HOME ニュース、国内

2022.01.31

松田瑞生が世界への快走 日本歴代5位で3度目Vも涙「悔しい」/大阪国際女子マラソン
松田瑞生が世界への快走 日本歴代5位で3度目Vも涙「悔しい」/大阪国際女子マラソン


◇第40回大阪国際女子マラソン(1月30日/大阪・ヤンマースタジアム長居発着)

日本歴代5位となる2時間20分52秒の自己新で地元・大阪を駆け抜け、この大会3戦3勝とした。それでも松田瑞生(ダイハツ)はフィニッシュ後に「悔しい」と目に涙を浮かべた。

気温8度、風もほとんど感じない絶好のコンディション。日本記録も見据える男子ペースメーカーに序盤からついたのは松田と上杉真穂(スターツ)の2人だけだった。「世界選手権の代表を目指す」と松田。5km通過は16分28秒。「前半から果敢に攻めた」と言うが、このあたりで山中美和子監督は「少しペースが落ちて心配なところがあった」と振り返る。ハーフは1時間9分57秒で通過した。

広告の下にコンテンツが続きます

30kmを手前に上杉が遅れ、松田は男子ペースメーカーに囲まれるかたちで「半歩後ろ」でしっかり歩を進める。後半もややペースが落ちたが、最後は切り替えてペースアップ。日本人女子で5人目の2時間21分切りで、見事に優勝を飾った。

松田は「2年ぶりに大阪に帰ってこられて優勝できた」と喜んだのもつかの間「率直に悔しかった」と涙。「自分の目標は達成できなかった」。オレゴン世界選手権の派遣設定記録は2時間23分18秒。松田はそれ以上に、「最低ライン」として目指したのが、一山麻緒(ワコール)が20年の名古屋ウィメンズマラソンでマークした国内日本最高記録となる2時間20分29秒だった。その記録を目指すことに意味があった。

19年9月の東京五輪選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で4位となり、夢の東京五輪代表は勝ち取ることができなかった。残す1枠の代表を目指し再起を誓った松田は、20年の大阪国際女子マラソンで2時間21分47の自己新。代表をたぐり寄せた…はずだった。だが、続く名古屋で一山がその記録を上回り、松田は東京五輪の補欠に回った。

涙に暮れた松田だが、再び前を向き、走り出した。「自分が沈んでいるときにたくさん励ましていただいた。山中監督が支えてくれた。涙で終わりたくなかった」。世界を目指す覚悟を決めた。

トレーニングは積んできたが、最終調整が月経と重なったことで「ハマらない感覚があった」が、「最終的に7割くらいには状態を戻してこられた」と言う。今大会、レース中は「世界の選手だったらここでどう走るか」とイメージ。後半苦しんだところは「粘り切れなかったのは弱さであり課題」と振り返る。それだけ、さらに高みを目指している証だ。

これでオレゴン世界選手権の代表入りへ猛アピール。さらに、パリ五輪MGCの女子第一号となったが、「まだ世界選手権しか見えていない。目の前の目標に向けて取り組んだ結果、パリ五輪があるのではないかと思います」と松田は言う。

これまでは「大きな目標を口に出して負けてしまう」。その強気な姿勢も松田の強さを支えてきた。だが、大阪で快走し東京五輪は決まりだろう、と宣言して代表を逃した経験を経て、より大人のアスリートへと成長。好記録を出してなお「また、松田瑞生ここにあり、という走りができるように精進します」と首を垂れた。

この後の3月6日の東京、同13日の名古屋を経てオレゴン世界選手権代表が決まる。「(代表に内定したら)課題を埋めて自信を持ってスタートラインに立って、トップ争いができれば」。今度こそ世界の舞台へ。地元・浪速路は松田にとって十分な助走になった。

◇2位・上杉も世界選手権派遣設定突破!
積極的な走りを見せた上杉は日本歴代11位となる2時間22分29秒の大幅自己新で2位。オレゴン世界選手権の派遣設定記録を突破し、MGCの出場権も獲得した。上杉は「すなおにうれしい。たくさんのことを学ぼうと格上に果敢に挑戦しました」と充実感を漂わせる。

松田と同学年の26歳で、千葉・日体大柏高卒で14年にスターツに入社。これが7度目のマラソンで、昨年のこの大会で出した2時間24分52秒が自己ベストだった。

3位の松下菜摘(天満屋)も日本歴代15位となる2時間23分05秒の好記録。6位の佐藤早也伽(積水化学)までがパリ五輪MGCの出場権を獲得した。

■松田瑞生のマラソン全成績
18年1月 大阪国際女子 2時間22分44秒(優勝)
18年9月 ベルリン 2時間22分23秒(5位)
19年9月 MGC 2時間29分51秒(4位)
20年1月 大阪国際女子 2時間21分47秒(優勝)
21年3月 名古屋 2時間21分51秒(優勝)
22年1月 大阪国際女子 2時間20分52秒(優勝)

■大阪国際女子マラソン上位成績

◇第40回大阪国際女子マラソン(1月30日/大阪・ヤンマースタジアム長居発着) 日本歴代5位となる2時間20分52秒の自己新で地元・大阪を駆け抜け、この大会3戦3勝とした。それでも松田瑞生(ダイハツ)はフィニッシュ後に「悔しい」と目に涙を浮かべた。 気温8度、風もほとんど感じない絶好のコンディション。日本記録も見据える男子ペースメーカーに序盤からついたのは松田と上杉真穂(スターツ)の2人だけだった。「世界選手権の代表を目指す」と松田。5km通過は16分28秒。「前半から果敢に攻めた」と言うが、このあたりで山中美和子監督は「少しペースが落ちて心配なところがあった」と振り返る。ハーフは1時間9分57秒で通過した。 30kmを手前に上杉が遅れ、松田は男子ペースメーカーに囲まれるかたちで「半歩後ろ」でしっかり歩を進める。後半もややペースが落ちたが、最後は切り替えてペースアップ。日本人女子で5人目の2時間21分切りで、見事に優勝を飾った。 松田は「2年ぶりに大阪に帰ってこられて優勝できた」と喜んだのもつかの間「率直に悔しかった」と涙。「自分の目標は達成できなかった」。オレゴン世界選手権の派遣設定記録は2時間23分18秒。松田はそれ以上に、「最低ライン」として目指したのが、一山麻緒(ワコール)が20年の名古屋ウィメンズマラソンでマークした国内日本最高記録となる2時間20分29秒だった。その記録を目指すことに意味があった。 19年9月の東京五輪選考会マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で4位となり、夢の東京五輪代表は勝ち取ることができなかった。残す1枠の代表を目指し再起を誓った松田は、20年の大阪国際女子マラソンで2時間21分47の自己新。代表をたぐり寄せた…はずだった。だが、続く名古屋で一山がその記録を上回り、松田は東京五輪の補欠に回った。 涙に暮れた松田だが、再び前を向き、走り出した。「自分が沈んでいるときにたくさん励ましていただいた。山中監督が支えてくれた。涙で終わりたくなかった」。世界を目指す覚悟を決めた。 トレーニングは積んできたが、最終調整が月経と重なったことで「ハマらない感覚があった」が、「最終的に7割くらいには状態を戻してこられた」と言う。今大会、レース中は「世界の選手だったらここでどう走るか」とイメージ。後半苦しんだところは「粘り切れなかったのは弱さであり課題」と振り返る。それだけ、さらに高みを目指している証だ。 これでオレゴン世界選手権の代表入りへ猛アピール。さらに、パリ五輪MGCの女子第一号となったが、「まだ世界選手権しか見えていない。目の前の目標に向けて取り組んだ結果、パリ五輪があるのではないかと思います」と松田は言う。 これまでは「大きな目標を口に出して負けてしまう」。その強気な姿勢も松田の強さを支えてきた。だが、大阪で快走し東京五輪は決まりだろう、と宣言して代表を逃した経験を経て、より大人のアスリートへと成長。好記録を出してなお「また、松田瑞生ここにあり、という走りができるように精進します」と首を垂れた。 この後の3月6日の東京、同13日の名古屋を経てオレゴン世界選手権代表が決まる。「(代表に内定したら)課題を埋めて自信を持ってスタートラインに立って、トップ争いができれば」。今度こそ世界の舞台へ。地元・浪速路は松田にとって十分な助走になった。 ◇2位・上杉も世界選手権派遣設定突破! 積極的な走りを見せた上杉は日本歴代11位となる2時間22分29秒の大幅自己新で2位。オレゴン世界選手権の派遣設定記録を突破し、MGCの出場権も獲得した。上杉は「すなおにうれしい。たくさんのことを学ぼうと格上に果敢に挑戦しました」と充実感を漂わせる。 松田と同学年の26歳で、千葉・日体大柏高卒で14年にスターツに入社。これが7度目のマラソンで、昨年のこの大会で出した2時間24分52秒が自己ベストだった。 3位の松下菜摘(天満屋)も日本歴代15位となる2時間23分05秒の好記録。6位の佐藤早也伽(積水化学)までがパリ五輪MGCの出場権を獲得した。 ■松田瑞生のマラソン全成績 18年1月 大阪国際女子 2時間22分44秒(優勝) 18年9月 ベルリン 2時間22分23秒(5位) 19年9月 MGC 2時間29分51秒(4位) 20年1月 大阪国際女子 2時間21分47秒(優勝) 21年3月 名古屋 2時間21分51秒(優勝) 22年1月 大阪国際女子 2時間20分52秒(優勝) ■大阪国際女子マラソン上位成績

次ページ:

       

RECOMMENDED おすすめの記事

    

Ranking 人気記事ランキング 人気記事ランキング

Latest articles 最新の記事

2025.11.26

第102回箱根駅伝を盛り上げよう!! サッポロ生ビール黒ラベル「箱根駅伝缶」が本日発売

1987年から箱根駅伝に特別協賛しているサッポロビール株式会社は、大会を盛り上げるためにサッポロ生ビール黒ラベル「箱根駅伝缶」を第80回記念大会(2004年)より発売しているが、来る第102回大会バージョン(350mℓ缶 […]

NEWS アディダス新シューズ発売イベントに箱根駅伝を沸かせた太田蒼生と平林清澄が登壇!

2025.11.25

アディダス新シューズ発売イベントに箱根駅伝を沸かせた太田蒼生と平林清澄が登壇!

アディダス ジャパンは11月25日、「ADIDAS EKIDEN DAY」を都内で開き、ゲストトークセッションにGMOインターネットグループで青学大出身の太田蒼生、ロジスティードで國學院大出身の平林清澄が一緒に登壇した。 […]

NEWS 正月の駅伝へ意気込み!GMO・嶋津雄大「勝ち抜いてニューイヤーを」東京国際大・菅野裕二郎「雰囲気良くトレーニングができている」

2025.11.25

正月の駅伝へ意気込み!GMO・嶋津雄大「勝ち抜いてニューイヤーを」東京国際大・菅野裕二郎「雰囲気良くトレーニングができている」

ミズノの新シューズ発表イベントが11月25日に行われ、嶋津雄大(GMOインターネットグループ)、髙久龍(ヤクルト)、東京国際大の菅野裕二郎(4年)と小柴裕士郎(2年)が出席した。 実業団勢はニューイヤー駅伝、東京国際大勢 […]

NEWS 2025年最も輝きを放ったCrystalAthleteは中島佑気ジョセフ!選手、ファン、メディア投票の「GetsurikuAwards2025」発表

2025.11.25

2025年最も輝きを放ったCrystalAthleteは中島佑気ジョセフ!選手、ファン、メディア投票の「GetsurikuAwards2025」発表

月陸Onlineが2022年に創設した「Getsuriku Awards」。選手やファン、メディアからの投票によって、そのシーズンで『最も輝きを放った選手=Crystal Athlete』として表彰しています。 期間内に […]

NEWS 大学女子駅伝2冠へ!城西大の主将・金子陽向「10年間の集大成の走りを」本間香「優勝へ区間賞・区間新を」

2025.11.25

大学女子駅伝2冠へ!城西大の主将・金子陽向「10年間の集大成の走りを」本間香「優勝へ区間賞・区間新を」

ミズノの新シューズ発表イベントが11月25日に行われ、10月の全日本大学女子駅伝で優勝した城西大の主将・金子陽向(4年)と本間香(1年)が参加した。 1区区間新で優勝への流れを作った本間と、アンカーとして1分以上の差を跳 […]

SNS

Latest Issue 最新号 最新号

2025年12月号 (11月14日発売)

2025年12月号 (11月14日発売)

EKIDEN REVIEW
全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
高校駅伝&実業団駅伝予選

Follow-up Tokyo 2025

page top