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2022.05.08

廣中璃梨佳が連覇達成して初の世界選手権代表に「またあの舞台に戻りたい」/日本選手権10000m
廣中璃梨佳が連覇達成して初の世界選手権代表に「またあの舞台に戻りたい」/日本選手権10000m


◇日本選手権10000m(5月6日/国立競技場)

日本選手権女子10000mが5月7日に開催され、廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が31分30秒34で2連覇を果たした。参加標準記録を突破していたことで、7月に米国オレゴンで開催される世界選手権の代表に内定した。

レース前に世界選手権の参加標準記録(31分25秒00)を突破していたのは廣中のほか、不破聖衣来(拓大)、五島莉乃(資生堂)、安藤友香(ワコール)、小林成美(名城大4年)の4名。このうち安藤はアジア大会のマラソン代表に内定(※後に大会延期が決定)していたためエントリーを見送り、不破は右アキレス腱周囲炎のため棄権した。

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レースはスタートと同時に、五島が先頭に立ち引っ張る形となる。しばらくは大きな集団が形成されたが、2000m手前あたりで集団は五島、矢田みくに(デンソー)、廣中、萩谷楓(エディオン)、佐藤早也伽(積水化学)とオープン参加のカマウ・タビタ(三井住友海上)の6人となった。

1000m3分07秒、2000m6分14秒(3分7秒)、3000m9分24秒(3分10秒)、4000m12分36秒(3分12秒)とペースが徐々に落ちてきたところで、タビタが飛び出して独走。第2集団は五島、廣中、萩谷、矢田の4人となり前を追った。

7000m手前で廣中と萩谷の2人が集団から抜け出し、優勝争いはこの2人に絞られた。残り6周となった7600m地点で廣中はそれまでかぶっていた帽子を脱ぎ捨てるとペースアップ。会場からは大きな拍手が沸き起こった。廣中と萩谷はそれぞれが前に出て、争いながらラスト2000mを走っていたが、ラスト1周の鐘を聞くと廣中がペースアップ。萩谷を引き離し、前を行くタビタも抜く勢いでスパートをかけ、笑顔でフィニッシュに飛び込んだ。

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「前半は余裕を持って後半につなげていきたい」というレースプランを描いてスタートし、ほぼその想定通りになった。だが1ヵ月前は貧血による体調不良で、この場に立てるかどうかという状態だったという。「体調が悪い中でもやっていけることを1日1日やっていきながら、ここに向けてしっかりと合わせていきたいという気持ちでやってきました」。4月29日の織田記念では5000mを走る予定だったが、棄権した。「悔しさは本当にあったんですけど、それでも世界を優先したいと監督と話して『それだったら一緒に戦おう』と言ってもらえたので、ここにしっかりと合わせていきたいという気持ちに変わりました」と話す。

ディフェンディング・チャンピオンという立場ではあったが、自らの状態が万全ではなかったこともあり、そのことに対する「プレッシャーはあまりなかった」という。2連覇を考えず、確実に世界陸上を決める3位以内と考えて走り、結果がついてきたことに「本当に良かったなと思います」と笑顔を見せる。

廣中は昨年の東京五輪で5000mと10000mを走り、5000mでは日本記録で9位、10000mでは7位に入賞した。世界トップレベルの決勝の舞台を経験したことが大きなきっかけとなり、「またあの舞台に戻りたい」「あの選手と一緒に走りたい」という気持ちになれた。世界陸上を経験し、パリオリンピックにつなげていきたいと展望を語る。

支えてくれている人たち、観客の存在が大きな力になったという廣中。6月の日本選手権5000mでも世界陸上の代表を狙っていく。「世界も見据えながらそこが通過点となれるように、しっかりと勝負していきたいです」。廣中の目は高みを見据えている。

◇3位・五島も世界選手権代表に内定

世界選手権の参加標準記録を突破していた五島莉乃(資生堂)も3位に入って代表に内定。序盤から五島らしくフロントランを貫き、最後も粘りきった。「自分らしさを生かして積極的に前に出るレースができました」とうれし涙をうかべていた。

文/藤井みさ

◇日本選手権10000m(5月6日/国立競技場) 日本選手権女子10000mが5月7日に開催され、廣中璃梨佳(日本郵政グループ)が31分30秒34で2連覇を果たした。参加標準記録を突破していたことで、7月に米国オレゴンで開催される世界選手権の代表に内定した。 レース前に世界選手権の参加標準記録(31分25秒00)を突破していたのは廣中のほか、不破聖衣来(拓大)、五島莉乃(資生堂)、安藤友香(ワコール)、小林成美(名城大4年)の4名。このうち安藤はアジア大会のマラソン代表に内定(※後に大会延期が決定)していたためエントリーを見送り、不破は右アキレス腱周囲炎のため棄権した。 レースはスタートと同時に、五島が先頭に立ち引っ張る形となる。しばらくは大きな集団が形成されたが、2000m手前あたりで集団は五島、矢田みくに(デンソー)、廣中、萩谷楓(エディオン)、佐藤早也伽(積水化学)とオープン参加のカマウ・タビタ(三井住友海上)の6人となった。 1000m3分07秒、2000m6分14秒(3分7秒)、3000m9分24秒(3分10秒)、4000m12分36秒(3分12秒)とペースが徐々に落ちてきたところで、タビタが飛び出して独走。第2集団は五島、廣中、萩谷、矢田の4人となり前を追った。 7000m手前で廣中と萩谷の2人が集団から抜け出し、優勝争いはこの2人に絞られた。残り6周となった7600m地点で廣中はそれまでかぶっていた帽子を脱ぎ捨てるとペースアップ。会場からは大きな拍手が沸き起こった。廣中と萩谷はそれぞれが前に出て、争いながらラスト2000mを走っていたが、ラスト1周の鐘を聞くと廣中がペースアップ。萩谷を引き離し、前を行くタビタも抜く勢いでスパートをかけ、笑顔でフィニッシュに飛び込んだ。 「前半は余裕を持って後半につなげていきたい」というレースプランを描いてスタートし、ほぼその想定通りになった。だが1ヵ月前は貧血による体調不良で、この場に立てるかどうかという状態だったという。「体調が悪い中でもやっていけることを1日1日やっていきながら、ここに向けてしっかりと合わせていきたいという気持ちでやってきました」。4月29日の織田記念では5000mを走る予定だったが、棄権した。「悔しさは本当にあったんですけど、それでも世界を優先したいと監督と話して『それだったら一緒に戦おう』と言ってもらえたので、ここにしっかりと合わせていきたいという気持ちに変わりました」と話す。 ディフェンディング・チャンピオンという立場ではあったが、自らの状態が万全ではなかったこともあり、そのことに対する「プレッシャーはあまりなかった」という。2連覇を考えず、確実に世界陸上を決める3位以内と考えて走り、結果がついてきたことに「本当に良かったなと思います」と笑顔を見せる。 廣中は昨年の東京五輪で5000mと10000mを走り、5000mでは日本記録で9位、10000mでは7位に入賞した。世界トップレベルの決勝の舞台を経験したことが大きなきっかけとなり、「またあの舞台に戻りたい」「あの選手と一緒に走りたい」という気持ちになれた。世界陸上を経験し、パリオリンピックにつなげていきたいと展望を語る。 支えてくれている人たち、観客の存在が大きな力になったという廣中。6月の日本選手権5000mでも世界陸上の代表を狙っていく。「世界も見据えながらそこが通過点となれるように、しっかりと勝負していきたいです」。廣中の目は高みを見据えている。 ◇3位・五島も世界選手権代表に内定 世界選手権の参加標準記録を突破していた五島莉乃(資生堂)も3位に入って代表に内定。序盤から五島らしくフロントランを貫き、最後も粘りきった。「自分らしさを生かして積極的に前に出るレースができました」とうれし涙をうかべていた。 文/藤井みさ

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