(名古屋大谷高2)が55m56 自身の持つ高2歴代3位を更新

9月6日に行われた愛知県高校新人対校大会名古屋南北支部予選南女子ハンマー投で、河戸咲希(名古屋大谷2)が55m56を放った。自身が7月のインターハイで出した高2歴代3位(54m56)を更新した。 河戸は1投目に53m67 […]

NEWS 七種競技アナ・ホール「表彰台の頂点に立ちたい」世界記録は「最も難しいものの一つ」/東京世界陸上

2025.09.06

七種競技アナ・ホール「表彰台の頂点に立ちたい」世界記録は「最も難しいものの一つ」/東京世界陸上

女子七種競技で世界歴代2位タイの7032点を持つアナ・ホール(米国)が9月6日、都内で練習を公開し、本誌の単独取材に応じた。 早くから期待を集めてきたが、21年の東京五輪トライアルだった全米選手権で足首を痛めて途中棄権。 […]

NEWS 【女子棒高跳】大豆生田花音(樹徳高2)4m05=高校歴代6位タイ、高2歴代2位

2025.09.06

【女子棒高跳】大豆生田花音(樹徳高2)4m05=高校歴代6位タイ、高2歴代2位

第78回群馬県高校対抗大会が9月6日、前橋市の正田醤油スタジアム群馬で開幕し、女子棒高跳で大豆生田花音(樹徳2)が高校歴代6位タイ、高2歴代2位の4m05に成功して優勝した。 これまでの自己ベストは、3月下旬の群馬県室内 […]

NEWS 砲丸投ライアン・クルーザー 肘を痛め復活へ「逆境を乗り越えて誇りに思う」/東京世界陸上

2025.09.06

砲丸投ライアン・クルーザー 肘を痛め復活へ「逆境を乗り越えて誇りに思う」/東京世界陸上

男子砲丸投の世界記録保持者のライアン・クルーザー(米国)が9月6日、都内で練習を公開し、本誌の単独取材に応じた。 23m56の世界記録を持ち、五輪初の3連覇、世界選手権も2連覇中のクルーザー。だが、今季は肘のケガもあり、 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年9月号 (8月12日発売)

2025年9月号 (8月12日発売)

衝撃の5日間
広島インターハイ特集!
桐生祥秀 9秒99

page top